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コスメティック [日本の現代文学]

 「コスメティック」 林真理子 (小学館文庫)


 化粧品業界を舞台に、30代の沙美が仕事と恋に全力で取り組む姿を描いた物語です。
 1999年に出てベストセラーとなり、2003年にTVドラマとなって放映されました。


コスメティック (小学館文庫)

コスメティック (小学館文庫)

  • 作者: 林 真理子
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2002/10/01
  • メディア: 文庫



 北村沙美は、広告代理店で働く30歳の女性ですが、職場環境に幻滅していました。
 たまたま休暇で訪れたパリで、田代という男に出会い、人生が転換していきます。

 田代は、フランスの化粧品会社コリーヌ日本支社の広報担当をしていました。
 早くも帰りの飛行機で、沙美は田代からPRマネージャーにスカウトされます。

 「仕事でも恋でも百パーセント幸福になってみせる」
 そして沙美の、女のプライドをかけた戦いが始まりました・・・

 相変わらず林真理子の小説は面白いです。主人公の沙美がとてもいいです。
 がんばっている沙美の熱い言葉から、たくさんの元気をもらいました。

 「でもね、私はみじめな場所にいるのが、一日だって耐えられないの。(中略)
 私ね、息切れするくらい働きたいの。やりかけたレースを途中で降ろされるのって
 嫌なの」

 「この先どうなるかわからないミステリー小説を読み始めたっていう感じ。結論が
 知りたくってうずうずしているの。息もつかずにページをめくるように、毎日仕事
 してるわ。これってやっぱり楽しいことでしょう。」

 それに引き換え、恋人の直樹が言う言葉には、いつもげんなりさせられました。
 直樹のようなつまらない男を描くのも、林真理子はうまいですね。

 直樹と別れ、男の束縛から解放されることによって、沙美は能力を発揮し始めます。
 そして人が存分に力を発揮した時、自然にツキも巡ってきます。そういうものです。

 さて、直樹、田代、竹崎たち男どもはみな、身勝手な連中ばかりです。
 しかし、不思議と田代だけは憎めませんでした。

 「でも仕事なんて何をやっても空しさと背中合わせみたいなもんだよ。こっちの調子
 がよければ、その空しさはくるっとあちら側を向いて、調子が悪いと空しさは目の前
 にどんとくる。だから出来るだけ調子をよくして、空しさをあちら側に向かせるよう
 にしなきゃいけないんだ」

 と言う彼の言葉には、真実があります。
 老練ですが自信に満ちたこの男は、確かに魅力的な大人の男だと思いました。

 「コスメティック」の面白さは、私にとっては「不機嫌な果実」以上でした。
 化粧品業界の裏事情が克明に描かれている点でも興味をそそります。オススメ。

 さいごに。(うるせえ)

 「パパは自分が都合悪くなると、すぐ、『うるせえ』って言うよね」と娘。
 「うるせえ」と、つい私は答えてしまい、娘と妻の失笑を買ってしまいました。

 娘が私を真似て「うるせえ」と言ったので、叱ったのですが、娘は納得しません。
 面倒くさいことになりそうなので、「うるせえ」はしばらく封印します。

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かもめ食堂 [日本の現代文学]

 「かもめ食堂」 群ようこ (幻冬舎文庫)


 ヘルシンキのかもめ食堂において、女三人が織り成すほのぼのとした物語です。
 2006年に映画化されてヒットし、とても高い評価を受けました。


かもめ食堂 (幻冬舎文庫)

かもめ食堂 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 群 ようこ
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2008/08/01
  • メディア: 文庫



 「華やかな盛りつけじゃなくていい。素朴でいいから、ちゃんとした食事を食べ
 てもらえるような店を作りたい。」

 そういう店を、フィンランドのヘルシンキに出したいと考えていたハヤシセチエ。
 彼女は38歳にして、一人でヘルシンキに渡り、かもめ食堂を開きました。

 日本アニメ大好き青年のトンミ、あてもなくフィンランドを旅していたミドリ、
 空港で荷物が失われ途方にくれていたマサコ、その他さまざまな客たち ・・・

 私は、この本のカバーイラストのかもめがかわいかったので、購入しました。
 所々のページに、かわいらしい挿し絵も入っています。

 物語もイラスト同様、ほのぼのとしていて、心が癒されました。
 森と湖の国の、ゆったりした時間の流れの中で送る、ささやかだが豊かな生活。

 ところで、この豊かさはサチエの資金によるものだということは見逃せません。
 その資金獲得の仕方が、あまりにも安易だったところが、大きなキズだと思う。

 さて、2006年に上映された映画は、とても評判が良いです。
 上映時間も102分と、とても良心的(?)なので、一度見てみたいと思いました。

 ちなみに、実際に映画で使われたカフェは、現在も営業しているのだとか。
 そして、かもめ食堂ファンの日本人が、多く訪れるのだと言います。


かもめ食堂 [DVD]

かもめ食堂 [DVD]

  • 出版社/メーカー: バップ
  • メディア: DVD



 この本を読むと、おにぎりを食べたくなる、という人が多いようです。
 私はむしろ、むしょうにシナモンロールが食べたくなりました。

 さて、「かもめ食堂」は、群ようこの代表作となっています。
 しかし、彼女はもともとエッセイストでした。

 私の中では、林真理子とイメージが重なります。
 二人とも同年代で、80年代前半に相前後してデビューしているので。

 さいごに。(スカッとするまで待てない)

 最近流行の「スカッとジャパン」を、うちの娘は録画して見ています。
 時々娘と一緒に見るのですが、最初の方はとてもイライラさせられますね。

 登場人物の非常識ぶりに、頭にきてしまい、私は途中でTVを離れます。
 だからいつもスカッとする場面を見られなくて、イライラするばかりです。

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わたしを離さないで [20世紀イギリス文学]

 「わたしを離さないで」 カズオ・イシグロ作 土屋政雄訳 (ハヤカワepi文庫)


 介護人キャシーが、ヘールシャムという閉鎖的な施設について語った物語です。
 日系の作者が2017年度ノーベル文学賞に輝いたことによって、注目されました。

 ハヤカワepi文庫から出ています。訳は読みやすいです。
 前年2016年にドラマ化されたため、多くの書店で見かけるようになりました。


わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

わたしを離さないで (ハヤカワepi文庫)

  • 作者: カズオ・イシグロ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2008/08/22
  • メディア: 文庫



 語り手のキャシーは、31歳の優秀な介護人で、「ヘールシャム」の出身です。
 彼女は、子供時代に過ごしたヘールシャムという施設について、語り始めます。

 そこはただの孤児院ではなく、なぜか展覧会用の作品作りばかりしていました。
 やがて彼らに、少しずつ残酷な事実が明かされていき・・・

 ヘールシャムの子供たちは、なぜ外の世界から隔離されているのか?
 ヘールシャムの子どもたちに、与えられた特殊な使命とは?

 ヘールシャムとは、いったい何のための施設なのか?
 「提供者」とは? 「介護人」とは? 「回復センター」とは?

 そして、血も凍るような終盤の展開!(特に第22章から)
 エミリー先生やマダムや、社会の人々の身勝手さに、吐き気を催しました。

 「それじゃチェスの駒と同じだと思っているでしょう。(中略)でも、考えてみ
 て。あなた方は、駒だとしても幸運な駒ですよ。」(P406)それはないだろう!

 私はこのタイトルを見て、この作品は切ない恋愛小説だと思いました。
 ところが、命(?)をテーマにした、非常に重たい物語でした。

 こういう社会的な作品を書いたからこそ、ノーベル賞になったのかもしれません。
 しかし、こういう内容だと知っていたら、私はこの作品を絶対に読まなかった。

 この作品を、感動作として紹介する人もいます。しかし、それは違うでしょう。
 確かに衝撃的な作品ですが、感動よりも後味の悪さがいつまでも残ります。

 さて、カズオ・イシグロの代表作は、1989年に出た「日の名残り」です。
 「わたしを離さないで」の口直しとして、近いうちに読みたい名作です。


日の名残り (ハヤカワepi文庫)

日の名残り (ハヤカワepi文庫)

  • 作者: カズオ イシグロ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2001/05/01
  • メディア: 文庫



 さいごに。(ゴミ箱の中を見るな)

 娘がゴミ箱の中を覗いて、「パパ、ひとりでお菓子を食べたでしょ」と言う。
 お菓子の包み紙で分かるのだ。「ゴミ箱を覗くな!」と怒ったけど効果なし。

 そういえば、まだ4歳のときから、娘は同じようなことを言っていました。
 2011年のブログ → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-02-19

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アラビアン・ナイト [中世文学]

 「アラビアン・ナイト 上下」 ディクソン編 中野好夫訳 (岩波少年文庫)


 「船乗りシンドバッド」など、千夜一夜物語の代表的な作品を集めた本です。
 ディクソン編集の英訳版からの重々訳です。所々に挿し絵が入っています。


アラビアン・ナイト〈上〉 (岩波少年文庫)

アラビアン・ナイト〈上〉 (岩波少年文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2001/09/18
  • メディア: 単行本



 「アラビアンナイト」といえば、「シンドバッドの冒険」でしょう。
 シンドバッドの七回の航海無くして、アラビアンナイトは語られません。

 親の遺産を使い果たしたシンドバッドは、船に乗り込み出発しました。
 緑の牧場のような島があったので、上陸してみると、実はその島は・・・

 2回目の航海では、島で眠っているうちに、取り残されてしまいました。
 島で見た大きな白い玉は・・・にわかに空を覆った厚い雲は・・・

 3回目の航海では、嵐で船が流され、蛮人がいる島に上陸しました。
 その島の奥へ行ってみると、とても巨大な建物があって・・・

 4回目の航海では、突風で船が乗り上げ、黒い人々に囲まれました。
 彼らはある草をよこして、「食え」と身振りで伝えてきましたが・・・

 5回目の航海では、ある島に上陸した時に、一人の老人に会いました。
 その老人を背負って川を渡してやると・・・

 6回目の航海では、洞穴の奥に流れてゆく川に、いかだで下りました。
 目を覚ましたときに、シンドバッドのいた場所は・・・

 7回目の航海では、海賊に襲われ、奴隷として売られてしまいました。
 ゾウの捕獲しているうちに、ゾウに連れられて行った場所は・・・

 この本には、昔TVアニメや絵本で見た懐かしい世界が広がっていました。
 「アラジンと魔法のランプ」「アリ・ババと40人の盗賊」も入っています。

 さて、「アラビアンナイト」は、長い時間をかけ多くの人を経て成立しました。
 そのため、さまざまな写本があり、原典を一つに絞ることは難しいと言います。

 さらに、ヨーロッパに紹介される過程で、多様なバリエーションを生みました。
 本によって、収録されている話の順番も内容も違っています。

 そういった事情を知ってみると、私のような一文学ファンが、全てを読み通す
 ことに、どれほどの意味があるのだろうかと、疑問が湧き起こります。

 良く知られた面白い話だけをよめばいいのではないか?
 そう思い、私は「アラビアンナイト」については、選集で読むことにしました。

 私が選んだのは、岩波少年文庫のディクソン編「アラ ビアン・ナイト」です。
 これは、いち早く西洋に紹介したガランの、フランス語訳を参考にしています。

 しかし、有名なのはイギリスのバートン版で、ちくま文庫から出ています。
 全11巻で16,632円です。比較的新しくて読みやすく、カバーイラストが良い。

 もうひとつ、フランスのマルドリュス版も有名で、岩波文庫から出ていました。
 全10巻です。現在は絶版ですが、アマゾンで手に入れることができます。

 では、アラビア原典訳はないのか? あります。東洋文庫から出ています。
 訳者はイスラム学者の前嶋信次。訳は古いけど、味わいのある文章です。

 ただし、全19巻。1冊約2500円なので、全部で50000円ほどになります。
 しかも絶版でプレミアが付いているらしいので、マニアにしか勧められません。
 (東洋文庫といっても、版型は文庫ではなく、単行本です。)

 全集には、きっとディープな世界が広がっていて、得るものは多いでしょう。
 しかし、そういう世界を体験するのは、老後に時間ができてからにします。


バートン版 千夜一夜物語 第1巻 シャーラザットの初夜 (ちくま文庫)

バートン版 千夜一夜物語 第1巻 シャーラザットの初夜 (ちくま文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2003/10/13
  • メディア: 文庫



完訳 千一夜物語〈1〉 (岩波文庫)

完訳 千一夜物語〈1〉 (岩波文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1988/07/07
  • メディア: 文庫



アラビアン・ナイト (1) (東洋文庫 (71))

アラビアン・ナイト (1) (東洋文庫 (71))

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 平凡社
  • 発売日: 1966/07/01
  • メディア: 単行本



 さいごに。(火木は不機嫌)

 うちの娘は小学校5年生。火曜日と木曜日は、6時間まで授業があります。
 だから、火木の朝は御機嫌が悪いです。

 駄洒落でも言おうものなら、プリプリと怒り出すので要注意です。
 思いついた駄洒落も、言わずに我慢しています。(納豆好きな、父さん)

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アラビアンナイトを楽しむために [中世文学]

 「アラビアンナイトを楽しむために」 阿刀田高 (新潮文庫)


 イスラムの説話集「千夜一夜物語」について、分かりやすく解説した著書です。
 「ギリシア神話」に次ぐ、阿刀田必殺の古典解説シリーズでが、現在絶版です。


アラビアンナイトを楽しむために (新潮文庫)

アラビアンナイトを楽しむために (新潮文庫)

  • 作者: 阿刀田 高
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1986/12
  • メディア: 文庫



 ペルシャの王シャーリャルは、王妃の不義によって女人不信になりました。
 毎夜、処女に夜伽をさせ、夜が明けると殺してしまいました。(ひどい!)

 国に女人がいなくなり、大臣の娘シャーラザッドが王の夜伽に立候補しました。
 シャーラザッドは枕元で面白い話をして、王は彼女を殺すことができず・・・

 シャーラザッドの物語は1001夜続き、話は170話に及び、90の補遺があります。
 物語は玉石混淆ですが、その中から阿刀田は12の物語を選んで紹介しています。

 「アジブ」「幽霊屋敷」「紺屋」「絵の中の美姫」「狐つき」「ハサンの破産」
 「人生は運か」等がとても面白かったです。

 たとえば「絵の中の美姫」は、絵の中の女性に憧れて、探し求める物語です。
 様々な困難を乗り越え、ようやくたどり着いた屋敷で見た女は・・・

 いずれも語り口が素晴らしく、メリハリをつけてうまく紹介しています。
 時々脱線してうんちくを傾けたりするので、読んでいて全く飽きません。

 ところが、もともとの物語は冗長で、時として支離滅裂な展開になるそうです。
 雑多な説話の寄せ集めであり、文学としては未熟な部分が多いのだと言います。

 物語をたどっていくと、突然宝を発見したりとか、突然魔王が現れたりとか、
 御都合主義な展開や、つじつま合わせの結末が、確かに目につきました。

 しかし、逆にそういう不思議さが、「アラビアンナイト」の魅力だと思います。
 まるで夢のように流れていく物語に、遠い異国への憧れをかき立てられました。

 ところで私がこの本で最も驚いたことは、「シンドバッド」が無いところです。
 それどころか、「アラジン」も「アリババ」も無いではありませんか。

 有名どころはわざと外したようですが、やはり解説してほしかったです。
 特に「シンドバッド」は、「オデュッセイア」と比較して語って欲しかった。

 さて、次はぜひ岩波少年文庫版「アラビアン・ナイト」上下巻を読みたいです。
 シンドバッドはじめ、有名な物語を中心に選んだ選集です。


アラビアン・ナイト〈上〉 (岩波少年文庫)

アラビアン・ナイト〈上〉 (岩波少年文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2001/09/18
  • メディア: 単行本



アラビアン・ナイト〈下〉 (岩波少年文庫)

アラビアン・ナイト〈下〉 (岩波少年文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2001/09/18
  • メディア: 単行本



 さいごに。(女子トーク)

 以前は、妻と私が話していると、娘が無意味に口をはさんできました。
 「大人の会話に入ってくるな!」と言って、娘を叱ったものです。

 最近は、妻と娘だけの女子トークが多くなりました。
 私が何か言おうものなら、「女子の会話に入らないで!」と娘に叱られます。

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2017年11月発売の気になる文庫本 [来月発売の気になる文庫本]

◎ 2017年11月発売予定の文庫本で、気になるものを独断で紹介します。
  データは、出版社やamazonの、HPやメールマガジンを参考にしています。


・11/16 「江戸川乱歩作品集1 人でなしの恋・孤島の鬼 他」(岩波文庫)
 → 岩波文庫版の乱歩集。 浜田雄介編。他社との違いは? 気になる。

・11/25 「オール・アバウト・コーヒー」 W・H・ユーカーズ(ソフィア文庫)
 → 元はコーヒー通には有名な大型本。古書は目の玉が飛び出る値段。気になる。

・11/29 「ピーターパンの冒険」 ジェームズ・M・バリー (新潮文庫)
 → 「ピーター・パンとウェンディ」とは、どういう関係にあるのか、気になる。

・11/22 「世界文明史の試み 上下」 山崎正和 (中公文庫)
 → 人類の文明史を一貫した趨勢の連続として捉えた野心的論考。気になる。


◎ おまけ。(私流のドラマの見方)

 秋の新ドラマが始まりました。
 うちの娘は、気になるドラマの第1回は全て見るので、録画しすぎです。

 少しずつ見るドラマを絞って、3回目以降は週に2つ以内にしていますが。
 でも、その方法だと、ハズレのドラマを見る時間がもったいないでしょう。

 そこで、数年前から採用している、私流のドラマの見方を披露します。
 それは、「2回目までは何も見ない」という方法です。

 2回目終了時に、視聴率と口コミを見れば、アタリのドラマが分かります。
 その時点で見るドラマを絞って、3回目以降から見ればハズレがありません。

 この方法の欠点は、アタリのドラマも、2回目までは見られない点です。
 でもそこは割り切ろう。前回までのあらすじは、ネットで読めばいいのです。

 「半沢直樹」も「逃げ恥」も、3回目から見たけど、全く問題なかったです。
 本当に面白いドラマは、途中からでもちゃんと楽しめるようにできています。

 とはいえ例外もあって、最近一つだけ1回目から見たドラマがありました。
 2016年にNHKで放送された「戦争と平和」(BBC)。これは大当たりだった!

 ・・・そういうわけで、「陸王」もまだ見ていません。
 絶対面白いと分かっているのに、我慢しています。(アホか)


陸王

陸王

  • 作者: 池井戸 潤
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2016/07/08
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



◎ さいごに。(うなだれて登校)

 先日の台風は、我々の地域では明け方に通過していってしまいました。
 朝、暴風警報は出たままでしたが、小学校は通常登校になりました。

 娘は、「話が違う」とぼやきながら、うなだれて登校しました。
 7時に暴風警報が出ていれば休校というのが、本来の了解事項だったので。

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カンタベリー物語2 [中世文学]

 「カンタベリー物語(中・下)」 チョーサー作 桝井迪夫訳 (岩波文庫)


 カンタベリー大聖堂へ巡礼中に同宿した様々な人々が、交代で話を語ったものです。
 岩波文庫版の訳は読みやすかったです。中巻と下巻は挿し絵が少なかったです。


完訳 カンタベリー物語〈中〉 (岩波文庫)

完訳 カンタベリー物語〈中〉 (岩波文庫)

  • 作者: チョーサー
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1995/01/17
  • メディア: 文庫



完訳 カンタベリー物語〈下〉 (岩波文庫)

完訳 カンタベリー物語〈下〉 (岩波文庫)

  • 作者: チョーサー
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1995/01/17
  • メディア: 文庫



 中巻の冒頭は、12歳のときから、5回も結婚したというバースの女房の話です。
 とても勇ましい女房です。彼女の話よりも、前置きの方が印象に残りました。

 「ああ神さま、本当に、どんなにかわいそうにあれたちに夜の労働をさせてやった
 かと思うと笑いがとまらなくて困りますわ」(P15)

 さて彼女の話は、若い騎士が、女は何が好きかを探索した物語でした。
 聞いたことがあると思ったら、アーサー王伝説の、ガウェインの結婚の話でした。

 召喚吏の話は、「デカメロン」的な品の無い話です。
 寄進をしつこくせがむ托鉢僧に、ある病人が寄進したとんでもないものとは?

 学僧の物語、貿易商人の話、医者の物語、船長の話は、「デカメロン」の焼き直し。
 これらの話は、当時広く流布していた人気の物語だったようです。

 注目は、作者チョーサーが、宿屋の主人に言われて、物語を始めるところです。
 ところが韻文で語り始めたところ、その宿屋の主人によって、止められるのです。

 「お前さんのつまらんへぼ詩ときたら、どだい糞ひとつの値打ちもないわい!」
 そこで、今度は散文で語るのですが、これがやたらと回りくどい話で・・・

 下巻に入っても、「聖書」「狐物語」「聖人伝」などから取られた話が続きます。
 新鮮味がなくて、物語を聞くというより、雑談を聞いている感じです。

 終盤で、唯一面白いのは錬金術師の話です。彼はいかにして人々を騙したか?
 しかし、この物語も他人の戯曲からのパクリだったようです。

 そして最後に登場するのが、牧師さんです。この人のお説教が、長い長い。
 神がどうの、悪魔がどうの、罪がどうの、悔い改めがどうのと、語る語る。

 このように「デカメロン」同様、最後に有り難い(?)話が置かれています。
 ああ、最後はハチャメチャな話で締めくくってほしかった!

 「カンタベリー物語」は、英語で書かれたという点で、英文学史上重要です。
 これ以後 、英国の多くの作品が、自国語の英語で書かれました。

 さいごに。(パパに対する尊敬の念が足りない)

 娘が威張った口をきいたので、「パパに対する尊敬の念が足りない」と言って
 叱ったら、「パパが尊敬されるようにならなきゃダメだよ」と言われました。

 「おやじギャグを言ったり、バカ殿を見たりするから、尊敬されないんだよ」と。
 妻も笑いながら、「そうだよねえ」と言ってるし。おい、俺の味方しろよ!

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ブエノスアイレス午前零時 [日本の現代文学]

 「ブエノスアイレス午前零時」 藤沢周 (河出文庫)


 山奥のホテルで働く孤独な青年と、耄碌した老嬢との心の触れ合いを描いた中編です。
 芥川賞受賞作です。ちなみに作者は、直木賞作家の藤沢周平とは関わりがありません。


ブエノスアイレス午前零時 (河出文庫)

ブエノスアイレス午前零時 (河出文庫)

  • 作者: 藤沢 周
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2014/10/07
  • メディア: 文庫



 カザマは広告代理店をやめて、山奥の温泉ホテル「みのや」で働いています。
 みのやは大きなダンスホールが自慢で、ダンスの団体客をあてにしています。

 ある団体客に、ミツコという、盲目で、耄碌しかけている老嬢がいました。
 カザマは、もと娼婦で梅毒が回っているというミツコのことが気になります。

 青年も老嬢も、同じような孤独を抱えていました。
 トラブルを経ながらも、タンゴによって2人の心は触れ合って・・・

 「タンゴがもたらす魔法によって、彼もミツコと一緒にブエノスアイレスの
 夢を見ていたのではないか。」(解説より)

 タイトルの「ブエノスアイレス午前零時」は、アルゼンチンの作曲家である
 ピアソラの名曲のタイトルです。この曲は、本当にカッコいい。



 青年と老嬢、一見遠い存在である二人の世界が、しだいに融合してゆく。
 そういう魔力を持った曲だと思います。

 さて、この本にはもう一つ「屋上」という中編も入っています。
 本社から出向して、スーパーの屋上で働く青年の姿を描いています。

 この青年もまた孤独ですが、その孤独な心がポニーに向かって行くのです。
 その結果、「屋上」には救いが無いような気がしました。

 ところで藤沢周は、今年(2017年)6月に上映された「武曲」の原作者です。
 「武曲」(むこく)は剣道小説・剣道映画です。少し気になっています。


武曲 (文春文庫)

武曲 (文春文庫)

  • 作者: 藤沢 周
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2015/03/10
  • メディア: 文庫



 さいごに。(雨だと残念な富士急ハイランド)

 富士急ハイランドのフリーパスは5700円。入場券とアトラクション代込みです。
 ところが当日は雨。絶叫系はみんな運休になってしまいました。

 雨でもOKのアトラクションは少ないし、しかも混んでいるし・・・
 絶凶・戦慄迷宮や、進撃の巨人は、別料金が1000円ずつかかるし・・・

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反対進化 [20世紀アメリカ文学]

 「反対進化」 エドモンド・ハミルトン作 中村融訳 (創元SF文庫)


 進化論モノの傑作であるタイトル作など、全10編収録のSF短編集です。
 1930年代から1960年代までの作品を、バランスよく選出しています。

 2005年に創元SF文庫から出ました。現在は新版が手に入ります。
 「フェッセンデンの宇宙」と同じく中村訳で、分かりやすかったです。


反対進化 (創元SF文庫)

反対進化 (創元SF文庫)

  • 作者: エドモンド・ハミルトン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2005/03/24
  • メディア: 文庫



 タイトルの「反対進化」は、日本SF界に大きな影響を与えた傑作です。
 タイトルがネタバレになっていますが、それでも読んでいて驚愕します。

 荒野の上空を飛行中、パイロットのロスは、異様な怪物を目撃しました。
 その生物はテレパシーで交信し、アークター人と名乗りますが・・・

 いったいアークター人とは何者か?
 そして彼らはどんな事実を語ったか?

 「これらの人間は、いまや坂道をころげ落ちるように退化していた。」(P186)
 ハミルトンの世界観が分かる、とても素晴らしい作品です。

 「異境の大地」は、「反対進化」と並んで、とても印象に残った作品です。
 「反対進化」同様、発想がとても面白かったです。

 ジャングルに立っていた死人のような人は、フナチという状態にありました。
 フナチとは何か? フナチになると何が見え、何が聞こえるのか?

 我々の生命のテンポを、植物の生命のテンポに合わせたら・・・
 「ゾウの時間 ネズミの時間」を連想しました。


ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 (中公新書)

ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 (中公新書)

  • 作者: 本川 達雄
  • 出版社/メーカー: 中央公論社
  • 発売日: 1992/08/01
  • メディア: 新書



 以上の「反対進化」「異境の大地」と、前回の「フェッセンデンの宇宙」が、
 エドモンド・ハミルトンの短編マイベスト3です。おもてのベスト3です。

 さて、ラストの「プロ」はSFではありませんが、捨てがたい作品です。
 空想の世界が次々に現実となったとき、SF作家は何を思うか?

 「宇宙を夢見て、たわごとを並べたり、書いたりした作家たち、おれたち
 はただの・・・(後略)」(P386)

 「プロ」と、前回の「太陽の炎」と「向こうはどんなところだい?」が、
 ウラのベスト3です。これらは内容よりも、哀切な気分に魅力があります。

 私が小中の時に夢中になったキャプテンフューチャーと、だいぶ違いました。
 短編には大らかさがあまり無くて、シリアスな雰囲気が目立ちました。

 さいごに。(大したことは無かったが・・・)

 運動会で傷めたひざは、幸い大したことはなくて、普通に歩けています。
 しかし、まだ完全にひざを曲げることはできず、走ることもできません。

 運動ができないので、わずかな期間で体重が増えてしまいました。
 お菓子をやめればいいのだけど・・・今日もチョコを食べてしまった。

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フェッセンデンの宇宙 [20世紀アメリカ文学]

 「フェッセンデンの宇宙」 E・ハミルトン作 中村融訳 (河出文庫)


 人工宇宙モノの傑作であるタイトル作など、全12編収録のSF短編集です。
 わが国に多大な影響を及ぼした、1930年代の作品を中心に選出しています。

 2012年に河出文庫から出ました。訳は2004年で、分かりやすかったです。
 タイトル作については、異なる二つのバージョンが収められています。


フェッセンデンの宇宙 (河出文庫)

フェッセンデンの宇宙 (河出文庫)

  • 作者: エドモンド・ハミルトン
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2012/09/05
  • メディア: 文庫



 タイトルの「フェッセンデンの宇宙」は、SFファン必読の古典的名作です。
 1961年に改変版が日本に紹介されると、とても大きな反響がありました。

 「実験室のなかに宇宙を創ったんだ。何百万もの太陽、何千万もの世界を
 そなえた宇宙を」・・・ブラッドリーは、その宇宙を見せられますが・・・

 フェッセンデンは、その小さな宇宙を、いかにして創り上げたのか?
 フェッセンデンは、その小さな宇宙で、いかなる実験をしたのか?

 わずか25ページほどですが、鮮烈な印象を残す作品です。
 「あの天上にもフェッセンデンがいるのではないだろうか?」(P34)

 「帰ってきた男」は、ちょっと皮肉の効いた生き返り譚です。
 1週間ぶりに目を覚まし、棺から出てきた、ある男の物語です。

 自分が生き返ったことを、皆が喜んでくれると思いきや・・・
 この世に「帰ってきた」男が、最後に「帰ってきた」場所は・・・

 「太陽の炎」は、私がもっとも気になった作品です。
 ミステリー的な展開と、哲学的な味付けで、深く印象に残る作品です。

 探査局の古株で、突然辞表を出したケラードには、いったい何があったのか?
 彼らが水星の昼側で遭遇したものとは・・・

 「しかし、広大無辺の宇宙が、どうして中身のつまった、重い肉体をまとった
 生きもののものになるだろう? 空気の泡につつまれて苦労して動かなければ
 ならず、金属の墓におさまってちっぽけな惑星のあいだをのろのろと進み、巨
 大な太陽の輝きには近づくこともできない生きもののものに。」(P293)

 この述懐の中に、作者ハミルトンの思いが込められているような気がしました。
 我々が本当に宇宙を探索できるのだろうか? ただの土くれである我々に?

 ほか、「向こうはどんなところだい?」「夢見る者の世界」「翼を持つ男」
 「追放者」「世界の外のはたごや」などは、捨てがたい作品です。

 さて、エドモンド・ハミルトンといったら、キャプテン・フューチャーです。
 40年ほど前、私が小学校の時に、そのアニメがNHKで放送されていました。

 中学生になって、ハヤカワ文庫から出ていたシリーズを、夢中で読みました。
 そして、2004年に創元SF文庫から出た全集を、懐かし思いで読み返しました。

 しかし、現在キャプテン・フューチャーのシリーズは、全て絶版です。
 もう1つの短篇集「反対進化」は、今でも読める貴重なハミルトン作品です。


恐怖の宇宙帝王/暗黒星大接近! <キャプテン・フューチャー全集1> (創元SF文庫)

恐怖の宇宙帝王/暗黒星大接近! <キャプテン・フューチャー全集1> (創元SF文庫)

  • 作者: エドモンド・ハミルトン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2004/08/24
  • メディア: 文庫



反対進化 (創元SF文庫)

反対進化 (創元SF文庫)

  • 作者: エドモンド・ハミルトン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2005/03/24
  • メディア: 文庫



 さいごに。(コーラのキャンディ)

 丸亀うどんに行くと、会計のところで、時々子供にキャンディを配っています。
 うちの娘は小5にもなって、キャンディをもらっていたので、呆れてしまいました。

 ところが、「パパの好きなコーラのキャンディだよ」と言って、私にくれたのです。
 50にもなって、娘から子供のように思われている自分自身に、呆れてしまいました。


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