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ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯 [16世紀文学]

 「ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯」 会田由(ゆう)訳 (岩波文庫)


 少年ラーサロが、主人から主人へと渡り歩きながら、様々な苦労をする物語です。
 スペイン文学伝統のピカレスク小説を、流行させるきっかけになった作品です。

 初訳はなんと1941年(!)。1964年に改訳されました。意外と読みやすいです。
 しばらく絶版でしたが、昨年2016年11月に復刊されました。


ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯 (岩波文庫)

ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯 (岩波文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1972/09
  • メディア: 文庫



 めくら乞食、けちんぼ坊主、文無しの気取り従士、ニセ免罪符売り・・・
 クセのある主人に次々と仕え、さんざんの苦労の末に、最後は・・・

 わずか150ページです。ラーサロの生涯に沿って、全七話を収録しています。
 小説と言うより、ラーサロを主人公にしたドタバタ話集、という感じでした。

 現代の我々がこのドタバタ劇を読んで、笑えるかというとちょっと微妙です。
 聖職者や騎士を笑いものにしているところが、当時は痛快だったのでしょう。

 その中でイチオシは、ニセ免罪符売りの話です。
 免罪符売りの場に役人がやってきて、「ニセモノだ」とばらしてしまい・・・

 こういうことをあからさまに書いたので、異端審問で問題になったようです。
 本文の一部は削除され、作者は異端審問を恐れて匿名にしました。

 実は私は、この作品には、失われた続編があると思っています。
 というのも、ラーサロの語りは、その生涯の途中で終わっているからです。

 「かくて、わたくしはちょうどこの時分、富み栄えて、わたくしの幸運という
 幸運の、絶頂に立っていたのでございます。」という言葉で終わっています。

 それなら、ラーサロの没落していく後半生の物語が、あるに違いありません。
 まえがきで、自分の身の上を余すところなく知ってもらう、と言っているので。

 それはともかく、この作品は西洋で大流行し、文学界に大きな影響を与えました。
 そいうい意味で、スペイン文学史上において、外せない作品となっています。

 さいごに。(新年会でのこと)

 妻の実家で新年会に参加した時、「自分の娘の婿」の話題で盛り上がりました。
 自分の娘がどんな人と結婚してほしいか、皆好き勝手なことを言っていました。

 私が「家の近くに住んでくれる人なら誰でもいい」と言うと、爆笑が起こりました。
 笑いを狙ったわけではなく、思ったままを言ったのですが・・・

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エルサレム解放 [16世紀文学]

 「エルサレム解放」 タッソ作 A・ジュリアーニ編 鷲平京子訳 (岩波文庫)


 第1回十字軍における、キリスト教軍とイスラム軍の戦闘を描いた叙事詩です。
 イタリア・ルネサンス期の詩人タッソの、大傑作です。

 ずっと読めなかったこの作品が、抄訳ながら2010年に岩波文庫から出ました。
 省略部分は、編者によって補われているので、とても分りやすいです。


タッソ エルサレム解放 (岩波文庫)

タッソ エルサレム解放 (岩波文庫)

  • 作者: トルクァート・タッソ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2010/04/17
  • メディア: 文庫



 キリスト側の大将は、ゴッフレード。冷静沈着で、完全無欠の騎士です。
 天啓によって総大将となりました。常に天使が味方しています。

 イスラム側の大将は、アラディーノ王。小心な老人です。
 悪魔が見方しています。魔術師を使ったりします。

 キリスト側の正義に対し、異教徒イスラム側の悪という図式です。
 私はどちらかというと、侵略していったキリスト側が、悪だと思いますが。

 ともかく最初から、正義であるキリスト側の勝利が、約束されています。
 ところが面白いことに、魅力的な人物は皆、イスラムの女性なのです。

 例えば、女戦士クロリンダ。
 美しさゆえに、敵の勇者タンクレーディから愛されて、戦地では・・・

 例えば、薄幸のエルミーニア姫。
 敵の勇者タンクレーディに捕らわれながらも、彼を愛してしまい・・・

 例えば、女魔術師アルミーダ。
 敵の勇者リナルドに復讐を誓いながらも、彼を愛してしまい・・・

 イスラムの美しき女性たちが登場すると、戦いの話が愛の話に変わります。
 しかもすべてが禁断の愛。物語として、実に面白いです。

 よくよく読んでみると、タッソの描き方は、案外公平かもしれません。
 イスラム側の苦しい事情が、彼女たちの口を通して伝えられているからです。
 この公平さゆえに、この作品は普遍的な価値を持つと思います。

 後年、タッソはこの作品を改変し、「征服されたエルサレム」と題しました。
 しかし、当時のキリスト教社会からは、不評だったとか。

 ところで、ゲーテがタッソに感情移入していたことは有名です。
 私は恥ずかしながら、ゲーテの「タッソオ」で、この詩人を知りました。
 「タッソオ」 →  http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-07-06-1

 さいごに。(初めての映画館)

 娘はこの夏ママと一緒に、初めて映画館に映画を見に行きました。
 今までは、中が暗くなるのを怖がっていたため、入れませんでした。

 見たのは、「モンスター・ユニバーシティ」。
 とても面白かった、と言っていました。

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ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら [16世紀文学]

 「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」 阿部謹也訳 (岩波文庫)


 14世紀に実在したと言われる、伝説の奇人オイレンシュピーゲルの物語です。
 15世紀から16世紀にかけて、ドイツで流行した最も有名な民衆本です。

 1990年に岩波文庫から出ました。訳は分りやすいです。
 1話が短く、全96話に挿絵が付けられていて、絵本のように楽しく読めます。


ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら (岩波文庫)

ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら (岩波文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1990/05/16
  • メディア: 文庫



 伝説の放浪者オイレンシュピーゲルの、様々ないたずらを綴った物語です。
 全96話の短いエピソードで構成されています。

 あるときは司教の助手、あるときは料理人、ラッパ係、鍛冶屋、靴屋、パン屋、
 仕立屋、皮職人、指物師、理髪師、小姓、道化、ニセ医者、ニセ画家、ニセ商人…

 あらゆる職で、あらゆるいたずらをします。
 それにしても、うんこネタが多すぎです。

 例えば、山盛りのうんこに、スプーンをふたつ付けて…(第24話)。
 例えば、うんこをだんごにして、ユダヤ人に売りつけて…(第35話)。
 例えば、壁にうんこして、その匂いを隣の部屋に送って…(第77話)。

 さらに、暖炉にうんこ、ベッドにうんこ、浴場にうんこ、食卓にうんこ、
 食べ物の上にもうんこ … どこにでもうんこをします。

 挿し絵にも、うんこの絵が多すぎです。
 特に、第69話の裸でうんこしている絵は、頭にこびりついて離れません。

 まだまだたくさんあります。こういうネタがお好きな人はどうぞ。
 好きな人は楽しめると思います。(私は楽しめた)

 ただし、我が家ではおおっぴらにこういう話はできません。妻が嫌がるので。
 娘にこっそりと教えてあげたら、とても喜んでくれました。

 ところで、この岩波文庫版は、訳注と解説が100ページも付いています。
 オイレンシュピーゲルという名は、ある地方では「尻を洗う」という意味を持つとか、
 たまに面白いことが書かれてはいますが、普通は読まないでしょう。

 さいごに。 (ムートン)

 地元のショッピングセンターで、「ムートン」という象のぬいぐるみを買いました。
 かわいいです。妻も娘も、とても気に入っています。

【センチメンタルサーカス】ぬいぐるみ/M(ムートン)★シャッポ&ムートン★

【センチメンタルサーカス】ぬいぐるみ/M(ムートン)★シャッポ&ムートン★

  • 出版社/メーカー: サンエックス(株)
  • メディア: おもちゃ&ホビー



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君主論 [16世紀文学]

 「君主論」 マキアヴェッリ作 佐々木毅訳 (講談社学術文庫)


 マキアヴェッリによる、近代政治学の古典的名著です。
 本書においては、チェーザレ・ボルジアが、理想の君主とされています。

 現在、講談社学術文庫、中公文庫、岩波文庫で、読むことができます。
 私が読んだのは、講談社学術文庫版です。
 活字が大きくて読みやすいですが、訳は期待していたほどではなかったです。

 新訳だとばかり思っていたら、1978年に出たものを補筆したのだとか。
 しかし、最初に解説があり、1章ごとに補足説明がある点は、嬉しいです。


君主論 (講談社学術文庫)

君主論 (講談社学術文庫)

  • 作者: マキアヴェリ
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2004/12/11
  • メディア: 文庫



 この本を、政治学のテキストだと思って読んではいけません。
 そんなふうに読んだら、全く面白くありません。
 第一、意味がよく分かりません。

 この本は、エピソード集だと思って、興味深い箇所を拾い読みするべきです。
 特に第7章。この章は、チェーザレの章です。
 当時マキアヴェッリが、チェーザレをどのように見ていたのかが分かります。

 8章にも、13章にも、17章にも、20章にも、チェーザレは登場します。
 チェーザレ、チェーザレと、まるで愛しい人でも呼ぶかのように、
 マキアヴェッリは、この冷酷な男の名前を、頻繁に引用します。

 ほほえましいです。
 チェーザレの名を発見するたびに、私自身も嬉しくなってしまいます。

 マキアヴェッリにとって、チェーザレは偶像でした。
 次のような言葉も、チェーザレを念頭に置いたものでしょう。(P144)

 「必要な場合には悪事に踏み込むことができる心構えを持つ必要がある」

 このような言葉ゆえに、「マキャヴェリズム」などと言われて、批判されます。
 しかし、どうせなら、「チェーザリズム」と言ってほしい。

 マキアヴェッリの主張は、全体的には、さほど過激ではないです。
 理想よりも、現実を重視しているだけです。

 ところで、「君主論」に並ぶマキアヴェッリの名著に、「ローマ史論」があります。
 この本が、今年3月に、ちくま学芸文庫から出ていました。ノーチェックでした!


ディスコルシ ローマ史論 (ちくま学芸文庫)

ディスコルシ ローマ史論 (ちくま学芸文庫)

  • 作者: ニッコロ・マキァヴェッリ
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2011/03/09
  • メディア: 文庫



 さいごに。

 うちの娘が、「大きくなったら、ケーキ屋さんになりたい」と、言ったので、
 「パパも応援するよ」と言ったら、すかさず妻に、こう言われました。
 「パパは、自分がケーキを食べたいだけでしょ」

 図星です。
 甘党の私としては、これほど嬉しいことはありません。

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