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コーヒーと恋愛 [日本の近代文学]

 「コーヒーと恋愛」 獅子文六 (ちくま文庫)

 テレビで活躍中の女優モエ子と、若い女と逃げた年下の夫を巡るドタバタ劇です。
 1962年に読売新聞で連載された小説で、2013年にちくま文庫から復刊されました。


コーヒーと恋愛 (ちくま文庫)

コーヒーと恋愛 (ちくま文庫)

  • 作者: 獅子 文六
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2013/04/10
  • メディア: 文庫



 舞台は昭和の高度成長期です。テレビ番組が始まって10年もたってない頃です。
 主人公坂井モエ子は、43歳の人気庶民派女優で、コーヒーを淹れるのがうまい。

 モエ子は8歳年下の夫と二人で暮らしています、というか亭主を養っています。
 モエ子がテレビドラマに出演して稼いだお金が、二人の生活費となっています。

 夫の塔ノ本勉は売れない舞台装置係ですが、仕事に対するプライドだけは高い。
 モエ子の稼ぎに頼りながらも、テレビドラマを見下しているところがあります。

 夫と一緒になって8年、二人の生活は、それなりにうまくいっていました。
 ところが、丹野アンナという若い女優と、亭主が接近したことによって・・・

 今から50年以上前の新聞小説です。上品で軽快で、とても楽しく読めました。
 昭和の懐かしい香りがしますが、当時は進歩的で洒落た小説だったそうです。

 主役がテレビ女優で、亭主がヒモ男という設定も、当時は珍しかったと思います。
 また、アンナのようなアバズレ女の存在も、この小説をより魅力的にしています。

 度々コーヒーが登場し、コーヒー談義が始まる点も、新しかったのでしょう。
 今でこそコーヒーは庶民のものになりましたが、当時は珍しかったはずです。

 コーヒー通が集まる「可否会」の場面が、この小説の味付けになっています。
 彼らの語るコーヒーの蘊蓄を聞いていると、コーヒーが飲みたくなりました。

 「男ごころってのは、正月の重箱みたいに底があるものが、重なってるんだ」
 「恋愛ってものが主体であって、結婚なんて、ヤキトリのクシのようなもんだ」

 という洒落たセリフが、ポンポン出てくるところもまた、この作品の魅力です。
 しかしサイコーだったのは、奇想天外な新劇「河馬」の第三幕でした。

 暴走し人々を恐怖のどん底に突き落とす河馬の群れは、近代精神であって・・・
 富豪の令嬢が、河馬のマスクを付けた、主役の「第一の河馬」に求婚して・・・

 さて、獅子文六の初期の代表作に「悦ちゃん」があります。戦前の作品です。
 少し前にNHKのテレビドラマになって、評判になりました。気になります。


悦ちゃん (ちくま文庫)

悦ちゃん (ちくま文庫)

  • 作者: 獅子 文六
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2015/12/09
  • メディア: 文庫



 さいごに。(デンマーク・クローネ)

 うちの妻が、自動レジで50円玉を入れたら、何度も戻ってきてしまいました。
 不思議に思って、そのコインを確かめたら、なんとデンマーク・クローネでした。

 デンマーク・クローネは、50円玉にそっくりなのです。しかし価値は18円程度。
 いったい、いつ、どこで紛れ込んだのやら。

skagen_1klonecoin.jpg


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お目出たき人 [日本の近代文学]

 「お目出たき人」 武者小路実篤 (新潮文庫)


 ある若くて美しいに女性に一方的に片思いし、失恋していくまでの物語です。
 作中の「自分」と同じ26歳の時の作品で、武者小路実篤の初期の代表作です。


お目出たき人 (新潮文庫)

お目出たき人 (新潮文庫)

  • 作者: 武者小路 実篤
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1999/12/27
  • メディア: 文庫



 「自分は女に餓(う)えている。」
 「自分」は26歳。以前近所に住んでいた可憐な女を、一方的に愛しています。

 女の名前は「鶴」。恋するようになったのは、もう5年も前のことです。
 しかしその間、一度も言葉を交わしたことがありません。

 だからこそ「鶴」の存在は、「自分」の中でどんどん理想化されていきます。
 そして二人が結婚することが、「鶴」にとっても幸せだと確信するに至ります。

 最初に人を立てて求婚したとき、ほとんどうまくいくと思っていましたが・・・
 次に求婚したときも・・・そして三度目の求婚は・・・

 武者小路といえば「友情」。それしか知らなかった私に、この作品を勧めてくれ
 たのは、ある読書仲間です。彼曰く、「ツッコミどころ満載で笑えるよ」と。

 「鶴」を知って5年というけど、5年前「鶴」はまだ13歳ではないか。
 「鶴」も自分のことを好いているはずだというけど、勝手に妄想されてもねえ。

 自分と結婚しなければ、やけを起こして自殺しまいかと心配するし。(アホか)
 「汝、彼女と結婚せよ」という神秘の黙示を感じているし。(ヘンタイか)

 「鶴に会いに行く」と言って、鶴の通う学校に偵察に行くし。(小学生か)
 やってることがみみっちいのに、「自分は勇士だ」とか言ってるし。(笑)

 中でも終盤、電車で偶然「鶴」と顔を合わせた場面は傑作です。
 「二人は夫婦になる運命を荷って生まれてきたのだ。」(!)

 自意識過剰で、自分に都合の良いことしか考えられない「お目出たき人」!
 しかし、こういう妄想を含めて、主人公の「自分」が可愛く思えてきます。

 ドストエフスキーの「地下室の手記」に通じるものを感じてしまいました。
 「地下室の手記」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2014-11-16

 余談ですが、10年前に美しい男を愛した、という気になる記述もありました。
 武者小路の実体験を踏まえているのでしょうか? 気になります。

 さて、武者小路実篤の晩年の代表作が「真理先生」です。
 この機会に「真理先生」も読んでおきたいです。


真理先生 (新潮文庫)

真理先生 (新潮文庫)

  • 作者: 武者小路 実篤
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1952/07/02
  • メディア: 文庫



 さいごに。(アコーディオンのオーディション)

 一昨日、音楽発表会の特別楽器のオーディションがありました。
 うちの娘は、学年で4人のアコーディオンの枠を狙って、合格しました。

 希望者は5人だけだったというけど、本当に良かったです。
 ただし、本番は平日の午後。見に行くことはできません。(見たかった!)

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額田女王 [日本の近代文学]

 「額田女王」 井上靖 (新潮文庫)


 大化の改新後から壬申の乱までを、万葉人の額田女王を中心に描いた歴史小説です。
 天智と天武に愛された額田女王を、神と人とを仲介する巫女として描いています。


額田女王 (新潮文庫)

額田女王 (新潮文庫)

  • 作者: 井上 靖
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1972/11/01
  • メディア: 文庫



 額田女王は、神の声を聴くことができる、特殊な霊力を持った巫女でした。
 降った神の言葉を、天皇の言葉として、天皇にかわって歌を詠んでいました。

 神の声を聴く力を維持するため、人間の言葉に耳を傾けることができません。
 大海人皇子と関係しても、中大兄皇子と関係しても、心を許さずに・・・

 井上靖のこの作品は、額田女王を巫女的存在としているところが特徴的です。
 額田が古代の政治において大きな役割を果たしていた、という設定が面白い。

 特に、額田女王が実際に歌を詠みあげる場面は、すばらしいです。
 世界と神と歌が、混然一体となっていた様子が、リアルに伝わってきました。

 しかし巫女的立場ゆえに、蒲生野の歌の解釈は、無難な通説を取っています。
 公共的な存在である以上、大海人とのロマンスは想定しにくいのでしょうか。

 「あかねさす紫野行きしめ野行き野守は見ずや君が袖振る」(額田女王)
 「むらさきのにほえる妹を憎くあらば人妻ゆゑに吾恋ひめやも」(大海人皇子)

 「万葉の人びと」によると、「あかねさす」は元夫の大海人をとがめる歌であり、
 「むらさきの」は危険を冒して応えた歌ありで、情熱的なやり取りだとしています。
 「万葉の人びと」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2018-01-18

 25年前、私が「額田女王」を手に取ったのも、この流れからでした。
 蒲生野の場面は酒宴の座興ではなく、スリリングな場面として読みたかったです。

 とはいえ、額田と大海人と中大兄の独特の関係は、興味深く描かれていました。
 また、額田女王の目を通して、黎明期の日本がイメージできて良かったです。

 それにしても、額田女王はミステリアスな存在で、興味が尽きません。
 額田女王を主人公にした作品は、ほかにもたくさんあるので、読んでみたいです。

 さいごに。(パパの良いところ)

 娘が、「結婚するなら、パパみたいな人がいい」と言ってくれました。
 ようやくパパの魅力が分かってくれたか、と思いきや・・・

 「パパみたいに、ケーキの包み紙に付いたクリームを、一緒にフォーク
 で削って食べてくれるような人がいい」とのこと。なんじゃ、それ?

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赤光 [日本の近代文学]

 「赤光」 斎藤茂吉 (新潮文庫)


 「死にたまふ母」の連作を含む、斎藤茂吉の処女歌集で、彼の代表作です。
 茂吉23歳から31歳までの、834首を収録しています。1913年に出ました。


赤光 (新潮文庫)

赤光 (新潮文庫)

  • 作者: 斎藤 茂吉
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2000/02/29
  • メディア: 文庫



 斎藤茂吉と言えば、連作「死にたまふ母」59歌でしょう。
 「死に近き」や「のど赤き」の名歌は、様々な教科書に載っています。

 「みちのくの母のいのちを一目見ん一目みんとぞいそぐなりけれ」
 「死に近き母に添い寝のしんしんと遠田のかはづ天に聞こゆる」
 「我が母よ死にたまひゆく我が母よ我(わ)を生まし乳(ち)足らひし母よ」
 「のど赤き玄鳥(つばくらめ)ふたつ屋梁(はり)にゐて足乳ねの母は死にたまふなり」
 「わが母を焼かねばならぬ火を持てり天(あま)つ空には見るものもなし」

 歌をたどることで、母の危篤から葬儀の後までを、追体験することができます。
 斎藤茂吉の連作は、まるでドラマのように味わうことができます。

 ただし、自分の思いが先走りすぎたのか、所々に文法的な間違いがあります。
 「みちのくの」の歌もそう。「ぞ」の結びに「いそぐなりけれ」はおかしい。

 のちに改定されて、「ただにいそげる」になりましたが、少し物足りないです。
 間違いのある初版の方が世評が高い、というのも分かる気がします。

 「赤光」には、ほかにも良い歌がたくさんあります。
 全ては紹介しきれません。マイ・ベスト1だけを紹介しましょう。

 「この心葬(ほふ)り果てんと秀(ほ)の光る錐(きり)を畳にさしにけるかも」
 何があったか知らないけど(失恋?)、錐を畳に刺してどうする?

 ところで「赤光」というと、夕陽の赤い光を連想します。
 しかしそれはまた、「阿弥陀経」では浄土の蓮の光を表しているそうです。

 「赤光のなかの歩みはひそか夜の細きかほそきこころにか似む」
 赤い夕陽の中を、孤独な心を抱えて、ひとり寂しく歩いている姿が見えます。

 さて、第2歌集「あらたま」には、次の名歌があります。ただし絶版です。
 「あかあかと一本の道とほりたりたまきはる我が命なりけり」


茂吉秀歌『あらたま』百首 (講談社学術文庫)

茂吉秀歌『あらたま』百首 (講談社学術文庫)

  • 作者: 塚本 邦雄
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1993/10
  • メディア: 文庫



 さいごに。(ジュニア県展)

 娘の絵が、ジュニア県展で銅賞になったので、県立美術館に展示されました。
 さっそく見に行きました。うまいというより、かわいい絵でした。

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敦煌 [日本の近代文学]

 「敦煌」 井上靖 (新潮文庫)


 宋の時代、漢の男が西夏に向かい、敦煌に経典を残すまでの経緯を描いた物語です。
 井上靖の西域ものの代表作で、1988年に日中合作で映画化されて評判になりました。


敦煌 (新潮文庫)

敦煌 (新潮文庫)

  • 作者: 井上 靖
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1965/06/30
  • メディア: 文庫



 時は西暦1000年代、中国の北宋時代に、超行徳は科挙のため都に上りました。
 30代の優秀な男でしたが、居眠りをしている間に試験が終わってしまいました。

 その帰りに市場で、全裸の女が、切り売りされそうになる所に出くわしました。
 死を目の前にして微動だにしない女。業徳は思わず女を買い取って助けました。

 それが西夏の女で、西夏文字が書かれた布を渡され、行徳の人生が転換します。
 隊商に紛れて西夏へ向けて出発し、行徳の冒険が始まりました。

 砂漠の戦闘、漢人部隊への編入、朱王礼との出会い、ウイグル女との出会い・・・
 西夏の都への留学、朱王礼との再会、そして、ウイグル女との再会と悲劇・・・

 今回は再読です。この作品が映画化された大学時代に、最初に読みました。
 その時も今回も、地名や人名にてこずって、読むのに時間がかかりました。

 しかし、文章は簡潔でありながら味わい深く、時間をかけて読むべき作品です。
 きっと作者も、丹念に資料を調べ、語句を推敲し、時間をかけて書いたと思います。

 さて、今回再読して、行徳のウイグル女に対する心情には矛盾を感じました。
 (それほど女の境遇が気になるのなら、さっさと甘州に戻るべきだっただろ!)

 一時、彼女のことを忘れておいて、今さらやきもきしたって、仕方ないでしょう。
 行徳自身も言うとおり、彼は約束を破ったのです。ひどいのは行徳の方です。

 この辺りに感じるもやもやは、映画ではうまく脚色され、解消されているようです。
 また、ウイグル女の行動も、ドラマティックに変えられているとのこと。

 なお、この映画は日中合作映画として大々的に宣伝され、大きな話題となりました。
 興行成績もよく、日本アカデミー賞もとりました。一回は見ておきたいです。

 小説「敦煌」に話は戻りますが、西域の記述がとても詳細な点が特徴だと思います。
 作者が描きたかったのは、西域を中心にした歴史のうねりだったのかもしれません。

 「併し、一つの民族が永久にこの土地を征服していることはできない。吐蕃が去った
 ように、西夏もまたいつかは去るだろう。その時、そのあとにはわれわれの子孫が雑
 草のような残り方で残っているだろう。」(P179)

 「敦煌」を再読したいきおいで、「敦煌ものがたり」という本も買いました。
 絶版のため、古本を購入しました。ああ、敦煌に行きたい。莫高窟を見たい。


敦煌ものがたり (とんぼの本)

敦煌ものがたり (とんぼの本)

  • 作者: 東山 健吾
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1989/05
  • メディア: 単行本



 この本には、敦煌の歴史だけでなく、敦煌の宝物流出の歴史も書かれています。
 20世紀初頭に敦煌文書が発見されたことは、敦煌にとって良かったのかどうか?

 「蔵経洞が発見されて、その秘宝が国外に散逸する憂き目を見るが、そのことに
 よって敦煌が世界に知られることになるとは、なんと皮肉なことであろう。」

 さいごに。(明日帰ります)

 現在、沖縄旅行4日目を楽しんでいるはずです。
 ちなみに、今日の記事は、予約投稿をしておきました。

 予定では、明日おみやげを買って帰ることになっています。
 雪塩のちんすこうを、たくさん買って持ち帰りたいです。

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天平の甍 [日本の近代文学]

 「天平の甍」 井上靖 (新潮文庫)


 754年に鑑真を招請した、日本人留学生たちの姿を描いた傑作歴史小説です。
 井上靖の代表作で、映画にもなっています。新潮文庫から出ています。


天平の甍 (新潮文庫)

天平の甍 (新潮文庫)

  • 作者: 井上 靖
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1964/03/20
  • メディア: 文庫



 732年の第9遣唐使の中に、留学僧の普照と栄叡(ようえい)がいました。
 2人は、戒律を行う僧を日本に招請するという使命を、担っていました。

 無事に中国に着き、洛陽に入り、留学生としての生活が始まりました。
 一方で、戒律師としてふさわしい人物を探しますが・・・

 鑑真ファン、唐招提寺ファン、仏教ファンにはたまらない小説です。
 私は特に、鑑真が登場する場面から、一気にテンションが上がりました。

 「法のためである。たとえ渺漫(びょうまん)たる蒼海(そうかい)が
 隔てようと生命を惜しむべきではあるまい。」(P73)

 鑑真、サイコーです。この小説の最大の魅力は、鑑真に会えることです。
 5度の試みに失敗し、失明しながらも、我が国にやってきた鑑真!

 ちなみに、鑑真和上像は、私のお気に入りの仏像のひとつです。
 2008年に県立美術館に来た時は、幼かった娘を連れて見に行きました。

 「不思議だ。ただ見ているだけで、心が満たされてくる。」
 キャッチフレーズどおりでした。いつまでも像から離れられなかった。

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 唐招提寺もまた、私の大好きなお寺のひとつです。
 大学時代に、青春十八きっぷを使って、何度訪れたことか。

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 ところが小説では、脇役の留学僧たちに、スポットが当たっています。
 鑑真招請に人生をかける栄叡と普照、経典の収集に人生をかける業行・・・

 「われわれはいま海の底へ沈めてしまうだけのために、いたずらに知識を
 搔き集めているのかも知れない。」(P52)

 作者はむしろ、留学僧たちのそういう虚しさを描きたかったのではないか。
 特に、業行の壮絶な運命は、強烈に心に残りました。

 さて、井上靖の中国歴史ものでは、「敦煌」もまた有名です。
 敦煌の莫高窟から発見された文献に関わる、歴史ロマンです。


敦煌 (新潮文庫)

敦煌 (新潮文庫)

  • 作者: 井上 靖
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1965/06/30
  • メディア: 文庫



 さいごに。(今年もよろしくお願いします)

 新年、おめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
 今日から家族で、4泊の旅行に行きます。初めての沖縄です。

 私的には、首里城とその周辺の散策が、最大の楽しみです。
 娘は、アメリカ村で、大きなパフェを食べる事が楽しみとのこと。

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手袋を買いに [日本の近代文学]

 「手袋を買いに」 新美南吉 (小学館文庫)


 「ごんぎつね」と並ぶ名作「手袋を買いに」ほか全11編収録の童話集です。
 「ごんぎつね」同様、表題作は黒井健の絵本がすばらしいです。


手袋を買いに (小学館文庫―新撰クラシックス)

手袋を買いに (小学館文庫―新撰クラシックス)

  • 作者: 新美 南吉
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2003/12/01
  • メディア: 文庫



手ぶくろを買いに (日本の童話名作選)

手ぶくろを買いに (日本の童話名作選)

  • 作者: 新美 南吉
  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 1988/03/01
  • メディア: 大型本



 「おかあちゃん、お手々が冷たい」
 雪の日、坊やの手は凍えていました。

 母さん狐は、坊やの片手だけを人間の手に変えて、言いました。
 「人間はね、相手が狐だとわかると、手袋を売ってくれないんだよ」

 ところが坊やは、帽子屋で、慌てて狐の手の方を出してしまったのです。
 狐の手を見た帽子屋は・・・

 「母ちゃん、人間ってちっともこわかないや」
 この言葉に、心も体もほっこりします。

 さて、この本にはほかに、「久助君の話」も入っています。
 よく知っている人でも、急に別人になってしまう不思議を描いています。

 他の作品で久助君が出てくる「嘘」「耳」も、同じ主題で書かれています。
 私のよく知っているその人が本当か、私の知らないその人が本当か?・・・

 そのほか、「百姓の足、坊さんの足」と「和太郎さんと牛」も捨てがたいです。
 どちらも不思議な話で、読んでいるうちにどんどん物語に引き込まれます。

 しかし、なんといっても私的にサイコーだったは、「屁」という作品です。
 屁騒動から、小学生の春吉がいかに多くのことを学び、いかに多くを考えたか!

 「石太郎が屁の名人であるのは、浄光院の是信さんに教えてもらうからだ、と
 みんながいっていた。」という冒頭から、いっきに引き込まれてしまいます。

 自由自在に屁をする石太郎、屁こき虫の石太郎、屁弟子の石太郎。
 石太郎をいまいましく思う春吉君、石太郎をばかにするクラスメイト。

 ところが、春吉君がうかつにも教室で屁をしてしまったとき・・・
 春吉君にとっての予想外の展開と、春吉君にとっての大きな衝撃・・・

 ところで、私が買ったのは、小学館文庫「新撰クラシックス」版です。
 1999年に第一作「ごんぎつね」が出た時、将来を期待して買ったのです。

 のちに、このシリーズは「多甚古村」を出して、期待に応えてくれました。
 ところが、最近は全く冴えない。刊行されていないようなのです。残念!
 井伏鱒二「多甚古村」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2012-06-02

 ちなみに「ごんぎつね」も「手袋を買いに」も絶版のようです。
 新美南吉の童話なら、岩波文庫「新美南吉童話集」が最も充実しています。


新美南吉童話集 (岩波文庫)

新美南吉童話集 (岩波文庫)

  • 作者: 新美 南吉
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1996/07/16
  • メディア: 文庫



 さいごに。(値切らないでと、娘に言われ・・・)

 新しいビジネスバッグを購入しました。お店で見て一目ぼれした品です。
 カッコ良くて、オンでもオフでも使えそうで、値段もまあまあでした。

 購入の際、「もう少し安くなったら嬉しいんだけど」と店員に告げたら、
 一緒にいた娘に、あとから、「恥ずかしいからやめて」と言われました。
 (もちろん、安くなりませんでした。)





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あすなろ物語 [日本の近代文学]

 「あすなろ物語」 井上靖 (新潮文庫)


 6つの短編を通して、鮎太の少年期から壮年期までを描いた、自伝的作品です。
 1954年に出て、若者を中心に広く読まれました。映画にもなっています。


あすなろ物語 (新潮文庫)

あすなろ物語 (新潮文庫)

  • 作者: 井上 靖
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1958/12/02
  • メディア: 文庫



 この本を、私は高校時代の読書会で、課題図書として読みました。
 「春の道標」とともに、高校時代に最も刺激を受けた作品です。

 明日はヒノキになろうと願いながら、決してヒノキになれない翌檜(あすなろ)。
 翌檜の木に託した6つの短編を通して、梶鮎太という男の半生を描いています。

 「深い深い雪の中で」は、鮎太が祖母と土蔵暮らしをしていた13歳の頃の話。
 19歳の冴子(さえこ)という美しい少女と、同居することになりましたが・・・

 冴子から頼まれたことは・・・加島という大学生に教えられたことは・・・
 そして、突然訪れる悲劇。6編の中で最も劇的で、印象に残る物語です。

 「寒月がかかれば」は、鮎太が禅寺に寄宿して中学に通っていた中三の頃の話。
 お寺の活発な少女雪枝に、勉強以外にも大切なことがあると教えられて・・・

 「漲(みなぎ)ろう水の面より」は、高校を卒業し九州の大学に進んだ頃の話。
 鮎太の心の中で、高校時代に知り合った佐分利夫人がいつまでも生き続け・・・

 ひとり東京を離れた自分。バラバラになってしまったかつての仲間の絆。
 そして、相変わらず美しい佐分利夫人が言ったことばは・・・

 「貴方は翌檜でさえもないじゃあありませんか。
 貴方は何になろうとも思っていらっしゃらない」(P127) 

 「春の狐火」は、鮎太が大阪で新聞記者として働き始めたばかりの頃の話。
 佐分利夫人の面影が忘れられない中で、先輩記者の妹と出会いましたが・・・

 佐分利夫人が登場するこの二編が、初めて読んだ当時、最も刺激的でした。
 自分もそんな女性に出会うだろうかと考え、怖くもあり、楽しみでもありました。

 そして「春の狐火」には、一瞬狐につままれたような美しい出来事があります。
 当時ピンとこなかったこのシーンの魅力が、今回再読して初めて分かりました。

 「勝敗」は、遊軍記者として活躍し、ライバルの左山と競っていた頃の話。
 「星の植民地」は、終戦後に家族と離れて一人、東京で暮らしていた頃の話。

 最後の二編は、他の四編に比べてあまり面白くなかったです。
 原因は、鮎太がもう若くないという点と、ヒロインがイマイチという点です。

 特に、最終話の鮎太の行動には、高校時代にとても失望しました。
 熱烈な恋愛はできないくせに、こそこそとつまらない女と浮気をする男!

 かつての神童が平凡な人生をたどり、ここまで落ちたかと悲しくなりました。
 人生というもののほろ苦い部分を、私はこの本から学んだのかもしれません。

 自分はこんな平凡な人生を歩みたくないと、当時は思ったものです。
 しかし、振り返ってみると、私は鮎太に負けず平凡な人生を歩んでいました。
 (ま、いいのだけど)

 さて、井上靖には、他にも有名で魅力的な作品がたくさんあります。
 「しろばんば」「夏草冬涛」などの自伝的小説は、ぜひ読んでおきたいです。


しろばんば (新潮文庫)

しろばんば (新潮文庫)

  • 作者: 井上 靖
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1965/04/01
  • メディア: 文庫



夏草冬涛 (上) (新潮文庫)

夏草冬涛 (上) (新潮文庫)

  • 作者: 井上 靖
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1989/06/09
  • メディア: 文庫



 さいごに。(椋鳩十)

 娘が時々音読をするので、小学5年生の国語の内容はだいたい分かります。
 このあいだまでやっていた椋鳩十の「大造じいさんとガン」は良いですね。


大造じいさんとガン (偕成社文庫3062)

大造じいさんとガン (偕成社文庫3062)

  • 作者: 椋 鳩十
  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 1978/03/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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春の道標 [日本の近代文学]

 「春の道標」 黒井千次 (新潮文庫)


 高校2年の明史と中学3年の棗の甘く切ない恋愛を、瑞々しく描いた青春小説です。
 1981年に刊行されて、読書感想文の課題図書となり、特に若者に読まれた作品です。


春の道標 (新潮文庫)

春の道標 (新潮文庫)

  • 作者: 黒井 千次
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1984/06
  • メディア: 文庫



 高校2年の明史(あけし)には、慶子(けいこ)という一つ年上の恋人がいました。
 しかし、慶子のペースに戸惑い、「親友でいたい」と訴えて、関係は途絶えました。

 ちょうどその頃、明史の心は、毎朝顔を合わせる少女の方に、動かされていました。
 少女は棗(なつめ)という名前で、まだ中学3年生でした。

 明史が棗に声を掛けてから、2人は急接近していきます。
 一緒に登校し、学校祭に招待し、丘に登って散策し 、同じ高校への入学を勧め・・・

 ところが、棗には小堀という大学院生の家庭教師がいて、家族同然の間柄でした。
 そして、明史と棗はお互いに惹かれながらも・・・

 この小説を知ったのは、私が高校3年生の頃でした。
 学校の授業で、共通一次試験の過去問題を解いていたときのことです。

 そう、この小説は1980年代に、共通一次(現センター)試験で出題されたのです。
 明史と棗のことが気になって、本屋で購入して、受験勉強そっちのけで読みました。

 岩波文庫の白帯を持っていた棗。「生きているのって、哀しいな」とつぶやく棗。
 齧り跡のついたリンゴに口を重ねる棗。丘の上で二人きりになったときの棗。

 その頃、棗は、本読み仲間のヒロインでした。だから、あの結末は許せなかった!
 「大事なお友達に、なれると思う・・・」「地獄だよ、そんなの。」

 あれから30年以上たって、久しぶりに読み返し、当時と同じ感動を味わいました。
 ところが、以前とは違った部分も、また見えてきて面白かったです。

 あの頃は一方的に「棗が悪い」と思っていたけど、明史にも問題ありですね。
 結局、明史は自分が慶子にした同じことを、棗にされたわけです。

 また当時は、明史の背伸びしたところや、甘えたところに、腹が立ちましたが、
 今回は、そういう所がかわいく思えて好感が持てました。年のせいでしょうか。

 さいごに。(紅葉)

 先日、家から2時間ほどの場所へ、家族で紅葉を見に行きました。
 とてもきれいでした。紅葉は、仕事で疲れた心を癒してくれます。

紅葉ツアー.jpg

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君たちはどう生きるか [日本の近代文学]

 「君たちはどう生きるか」 吉野源三郎 (岩波文庫)


 様々な出来事を通して成長する中学生のコペル君と、それを見守る叔父さんの話です。
 今年2017年に、その漫画版がベストセラーになり、たいへん注目を集めています。


君たちはどう生きるか (岩波文庫)

君たちはどう生きるか (岩波文庫)

  • 作者: 吉野 源三郎
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1982/11/16
  • メディア: 文庫



漫画 君たちはどう生きるか

漫画 君たちはどう生きるか

  • 作者: 吉野源三郎
  • 出版社/メーカー: マガジンハウス
  • 発売日: 2017/08/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



 コペル君というのは、もちろんあだ名です。本名は本田潤一。中学2年生です。
 どうして叔父さんに「コペル君」と呼ばれるようになったかというと・・・

 本田潤一はある日、ビルの屋上から下を見下ろして、変な感覚に襲われました。
 叔父さんに、「人間て、まあ、水の分子みたいなものだねえ。」と言います。

 彼はこのとき、自分中心の物の見方から脱して、客観的な視点に立てたのです。
 これを叔父さんは、天動説から地動説へのコペルニクス的転換と考えて・・・

 この後コペル君は、様々な体験をし、叔父さんから多くの教えを受けます。
 感動を呼ぶ行動とは? 学問の意味は? 人間の本当の価値は? 英雄とは?

 私は特に、三章の「ニュートンの林檎と粉ミルク」と、九章の「水仙の芽とガ
 ンダーラの仏像」の話が好きです。こういうことの言える大人になりたいなあ。

 それにしてもこれが、80年も前に書かれた作品とは思えません。
 現代でも通じる、生きるために必要な考え方が、ぎっしりと詰まっています。

 マンガとなって蘇り、多くの若者に読まれている状況は、たいへん喜ばしい。
 TV番組「世界一受けたい授業」で紹介されて、大きな反響があったようです。

 しかも、宮崎駿監督でアニメ映画になるというではありませんか。(ホント?)
 これほどブームになるとは、20年前に私が読んだ時には考えられなかったです。

 さいごに。(今年の我が家のニュース募集開始)

 大みそかに我が家では、「今年の我が家のニュース」ベスト10を発表します。
 12月になったので、ベスト10候補の募集を始めました。

 今後、リビングに置いたボードに、各自勝手にベスト10候補を記していきます。
 私のベスト1ニュースはなんといっても「転勤」です。忙しくなった!

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