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ぼくは明日、昨日のきみとデートする [日本の現代文学]

 「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」 七月隆文 (宝島社文庫)


 20歳の男女の甘く切ない愛と宿命を描いた、SFファンタジー小説です。
 2014年に宝島社文庫から出て、マンガ化・映画化されて話題となりました。


ぼくは明日、昨日のきみとデートする (宝島社文庫)

ぼくは明日、昨日のきみとデートする (宝島社文庫)

  • 作者: 七月 隆文
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2014/08/06
  • メディア: 文庫



 京都の美大に通う南山高寿は、叡山電車で美しい女性を見かけ、声を掛けました。
 「メ、メアド教えてくださいっ」「一目惚れしました!」

 二人はそのまま宝ヶ池を一緒に散歩しました。彼女の名前は福寿愛美(えみ)。
 別れ際に「また会える?」と高寿が聞いた途端、彼女は泣き出してしまいました。

 二人は付き合い始めましたが、高寿はふと違和感を覚えることがあり・・・
 実は、愛美にはとても重要な秘密があって・・・

 「陽だまりの彼女」同様、とても甘くて切ない余韻が残りました。
 会えば会うほどすれ違い、過ぎた時間をかけがえのないものに感じていきます。

 しかし、「ぼくたちはすれ違ってなんかいない」と高寿・愛美は言います。
 「端と端を結んだ輪になって、ひとつにつながってるんだ」(P241)と。

 まさにその通りで、最後まで読み終わるとまた最初から読み返したくなります。
 もし映画を見たら、最初の出会いの場面で、もう泣いてしまいそうです。

 さて、この小説の魅力の一つに、タイトルの不思議さがあります。
 愛美の秘密が分かると、タイトルの意味も分かり、数々の謎が解ける仕掛けです。

 ところで、アマゾンのレビューを読むと、意外と厳しい評価があるようです。
 特に、梶尾真治の「時尼に関する覚え書」と似ているという指摘が目立ちます。

 梶尾真治のファンには、パクリのように感じるようです。
 「時尼」もハヤカワ文庫本に収録されているので、この機会に読みたいです。


美亜へ贈る真珠 〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

美亜へ贈る真珠 〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 梶尾真治
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2016/12/20
  • メディア: 文庫



 さいごに。(タラレバ)

 10歳の娘は、毎週「タラレバ娘」を録画して見ています。
 このドラマには、どーしよーもない男たちが出てきます。

 「こういう男に引っかかっちゃダメだぞ」と、私が真剣に言ったら、
 「パパ、静かに見ようね」と、言われてしまいました。

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陽だまりの彼女 [日本の現代文学]

 「陽だまりの彼女」 越谷オサム (新潮文庫)


 10年ぶりに会った男女の恋愛小説であり、猫を巡るファンタジーでもあります。
 「女子が男子に読んでほしい恋愛小説No.1」として売れ、映画化もされました。

 2011年に新潮文庫から出て話題となり、中年男性にも読まれたといいます。
 しかし、このカバーイラストだと、我々おじさん軍団が手に取るのは厳しい。


陽だまりの彼女 (新潮文庫)

陽だまりの彼女 (新潮文庫)

  • 作者: 越谷 オサム
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2011/05/28
  • メディア: 文庫



 交通広告代理店の奥田浩介は、顧客との打ち合わせで渡来真緒と再会しました。
 10年ぶりに出会った真緒は、以前とは見違えるほど美しく輝いていました。

 中学生のころの真緒は、極端に勉強ができなかったためいじめられていました。
 浩介が、真緒をかばってあげたことで、真緒になつかれるようになったのです。

 再会してからの二人は急速に接近し、両親の許可も得ずに・・・
 しかし真緒には、ある重大な秘密があって・・・

 実は先に映画を見ました。昨年のTV放送の録画を、先日娘と一緒に見たのです。
 どうせ子供向けかだろうと高をくくっていたら、不覚にも感動してしまいました。

 甘くて美しくて、せつなすぎる作品世界に、すっかり没入してしまいました。
 特に、上野樹里の不思議ちゃん的な演技が、印象に残りました。

 江ノ島の婆さんは何者か? どのように変身したのか? 最後の場面の意味は?
 原作を読めば、さまざまな疑問が解けるかもしれないと期待していたのですが・・・

 なんと小説の方も、映画に負けず劣らず、突っ込みどころ満載だったのです。
 結局どうやって変身できたのか? 最後の場面はハッピーエンドなのか?

 原作では、江ノ島も江ノ島の婆さんも登場しなかったし!
 とりわけラストシーンが全然違ってるし!

 ということで、原作を読んで、さらに分からなくなりました。
 その一方で、大筋が分かっていながらも、また泣きそうになってしまいました。

 映画と小説では、展開も結末も微妙に違いますが、どちらも良かったです。
 特に若い人たちとネコ好きに薦めたい小説だと思いました。

 今後、「素敵じゃないか」を聞くたびに、真緒を思い出しそうです。
 ビーチボーイズの「ペットサウンズ」には名曲「神のみぞ知る」も入っています。


ペット・サウンズ<50周年記念デラックス・エディション>

ペット・サウンズ<50周年記念デラックス・エディション>

  • アーティスト: ブライアン・ウィルソン,ブライアン・ウィルソン,トニー・アッシャー,マイク・ラヴ
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
  • 発売日: 2016/06/17
  • メディア: CD



 映画のラストは、どこか「時をかける少女」に似たところがありました。
 いったいどんなふうにして、人々の記憶を・・・


時をかける少女 〈新装版〉 (角川文庫)

時をかける少女 〈新装版〉 (角川文庫)

  • 作者: 筒井 康隆
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2006/05/25
  • メディア: 文庫



 現在上映中の映画で、気になっているものが2つあります。
 「君の名は」と「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」です。原作を読みたい。


小説 君の名は。 (角川文庫)

小説 君の名は。 (角川文庫)

  • 作者: 新海 誠
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/メディアファクトリー
  • 発売日: 2016/06/18
  • メディア: 文庫



ぼくは明日、昨日のきみとデートする (宝島社文庫)

ぼくは明日、昨日のきみとデートする (宝島社文庫)

  • 作者: 七月 隆文
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2014/08/06
  • メディア: 文庫



 さいごに。(スイーツラン)

 日曜日に出るスイーツランというのは、2.5キロの周回コースを好きなだけ走り、
 給水所ならぬ「給スイーツ所」で、スイーツを7つまで食べられるという大会。

 これまで娘に色々なマラソン大会に誘って、そのたびに断られてきたのですが、
 「これなら出てもいい」と言ってくれたので、ふくらはぎを治して絶対出たい。

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エッダ グレイティルのサガ [中世文学]

 「エッダ グレティルのサガ 中世文学全集Ⅲ」 (ちくま文庫)


 エッダは神話を題材にした韻文で、サガは実際の出来事を物語った散文です。
 エッダもサガも、中世のアイスランドで成立しました。

 ちくま文庫から訳が出ていますが、どちらもそのほんの一部にすぎません。
 1971年に出た本をもとにしています。エッダは少し分かりにくかったです。


中世文学集〈3〉エッダ;グレティルのサガ (ちくま文庫)

中世文学集〈3〉エッダ;グレティルのサガ (ちくま文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1986/12
  • メディア: 文庫



 「エッダ」はキリスト教に影響される前の、素朴な時代の神話・伝説集です。
 ちくま文庫版には、さまざまな内容の15編が収録されています。

 その中で読みどころは、「レギンの歌」から始まる6編の「ジグルド」もの。
 この6編は、ドイツのジークフリート伝説と、根底でつながっています。

 ジグルドと竜のファーヴニルの戦い、レギン殺害、宝の継承、ジグルドの死、
 グドルーンとブリュンヒルド・・・「ニーベルンゲンの歌」を思い出します。

 「ジグルド」伝説は、「ヴォルスンガ・サガ」にも描かれているようです。
 しかし、この本には収録されていません。残念!

 本の後半は「グレティルのサガ」で、これは数あるサガのうちの一つです。
 実在した豪傑グレティルの生涯を描いています。

 多くの賊を倒したグレティルは、たちまち当代一の豪傑と見なされました。
 その後も、自分を狙う連中を、次々と返り討ちにしていきます。

 多くの人に讃えられ恐れられ、追放されながらも各地で歓待されました 。
 ところが、怪物グラームとの戦いのあと、少しずつ運が傾き始めます。

 結局グレティルを死へ導いたのは、豪傑でもなく怪物でもなく・・・
 殺しに次ぐ殺し。これも一つの生き方かもしれませんが、むなしすぎます。

 さて、一口にサガといっても、現代には約200編が伝わっているそうです。
 「グレティルのサガ」は、その中のたった1編にすぎないのです。

 正直に言って、この本の編集は、やや中途半端でもの足りなかったです。
 サガというものの概観をつかむためには、解説書を読む必要があります。

 山室静の「北欧神話と伝説」は、レビューの評価が高いようです。
 3月には山室静の「北欧の神話」が出るそうです。チェックしなければ。


北欧神話と伝説 (講談社学術文庫)

北欧神話と伝説 (講談社学術文庫)

  • 作者: ヴィルヘルム・グレンベック
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/09/10
  • メディア: 文庫



北欧の神話 (ちくま学芸文庫)

北欧の神話 (ちくま学芸文庫)

  • 作者: 山室 静
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2017/03/08
  • メディア: 文庫



 さいごに。(ふくらはぎがピンチ)

 3週間ほど前にふくらはぎを傷めて、その後気をつけていました。
 しかし、職場の階段を駆け上がったひょうしに、再度傷めてしまいました。

 2月26日には、娘と一緒に「スイーツラン」を走ることになっています。
 とても楽しみな大会なので、なにがなんでも治さなければ。

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美女と野獣 [18世紀文学]

 「美女と野獣」 ボーモン夫人著 鈴木豊訳 (角川文庫)

 フランス民話をもとにした「美女と野獣」等、子供向けに書かれた童話集です。
 以前ディズニーがアニメ化しましたが、2017年には実写版を上映するようです。

 角川文庫から出ています。訳者は大正生まれですが、易しく読みやすいです。
 新潮文庫からも、近く新訳が出るようです。


美女と野獣 (角川文庫)

美女と野獣 (角川文庫)

  • 作者: ボーモン夫人
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1992/05
  • メディア: 文庫



 ベルの父親は森の中で迷い、野獣の城で捕らわれてしまいました。
 おまえの娘の誰かが代わりに死ぬのなら許してやろう、と野獣は言いました。

 父親思いのベルは、自ら進んで野獣の城へ行くことを決めました。
 そして、恐ろしい顔をした野獣と一緒に、城で暮らし始めますが・・・

 タイトルの「美女と野獣」は、幻想的でロマンティックな秀作です。
 絵本や映画などによって、世界中で知られています。

 だから自分はよく知っているつもりでいましたが、意外な発見もありました。
 魔法をかけた仙女は、意地悪なのではなく、良い人だったとは!

 この作品のほか、全15話が収録されています。
 一貫している教訓は、「心の美しさにこそ価値がある」ということです。

 「醜い王子さまと美しいお姫さま」「美しい娘と醜い娘」などは典型的です。
 外見がいくら良くてもダメで、心が美しくなって初めて幸せになります。

 さて、この物語集は、ボーモン夫人の代表作「子供の雑誌」からの抄訳です。
 18世紀後半の道徳が荒廃していく時代に書かれたため、少し説教くさいです。

 同じ傾向の物語を15編も読まされると、現代に生きる我々は辟易してきます。
 また、あまりにも理想的に描かれすぎているところも、少し気になります。

 それでも「美女と野獣」などの傑作は、永遠に読み継がれる魅力があります。
 また、角川文庫版には雰囲気のある挿絵が入っていて、とても楽しめました。

 さいごに。(娘の成長)

 小学校の懇談会で、「子供の成長を感じる時」について話し合われたという。
 うちのママさんは、なかなか思いつけずに、次のように言ったそうです。

 「最近、勉強をするふりをして、マンガを読んでいることがあります。」
 微妙な空気が漂ったという。確かに、成長と言えなくもないが・・・

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アーサー王ロマンス [中世文学]

 「アーサー王ロマンス」 井村君江 (ちくま文庫)


 マロリーの「アーサー王の死」を中心にまとめた、アーサー王物語の入門書です。
 1987年に筑摩書房から出た「世界の英雄伝説2」の文庫版です。


アーサー王ロマンス (ちくま文庫)

アーサー王ロマンス (ちくま文庫)

  • 作者: 井村 君江
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1992/04
  • メディア: 文庫



 アーサー王伝説について、とても分かりやすくまとめた解説書です。
 よく目が行き届いていて、重要なエピソードはたいてい含まれています。

 第一部「アーサーの誕生と即位」
 魔法使いマーリン、アーサーの誕生と結婚、名剣エクスキャリバー・・・

 第二部「アーサーと円卓の騎士」
 ベイリン、ガウェイン、ラーンスロット、ガレス、トリストラム・・・

 第三部「聖杯探求の旅」
 ガラハッド、パーシバル、ラーンスロット・ガウェイン・ボース・・・

 第四部「最後の戦い」
 ラーンスロットと王妃、モードレッドの反逆、アーサーの死・・・

 以上、バランスよくまとめられていて、伝説の全体像が分かります。
 アーサー王物語に興味を持ち始めた人に、最初の1冊としてオススメします。

 実は、私にとって最も興味深かったのは、「はじめに」の部分です。
 冒頭で、「アーサー王の実像と伝説像」について解説されています。

 アーサー王は実在の指揮官で、紀元500年頃にサクソン人を撃退したという。
 12世紀に書かれた「ブリテン王列伝」には、アーサーの一代記が含まれます。

 歴史書中のアーサー王物語は、フランス語訳され大陸で広まっていきました。
 その過程で様々な要素が加わり、ロマンティックな英雄像になったそうです。

 15世紀にマロリーが、アーサー王の物語群を英訳し直し、まとめ上げました。
 現在このマロリー版が、アーサー王物語の基本的な資料になっています。

 「おわりに」では、アーサー王物語とケルト神話の関係が紹介されています。
 アーサー王は死を迎えると、ケルトの異界であるアヴァロンに行って・・・

 この本は実に興味深い本で、さらにいろいろなことを知りたくなりました。
 私は、「アーサー王伝説」という単行本の解説書まで、買ってしまいました。


アーサー王伝説

アーサー王伝説

  • 作者: リチャード・キャヴェンディッシュ
  • 出版社/メーカー: 晶文社
  • 発売日: 1983/09
  • メディア: 単行本



 また、同じ井村君江の「ケルトの神話―女神と英雄と妖精と」も気になります。
 ちくま文庫から出ています。機会があったら、読んでみたいです。


ケルトの神話―女神と英雄と妖精と (ちくま文庫)

ケルトの神話―女神と英雄と妖精と (ちくま文庫)

  • 作者: 井村 君江
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1990/03/27
  • メディア: 文庫



 さいごに。(声を出せば勝てる)

 トランプのスピード勝負のとき、私は知らず知らず声を出していました。
 カードを重ねる時に、「6、7、8,9,10」などと口で言っていたのです。

 娘に指摘されて、声を出さなくなってから、どうやら私は弱くなったようです。
 再び声を出して勝負したら、勝率がかなり上がりました。でもこれ、老化現象?

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アーサー王の死 [中世文学]

 「アーサー王の死」 マロリー著 厨川文夫・圭子訳 (ちくま文庫)


 アーサー王の誕生から死までと、円卓の騎士たちの活躍を描いた物語集です。
 フランスで出回った本を、マロリーが英訳し、キャクストンが印刷しました。

 ちくま文庫から、「中世文学集Ⅰ」として出ました。初訳は1971年です。
 訳は分かりやすいのですが、収録されているのは全体の一部にすぎません。


アーサー
王の死 (ちくま文庫―中世文学集)

アーサー王の死 (ちくま文庫―中世文学集)

  • 作者: トマス・マロリー
  • 出 版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1986/09
  • メディア: 文庫



 英国初の印刷業者キャクストンが、マロリーの翻訳を全21巻にまとめました。
 ちくま文庫版に収められたのは、1・5・11・12・18・19・20・21巻です。

 物語としては、アーサー王とランスロットが中心となっています。
 訳者によると、アーサー王物語の劇的構想は、ここから読み取れると言います。

 ところがランスロットの物語は、本国を離れてフランスで加えられたものです。
 つまり、アーサー王の物語は、主にフランスで成立したということらしい。

 そう考えて読むと、なるほど、ランスロットの物語はフランス的です。
 というのも、王妃グウィネヴィアとの恋愛(不倫)物語が含まれるので。

 宮廷的愛を逸脱して、激しく愛し合い、しまいには王国を破滅に向かわせる、
 そういうところに、フランス独特の美意識(?)を感じてしまいました。

 さて、本書ではアーサー王の最後の戦いから死までが、詳しく描かれています。
 円卓の騎士たちの絆が崩壊し、戦いに引きずり込まれていく場面は実に悲しい。

 アーサー王と円卓の騎士たち活躍し、ヨーロッパを征服するまでの場面よりも、
 築き上げた王国が内部から崩壊していく過程の方が、なぜか印象に残りました。

 特に、アーサー王の死の場面は哀切です。
 名剣エクスカリバーを水の中に投げ込むと・・・

 ところで本書では、トリストラムとイズーや、聖杯探求が省略されています。
 ガウェインやパーシヴァルの逸話も省略されていて、物足りない気がします。

 ブルフィンチの「中世騎士物語」を併せても、まだ充分ではありません。
 「中世騎士物語」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-01-23

 そこで、「アーサー王ロマンス」 という入門書も、買ってしまいました。
 この本がなかなか良いのです。次回、紹介したいです。


アーサー
王ロマンス (ちくま文庫)

アーサー王ロマンス (ちくま文庫)

  • 作者: 井村 君江
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1992/04
  • メディア: 文庫



 さいごに。(スピード勝負)

 かつては、トランプの「スピード」で、娘に負けるなんて考えられなかった。
 ところが、現在は3回勝負して、1回勝てるか勝てないか、というていたらく。

 「パパは弱すぎてつまらない」と、娘には言いたいほうだい言われています。
 ああ、腹立つ!

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知的な痴的な教養講座 [マナー]

 「知的な痴的な教養講座」 開高健 (集英社文庫)


 恐るべき博覧強記の著者が、知的で下ネタ満載の教養を伝授してくれます。
 雑誌「プレイボーイ」に連載されたエッセイで、多くの人に読まれました。


知的な痴的な教養講座 (集英社文庫)

知的な痴的な教養講座 (集英社文庫)

  • 作者: 開高 健
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1992/05
  • メディア: 文庫



 開高健が亡くなったのは、私が大学を卒業する直前、1989年の12月でした。
 そのすぐ後にこの単行本が出て、私は初めて氏のエッセイに触れました。

 だから、私にとってこのエッセイは、開高健を象徴する作品なのです。
 そして、若かりし頃の私にとって、開高健は「痴的な教養」の師匠でした。

 サハラ砂漠で死にそうになった黒人の願いを、悪魔はどのように叶えたか?
 25年以上前、私はこの話を読んで、ビデというものを初めて知ったのです。

 この本は、第1章の「小さな死」から、いきなり開高ワールドが展開します。
 そして全50章、外れは一つもありません。どこを読んでも面白い。 

 しかし、その中でも特に印象に残っているのが、第7章の「変態」です。
 ある男が理想的な女性を見つけ、彼女に一つの願いを叶えてもらう話です。

 「あなたを尊敬するがゆえに、〇〇〇〇を飲ませていただきたい。」
 このように誰にも迷惑を掛けなくて、礼儀正しいヘンタイだったら許せます。

 余談ですが、当時、朝一の〇〇〇〇を飲むという健康法が話題となりました。
 そう考えると、そういう嗜好は、それほど変態的ではないのかもしれません。

 第12章の「隣の畑」も忘れられません。
 隣の畑のワインを出したボーイに、旦那が言ったたとえ話がすごいです。

 「君はそっちの畑を舐めるのも好きなのかね?」
 といえば、たいていの男女は想像つくと思いますが・・・

 さて、普通は猥談を読んでいると、あとから虚脱感に襲われるものです。
 しかしこの本は、読んだ後に充実感で満たされます。ここが、スゴイ!

 猥談の一つ一つが、どれも非常に高い教養に裏付けされています。
 実に知性的な猥談集なのです。

 この作品は、文庫本になってから買い、失くしたので買い直しました。
 男子たるもの、どうしても手元に置いておきたい本です。

 さいごに。(ヘンタイはまた現れる?)

 小学校で露出狂騒ぎがあってから、学校も警察も本当にたいへんでした。
 ようやく騒ぎがしずまってきたので、地域の巡回も一段落しそうです。

 ただし詳しい人によると、ヘンタイは近いうちに必ず現れるだろうと言う。
 事件はいずれも未然で防がれて、ヘンタイの欲求は満たされていないから。

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礼儀作法入門 [マナー]

 「礼儀作法入門」 山口瞳 (新潮文庫)


 人生の達人である著者が、自身の経験をもとに礼儀作法を伝授してくれます。
 1974年に書かれたものです。好評だったため、続きの応用編も出ています。


礼儀作法入門 (新潮文庫)

礼儀作法入門 (新潮文庫)

  • 作者: 山口 瞳
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2000/03/29
  • メディア: 文庫



続・礼儀作法入門 (新潮文庫)

続・礼儀作法入門 (新潮文庫)

  • 作者: 山口 瞳
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2003/01
  • メディア: 文庫



 最初に著者は、これは礼儀作法の教科書ではなく、副読本であると言います。
 「礼儀正しくしようとして悪戦苦闘する男の苦心談と失敗談」だそうです。

 日常生活や冠婚葬祭など、全24項目で「山口ワールド」が展開されています。
 著者自身の実体験から導き出された提言なので、納得できるものが多いです。

 「品行は悪くてもいい。礼儀作法は知らなくてもいい。しかし、品性は良くし
 なくてはいけない。」(P38)(なるほど!)

 酒の飲み方、箸の上げ下げ、祝辞の仕方、タバコの吸い方、見舞いの仕方、
 スーツの選び方、ネクタイの買い方、帽子の被り方、鞄の持ち方・・・

 と、具体的なことも色々書かれていますが、いずれも一家言があって面白い。
 例えばネクタイについては、次のように書かれています。(P190)

 「ネクタイというものは、女心と同じであって、変幻自在であって、とらえどこ
 ろがない。始末がわるい。そこが多分おもしろいのだろうけれど。
  だから、ネクタイは、値段の高低、色の良し悪し、幅がどうのこうの、柄がど
 うのこうのということは、いっさい関係ない。衝動買いでゆくよりほかはない。」

 衝動買いが良いか悪いかは別として、一理あると思います。
 「いい!」と直感したネクタイを買わないでおくと、後悔することが多いです。

 さて、続編に入っても山口節は健在。というより、ますます磨きがかかります。
 どのページも痛快で、読んでいて楽しいです。

 名刺の使い方、握手のしかた、接待の心得、観客のエチケット、ホテルと旅館、
 嫁選び、性生活、育児法、子の名前、読書、お洒落、通ぶる人、粋について・・・

 なお、山口瞳の魅力満載のエッセイに、「男性自身」シリーズがあります。
 「週刊新潮」に31年間休まず続けたコラムで、ある意味、彼の代表作です。


山口瞳「男性自身」傑作選 中年篇 (新潮文庫)

山口瞳「男性自身」傑作選 中年篇 (新潮文庫)

  • 作者: 山口 瞳
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2003/05/28
  • メディア: 文庫



 ところで山口瞳は、開高健の推薦でサントリーの宣伝部に入ったことは有名です。
 だから、私の中でこの二人は1セットです。

 開高健の「知的な痴的な教養講座」も、非常に魅力のあるエッセイです。
 「痴的」というところがポイントで、若い頃に読んで衝撃を受けました。


知的な痴的な教養講座 (集英社文庫)

知的な痴的な教養講座 (集英社文庫)

  • 作者: 開高 健
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1992/05
  • メディア: 文庫



 さいごに。(お菓子のことで怒られた)

 私が腹ペコで帰って来ると、食卓に洋菓子があったので、食べようとしました。
 しかしそれは、娘が仲良しの友達からもらった、大事なお菓子だったのです。

 「ダメ! パパはお菓子を見ると、全部自分のものだと思っちゃうから困る!」
 確かに私にはそういう所がある。でも、お菓子1つでそんなに怒らなくても・・・

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消しゴム [20世紀フランス文学]

 「消しゴム」 ロブ=グリエ作 中条省平訳 (光文社古典新訳文庫)


 殺人事件を解決するためにやってきた若き捜査官の、24時間を描いた物語です。
 新しい小説(ヌーヴォー・ロマン)の文学運動は、この作品から始まりました。

 長い間入手困難の作品でしたが、2013年に古典新訳文庫から出ました。
 1378円しますが、その価値はあります。また、解説がすばらしいです。


消しゴム (光文社古典新訳文庫)

消しゴム (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: アラン ロブ=グリエ
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2013/08/07
  • メディア: 文庫



 特別捜査官ヴァラスは、殺人事件の解決のため、この街にやって来ました。
 殺されたのはデュポンという大学教授で、大富豪の中年男性です。

 しかし、肝心の死体は誰かによって、どこかへ持ち去られていました。
 おまけに、他殺なのか自殺なのかも、よくわかりません。

 ヴァラスは自分で推理を組み立て、街を歩き回って糸口を探しますが・・・
 曖昧な証言や偶然の出来事に翻弄され、やがて皮肉な結末に導かれ・・・

 私はこの作品を、探偵小説だと思っていました。
 だから、「序幕」を読んだ時点で仰天しました。

 始まってすぐ、主人公が動き出さないうちに、犯人が明かされているのです。
 犯人はガリナティ。ああ、終幕まであと400ページ近くあるというのに!

 特別捜査官として派遣されてきたのは、ヴァラスという若い男です。
 ヴァラスが町をさまよう姿は、人生をさまよう姿に似ています。

 街のあちこちを巡りながら、時間も前へ後へと行き来します。
 街の細部ははっきり見えるのに、全体像は靄がかかったように曖昧です。

 事件の全体像も、なかなかはっきり見えてきません。
 歩き回れば歩き回るほど、迷路に迷い込んでいくような感じがします。

 そして驚いたことに、最後まで真相はよく分からないのです。
 最後まで読んで、私もヴァラスと同じように途方にくれました。

 ヴァラスもこの物語も、まるで消しゴムのように擦り切れていくだけです。
 さんざん苦労した末に、待っていた結末は・・・

 この結末を、解説では「オイディプス王」と対比して、説明していました。
 どちらも「人間の自由意志に対する皮肉な運命の復讐のドラマ」だという。

 ところでヌーヴォー・ロマン作家の中には、ベケットやデュラスもいます。
 「ゴドーを待ちながら」や「愛人」などは、舞台や映画で知られています。


ゴドーを待ちながら (白水Uブックス)

ゴドーを待ちながら (白水Uブックス)

  • 作者: サミュエル ベケット
  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 2013/06/18
  • メディア: 新書



愛人 ラマン (河出文庫)

愛人 ラマン (河出文庫)

  • 作者: マルグリット デュラス
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 1992/02/05
  • メディア: 文庫



 さいごに。(インフルさらに流行)

 とうとう娘のクラスでもインフルエンザが流行し始め、5人が休んでいます。
 今のところうちの娘は大丈夫のようですが、心配は絶えません。


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2017年2月発売の気になる文庫本 [来月発売の気になる文庫本]

◎ 2017年2月発売予定の文庫本で、気になるものを独断で紹介します。
  データは、出版社やamazonの、HPやメールマガジンを参考にしています。


・2/8 「現代語訳 信長公記(全)」 (ちくま学芸文庫)
   →  1620円だという。1028円の新人物文庫版との違いが気になる。

・2/9 「白痴2」 ドストエフスキー作 亀山郁夫訳 (古典新訳文庫)
   → 好評の亀山訳。他と読み比べたい。気になる。

・2/10「火花」 又吉直樹 (文春文庫)
   → 単行本でバカ売れした。文庫ではどうか。売れ行きが気になる。

・2/16「アレフ」 ボルヘス (岩波文庫)
   → 「伝奇集」と並ぶ代表的短篇集。気になる。

・2/25「ジーキル博士とハイド氏 新訳」 スティーヴンソン(角川文庫)
   → 様々な訳が出ている作品。訳者は誰か、どんな訳か。気になる。


◎ おまけ1(古典新訳文庫の今後の刊行予定)

  古典新訳文庫メールマガジンに、今後3ヶ月の刊行予定が載っています。
  それによると、3月にセネカの「人 生の短さについて」が出るという。

  昨年「年代記」を読んでいて、哲人セネカの行動に感動しました。
  「人生の短さについて」が新訳で出るのなら、ぜひ読んでみたいです。
  「年代記」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2016-12-21


◎ おまけ2(見落としていた、岩波文庫)

  1月17日に岩波文庫から、ヴァージニア・ウルフの「船出」が出ました。
  岩波文庫メールマガジンの1月号で、不覚にも初めて知りました。

  ウルフの最初の作品で、まだ翻訳されていなかったように思います。
  これは注目しなくては。

  また、「ティラン・ロ・ブラン 4」が出て、作品が完結しました。
  中世文学をテーマにしている今年、ぜひ読みたい作品です。


船出(上) (岩波文庫)

船出(上) (岩波文庫)

  • 作者: ヴァージニア・ウルフ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2017/01/18
  • メディア: 文庫



ティラン・ロ・ブラン 1 (岩波文庫)

ティラン・ロ・ブラン 1 (岩波文庫)

  • 作者: J.マルトゥレイ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2016/10/19
  • メディア: 文庫



◎ さいごに。(インフル流行)

  娘の小学校ではインフルエンザが流行し、10人休んだクラスもあります。
  そのクラスは学級閉鎖になり、娘はうらやましがっていますが・・・

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