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怖い絵(泣く女篇・死と乙女篇) [歴史・哲学等]

 「怖い絵 泣く女篇・死と乙女篇」 中野京子 (角川文庫)


 怖い絵を通して、その背景にある歴史的事実等を解説したエッセイです。
 好評だった「怖い絵」の第二巻と第三巻です。
 「怖い絵」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2015-11-19

 「怖い絵」はシリーズ化されて、角川文庫から全3巻が出ています。
 図版が豊富ですが、絵が小さいところが玉に瑕です。


怖い絵 泣く女篇 (角川文庫)

怖い絵 泣く女篇 (角川文庫)

  • 作者: 中野 京子
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2011/07/23
  • メディア: 文庫



 「怖い絵」第二巻にも、22人の作家が登場します。
 ベラスケス、ボッティチェリ、ルーベンス、レンブラント、ピカソ等々。

 この本の中で、最も刺激的だったのは、ミレーの「晩鐘」です。
 このしみじみと寂しげな名画の、いったいどこが怖いのか?

晩鐘.jpg

 女の足元にある籠は、実は本当は・・・
 男が帽子で前を隠している理由は・・・

 「そんなバカな」と言いたくなりますが、この仮説を立てたのは画家のダリ。
 そんなことを考えてしまう、ダリの頭の中が一番怖い。

 また、未詳の画家の「ガブリエル・デストレとその妹」も、印象的でした。
 あのイミシンなポーズには、実際に深い意味が隠されていて・・・

 さて、この本には他にも、印象に残るエピソードが、たくさんありました。
 例えば、ブリューゲルの「嬰児虐殺」の絵に、嬰児の姿がほとんど無い・・・

 「巨大なレッド・ドラゴン」を描いたブレイクには、予知能力があり・・・
 「キリストの洗礼」のあと、ヴェロッキオが筆を折った理由は・・・


怖い絵  死と乙女篇 (角川文庫)

怖い絵 死と乙女篇 (角川文庫)

  • 作者: 中野 京子
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/08/25
  • メディア: 文庫



 「怖い絵」第三巻にも、22人の作家が登場します。
 ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ドラクロワ、ゴヤ、ブリューゲル等々。

 この中で、最も刺激的だったのは、ダ・ヴィンチの「聖アンナと聖母子」です。
 「モナ・リザ」とともに生涯手放さなかったこの名画の、どこが怖いのか?

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 この不自然なポーズに隠されたあるものとは・・・
 ダ・ヴィンチの幼少期の夢から読み説かれたことは・・・

 これまた「そんなバカな」ですが、この仮説を立てたのは心理学者のフロイト。
 そんなことを大真面目で論じてしまう、フロイトの頭の中もまた怖い。

 他にも多くの興味深いエピソードがありましたが、中でも一番は「夢魔」です。
 これを描いたフュースリと詩人シェリーは、意外な所でつながっていて・・・

 また、アミゴーニの「ファリネッリと友人たち」も面白いです。
 オペラのスターのファリネッリが、愛人と決して結婚できない理由は・・・

 著者中野京子の解説がすばらしいだけでなく、文章がとてもうまいです。
 美術愛好家と歴女には、たまらない本です。

 さいごに。(参観会)

 先の土曜日、娘の学校の参観会がありました。小学生はみんな元気ですね。
 昼休みに、友達と仲良く遊んでいる娘を見て、とても安心しました。

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下流志向 [歴史・哲学等]

 「下流志向」 内田樹 (講談社文庫)


 進んで下流社会に身を投じようとする、若者の奇妙な行動の理由を解明した著作です。
 副題は「学ばない子どもたち 働かない若者たち」。著者の代表作のひとつです。

 2007年に単行本が出版されて話題になり、2009年には講談社文庫から出ました。
 講演会で話した内容がもととなっているため、とても分かりやすく書かれています。


下流志向〈学ばない子どもたち 働かない若者たち〉 (講談社文庫)

下流志向〈学ばない子どもたち 働かない若者たち〉 (講談社文庫)

  • 作者: 内田 樹
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/07/15
  • メディア: 文庫



 最近、これまで決して見られなかった集団が、目に付くようになってきました。
 「学ばないこと、労働しないことを『誇らしく思う』」という集団です。

 なぜ子どもたちは、学びから堂々と逃亡するのか?
 なぜ若者たちは、労働を頑なに拒否するのか?

 そこには、子どもたちを取り巻く市場原理の法則が、大きく関わっています。
 人生において、消費者として社会に出た子どもは、何事も等価交換で考えます。

 彼らは、教育がもたらしてくれるものを、粘り強く待とうとはしません。
 即座に授業の苦痛を見積もり、できるだけ賢く取引しようと計算して・・・

 非常に興味深い内容でした。まさに瞠目の書です。
 「なるほど、そういうことか」と、色々なことが納得できました。

 市場原理、リスク社会、自分探しの思想、自己責任論、そして社会情勢・・・
 様々な観点から、教育からの逃走と労働からの逃走の理由を解明していきます。

 私が思うに、現代の子どもは「お客様」として扱われることに慣れています。
 少子化によって、子供が大事にされすぎるようになった結果かもしれません。

 そして多くの保護者もまた、自分たちを学校の「お客様」と考えているようです。 
 更に悪いことに、学校側も彼らを「お客様」扱いし、ご機嫌を窺がっています。

 子どもが「勉強が面白くない」と言うと、保護者も社会も「そうだそうだ」と言う。
 学校はそれを真面目に受け取って、「授業を面白くしよう」と努力してしまいます。

 でも本当は、勉強を面白くするのは、まったく本人しだいです。
 勉強には根気が必要で、根気よく学んだ者にだけ、その面白さが分かるものです。

 だから、まず子どもに「面白くなるように一生懸命やってみろ」と言うべきです。
 「ある程度がんばってみないと、勉強は面白くならないものだ」と教えるべきです。

 最近の若者は離職率が高いといいますが、労働にも同じことが言えると思います。
 「仕事が面白くない」と言う人の中には、面白くなる前に見限った人もいるのでは?

 (とはいえ、ブラック企業やブラックバイトもあるので、一概には言えません。
  真面目な若者を食い物にするような職場があることも、悲しい事実です。)

 ところで、「下流志向」の第四章は質疑応答になっています。これがまた面白い。
 特に「スターウォーズ」から師弟論を語るところなど、目からウロコでした。

 内田樹が教育について語ったものには、ほかにも「街場の教育論」があります。
 文庫化されたら読んでみたいです。


街場の教育論

街場の教育論

  • 作者: 内田 樹
  • 出版社/メーカー: ミシマ社
  • 発売日: 2008/11/15
  • メディア: 単行本



 「下流志向」の中で、「二十四の瞳」が取り上げられていました。
 あのすてきな大石先生について、意外なコメントが・・・


二十四の瞳 (新潮文庫)

二十四の瞳 (新潮文庫)

  • 作者: 壺井 栄
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2005/04
  • メディア: 文庫



 さいごに。(インフル)

 娘の体温が急上昇したので、病院に連れて行ったら、インフルエンザでした。
 娘のクラスは、その日は8人休んだのだそうです。

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名画の謎 ギリシャ神話篇 [歴史・哲学等]

 「名画の謎 ギリシア神話篇」 中野京子


 ギリシア神話にまつわる名画を、軽快な口調で分かりやすく解説した著書です。
 好評だった「怖い絵」シリーズに続く、名画解説のシリーズです。
 「怖い絵」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2015-11-19

 昨年2015年に文庫化されました。オールカラーです。
 角川文庫版の「怖い絵」シリーズより、絵が大きくて見やすいです。


名画の謎 ギリシャ神話篇 (文春文庫)

名画の謎 ギリシャ神話篇 (文春文庫)

  • 作者: 中野京子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2015/07/10
  • メディア: 文庫



 ゼウス、ヴィーナス、アポロン、デメテル、テセウス、オルフェウス・・・
 絵画を通して、古代ギリシアの神々と英雄たちのエピソードが楽しめます。

 たとえば、レイトンの「ペルセポネの帰還」。一般的な解釈は、穀物の種子の
 象徴ペルセポネが、穀物神デメテルの励ましで地上に芽吹く、というものです。

20130405133155.jpg

 しかし、中野の解説はここで終わりません。
 さらに深読みするのですが、ここからが面白い。

 なぜ娘のペルセポネは、ハデスによって強引に連れ去られたのか?
 なぜ母のデメテルは、そのことを神々から教えてもらえなかったのか?

 もしかしたら、母デメテルにも問題があったのではないか?
 中野の解説を読んでからこの絵を見直すと、全く違って見えてきます。

 さて、私が最も魅力を感じた絵は、クリムトの「ダナエ」です。
 ところで、この絵の左端に描かれている、黒い小さな長方形は、実は・・・ 

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 また、ブーシェの「水浴のディアナ」も、とても魅力的で美しい絵です。
 ところが、実際にディアナの水浴シーンを見たら、たいへんなことに・・・

boucher125.jpg

 他にも、レーニの「アタランテとヒッポメネス」、ベラスケスの「織り女たち」、
 プッサン「人生の踊り」、ブリューゲル「イカロス墜落のある風景」等もグッド。

 本書「名画の謎」は、絵画を中心に、かなり深い所まで解説されていました。
 その反面、有名でありながら省かれてしまったエピソードも多々あります。

 (たとえば、「わが子を食らうサトゥルヌス」などは省かれています。
  おそらく、「怖い絵」で取り上げたからだと思います。)

 類書「ギリシア神話の名画はなぜこんなに面白いのか」も参考になります。
 神話を中心に系統的に解説されているので、「名画の謎」を補ってくれます。


ギリシア神話の名画はなぜこんなに面白いのか (中経の文庫)

ギリシア神話の名画はなぜこんなに面白いのか (中経の文庫)

  • 作者: 井出 洋一郎
  • 出版社/メーカー: 中経出版
  • 発売日: 2010/07/25
  • メディア: 文庫



 ただ、ギリシア神話全体を網羅している分、どうしても広く浅くなっています。
 写真は著者自身のものに限っているため、肝心な絵画写真が載ってないことも。

 例えば「クリムトのダナエが最高!」と言いながら、その絵が無かったり。
 ティツィアーノの作品が載っていましたが、ダナエが男っぽくてがっかり。

 しかし、文学、演劇、映画など、様々な観点から神話を紹介していて面白いです。
 ちなみに、私にとって最も興味深かったのは、超B級映画「アマゾネス」(!)。

 この本は、掲載されている絵が、どれも少し小さくて見にくいところが難点です。
 とはいえ、ギリシア神話全般にわたって見渡したいのなら、オススメの本です。

 さいごに。(カルボ)

 昨日の日曜日、家族3人で、市内の某喫茶店にカルボナーラを食べに行きました。
 とてもおいしかった。しかもサラダ・ドリンク・デザートが付いて1050円!

 このお店は、私が20年前から、カルボのおいしさに感動して、通い続けています。
 独身の頃は毎日通いました。いつまでも続いてほしいお店です。

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転生者オンム・セティと古代エジプトの謎 [歴史・哲学等]

 「転生者オンム・セティと古代エジプトの謎」
 ハニー・エル・ゼイ&キャサリン・ディーズ著 田中真知訳 (学習研究社) 


 前世の記憶を持つ女性エジプト学者の人生と、古代エジプトの知られざる物語です。
 主人公オンム・セティは、前世の記憶を発掘に生かしているのだそうです。

 2008年に学習研究社から出版された単行本です。数年前TVで話題となりました。
 しかし、現在は品切れのようです。私は図書館で借りて読みました。


転生者オンム・セティと古代エジプトの謎―3000年前の記憶をもった考古学者がいた!

転生者オンム・セティと古代エジプトの謎―3000年前の記憶をもった考古学者がいた!

  • 作者: ハニー・エル・ゼイニ
  • 出版社/メーカー: 学研マーケティング
  • 発売日: 2008/10
  • メディア: 単行本



 ドロシーは3歳の時、家の階段から転落して、一時的に意識を失いました。
 意識を回復すると、なぜか古代エジプトの記憶を、持つようになっていたのです。

 その後、夢で壮大な神殿を見て、そこを自分の故郷だと感じ・・・
 ある晩やってきたミイラ男は、実は・・・

 結婚してエジプトに行ってからは、更に不思議なことが次々と起こります。
 古代の亡霊、異次元の王宮、一度だけ入り込んだ王の宝庫、古代の魔術・・・

 ミステリー小説以上に面白かったです。それにしても、恐るべき内容の本です。
 にわかには信じられません。ここに書かれていることは、真実なのでしょうか。

 例えば、彼女の日記の「昨夜、王様がいらっしゃった。」というような記述。
 王様とは、3000年前に生きた、偉大なる王セティ1世のことですから。

 すべては幻覚だ、といって片付けることもできるかもしれません。
 故郷から離れ、家族と別れた女性の、代償的な心理だと考えることもできます。

 しかし、それにしては、オンム・セティの実績は大きすぎます。
 セティ1世との交流も、本当なのではないかと、思ってしまいます。

 彼女のことは、以前「世界ふしぎ発見」で特集されました。(見たかった!)
 あの吉村作治氏も尊敬しているとか。すでに亡くなっているのが残念です。

 さいごに。(ホワイトザッハトルテ)

 ホワイトザッハトルテなるものが食べるために、家族3人でスタバに行きました。
 おいしかったのですが、ホワイトチョコが固めで、ザッハトルテとは違うような・・・

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死刑執行人サンソン [歴史・哲学等]

 「死刑執行人サンソン」 安達正勝 (集英社新書)


 ルイ十六世を敬愛しながらも、その首を刎ねた死刑執行人サンソンの物語です。
 死刑執行人の目を通して見た、フランス革命の裏面史です。

 集英社新書から出ています。文庫本ではありません。
 文章は分かりやすく、小説ではありませんが、小説のように面白いです。


死刑執行人サンソン ―国王ルイ十六世の首を刎ねた男 (集英社新書)

死刑執行人サンソン ―国王ルイ十六世の首を刎ねた男 (集英社新書)

  • 作者: 安達 正勝
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2003/12/17
  • メディア: 新書



 ルイ十六世、王妃マリー・アントワネット、ロベスピエールと、次々と処刑し、
 フランス革命の表舞台に登場した死刑執行人、アンリ・シャルル・サンソン。

 彼は、代々パリの死刑執行人を務める、サンソン家の四代目です。
 15歳で跡を継ぎますが、時代のうねりに否応なく巻き込まれていきます。

 国王を敬愛しながらも、国王を処刑するように命令されたサンソンの苦悩・・・
 死刑廃止を訴える、死刑執行人だった男の複雑な心境・・・

 私がこの作品を知ったのは、宮崎哲弥の「新書365冊」によってです。
 「これは傑作である。内容が興味深いだけでなく、文章も上手い。」(P261)

 さっそく読んでみて、納得しました。
 序章の、初代サンソン家誕生の話から、とてもとても面白いです。

 中心となっているサンソンの物語は、もちろん興味深い。
 しかし、ルイ十六世のことや、ギロチン誕生のことなども、これまた興味深い。

 ルイ十六世は、実は様々な改革をしていて、意外に名君だった・・・
 ギロチンは、自由と平等の思想から生まれた、人道的なものだった・・・

 専門知識があり、文のセンスもある人が書くと、これほど深く面白くなるのか。
 つまみ食い的にエピソードを集めた、興味本位の読み物とは、全く違います。

 ところで、サンソンを主人公にした、「イノサン」というマンガがあるそうです。
 ツタヤにあったら、レンタルしてみようかな。(マンガは買わない)


イノサン 1 (ヤングジャンプコミックス)

イノサン 1 (ヤングジャンプコミックス)

  • 作者: 坂本 眞一
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2013/06/19
  • メディア: コミック



 さいごに。(今度は風邪で休み)

 娘の溶連菌は治ったのですが、そのあと風邪をひいて、熱が下がりません。
 咳が出て、ぐったりして、苦しそうなので、見ていてせつないです。

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怖い絵 [歴史・哲学等]

 「怖い絵」 中野京子 (角川文庫)


 怖い絵を通して、その背景にある歴史的事実を解説したエッセイです。
 ドイツ文学者の著者は、この作品で注目されるようになりました。

 角川文庫から出ています。シリーズ化されて、全3巻が出ています。
 図版が豊富ですが、絵が小さいため、細かいところがよく見えません。


怖い絵  (角川文庫)

怖い絵 (角川文庫)

  • 作者: 中野 京子
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2013/07/25
  • メディア: 文庫



怖い絵  死と乙女篇 (角川文庫)

怖い絵 死と乙女篇 (角川文庫)

  • 作者: 中野 京子
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/08/25
  • メディア: 文庫



怖い絵 泣く女篇 (角川文庫)

怖い絵 泣く女篇 (角川文庫)

  • 作者: 中野 京子
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2011/07/23
  • メディア: 文庫



 「怖い絵」第一巻では、22の作品が取り上げられています。
 ドガ、ボッティチェリ、ゴヤ、ムンク、ルドン、ゴッホなどが、続々と登場します。

 中野がこの本を書いたきっかけは、「マリー・アントワネット最後の肖像」です。
 処刑の日、さらし者になっている元王妃を、ダヴィッドがスケッチしたものです。

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 ダヴィッドといえば、「ナポレオンの戴冠式」を描いた画家です。
 だから、これを書いた当時の彼が、ジャコバン党員だったと知って驚きました。

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 さて、ダヴィッドの「マリー・アントワネットの最期の肖像」について。
 この簡単なスケッチについての、中野の解釈がとても面白かったです。

 ダヴィッドは、悪意を込めて外見を醜く描いたものの、「心は何ものにも屈せざる
 大した女性を描いてしまった」ことで、内心うろたえたのではないかと言います。

 それこそ、第一流の芸術家の宿命というものでしょうか。
 時流に乗って変節した生き方は二流かもしれないが、その絵は文句なく一流でした。

 ほかに、「我が子を喰らうサトゥルヌス」、「キュクロプス(一つ目巨人)」、
 「ホロフェルネスの首を斬るユーディット」等、いかにも怖い絵が多くあります。

 また、「エトワール、または舞台の踊り子」、「グラハム家の子どもたち」、
 「空気ポンプの実験」等、一見すると普通なのに、実は怖い絵というのもあります。

 しかし、私が一番怖いと思ったのは、ムンクの人生です。
 ムンクは、自ら精神科に入院し、心身の健康を取り戻すと、良い絵が描けなくなった。

 「病める魂が鎮まるとともに、ムンクの天才も消えてしまったのだ。」(P151)
 ムンクの画家としての運命は、あまりにも残酷で、怖かったです。

 逆にゴッホは、死の前の3年間、狂気とともに天才を発揮し、燃え尽きました。
 ムンクとゴッホ、どちらが幸せだったのか、微妙なところです。

 さいごに。(紅葉)

 家族3人で、紅葉を見に行きました。
 ほとんど終わっていましたが、散りぎわの時期独特の、寂しい情緒がありました。

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パリの王様たち [歴史・哲学等]

 「パリの王様たち」 鹿島茂 (文春文庫)


 フランスの文豪ユゴー・デュマ・バルザックを、比較しながら描いた評伝です。
 三大文豪の過剰な人生を通して、19世紀フランスの精神風土が分かります。

 私はバルザック関連の本を探していて、この作品に行きあたりました。
 文春文庫から出ていましたが品切れのため、アマゾンで手に入れました。


パリの王様たち―ユゴー・デュマ・バルザック三大文豪大物くらべ (文春文庫)

パリの王様たち―ユゴー・デュマ・バルザック三大文豪大物くらべ (文春文庫)

  • 作者: 鹿島 茂
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1998/01
  • メディア: 文庫



 1830年前後のフランスでデビューした、ユゴー、デュマ、バルザック。
 彼らロマン派の第一世代は、仕事も欲望も桁外れのスケールでした。

 次から次に傑作を書きまくり、欲望のままに行動した三人の大文豪。
 彼らが目指したのは、ナポレオンだったのです・・・

 実に楽しい評伝でした。その多くは女とカネの話です。
 面白いエピソードが、これでもかこれでもかと出てきます。

 ユゴーは性欲の人、デュマは蕩尽の人、バルザックは借金の人。
 三者三様の生き様が、交錯しながら語られ、少しも飽きさせません。
 
 とりわけ面白かったのは、バルザックが次々に行動して借金を背負うところ。
 そして、次々に貴族の女性を求めて恋をするところです。

 ただし、三人には似たエピソードがあるので、頭がごちゃごちゃしてきます。
 私は何度も読み返し、誰のエピソードだったか確認しながら進みました。

 所々に、鹿島氏の鋭い私見が入るところが、この本のもう一つの魅力です。
 特に「文学的パッション」というとらえ方は、とても興味深かったです。

 ロマン派の第一世代は、自分の幻の父親としてナポレオンを想定しました。
 彼らはナポレオンのように、強烈なパッションをもって生きたといいます。

 鹿島茂には、「ナポレオン フーシェ タレーラン」という著書もあります。
 オススメです。→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2012-08-24


ナポレオン フーシェ タレーラン 情念戦争1789―1815 (講談社学術文庫)

ナポレオン フーシェ タレーラン 情念戦争1789―1815 (講談社学術文庫)

  • 作者: 鹿島 茂
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/08/10
  • メディア: 文庫



 さいごに。(ちびまるこちゃん音頭)

 うちの市は、さくらももこの出身地です。
 地元の小学生たちは、夏祭りに向けて、ちびまるこちゃん音頭を練習します。

 周に1回、夜の7時から8時まで、娘は公民館へ盆踊りの練習に行きます。
 夜、子供同士で集まってワイワイやることが、とても楽しいみたいです。

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反哲学史 [歴史・哲学等]

 「反哲学史」 木田元 (講談社学術文庫)


 西洋哲学という思考形式の形成と、その解体と克服の過程を描いた著書です。
 「反哲学」を説く木田氏の、主著のひとつです。

 現在、講談社学術文庫から出ています。哲学ファンは必携。
 この名著が、文庫で手軽に読めるのは、本当にありがたい。


反哲学史 (講談社学術文庫)

反哲学史 (講談社学術文庫)

  • 作者: 木田 元
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2000/04/10
  • メディア: 文庫



 前4世紀。アテネは没落し、衆愚政治はソクラテスを処刑しました。
 当時の混沌とした世界で、プラトンは新しい思考様式を生み出しました。

 それが、イデア論です。
 それは、現実の外に、理想的で完全な世界(イデアの世界)を想定します。

 実に不自然な思考様式ですが、この後ヨーロッパ哲学 の主流となりました。
 プラトンの以後のヨーロッパ哲学は、全て形を変えたプラトン主義です。

 近代に、この極めてヨーロッパ的な偏った思考を打ち破る動きが生じます。
 それが、反哲学の運動で・・・

 たとえば立花隆氏など、さまざまな著名人が絶賛している本です。
 読んで納得。哲学の核心部分が、とても分かりやすく説明されていました。

 決して網羅的な本ではありません。
 全体の半分近くのページが、ギリシア哲学にさかれています。

 特にソクラテスとプラトンは、生き生きとした筆致で描かれています。
 (このテンションで、デカルトやカントやニーチェも描いてほしかった!)

 さて、この本をさらに分かりやすくしたのが、新潮文庫の「反哲学入門」。
 内容は本書と少し重複しますが、わずか500円ほどでオススメの本です。


反哲学入門 (新潮文庫)

反哲学入門 (新潮文庫)

  • 作者: 木田 元
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/05/28
  • メディア: 文庫



 「反哲学史」の続編が、「現代の哲学」です。
 しかし、書かれたのは「反哲学史」よりだいぶ前。そのためやや難解でした。


現代の哲学 (講談社学術文庫)

現代の哲学 (講談社学術文庫)

  • 作者: 木田 元
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1991/04/08
  • メディア: 文庫



 木田元について知りたいなら、ちくま文庫の「闇屋になりそこねた哲学者」。
 哲学者らしからぬ、実にユニークな経歴の持ち主です。


闇屋になりそこねた哲学者 (ちくま文庫)

闇屋になりそこねた哲学者 (ちくま文庫)

  • 作者: 木田 元
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2010/05/10
  • メディア: 文庫



 さいごに。(新しいクラス)

 7日から小学校の新学期が始まっています。娘は3年生になりました。
 近所の仲の良い男の子と、今年も同じクラスなので、少し安心です。

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肉食の思想 [歴史・哲学等]

 「肉食の思想」 鯖田豊之 (中公新書・中公文庫)


 食の違いから西洋の思想を解明する、ユニークな比較文化論の傑作です。
 副題は、「ヨーロッパ精神の再発見」です。

 中公新書から1966年に出て、現在なお読まれ続けている名著です。
 私が読んだのは、2007年に出た中公文庫版。実は、妻の蔵書です。


肉食の思想―ヨーロッパ精神の再発見 (中公新書 (92))

肉食の思想―ヨーロッパ精神の再発見 (中公新書 (92))

  • 作者: 鯖田 豊之
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 1966/01
  • メディア: 新書



肉食の思想―ヨーロッパ精神の再発見 (中公文庫)

肉食の思想―ヨーロッパ精神の再発見 (中公文庫)

  • 作者: 鯖田 豊之
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2007/08
  • メディア: 文庫



 ヨーロッパの風土は牧畜に適していて、家畜は放っておいても育ちました。
 だから、昔から放牧が盛んで、肉食の比率が高かったのです。

 ヨーロッパの人々は、家畜を大切に育てたのは、それを食べるためでした。
 だから、動物の愛護と、動物の屠畜が、矛盾しませんでした。

 ヨーロッパでは、人間だけが、他の動物を支配し、食べてきました。
 だから、人間と動物を断絶させる論理と、人間中心の思想が生まれました。

 この、キリスト教の人間中心の思想が、ヨーロッパ精神の一番の特色です。
 ヨーロッパ独特の階層意識も、ここから生じていて・・・

 すばらしい本でした。まさに、目からウロコでした。
 食とは文化です。食は人間を作り、国を作ります。

 実はこの本は、妻に勧められたのです。
 この本をほめると、さっそく妻は、ほかにも紹介してくれました。

 「塩の道」「幼児教育と脳」「人間は脳で食べている」等です。
 読みたい本が、また増えてしまいました。

 さいごに(小児食生活アドバイザー)

 うちの妻は、「小児食生活アドバイザー」というものを取っています。
 「肉食の思想」や「塩の道」などは、妻がその勉強のために読んだ本。

 そういうわけで、我が妻は、食生活に少しうるさいです。
 ポテチなど体に悪そうなものは、隠れてこっそり食べています。

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茶の本 [歴史・哲学等]

 「茶の本」 岡倉覚三著 村岡博訳 (岩波文庫)


 アメリカにおいて、日本の茶道の精神を論じた、日本文化論の名著です。
 ニューヨークで出版された「ザ・ブック・オヴ・ティー」の翻訳です。

 岩波文庫から出ていますが、訳は1929年のもの。
 改版されていますが、少し読みにくかったです。


茶の本 (岩波文庫)

茶の本 (岩波文庫)

  • 作者: 岡倉 覚三
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1961/06/05
  • メディア: 文庫



 薬として始まり飲料として広まった茶を、日本人は茶道に発展させました。
 本家の中国で廃れてしまった茶の精神が、日本では今も受け継がれています。

 それは、道教、禅、茶室、茶道具、芸術、花などから成り立っています。
 そして、私たちの生活、生き方、美学、理想などに影響を与えています・・・

 さて、私がこの本を読んだのは大学時代で、当時は仏像がマイ・ブームでした。
 禅寺や茶室にも興味を持つようになり、自然と「茶の本」を手に取りました。

 「一原子の中にも大宇宙と等しい可能性がある」(P49)
 こんな言葉にしびれていました。あのころ、この本は、わが友でした。

 わずか100ページ足らず。しかも、わずか210円(1989年版)。
 しかし、この小さな本の中に、茶の宇宙が広がっていました。

 今回、この本を25年ぶりに読み直したのは、岡倉天心に対する興味からです。
 彼は、九鬼周造の母親と、不倫関係になったのですが、この経緯が面白い。

 美術調査員として渡米した天心は、パトロンの九鬼からある依頼をされました。
 それは、妊 娠した妻はつ子を、日本へ無事に送り届けるというものでした。

 しかし帰国の船上で、天心とはつ子は、深く愛し合うようになったのです。
 帰国後に、はつ子から生まれたのが、九鬼周造です。

 のちに天心は、このスキャンダルのため、東京美術学校の校長を辞任します。
 そして、日本美術院を創設するなど、新たな挑戦を始めます。

 天心に対して、九鬼周造は複雑な思いを持ちつつも、尊敬していたようです。
 周造が出した「いきの構造」には、天心からの影響が読み取れます。

 ところで、角川ソフィア文庫からも、「茶の本」が出ていました。
 新訳で分かりやすいのですが、品切れ。本当はこちらがオススメなのですが。


新訳・茶の本―ビギナーズ日本の思想 (角川ソフィア文庫)

新訳・茶の本―ビギナーズ日本の思想 (角川ソフィア文庫)

  • 作者: 岡倉 天心
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2005/01/01
  • メディア: 文庫



 さいごに。(ちっとも安くない)

 ドコモで、+2500円でタブレットが持てると言うので、行ったのですが・・・
 2500円で持つためには、いろいろと他に割高な条件があって・・・

 結局、タブレットを持とうとしたら、どうしても+6500円ぐらいになります。
 なあんだ、ちっとも安くない。それなら、ケータイだけ(約1600円)でいいよ。

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