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白蓮れんれん [日本の現代文学]

 「白蓮れんれん」 林真理子 (集英社文庫)


 筑紫の女王「白蓮」が再婚してから、白蓮事件を起こすまでを描いた伝記小説です。
 2014年の連ドラ「花子とアン」では、仲間由紀恵が白蓮を演じて話題になりました。


白蓮れんれん (集英社文庫)

白蓮れんれん (集英社文庫)

  • 作者: 林 真理子
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2005/09/16
  • メディア: 文庫



 1911年、柳原燁子(あきこ)は、九州の炭坑王・伊藤伝右衛門のもとに嫁ぎました。
 この不釣り合いな結婚は、「華族の令嬢が売り物に出た」と、話題になりました。

 燁子は、出戻りとはいえ、大正天皇の従妹で、まだ26歳。
 伝右衛門は、大富豪とはいえ、労働者上がりでもう51歳。

 九州に着くと燁子は、伊藤家の複雑な事情を知り、次々と希望を失っていきました。
 そして、自身の苦悩を短歌に託し、白蓮と名乗って、雑誌に発表し続けるのでした。

 1919年に発表した戯曲「指鬘外道」(しまんげどう)が、文学界で注目されました。
 翌年、その戯曲のことで白蓮のもとにきたのは、27歳の宮崎龍介。運命の出会い!

 二人はいかにして、禁断の愛におぼれていったのか?
 そしていかにして、白蓮事件を起こしたのか?

 事件当時、白蓮は36歳、宮崎龍介は29歳。世間を大きく騒がせました。
 ひょっとしたら白蓮は、こういう形で、社会に復讐をしたかったのではないか。

 さてこの小説は、白蓮事件が起こるまでの、九州における10年ほどを描いています。
 東洋英和女学校時代のことは出てきません。村岡花子もほとんど出てきません。

 だから、2014年にNHKで放送した「花子とアン」は貴重でした。見ておきたかった!
 しかも、白蓮役は仲間由紀恵だったというではないか。(ドラマでは「葉山蓮子」役)

 また、この小説は、「不機嫌な果実」とは全く違いました。
 「不倫小説」と呼ぶのは不適切でした。ジャンルは「伝記小説」でしょうか。

 さいごに。(水泳補習が楽しみだった)

 娘はある程度泳げるため、水泳の補習はわずか1日で終わりました。
 1日目で合格したことで、娘はとてもがっかりしています。

 補習は人が少なくて、楽しく泳げたといいます。
 今、自由プールに行っていますが、人が多すぎてあまり泳げないのだそうです。

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カンガルー日和 [日本の現代文学]

 「カンガルー日和」 村上春樹 (講談社文庫)


 「カンガルー日和」「鏡」など全18編を収録した、村上春樹の初期の短編集です。
 所々に佐々木マキのイラストが入っていて、おシャレです。


カンガルー日和 (講談社文庫)

カンガルー日和 (講談社文庫)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1986/10/15
  • メディア: 文庫



 冒頭の「カンガルー日和」は、彼女と二人でカンガルーの子どもを見に行く話です。
 わずか8ページですが、村上春樹特有の味わいがあります。

 カンガルーの赤ん坊の誕生を知って1カ月。ようやくやってきたカンガルー日和。
 僕と彼女が楽しみにしていた赤ん坊は、しかしすでに大きく成長していて・・・

 ありふれた日常の一コマを描きながら、どこか不思議でイミシンな感じがします。
 だから、何かほかに深い意味があるのではないかと、深読みしたくなる作品です。

 僕と彼女は同棲しているのに、「僕」「彼女」と呼んでいて、夫婦ではなさそう。
 彼女はなぜかピリピリしていて、カンガルーの赤ん坊に異常にごだわっている。

 彼女は妊娠しているのでは? と、誰でも考えるでしょう。
 カンガルーの赤ん坊は、自分の胎内の子を暗示しているように思えます。

 ひょっとして、月曜日の朝に二人が行ったのは、動物園ではなく婦人科なのでは?
 考えすぎかもしれないけど、月曜日はたいていの動物園が閉まっているので。

 ところで、この作品は最近、高校の国語の教科書にも載っています。
 学校で教えるには、少し微妙な問題を含んでいると思いますが・・・

 「鏡」も高校の国語の教科書に載っている作品です。この作品もイミシンです。
 鏡は何だったのか? 鏡の中の僕は何だったのか? 様々な解釈ができて面白い。

 「図書館奇譚」と「1963/1982年のイパネマ娘」は、幻想的で印象に残ります。
 特に「図書館奇譚」には羊男が出てくるので、興味深いです。

 以上、タイトルを紹介した4編が私のオススメです。
 正直に言って、この短編集には「だから、なに?」という作品も入っています。

 さいごに。(アマゴをさばく)

 宿泊研修では、全員がアマゴを自分でさばいて、塩焼きにしたのだそうです。
 アマゴをデコピンで気絶させ、ハサミで腹を切って内臓を出したのだそうです。

 しかし娘のアマゴは気絶しなくて、クネクネと動くアマゴの腹を裂いたという。
 そのアマゴはとてもおいしかったとのこと。貴重な体験をしたと思います。

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不機嫌な果実 [日本の現代文学]

 「不機嫌な果実」 林真理子 (文春文庫)


 32歳の美しき人妻が、結婚6年目にして不倫に走り、人生を転換する物語です。
 「不倫小説の最高傑作」として有名で、石田ゆりこ主演でドラマ化されました。


不機嫌な果実 (文春文庫)

不機嫌な果実 (文春文庫)

  • 作者: 林 真理子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2001/01/10
  • メディア: 文庫



 水越麻也子は、32歳の美しい人妻です。結婚6年目で、まだ子供がいません。
 夫に対する不満から、ある日かつての恋人の野村に連絡を取りました。

 野村は、広告代理店に勤める中年の男で、すでに結婚しています。
 彼との不倫なら、いつでも引き返すことができる。

 しかし、独身の若き音楽評論家の通彦(みちひこ)と出会ってしまいました。
 彼との不倫は、野村とはまったく違う・・・

 あのみずみずしい青春小説「葡萄が目にしみる」と、なんと違うことか。
 「葡萄が目にしみる」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2016-11-24

 しかし、内容は違うものの、文章はやはりうまい、と思いました。
 次のような名文が、数ページおきに、さりげなく登場します。

 「可能性というのは、違う道もあり得るのだというやさしい示唆だ。が、それが
 失くなってしまった今、麻也子の前にあるのはのっぺりとした一本の日常である。」

 また、女性から見た男性観察が、とても鋭くて面白いです。
 次のような文は、男にはなかなか書けないと思います。

 「過去について、具体的なことを口にし始めるのは、男が欲情している証拠である。」
 「買い被りは、男の気持ちが既に愛情すれすれのところまで来ている何よりの証だ。」

 さて、この物語の結末は・・・やっぱりね。どうして麻也子は気付かなかったのか。
 いい歳をして「高等遊民になりたい」なんて言ってる男を、信じてはいけない!

 それにしても、この本を読んで、不倫に憧れてしまう人もいるのでは?
 女性にはあまり読んでほしくない小説です。

 ところで林真理子には、もうひとつ不倫小説「白蓮れんれん」があります。
 この勢いに乗って、読んでみたいです。


白蓮れんれん (集英社文庫)

白蓮れんれん (集英社文庫)

  • 作者: 林 真理子
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2005/09/16
  • メディア: 文庫



 さいごに。(宿泊研修)

 2泊3日の宿泊研修から、娘が帰ってきました。「楽しかった!」とのこと。
 行く前は少し憂鬱そうでしたが、元気に帰ってきてよかったです。

 学校からは、こまめに一斉メールが来ました。便利な世の中になりましたね。
 「現地到着。車酔いはいませんでした」などと知らされて、ほっとしました。

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サクリファイス [日本の現代文学]

 「サクリファイス」 近藤史恵 (新潮文庫)


 自転車競技のアシストとして活躍する青年と、仲間たちとのドラマを描いています。
 2008年本屋大賞で2位に入りました。青春小説でもありミステリーでもあります。


サクリファイス (新潮文庫)

サクリファイス (新潮文庫)

  • 作者: 近藤 史恵
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/01/28
  • メディア: 文庫



 白石誓(ちかう)は、もと陸上の長距離選手で、全国優勝したほどの実力者です。
 しかし、走ることや勝つことの意味が分からなくなり、自転車に転向しました。

 そして彼はプロのロードレースチームに所属し、アシストとして活躍しています。
 その役割は、チームのエースを勝たせるために、徹底的に尽くすことです。

 アシストはエースの踏み台ですが、誓はその仕事にプライドを持っています。
 そして、チームのエース石尾のために、全力でサポートしていますが・・・

 石尾が故意に起こしたという、過去の事故の真相は?
 そして、石尾の身に起こった事故の真相は?

 私はロードレースのことを全く知らなかったのですが、とても楽しめました。
 読んでいるうちに、少しずつロードレースについて、知ることができました。

 自転車競技が、団体競技であり、紳士のスポーツと言われる理由が分かります。
 そして、特に興味深かったのは、アシストという役割です。

 誓は、石尾を勝たせるために、風よけとなって走り、全力で彼を引っ張ります。
 まさに、エースのために犠牲(サクリファイス)となるのです。

 それが分かっている石尾も、チームのために犠牲(サクリファイス)となります。
 あとになって誓は知ります。石尾の言動の意味と、その思いを。

 なんという男同士の信頼!
 これは、女性によって書かれた、最高の「男の小説」でしょう。

 しかし、読後のもやもやはなんだ? これは袴田と元恋人の香乃からくるもの。
 卑劣な男と、見る目のない女。こいつら、このままでいいのか?!

 さて、続巻の「エデン」「サヴァイブ」「キアズマ」も、とても気になります。
 また、TVでツールド・フランスを見てみたくなりました。


エデン (新潮文庫)

エデン (新潮文庫)

  • 作者: 近藤 史恵
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2012/12/24
  • メディア: 文庫



キアズマ

キアズマ

  • 作者: 近藤 史恵
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2013/04
  • メディア: 単行本



 さいごに。(調べ学習?)

 娘が熱心にパソコンを見ながらメモをとっていました。何を調べているのか?
 こっそりメモをのぞいてみると、そこには新しく始まるドラマのタイトルが!

 何かと思えばくだらない。新しいドラマのチェックをしていたのです。
 見たいドラマが3つもあって、困っています。見られるのは2つまでなので。

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女ざかり [日本の現代文学]

 「女ざかり」 丸谷才一 (文春文庫)


 大新聞の論説委員である40代の南弓子が、政府の圧力に屈せず奮闘する物語です。
 1993年に出版されてベストセラーとなり、吉永小百合主演で映画にもなりました。


女ざかり (文春文庫)

女ざかり (文春文庫)

  • 作者: 丸谷 才一
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1996/04/10
  • メディア: 文庫



 南弓子は40代でバツイチのシングルマザーで、仕事も恋もがんばっています。
 知的で美しく、多くの地位ある男たちに囲まれ、今がまさに「女ざかり」です。

 ところが、弓子の書いた単身赴任についての社説が、政府を激怒させました。
 社内での地位が危うくなった弓子は、自分の仲間たちとともに反撃に出て・・・

 もう20年以上前のことですが、話題になった時、周囲に流される形で読みました。
 ところが冒頭から引き込まれて、面白くて面白くて、いっきに読み終わりました。

 ただし物語的には、最後の首相との対決場面に拍子抜けしたように記憶しています。
 コネがあって偶然解決されたという感じで、少し物足りなかったような気がします。

 しかし、この小説の魅力は、ストーリーの面白さだけではありません。
 なんといっても、丸谷の知的なおしゃべりが、この作品の魅力を倍増しています。

 たとえば、恋人の哲学者の口を借りて開陳される「贈与論」。
 日本は贈与の文化を特色として持ち、それは古代の文化を残している証拠で・・・

 ほか様々な場面で、日本の文化・政治・社会・宗教等を鋭く批評しています。
 オオーとうなったり、クスリと笑ったりしてしまう部分が、けっこう多いです。

 さて、丸谷が亡くなったのは、ついこのあいだのような気がしますが、2012年です。
 文章の品格にこだわった作家で、あえて歴史的仮名遣いを使っていました。

 エッセイもオススメです。というより、エッセイの方がオススメだったりします。
 「文学のレッスン」「思考のレッスン」「女性対男性」などは、私の愛読書です。

 「文学のレッスン」「思考のレッスン」
  → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-10-18
 「女性対男性」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2016-12-12

 さいごに。(知事選)

 現知事の川勝氏は、大いにリーダーシップを発揮し、わが県を引っ張っています。
 その一方で強引さが目立ち、〇〇市長や教育委員会等と対立してきました。

 その結果、対立候補の溝口氏を、地元の保守党や元教育長などが応援しています。
 川勝氏優勢の流れの中、溝口氏支持がじわじわ広がり始め、面白くなってきました。

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古代からの伝言2 [日本の現代文学]

 「古代からの伝言(日出づる国・水漬くかばね・壬申の乱・わが国家成る)」
 八木荘司 (角川文庫)


 「日本書紀」の世界を、まるで見てきたかのように、リアルに再現した小説です。
 角川文庫で全7巻で出ています。今回はそのうち後半の4~7巻を紹介します。


古代からの伝言 日出づる国 (角川文庫)

古代からの伝言 日出づる国 (角川文庫)

  • 作者: 八木 荘司
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2006/09/22
  • メディア: 文庫



古代からの伝言 壬申の乱 (角川文庫)

古代からの伝言 壬申の乱 (角川文庫)

  • 作者: 八木 荘司
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2007/02
  • メディア: 文庫



古代からの伝言 水漬くかばね (角川文庫)

古代からの伝言 水漬くかばね (角川文庫)

  • 作者: 八木 荘司
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2006/09/22
  • メディア: 文庫



古代からの伝言 わが国家成る (角川文庫)

古代からの伝言 わが国家成る (角川文庫)

  • 作者: 八木 荘司
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2007/03
  • メディア: 文庫



 第4巻は「日出づる国」編です。聖徳太子を中心に描いています。
 崇峻天皇と蘇我馬子、推古天皇と厩戸の王子、小野妹子と隋の使節団・・・

 第5巻は「水漬くかばね」編です。天智天皇を中心に描いています。
 中臣鎌足と中大兄皇子、大化の改新、有間皇子、天智天皇、白村江の戦い・・・

 第6巻は「壬申の乱」編です。天武天皇を中心に描いています。
 大海人皇子、高市皇子、壬申の乱、大友皇子、大津皇子、天武天皇・・・

 第7巻は「わが国家成る」編です。完結編です。
 藤原不比等、大津皇子の変、持統天皇、律令制、光明皇后、平常遷都・・・

 前回の第3巻辺りから、資料が充実したためか、記述がだいぶ詳しくなりました。
 歴史上の人物の、息づかいが聞こえるぐらい、生き生きと描かれています。

 特に、崇峻暗殺の場面、有間皇子と大津皇子の悲劇の場面などが印象的でした。
 所々に著者独自の見方や仮説もあって、とても興味深く読むことができました。

 このシリーズ後半は、読んでワクワクすると同時に懐かしい気持ちになりました。
 というのも、舞台となっている飛鳥と奈良は、若い頃よく通った土地だからです。

 大学時代、青春十八きっぷを使って、飛鳥と奈良を、何度訪れたことでしょう。
 あのころ通ったお寺にいつか家族で行きたいと思いつつ、まだ果たせていません。

 一度は奈良ホテルに滞在して、奈良公園をたっぷり味わいたいと思っています。
 そして、日本書紀の人々や万葉時代の人々と、言葉を交わすことができたら・・・

 さて、この時代のドラマを、別の視点から描き直したのが「遥かなる大和」です。
 「青雲の大和」「大和燃ゆ」と、現在三部作を成しています。


遥かなる大和 上 (角川文庫)

遥かなる大和 上 (角川文庫)

  • 作者: 八木 荘司
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2010/08/25
  • メディア: 文庫



 さいごに。(読書クラブ)

 昨年の娘の必修クラブは、手芸クラブでした。年に7回~8回活動しました。
 今年は、調理クラブを希望していますが、希望者がとても多いのだそうです。

 入れなかった場合は、第2希望の読書クラブになりそうです。
 ただ本を読むだけでつまらないと言っていますが・・・とてもうらやましい!

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古代からの伝言1 [日本の現代文学]

 「古代からの伝言(日本建国・民族の雄飛・悠久の大和)」 八木荘司 (角川文庫)


 「日本書紀」の世界を、まるで見てきたかのように、リアルに再現した小説です。
 1999年から産経新聞に連載され、大きな反響を呼びました。角川文庫で全7巻。


古代からの伝言 日本建国 (角川文庫)

古代からの伝言 日本建国 (角川文庫)

  • 作者: 八木 荘司
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2007/01
  • メディア: 文庫



古代からの伝言 民族の雄飛 (角川文庫)

古代からの伝言 民族の雄飛 (角川文庫)

  • 作者: 八木 荘司
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2006/12/22
  • メディア: 文庫



古代からの伝言 悠久の大和 (角川文庫)

古代からの伝言 悠久の大和 (角川文庫)

  • 作者: 八木 荘司
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2006/11
  • メディア: 文庫



 第1巻は「日本建国」編です。神話時代を扱うため、最もロマンあふれる巻です。
 卑弥呼から神武天皇の建国神話を経て日本武尊(ヤマトタケル)まで描いています。

 卑弥呼と邪馬台国、中国からの使者と金印、卑弥呼の死と新女王、神武天皇の東征、
 欠史八代、天皇の長寿と倍年説、四道将軍、大和と出雲、日本武尊と白鳥伝説・・・

 第2巻は「民族の雄飛」編です。空白の4世紀を扱っていて、興味深いです。
 神功皇后から応神天皇と仁徳天皇を経て雄略天皇までを描いています。

 仲哀天皇の死と神功皇后、新羅攻略、武内宿禰(たけしうちのすくね)、七支刀、
 応神天皇と高句麗との戦闘、好太王碑、仁徳天皇、倭の五王と雄略天皇・・・

 第3巻は「悠久の大和」編です。いよいよなじみのある時代に入りました。
 継体天皇から大伴氏、物部氏、蘇我氏の時代までを描いています。

 大伴金村と継体天皇、任那(みまな)日本府、磐井の反乱、欽明天皇、金村の失脚、
 任那滅亡、仏教伝来、物部守屋、蘇我稲目と馬子、厩戸王子、物部氏対蘇我氏・・・

 すごいのは、大きな時代の流れが、ひとつのストーリーとしてまとまっている点です。
 しかも、登場人物たちに生命が吹き込まれ、当時の状況が生き生きと描かれています。

 神武東征などの神話的な出来事も、まるでその場で見ているかのような臨場感でした。
 古代日本史が好きで好きでたまらないという人が書いた小説だと思いました。

 時間ができたら絶対に読み返したい本です。
 または、コミックで読みたいです。どなたか漫画化してくれないだろうか。

 さいごに。(好きな人でもできてくれれば・・・)

 月曜になるたびに、娘は「いやだなあ、いやだなあ」とぼやきます。
 「早く好きな人でもできてとっとと学校に行ってくれればいいのに」と妻は言います。

 が、毎日さっさと支度をしてどんどん学校に行ってしまったら、それはそれで寂しい。
 こうして娘のぼやきを聞いたことを懐かしく思い出す日が、いつか来るかもしれない。

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四畳半神話大系 [日本の現代文学]

 「四畳半神話大系」 森見登美彦 (角川文庫)


 京大3回生の男が、どんなサークルに入りどんな学生生活を送ったかを描いています。
 「夜は短し歩けよ乙女」の前年に出ました。テレビアニメにもなりました。


四畳半神話大系 (角川文庫)

四畳半神話大系 (角川文庫)

  • 作者: 森見 登美彦
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2008/03/25
  • メディア: 文庫



 「大学三回生の春までの二年間、実益のあることなど何一つしていないことを断言
 しておこう。」・・・冒頭のこの一文で、いっきに物語に没入してしまいました。

 物語は4話で構成されています。冒頭は全て同じ文章で始まります。
 この構成にはちょっとした仕掛けがあって、第4話でその意味が分かります。

 「第一話 四畳半恋ノ邪魔者」は、「私」が映画サークルを選んでいた場合です。
 3回生の5月には、「私」は悪友の小津と一緒にサークルを追放されていました。

 ある夜、ラーメンの屋台で、「私」は奇妙な男に出会いました。
 「神様だよ、貴君。私は神様だ」そして、神様と名乗る男が言ったことは・・・

 次々と実現する予言。男は本当に神さまなのか?
 小津と神様の関係は? そして気になる結末は?

 「第二話 四畳半自虐的代理代理戦争」は、「私」が師匠の弟子になった場合です。
 師匠といっても樋口師匠は、ただの大学八回生で、人生を棒に振っている人物です。

 師匠に言われて、「私」と小津が誘拐しようとした「香織さん」なるものは・・・
 師匠と城ケ崎の間に何があったのか? 「自虐的代理代理戦争」とは?

 「貴君なら大丈夫だ。・・・この先二年と言わず、三年でも四年でも、きっと立派に
 棒に振ることができるだろう。私が保証する」(P149)・・・

 「第三話 四畳半甘い生活」は、「私」がソフトボールサークルに入った場合です。
 サークルの正体は宗教サークルで、そこで知り合った小津と一緒に逃げ出しました。

 悪友の小津が、ある日私の下宿に連れて来た香織さんなるものは・・・
 そして、今まで文通をしていた女性は、実は・・・

 第一話から第三話まで、小津をはじめ、明石さん、城ケ崎、師匠などが登場します。
 占い師、猫ラーメン、下鴨神社、「海底二万里」、蛾の大群なども毎回登場します。

 そして、全ての話にわたって、「私」は大学2年間を棒に振っています。
 いったい、第一話から第三話まではどのように関連しているのか?

 その答えが、「最終話 八十日間四畳半一周」ではっきりします。
 物語のタイトルがなぜ「四畳半」の「神話大系」なのかが、最終話で理解できます。

 ある朝「私」が目覚めると、ドアの向こうには同じ四畳半があって・・・
 四畳半から四畳半へと渡り歩いた「私」は、やがてこの世界の構造を理解し・・・

 非常に凝った構成です。ただし私は、凝り過ぎていると思いました。
 私的には、第一話が感服するほど面白かったので、ほかの話はいらなかったです。

 さて、森見登美彦といえば、今年「夜は短し歩けよ乙女」が映画化されたばかりです。
 主人公役が星野源となって話題となりました。私も少しだけ気になっています。

 「夜は短し歩けよ乙女」(小説)
 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-03-02

 さいごに。(ママさんの新しいバッグ)

 家に見慣れないバッグがありました。ママさんの買った新しいバッグでしょうか。
 しかし、ママさんに声を掛けていいのか悪いのか、判断に迷います。

 以前、「新しいバッグ?」と聞いたら、「違うわよ。いつも何見てるの」と言われた。
 でも何も言わなかったら、「新しいバッグに気付いてくれないの」と言われそうだし。

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プリンセス・トヨトミ [日本の現代文学]

 「プリンセス・トヨトミ」 万城目学 (文春文庫)


 400年間秘密を守ってきた大阪の男たちと、会計検査官らとの対決を描いています。
 「鴨川ホルモー」「鹿男あをによし」に続く関西モノの第三弾。映画化されました。


プリンセス・トヨトミ (文春文庫)

プリンセス・トヨトミ (文春文庫)

  • 作者: 万城目 学
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2011/04/08
  • メディア: 文庫



 「このことは誰も知らない。
  五月末日の木曜日、午後四時のことである。
  大阪が全停止した。」

 冒頭、いきなりこのような話から始まります。
 大阪が全停止? まさかね、と思いながらも、いっきに引き込まれました。

 物語はそれより十日前、会計検査院の調査官が大阪に入るところから始まります。
 それは、鬼の松平副長、ハーフの美女ゲールズブール、ミラクル鳥居の3人です。

 ところが「社会法人OJO」という怪しげな団体が、実地検査できなかったのです。
 後日、実地検査を行うために訪れた松平が、案内されたその場所は・・・

 次々と明かされる衝撃の事実! 大阪400年の秘密!
 理解を求める大阪の男たち対、決して妥協をしない鬼の松平。

 「あなたの目的は――いったい何なのです?」
 「見たかったからだ」
 「見たい? 何を?」
 「この光景を」(P438)

 大阪の男たちがやったことは? そこで、調査官らが見たものは?
 騒動を大きくしたのは誰だったのか? 松平は最後にどんな決断を下すか?

 「なぜこんなお伽噺のような世界を信じることができる?」(P471)
 そういう松平に、真田幸一が答えた言葉は?! 最後は少し泣けます。

 さすが万城目です。この作品もめちゃくちゃ面白かったです。
 ただし、難があるとしたら、少し長すぎることです。530ページあります。

 セーラー服少年の苦悩の場面や、「栄光の五月 Ⅰ」の章は必要ないでしょう。
 余分な箇所をざっくり削って、350ページぐらいにまとまればサイコーでした。

 さて私は、調査官の松平とゲールズブールが、とてもカッコ良いと思いました。
 映画では堤真一と岡田将生(?)がやっています。鳥居は綾瀬はるか。え?

 さいごに。(時計修理)

 腕時計はゼニスのエル・プリメロを使っています。クロノグラフです。
 15年前に婚約指輪を贈った時、うちの奥さまがお返しに買ってくれました。

 今回、2度目のオーバーホールで5万円かかります。前回は8万円でした。
 ああ、身の丈に合ったものを持つべきですね!

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なんて素敵にジャパネスク [日本の現代文学]

 「なんて素敵にジャパネスク」 氷室冴子 (集英社コバルト文庫)


 大納言家のおてんば娘「瑠璃(るり)姫」の愛と冒険を描く、王朝のドタバタ劇です。
 1984年に出ると、またたくまに中高生の間でブームとなり、シリーズ化されました。

 うちにあるのはコバルト文庫の旧版です。カバーのイラストが懐かしいです。
 現在は新装版で読むことができます。


なんて素敵にジャパネスク (集英社文庫―コバルト・シリーズ)

なんて素敵にジャパネスク (集英社文庫―コバルト・シリーズ)

  • 作者: 氷室 冴子
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1984/05
  • メディア: 文庫



なんて素敵にジャパネスク ―新装版― 全10巻完結セット (コバルト文庫)

なんて素敵にジャパネスク ―新装版― 全10巻完結セット (コバルト文庫)

  • 作者: 氷室 冴子
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2012/02/01
  • メディア: 文庫



 1980年代に、女子中高生を中心に古典ブームを巻き起こした、作者の代表作です。
 高校時代に出ましたが、少女小説のイメージが強くて、当時は読みませんでした。

 うちの妻は、少女時代にこのシリーズを夢中になって読んでいたそうです。
 最近、妻がこの本を懐かしく思い出して、アマゾンで旧版を1円で手に入れました。

 そこで、私もこの機会に、初めて読んでみました。とても面白かったです。
 第一巻には、2つの短編と1つの長編の、全3編が収録されていました。

 「お約束は初めての接吻(キス)での巻」は、瑠璃姫と幼なじみの愛を描いています。
 初恋を忘れられない瑠璃姫は、権少将(ごんのしょうしょう)の策略に乗せられ・・・

 「初めての夜は恋歌で囁(ささや)いての巻」は、瑠璃姫の勘違いを描いています。
 夫となるはずの高彬(たかあきら)が、他の女に歌を贈っているというが・・・

 先の二つも楽しい物語ですが、なんといっても面白いのは、長編の第3話です。
 「初めての夜よ もう一度の巻」は、瑠璃姫が壮大な陰謀に巻き込まれる物語です。

 瑠璃姫の目の前で、弟の融(とおる)が怪しげな男ともみ合い、倒されました。
 男を追っているうちに、ある屋敷に迷い込み、そこで瑠璃姫が耳にしたのは・・・

 融ともみ合ったのは誰だったのか? その者の正体は?
 瑠璃姫が迷い込んだ屋敷は誰のものなのか? そこで聞いた陰謀めいた話の意味は?

 第2話までは、平安朝貴族の姫君の日常生活を中心に描かれていました。
 しかし第3話で、瑠璃姫の活躍の場が大きく広がり、テンションも高まります。

 冒険小説的な要素や、探偵小説的な要素が加わり、瑠璃姫の魅力は一段と輝きます。
 第3話だけ200ページ近くある長編ですが、読み始めたら止まりません。

 さて、「なんて素敵にジャパネスク」はシリーズ化されて、第十巻まで出ています。
 第二巻も非常に面白いです。初恋の吉野の君の謎が、徐々に明かされていきます。

 帝の誘いを断り、太秦に逃げ込んだ瑠璃姫は、意外な人物と出会い・・・
 瑠璃姫の屋敷は、放火によって失われ、その焼け跡で出会った人物は・・・

 瑠璃姫の決めゼリフ「冗談はよしのすけ」に、懐かしさを覚えます。
 この言葉は、当時のクラスの女子がよく使っていました。


なんて素敵にジャパネスク (2) (集英社文庫―コバルト・シリーズ)

なんて素敵にジャパネスク (2) (集英社文庫―コバルト・シリーズ)

  • 作者: 氷室 冴子
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1985/04
  • メディア: 文庫



なんて素敵にジャパネスク〈2〉 (コバルト文庫)

なんて素敵にジャパネスク〈2〉 (コバルト文庫)

  • 作者: 氷室 冴子
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1999/04
  • メディア: 文庫



 コミック版が白泉社文庫から出ています。全6巻を大人買いしてしまいました。
 しかし、読む時間がありません。6冊のコミックは現在、娘に占領されています。


なんて素敵にジャパネスク (第1巻) (白泉社文庫)

なんて素敵にジャパネスク (第1巻) (白泉社文庫)

  • 作者: 山内 直実
  • 出版社/メーカー: 白泉社
  • 発売日: 1997/09
  • メディア: 文庫



 さいごに。(車はベンツかって? 冗談はよしのすけ!)

 「車はベンツですか」と聞かれました。いいえ、ダイハツのミラジーノです。
 実は、新しい職場の駐車スペースの隣に、朝早くからベンツが置いてあります。

 私の車は小さいから、ベンツにすっぽりと隠れてしまいます。
 だから、仕事場から見ると、私がベンツから出てくるように見えるようです。

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