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宇宙ヴァンパイアー [20世紀イギリス文学]

 「宇宙ヴァンパイアー」 コリン・ウィルソン作 中村保男訳 (新潮文庫)


 地球に入り込んだ宇宙ヴァンパイアーと、人類との戦いを描いた本格SF小説です。
 イギリスで「スペースバンパイア」のタイトルで映画化され、話題になりました。

 村上柴田翻訳堂の一冊として、2016年に新潮文庫から、復刊されたばかりです。
 初版は1977年。長い間絶版でしたが、訳はとても読みやすかったです。


宇宙ヴァンパイアー (新潮文庫)

宇宙ヴァンパイアー (新潮文庫)

  • 作者: コリン ウィルソン
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/06/26
  • メディア: 文庫



 西暦2080年ぐらい。宇宙船ヘルメス号は、地球への帰還途中、ある発見をしました。
 それは、80キロにも及ぶ巨大な宇宙船で、何万年もの間、漂流していたようでした。

 船長のカールセンらが探査したところ、中は奇妙な大聖堂のように見えました。
 円柱内には巨大なイカのような物が下がり、カプセル内には人の遺体がありました。

 カールセンらは、女性二体と男性一体の遺体を、研究のため地球に持ち帰りました。
 女性の遺体はとても美しく、それに触れた新聞記者は、ミイラと化してしまい・・・

 ファラダ博士によって、カールセンはバンパイアー現象について知り・・・
 ガイジャーシュタム博士によって、彼は驚くべき能力を目覚めさせられ・・・

 これまで作者には、「アウトサイダー」の哲学者のイメージしかありませんでした。
 「スペースバンパイア」の原作者だと知って驚き、意外な気持ちで読み進めました。

 物語はとても面白かったです。特に、P425あたりからの、異星人の語りは圧巻です。
 彼らはどこから来たか? なぜヴァンパイアになったのか? 何を企んでいるのか?

 しだいに明かされる、人類の進化と文明の発展の真実。
 小惑星の謎、火星の謎。異星人が太陽系・銀河系に与えた、驚くべき影響。

 終盤はぞくぞくしながら、いっきに読みました。しかし、この御都合主義的な結末!
 絶体絶命を救ったのは・・・こういう展開だから、B級SFと言われてしまうのだ。

 とはいえ、このB級っぽいところが懐かしい感じがして、逆に魅力的なのです。
 また、この作品がコリン・ウィルソンの最高傑作の一つであることは確かです。

 さて、イギリス映画「スペースバンパイア」も、とても評判になりました。
 TVでも過去5回ほど放映されているようですが、私はずっと見逃してきました。

 映画では、バンパイアのマチルダ・メイが終始全裸だったことが話題になりました。
 日曜洋画劇場では、淀川長治が本編そっちのけで、その裸体について語ったと言う。

 ところで、コリン・ウィルソンといえば、大著の「オカルト」でしょう。
 残念ながらこの名著が、現在絶版になっていいます。復刊を強く願っています。


オカルト (上) (河出文庫)

オカルト (上) (河出文庫)

  • 作者: コリン・ウィルソン
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 1995/07
  • メディア: 文庫



 さいごに。(超ムーの世界を動画で)

 「超ムーの世界」を動画で見られることを知りました。最近少しずつ見ています。
 また、DVDがレンタルできるらしいと知りました。年末年始に見てみようかな。

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世界文学の流れをざっくりとつかむ5(第1章ー3) [世界文学の流れをざっくりとつかむ]

≪第1章≫ オリエント

3 文字と記録媒体の革命(アルファベットとパピルス)

 エジプト文明は、メソポタミア文明と同じくらい古い歴史を持っています。ナイル川が氾濫して、肥沃な泥土をもたらしてくれたおかげで、何千年も前から豊かな農地を利用することができました。その富によってエジプトは栄え、ピラミッドのような大建造物を作ることもできました。文化も発展し、世界初の表音文字が作られ、世界初の紙(広い意味で)が作られました。

 紀元前3200年頃には、すでに神聖文字(ヒエログリフ)が誕生していました。おそらくそれは、メソポタミアの初期の文字を参考に作られたのでしょう。古代エジプト人は、神聖文字を神々に語りかける手段と考えていたため、時間をかけて丁寧に石に刻みました。ピラミッド内壁に描かれた死者のための絵と呪文には、まるで芸術作品のような美しさがあります。エジプト文学といって、まずイメージされるのは、美しく彩られた「死者の書」ではないでしょうか。

 神聖文字について注目したいことは、神聖文字には表音文字があったということです。そのため、アルファベットの起源はエジプトに求められています。神聖文字は、他の民族と接触する過程で簡略化されていき、中東地域に渡ってさまざまなアルファベットが誕生したのではないかと想像されています。

 アルファベットの誕生は、まさに文字の革命でした。アルファベットには、神聖文字のような美しさはありませんが、シンプルで書きやすいという特徴がありました。また、神聖文字のような多様性はありませんが、文字数が少ないという特徴がありました。よって、アルファベットは習得が簡単なので、書記などの特権階級だけでなく、多くの人々が文字を記すことができるようになったのです。

 一方エジプト人は、川岸にたくさん生い茂るパピルス草から、パピルス紙を作りました。彼らは、パピルス草の茎を薄く削いで、縦横に交互に重ねて平らにしたあと、乾燥させ圧縮して紙片にし、それをつなげて数メートルの巻物にしました。書記は、葦ペンにインクをつけて、パピルスの巻物に文字や絵を書きました。

 パピルス紙(以下、パピルスと記す)の誕生は、まさに記録媒体の革命でした。パピルスは、神聖文字のような複雑な文字はもちろん、絵や図を描くこともできます。粘土板や石に刻むことに比べ、はるかに多くの情報が記されるようになりました。さらに、簡単に持ち運ぶこともできるようになりました。パピルスによって、これまでとは比較にならないくらいの情報量が、広い地域にいきわたるようになったのです。

 ところで、アルファベットとパピルスを広めたのは、当時地中海で貿易していたフェニキア人でした。フェニキア人は、エジプト産のパピルスを重要な交易品として扱っていたのです。また、彼らが活発に活動することで、フェニキア文字も広まっていきました。フェニキア文字は紀元前1000年頃から使われていますが、この文字も広い意味でのアルファベットでできています。もしかしたら、商売上手なフェニキア人は、パピルスにアルファベットを書いてみせて、さまざまな地域に売りつけていたのかもしれません。

 こうして地中海で、アルファベットとパピルスが広まっていったことで、のちの世に残される情報量が飛躍的に増加しました。フェニキア文字からやがてギリシア文字やローマ文字が生じ、ギリシアやローマの文学作品の多くは、パピルスに記されて保存されました。そういう意味で、アルファベットとパピルスは、古代の世界文学史上たいへん重要な役割を果たしたのです。もし、古代アレクサンドリアの図書館が焼けてしまわなかったら、私たちはパピルスに記された非常に多くの文学作品を味わうことができたでしょう。

 さて、地中海沿岸でフェニキア文字が広まると、それに影響されてさまざまな民族の文字も誕生しました。その一つがヘブライ文字です。次回は、ヘブライ人が記した「旧約聖書」について述べていきたいと思います。

 さいごに。(女子力高い女子の・・・)

 娘の学校の授業参観は、多くの保護者の方を観察するいい機会でもあります。
 妻によると、女子力高い女子の、母親もまた女子力が高いのだそうです。

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論語 [古代文学]

 「論語」 齋藤孝訳 (ちくま文庫)


 すらすら読めて分かることを目指した、「論語」の書き下し文と現代語訳です。
 数多く出ている「論語」本の中で、文の歯切れの良さはピカイチだと思います。


論語 (ちくま文庫)

論語 (ちくま文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2016/10/06
  • メディア: 文庫



 中学のとき初めて「論語」に接しました。「吾れ十有五にして学に志ざす。」
 そのころは、どこか説教くさい感じがして、好きになれませんでした。

 ところが高校で学んだとき、次のような文に出会って「論語」にはまりました。
 自分の進むべき道を、寸暇を惜しんでひたすら歩む姿が、カッコ良かった。

 「逝くものは斯くのごときか、昼夜を舎かず。」
 「朝に道を聞かば、夕べに死すとも可なり。」

 大学受験のときには、「論語」の参考書を使って、漢文を勉強しました。
 あれから30年以上たち、当時覚えた文章は、ほとんど忘れてしまいました。

 今回、齋藤孝の「論語」を読み、当時の受験勉強を懐かしく思い出しました。
 あの頃と同じように、次のような地味な文が、とても心に染み入りました。

 「疏食(そし)を飯(く)らい水を飲み、肱を曲げて之れを枕とす。
  楽しみ亦た其(そ)の中に在り。
  不義にして富み且つ貴きは、我に於いて浮雲(ふうん)の如(ごと)し。」

 (粗末な飯を食べ、水を飲み、椀を枕にする。
  このような生活の中にも楽しみはあるものだ。
  義(ただ)しくないことをして金持ちになり、身分が高くなるようなことは、
  私にとっては浮き雲のようにはかないことだ。)

 こういう文を読むと、「論語」は生き方の書なんだなあと、つくづく思います。
 ほか、次の文も心に残りました。「三国志演義」で引用された言葉もあります。

 「人の将に死なんとするや、其の言や善し。」
 (顔回が死んで)「噫(ああ)、天、予れ(われ)を喪(ほろぼ)せり。」
 「未まだ生を知らず。焉(いずく)んぞ死を知らん。」
 「死生命有り。富貴天に有り。」
 「天何をか言わん哉(や)。四時行わる、百物生ず。天何をか言わん哉。」

 さて、私が愕然とした文章があります。それは、「後生畏るべし。」の一節。
 「焉(いず)くんぞ来者の今に如(し)かざるを知らんや。」に続く文は・・・

 「四十五十にして聞ゆること無くんば、斯れ亦た畏るるに足らざるのみ。」
 四十や五十で評判がたたなきゃ畏れるに足りないという。51歳には耳が痛い。

 さて、このちくま文庫版は、重要な文だけ太字で書かれています。
 また、注釈がないところが潔くて良いです。シンプルで読みやすいです。

 もっと詳しい解説を求める人には、講談社学術文庫版がいいかもしれません。
 参考「論語」→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2018-04-11

 さいごに。(初回限定版)

 先日ジャニーズWESTのニューアルバムWESTTVが発売されました。
 妻は迷った末に、DVD付きの初回版を買いました。では、なぜ迷ったのか?

 なんと、初回限定版には、通常版のうちの何曲かが入っていないのだそうだ。
 そんな売り方アリか? でも、大人しく両方買う人も多いのだとか・・・

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丸かじりドン・キホーテ [17世紀文学]

 「丸かじりドン・キホーテ」 中丸明 (新潮文庫)


 「ドン・キホーテ」初心者が、長大な物語を手軽に味わうためのガイドマップです。
 物語のあらすじ、読み解くための13の鍵、セルバンテスの生涯の三章から成ります。


丸かじりドン・キホーテ (新潮文庫)

丸かじりドン・キホーテ (新潮文庫)

  • 作者: 中丸 明
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2002/07
  • メディア: 文庫



 傑作スペイン文学「ドン・キホーテ」を、通して読んだ人は少ないのだそうです。
 風車に戦いを挑む場面が強烈すぎて、ばかばかしくて読む気をそがれるのだとか。

 なるほど、話は面白いのだが、岩波文庫で6冊あるとなると、ごちそうさまです。
 私は1冊目しか読んでいません。全巻を通して読むには、エネルギーが必要です。
 「ドン・キホーテ」→ https://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2010-01-13

 さて、本書「丸かじりドン・キホーテ」は、流れがよく見える抄訳になっています。
 細部を大胆に省略して、約280ページにまとめているので、とても気軽に読めます。

 この本のおかげで、「ドン・キホーテ」の全貌をだいたい知ることができました。
 意外だったことは、前半よりも後半の方が面白かった、ということです。

 「前半」の旅から帰ったドン・キホーテは、しばらく故郷で静養していました。
 しかしある学士から、自分の伝記が世に広まっていることを聞かされて・・・

 後半には、「ドン・キホーテ前編」を愛読しているという人物が続出しました。
 その代表格が公爵夫人でしょう。彼女は、評判の騎士を自分の城に招待して・・・

 この公爵夫人によって、サンチョ・パンサが島の太守を務めた場面は傑作です。
 仕立て屋と百姓の訴訟、豚飼いと女の訴訟と、たて続けに名判決を下しました。

 太守となったサンチョは冴えまくっていて、名言がポンポンと飛び出します。
 「考えても見なせ。人間、眠ってるあいだは、金持ちも貧乏人も同じだべ。」

 「悪徳領主になって地獄さおっこちるより、ただのサンチョ・パンサで天国さ
 行ったほーが、なんぼかマシだとおもうだ」

 サンチョが島を去る場面、特に騾馬に謝る場面は、ほろりとしてしまいます。
 サンチョは良い味を出してます。サンチョあっての「ドン・キホーテ」ですよ。

 「あのふたりはどうも、同じ鋳型から打ち出されたとしかおもえませんわい。
 主人の気ちがい沙汰も、家来の愚かさなしでは、まったくのところ、一文の
 値打ちもないんですからの。」

 解説によると、「丸かじりドン・キホーテ」の圧巻は、第Ⅱ章だと言います。
 「ドン・キホーテを読み解く13の鍵と題して、物語の背景を説明しています。

 レコンキスタ、異教徒、大航海時代、ペスト、郷士、ハプスブルク家・・・
 当時のスペイン事情が分かり、「ドン・キホーテ」の理解が深まります。

 かつて現代教養文庫から、「ドレ画ドン・キホーテ物語」が出ていました。
 その名の通り、「ドレ画」がメインで、ストーリーは絵の説明程度です。

 このドレの絵がまたすばらしい。文庫本で小さくて細かいのが難点ですが。
 ドン・キホーテとサンチョ・パンサのイメージが、この本で作られました。


ドン・キホーテ物語 (現代教養文庫)

ドン・キホーテ物語 (現代教養文庫)

  • 作者: セルバンテス
  • 出版社/メーカー: 社会思想社
  • 発売日: 1990/12
  • メディア: 文庫



 さいごに。(女子力高めグループが苦手)

 娘のクラスには、女子力の高い女子数人のグループがあるそうです。
 うちの娘は、そのグループの女子たちが苦手なのだそうです。

 彼女たちは、人に何か言われると、即座にかわいい反応をするのだとか。
 うちの娘はぼんやりしているので、そういう反応ができないと言います。

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グリム童話もの [19世紀ドイツ北欧文学]

 「だれが、いばら姫を起こしたのか」 フェッチャー作 丘沢静也訳 (ちくま文庫)


 心理的・歴史的・民俗的背景を踏まえて、グリム童話の真相に迫ろうとした著書です。
 副題は、「グリム童話をひっかきまわす」です。グリム童話のパロディの古典です。


だれが、いばら姫を起こしたのか―グリム童話をひっかきまわす (ちくま文庫)

だれが、いばら姫を起こしたのか―グリム童話をひっかきまわす (ちくま文庫)

  • 作者: イーリング フェッチャー
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1991/09
  • メディア: 文庫



 「いばら姫」は15歳のとき、糸巻き棒で指をつきさし、100年間の眠りにつきます。
 では、「糸巻き棒」が象徴するものは? 「つきさす」ことが象徴することは?

 100年間の眠りは、姫がずっと処女でいてほしいという、両親の願望を表していた?
 姫が王子のキスで目覚めるのは、まさに姫が処女喪失恐怖症を克服したということ?

 「カエルの王」では、姫がカエルを壁にたたきつけたところ、王子に変わりました。
 「カエル」というのは何を象徴していた? 「カエル」と姫の関係は?

 姫は実は、カエルと最初に会ったときから、性的な魅力を感じていた?
 嫌悪すべきカエルが、好ましい王子に変わるのは、姫が性体験をしたということ?

 ほか「赤頭巾ちゃん」「白雪姫」「シンデレラ」など、全14編が収録されています。
 さまざまな観点から、童話の意味を深読みし、好き勝手な想像をしています。

 一話が短く、内容は刺激的で、知的好奇心がくすぐられるため、全く飽きません。
 ただし、内容は学術的なものではなく、あくまで趣味として楽しむ本だと思います。


 桐生操の「本当は恐ろしいグリム童話」(ワニ文庫)は、グリム童話の二次創作です。
 1998年に出てまもなくベストセラーとなり、グリム童話ブームを巻き起こしました。


本当は恐ろしいグリム童話 (WANIBUNKO)

本当は恐ろしいグリム童話 (WANIBUNKO)

  • 作者: 桐生 操
  • 出版社/メーカー: ベストセラーズ
  • 発売日: 2001/01/01
  • メディア: 文庫



 たとえば冒頭の「白雪姫」は、大きくデフォルメされ、ヘンな話になっています。
 白雪姫を殺そうとしたのは、継母ではなくて実の母? 王子は死体愛好家?・・・

 王妃は、王が娘の白雪姫と愛し合う場面を目撃しました。白雪姫はまだ7歳です。
 王妃は娘の殺害を計画し、白雪姫は森の小人に助けられ、彼らの夜の相手をします。

 王妃の毒リンゴで倒れた白雪姫の死体を、通りがかりの王子が城に持ち帰りました。
 王子はその死体をこっそり愛好して・・・(この辺で本を放り出してしまった)

 という具合で、「なんじゃこりゃ」という展開です。これは、やりすぎでしょう。
 しかし、グリム童話の魅力を広く知らしめたという点では、読書界に貢献しました。


 1998年、グリム童話ブームに乗って、私も色々な「グリム童話もの」を読みました。
 最も印象的だったのが、森義信の「メルヘンの深層」(講談社現代新書)でした。


メルヘンの深層―歴史が解く童話の謎 (講談社現代新書)

メルヘンの深層―歴史が解く童話の謎 (講談社現代新書)

  • 作者: 森 義信
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1995/02
  • メディア: 新書



 副題は「歴史が説く童話の謎」で、主に歴史的なアプローチがされています。
 「白雪姫」に魔女裁判を、「ヘンゼルとグレーテル」に子捨てを見るという具合。

 最も興味深かったのは、第10章の「青ひげ物語としたたかな女」です。
 残酷な「青ひげ」という一般的な見方とは、全く違った解釈がされていて面白い。


 鈴木晶の「グリム童話 メルヘンの深層」(講談社現代新書)も興味深いです。
 こちらは、主に哲学的・心理学的なアプローチがなされています。

 グリム童話などメルヘンについて、広く知りたいという場合はオススメです。
 グリム兄弟について、童話成立の背景、メルヘンの意味などにも触れています。


グリム童話―メルヘンの深層 (講談社現代新書)

グリム童話―メルヘンの深層 (講談社現代新書)

  • 作者: 鈴木 晶
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1991/01
  • メディア: 新書



 「誰も書かなかった灰かぶり姫の瞳」梁瀬光世(幻冬舎文庫)という本もあります。
 広く浅く手軽に楽しめる本ですが、その分他の本に比べて、物足りない気もします。


誰も書かなかった灰かぶり姫(シンデレラ)の瞳―25の童話の驚くべき真相 (幻冬舎文庫)

誰も書かなかった灰かぶり姫(シンデレラ)の瞳―25の童話の驚くべき真相 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 梁瀬 光世
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 1998/10
  • メディア: 文庫



 ところで、ここで紹介した本のほとんどが、すでに絶版という悲しい状況でした。
 いつの日か、グリム童話ブームが再び来て、復刊されることを願っています。

 さいごに。(からやまの極ダレ丼がうまい)

 ママさんの都合で、時々娘と二人で夕飯を外で食べることがあります。
 そのとき、最近よく行くのが、から揚げ専門店の「からやま」です。

 特に「極ダレ丼」が、めっぽううまい。ニンニクのきいたタレが良いです。
 しかも、約600円ほどと安いので、私と娘はすっかりはまってしまいました。

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三国志演義4 [中世文学]

 「三国志演義(四)」 羅貫中 井波律子訳 (講談社学術文庫)


 魏呉蜀の三国時代を舞台にした講談を、明時代にまとめて成立した歴史小説です。
 ここでは、最も新しい講談社学術文庫(全4巻)の井波律子訳を紹介します。


三国志演義 (四) (講談社学術文庫)

三国志演義 (四) (講談社学術文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2014/12/11
  • メディア: 文庫



 講談社学術文庫版(四)には、第九十一回から第百二十回までが収められています。
 出師の表、北伐、街亭の敗北、趙雲の死、諸葛孔明の死、司馬仲達の死、蜀滅亡・・・

 この巻が最終巻です。すでに第三巻で、劉備・関羽・張飛は亡くなっていました。
 だから、この巻はおまけだと思っていたけど、とんでもない! 結構面白かったです。

 特に前半、蜀の諸葛孔明と魏の司馬仲達との駆け引きは、大きな読みどころでした。
 孔明の反間の計、街亭の戦い、五丈原の戦い、死せる孔明生ける仲達を走らす・・・

 5回にわたる北伐の中で、蜀も魏も完全に世代交代し、巻の後半は終焉に向かいます。
 後半の読みどころは、姜維(きょうい)と鄧艾(とうがい)の駆け引きでしょう。

 魏呉蜀が、戦いでなく、お家騒動で衰退していく過程は、なんとも寂しい限りです。
 終盤でキラリと光るエピソードが、陸抗と羊祜(ようこ)の不思議な信頼関係です。

 敵に贈られた酒を疑うことなく飲む羊祜。敵から贈られた薬を疑うことなく飲む陸抗。
 敵味方を超えて、お互いにリスペクトし合う二人。この「男の世界」にしびれます!

 さて、この巻の中で、私が最も興味深く思った人物は、裏切り者の魏延です。
 忠義の将が多い蜀では、異色の存在ですが、魏延のことを考えると悲しくなります。

 劉備のために働きながら、「反骨の相」ゆえに、孔明に斬られそうになりました。
 蜀のために活躍しながらも、孔明からは裏切るのではないかと、疑われ続けました。

 それゆえ魏延は、劉備の取り巻きになじめず、孤独を感じていたのではないか?
 もしかしたら、孔明は、魏延が裏切るようにしむけてしまったのではないか?

 孔明が反骨の相などにこだわらず、心から信頼していたら魏延は変わったのでは?
 暖かい触れ合いがあったら、魏延は自分自身を成長させることができたのでは?

 思うに、魏延は最初から見限られていたため、成長する機会を与えられなかった。
 魏延を生かせなかったことが、孔明の最大の失敗だったように思えてしまいます。

 ところで、三国志演義全4巻を読み通すにあたって、参考にした本があります。
 三国志ナビ(新潮文庫)です。

 主な戦いについて、流れが地図で示されていて、とても分かりやすいです。
 できれば全120回のあらすじを入れてもらえると、さらに良かったです。


三国志ナビ (新潮文庫)

三国志ナビ (新潮文庫)

  • 作者: 渡邉 義浩
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2014/01/29
  • メディア: 文庫



 さいごに。(会話に入れない)

 娘と妻でジャニーズの会話になると、時々わけのわからない言葉が飛び交います。
 「セクゾ」とか「ディーディー」とか「タンオリ」とか・・・会話に入れません。

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2018年12月発売の気になる文庫本 [来月発売の気になる文庫本]

 2018年12月発売予定の文庫本で、気になるものを独断で紹介します。
 データは、出版社やamazonの、HPやメルマガを、参考にしています。

・12/07 「死刑囚最後の日」 ユゴー (古典新訳文庫)
 → 新訳が出たら読みたいと思っていた作品。買い。

・12/22 「十字軍物語(1)(2)」 塩野七生 (新潮文庫)
  → 文庫化歓迎。さらに「絵で見る十字軍物語」も文庫化してほしい。買い。


◎ おまけ1(2018年のベストセラーは?)

 2018年の年間ベストセラーは、やはりコレではないでしょうか。
 「漫画 君たちはどう生きるか」 羽賀翔一 (マガジンハウス)

 吉野源三郎による80年前の作品を、漫画にして現代に蘇らせた話題作です。
 6月1日(金)発表の2018年上半期ベストセラーの第一位でした。

 さまざまなメディアで取り上げられ、ロングセラーを続けています。
 私も図書館で目を通しましたが、とても丁寧に作られていました。


漫画 君たちはどう生きるか

漫画 君たちはどう生きるか

  • 作者: 吉野源三郎
  • 出版社/メーカー: マガジンハウス
  • 発売日: 2017/08/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)




◎ おまけ2(懐かしい「講談社現代新書」)

 30年以上前、私が高校の頃、講談社現代新書はクリーム色のカバーでした。
 超古代文明をテーマにした著書が多くて、当時は憧れの目で見ていました。


失われた文明―一万二千年前の世界 (講談社現代新書 274)

失われた文明―一万二千年前の世界 (講談社現代新書 274)

  • 作者: アレクサンドル・ゴルボフスキー
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1972/04
  • メディア: 新書



失われた大陸―大陸棚に眠る文明 (講談社現代新書 (672))

失われた大陸―大陸棚に眠る文明 (講談社現代新書 (672))

  • 作者: A・コンドラトフ
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1982/11
  • メディア: 新書



失われた都市・島・民族 (1974年) (講談社現代新書)

失われた都市・島・民族 (1974年) (講談社現代新書)

  • 作者: A.コンドラトフ
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1974
  • メディア: 新書



ムー大陸の謎 (講談社現代新書 489)

ムー大陸の謎 (講談社現代新書 489)

  • 作者: 金子 史朗
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1977/11
  • メディア: 新書



アトランティス大陸の謎 (講談社現代新書 328)

アトランティス大陸の謎 (講談社現代新書 328)

  • 作者: 金子 史朗
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1973/08/01
  • メディア: 新書



ノアの大洪水―伝説の謎を解く (講談社現代新書 398)

ノアの大洪水―伝説の謎を解く (講談社現代新書 398)

  • 作者: 金子 史朗
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1975/05
  • メディア: 新書



 高校時代は雑誌「ムー」を購読していて、超古代文明に興味を持っていました。
 しかし、高校卒業後に興味がなくなり、上記の本も読む機会がなくなりました。

 最近、TV「超ムーの世界」にはまって、再び超古代文明に興味が湧きました。
 ところが、今では上記の本は、書店で手に入りません。買っておけばよかった。


◎ おまけ3(積ん読=つんどく、200冊)

 私の書棚で、読まずに「積ん読」状態の文庫本が、なんと200冊もありました。
 1冊500円で計算すると、実に10万円分の本が、書棚で眠っているのです。

 もともと100冊ほどはあったのですが、昨年の4月から急に増え始めました。
 どうしてそんなことになったのか? それは、読む時間が無くなったからです。

 例えば、塩野七生の「ローマ人の物語」は、昨年のうちに読む予定でした。
 だから、書店に行くたびに少しずつ買い、すでに40冊ほど揃っています。

 しかし、なかなか読み始めることができず、40冊が書棚で「待ち」の状態です。
 しかも、いつになったら「ローマ人の物語」に取り掛かれるのか分かりません。

 積ん読本を増やしてしまった理由は、私の本の買い方にも原因があります。
 私は書店に行ったら、今後読む予定の本も、少しずつ「先買い」しておきます。

 「ローマ人の物語」は、1冊400円程度。しかし40冊だと16000円になります。
 いっきに買うのは辛いので、書店に行ったついでに、少しずつ買い足しました。

 これで、ちゃんと読めれば、全く問題ないのですが・・・
 何十年も「積ん読」のままにならないように、購入方法を見直そうと思います。

 基本は、「読む本だけを買う、買ったらすぐに読む」ですよね。
 そして、「読めそうもなかった買わない、家にある本だけを読む」。


◎ さいごに。(サッカー)

 職場のサッカー大会に出場しました。後半のわずか10分ほどですが。
 今年はボールに触りました! (昨年は結局一度もボールに触れなかった)

 30代の頃は、何回ゴールしたかを数えていました。3得点したこともあった。
 40代になって、とりあえず何回シュートしたかを数えるようになりました。
 50代の今は、何回ボールを触ったかを数えています。今年は3回触りました。

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絵画で読む聖書 [古代文学]

 「絵画で読む聖書」 中丸明 (新潮文庫)


 聖書にまつわる絵画を紹介しながら、旧約聖書と新約聖書について解説しています。
 多くの図版を参考にしながら、軽快な語り口で解説されていて、分かりやすいです。


絵画で読む聖書 (新潮文庫)

絵画で読む聖書 (新潮文庫)

  • 作者: 中丸 明
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2000/11/01
  • メディア: 文庫



 エデンの園、洪水伝説、約束の地カナン、出エジプト、ダビデとソロモン・・・
 イエス誕生、聖母伝説、洗礼者ヨハネ、使徒列伝、イエスの死、イエス復活・・・

 というように、旧約聖書と新約聖書の要点を、最初から順番に解説しています。
 聖書の解説書は世に溢れていますが、この本は「絵画で読む」点が特徴的です。

 図版がとても多く、見ていて楽しめる本になっています。
 ただし、図版が小さくてモノクロである点が物足りない。文庫本の宿命ですが。

 それでも図版の威力は大きいです。旧約聖書の部は、特にそのように感じました。
 エデンの園の場面では、次のような絵画が、内容の理解を更に深めてくれました。

 「楽園の園」「イヴの創造」(ボッシュ)、アダムの創造(ミケランジェロ)、
 「アダムとイヴの誘惑」(ティツィアーノ)、「楽園追放」(マザッチオ)・・・

 それだけではありません。イヴの出産スタイルについて言及したところはすごい。
 ちゃんとその場面を彫刻した像がP28にあって、私はこの図を見て仰天しました!

 このように、この本は、聖書をただ流れに沿って紹介しただけではありません。
 所々で開陳される著者独特の考えや深読みが、またまた非常に面白いのです。

 エデンの園は神の植民地であり、アダムとイヴは神の奴隷だった?
 禁断の木の実はイヴのおっぱいだった? カインは蛇小僧とイヴの子だった?

 この調子で、さまざまな仮説・俗説・勝手な想像を交えながら、軽快に進みます。
 全550ページ以上、読んでいてまったく飽きませんでした。 

 新約聖書の部では、第九章「イエスに葬られた帝国と神々」が面白かったです。
 ここでは、聖書の内容から少し離れて、当時の歴史的背景を説明しています。

 この章で語られる、聖ペテロが復活したキリストに出会う場面は印象的でした。
 私はこの記述から、シェンキエヴィッチの「クオ・ヴァディス」を知りました。

 「クオ・ヴァディス」は、2013年にダントツで「私のベスト1」でした。
 「クオ・ヴァディス」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-10-09
             http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-10-12

 似たような本で、ふくろうの本の「図説聖書物語(旧約・新約)」があります。
 単行本なので図が大きくて、ほとんどがカラーなので見やすいです。


図説 聖書物語 旧約篇 (ふくろうの本)

図説 聖書物語 旧約篇 (ふくろうの本)

  • 作者: 山形 孝夫
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2017/02/20
  • メディア: 単行本



図説 聖書物語 新約篇 (ふくろうの本)

図説 聖書物語 新約篇 (ふくろうの本)

  • 作者: 山形 孝夫
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2017/02/20
  • メディア: 単行本



 さいごに。(ヲタノート)

 うちの娘は、「ヲタノート」なるものを書いています。
 ジャニヲタ(ジャニーズのオタク?)のノート、ということのようです。

 そのトップページには、「ヲタ活は人生を豊かにする」と書いてあります。
 内容は、JUMPのコンサートに行く夢を見たなど、無害なもので安心しました。

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今物語 [日本の古典文学]

 「今物語」 藤原信実 三木紀人訳注 (講談社学術文庫)


 鎌倉時代に語られていた風流譚・恋愛譚・滑稽譚を、53編収録した説話文学集です。
 簡潔で一話が短いため読みやすいです。著者は36歌仙を描いたと言われる歌人です。


今物語 (講談社学術文庫)

今物語 (講談社学術文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1998/10/09
  • メディア: 文庫



 「今物語」は中世説話文学の傑作というが、恥ずかしながら私は全く知らなかった。
 ある読書仲間から、「今物語」のある話を勧められて、読んでみる気になりました。

 第二話の「忠度と扇」は、読みながら私はうなりました。風流譚の傑作でしょう。
 歌の一部をとっさに口にする機転、そしてその意味を正確に理解する教養・・・

 知識をひけらかすことなく、純粋に和歌を楽しむ忠度の振る舞いが、印象的です。
 生活に和歌が自然に溶け込んでいた、古き良き時代の理想の姿がここにあります。

 ほか、第三話「雪の朧月夜」(女房から即座に敷き物が出てきたのはなぜか?)、
 第六話「うしろむき」(女が後ろ向きで寝たのはなぜか?)等も風流で良いです。

 また、第十話「やさし蔵人」(蔵人は主人に代わってどんな返事をしたか?)、
 第二十四話「亀井の尼」(帝の一夜の訪れが・・・)等はよく知られています。

 私にとっては、第二十六話「小式部の夢」(夕暮れに不意に訪れた殿方は?)、
 第三十八話「源氏供養」(紫式部の亡霊!)など、不思議な話が面白かったです。

 特に、第三十五話「蓮華王の往生」は、半ページながら強烈な印象を残します。
 夢に言われたとおり、その少年の棺を七日目に開けてみると・・・

 しかし、なんといっても最も印象に残るのは、第五十二話「はこの不始末」です。
 実は、ある読書仲間に勧められた話というのが、この話なのです。

 説教師が説法をした後、急に大便をしたくなり、布施も受け取らず帰りました。
 急いで便所に駆け込みましたが、屁ばかりが出て大便が出なかったので・・・

 昨日は大便にだまされ、今日は屁にだまされ・・・この先はとても語れません。
 品のない滑稽譚ですが、こういう話に限って記憶に残ってしまうのが悲しいです。

 さて、講談社学術文庫版は、語釈と解説が充実していますが、やや詳しすぎます。
 語釈を無くし、もっと一般の読書人が読みやすくなる構成で、出してほしいです。

 さいごに。(ダウンコレクション?)

 ユニクロのちらしに「ダウンコレクション」と、大きく出ていました。
 その、「ウンコ」の部分だけが、なぜかやたらと目に焼き付いてしまいました。

 妻と娘にそのことを話すと・・・なんともいえない冷たい反応でした。
 実は、ほかにも「かわいいワンコ」が「かわいい〇ンコ」に見えてしまって・・・

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センセイの鞄 [日本の現代文学]

 「センセイの鞄」 川上弘美 (文春文庫)


 37歳のツキコさんと、30歳年上のセンセイとの、不思議な関係を描いた小説です。
 2001年に出てベストセラーとなり、小泉今日子主演でTVドラマにもなりました。


センセイの鞄 (文春文庫)

センセイの鞄 (文春文庫)

  • 作者: 川上 弘美
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2004/09/03
  • メディア: 文庫



 大町月子はある日、高校時代の国語の恩師松本春綱先生と、飲み屋で再会しました。
 「センセイ」「ツキコさん」と呼び合い、それ以来飲み屋で時々一緒になりました。

 ツキコさんは37歳。センセイは30歳は年上だというので、70歳近いことになります。
 この年の差ゆえか、二人は微妙な距離感を保って、ふわふわした時間を共有します。

 八の市に行き、キノコ狩りに行き、街でばったり会って飲み、花見に行き・・・
 ところが、ツキコの同級生小島孝の登場によって、二人ははからずも接近して・・・

 この作品の魅力は、ツキコとセンセイのなんともいえない不思議な関係です。
 私は、この絶妙な距離感を保ったまま、最後までいってしまうと思っていました。

 ところが、P169からの展開は、なんなのだろう? 特にP173のセンセイは!
 これまで大切に築き上げられてきた二人の関係が、不純なものに変わってしまった。

 ツキコにとってのセンセイは、最後まで手の届かない謎の存在でいてほしかった。
 センセイは、遠く懐かしい存在のまま、鞄だけを残して去っていってほしかった。

 二人はすぐ近くまで接近しながら、平行線をたどるのだろうと私は思っていました。
 だから、終盤の展開はギャップが大きく、センセイがエロじじいに見えてきました。

 センセイには、最後まで、俗世間を超越したオーラをまとっていてほしかったです。
 俗世間で生きるツキコとは、次元の違う世界の存在として描いてほしかったです。

 そして、二人が一体となるのは、ある種の「境」においてだけであってほしかった。
 そこで初めて、「干潟――夢」の章の「中間みたいな場所」が生きてくるのでは?

 ところで、「干潟――夢」の章はイミシンで、色々な解釈が生じそうです。
 このあと、物語が急展開することから、とても大事な場面だと思います。

 さいごに。(ウェストは当たった)

 妻と娘は、ジャニーズウェストのコンサートチケットが手に入って喜んでいます。
 二人はそれぞれお目当てのメンバーに会いに、来年早々横浜まで見に行くんだとか。

 それなら私は、その日を「一日読書デー」にしよう。
 朝から晩まで、カフェをはしごしながら、存分に本を読みたいです。

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