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ぼくは明日、昨日のきみとデートする [日本の現代文学]

 「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」 七月隆文 (宝島社文庫)


 20歳の男女の甘く切ない愛と宿命を描いた、SFファンタジー小説です。
 2014年に宝島社文庫から出て、マンガ化・映画化されて話題となりました。


ぼくは明日、昨日のきみとデートする (宝島社文庫)

ぼくは明日、昨日のきみとデートする (宝島社文庫)

  • 作者: 七月 隆文
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2014/08/06
  • メディア: 文庫



 京都の美大に通う南山高寿は、叡山電車で美しい女性を見かけ、声を掛けました。
 「メ、メアド教えてくださいっ」「一目惚れしました!」

 二人はそのまま宝ヶ池を一緒に散歩しました。彼女の名前は福寿愛美(えみ)。
 別れ際に「また会える?」と高寿が聞いた途端、彼女は泣き出してしまいました。

 二人は付き合い始めましたが、高寿はふと違和感を覚えることがあり・・・
 実は、愛美にはとても重要な秘密があって・・・

 「陽だまりの彼女」同様、とても甘くて切ない余韻が残りました。
 会えば会うほどすれ違い、過ぎた時間をかけがえのないものに感じていきます。

 しかし、「ぼくたちはすれ違ってなんかいない」と高寿・愛美は言います。
 「端と端を結んだ輪になって、ひとつにつながってるんだ」(P241)と。

 まさにその通りで、最後まで読み終わるとまた最初から読み返したくなります。
 もし映画を見たら、最初の出会いの場面で、もう泣いてしまいそうです。

 さて、この小説の魅力の一つに、タイトルの不思議さがあります。
 愛美の秘密が分かると、タイトルの意味も分かり、数々の謎が解ける仕掛けです。

 ところで、アマゾンのレビューを読むと、意外と厳しい評価があるようです。
 特に、梶尾真治の「時尼に関する覚え書」と似ているという指摘が目立ちます。

 梶尾真治のファンには、パクリのように感じるようです。
 「時尼」もハヤカワ文庫本に収録されているので、この機会に読みたいです。


美亜へ贈る真珠 〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

美亜へ贈る真珠 〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 梶尾真治
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2016/12/20
  • メディア: 文庫



 さいごに。(タラレバ)

 10歳の娘は、毎週「タラレバ娘」を録画して見ています。
 このドラマには、どーしよーもない男たちが出てきます。

 「こういう男に引っかかっちゃダメだぞ」と、私が真剣に言ったら、
 「パパ、静かに見ようね」と、言われてしまいました。

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陽だまりの彼女 [日本の現代文学]

 「陽だまりの彼女」 越谷オサム (新潮文庫)


 10年ぶりに会った男女の恋愛小説であり、猫を巡るファンタジーでもあります。
 「女子が男子に読んでほしい恋愛小説No.1」として売れ、映画化もされました。

 2011年に新潮文庫から出て話題となり、中年男性にも読まれたといいます。
 しかし、このカバーイラストだと、我々おじさん軍団が手に取るのは厳しい。


陽だまりの彼女 (新潮文庫)

陽だまりの彼女 (新潮文庫)

  • 作者: 越谷 オサム
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2011/05/28
  • メディア: 文庫



 交通広告代理店の奥田浩介は、顧客との打ち合わせで渡来真緒と再会しました。
 10年ぶりに出会った真緒は、以前とは見違えるほど美しく輝いていました。

 中学生のころの真緒は、極端に勉強ができなかったためいじめられていました。
 浩介が、真緒をかばってあげたことで、真緒になつかれるようになったのです。

 再会してからの二人は急速に接近し、両親の許可も得ずに・・・
 しかし真緒には、ある重大な秘密があって・・・

 実は先に映画を見ました。昨年のTV放送の録画を、先日娘と一緒に見たのです。
 どうせ子供向けかだろうと高をくくっていたら、不覚にも感動してしまいました。

 甘くて美しくて、せつなすぎる作品世界に、すっかり没入してしまいました。
 特に、上野樹里の不思議ちゃん的な演技が、印象に残りました。

 江ノ島の婆さんは何者か? どのように変身したのか? 最後の場面の意味は?
 原作を読めば、さまざまな疑問が解けるかもしれないと期待していたのですが・・・

 なんと小説の方も、映画に負けず劣らず、突っ込みどころ満載だったのです。
 結局どうやって変身できたのか? 最後の場面はハッピーエンドなのか?

 原作では、江ノ島も江ノ島の婆さんも登場しなかったし!
 とりわけラストシーンが全然違ってるし!

 ということで、原作を読んで、さらに分からなくなりました。
 その一方で、大筋が分かっていながらも、また泣きそうになってしまいました。

 映画と小説では、展開も結末も微妙に違いますが、どちらも良かったです。
 特に若い人たちとネコ好きに薦めたい小説だと思いました。

 今後、「素敵じゃないか」を聞くたびに、真緒を思い出しそうです。
 ビーチボーイズの「ペットサウンズ」には名曲「神のみぞ知る」も入っています。


ペット・サウンズ<50周年記念デラックス・エディション>

ペット・サウンズ<50周年記念デラックス・エディション>

  • アーティスト: ブライアン・ウィルソン,ブライアン・ウィルソン,トニー・アッシャー,マイク・ラヴ
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
  • 発売日: 2016/06/17
  • メディア: CD



 映画のラストは、どこか「時をかける少女」に似たところがありました。
 いったいどんなふうにして、人々の記憶を・・・


時をかける少女 〈新装版〉 (角川文庫)

時をかける少女 〈新装版〉 (角川文庫)

  • 作者: 筒井 康隆
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2006/05/25
  • メディア: 文庫



 現在上映中の映画で、気になっているものが2つあります。
 「君の名は」と「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」です。原作を読みたい。


小説 君の名は。 (角川文庫)

小説 君の名は。 (角川文庫)

  • 作者: 新海 誠
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/メディアファクトリー
  • 発売日: 2016/06/18
  • メディア: 文庫



ぼくは明日、昨日のきみとデートする (宝島社文庫)

ぼくは明日、昨日のきみとデートする (宝島社文庫)

  • 作者: 七月 隆文
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2014/08/06
  • メディア: 文庫



 さいごに。(スイーツラン)

 日曜日に出るスイーツランというのは、2.5キロの周回コースを好きなだけ走り、
 給水所ならぬ「給スイーツ所」で、スイーツを7つまで食べられるという大会。

 これまで娘に色々なマラソン大会に誘って、そのたびに断られてきたのですが、
 「これなら出てもいい」と言ってくれたので、ふくらはぎを治して絶対出たい。

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イン ザ・ミソスープ [日本の現代文学]

 「イン・ザ・ミソスープ」 村上龍 (幻冬舎文庫)


 性風俗ガイドの青年が奇怪なアメリカ人と、恐怖の3日間を過ごした物語です。
 1997年に読売新聞で連載中、神戸連続児童殺傷事件があって話題となりました。


イン ザ・ミソスープ (幻冬舎文庫)

イン ザ・ミソスープ (幻冬舎文庫)

  • 作者: 村上 龍
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 1998/08
  • メディア: 文庫



 ケンジは、外国人を相手に、新宿で性風俗ガイドをしている二十歳の青年です。
 フランクというアメリカ人に、12月29日から31日までのガイドを依頼されました。

 フランクは35歳で、顔の皮膚はどこか人工的で、奇妙な印象でした。
 また、彼の話はつじつまが合わず、嘘ばかり言っているようでした。

 ケンジはなぜか、前日発見された女子高生のバラバラ死体を思い出しました。
 不安に駆られたまま、ケンジはフランクを新宿歌舞伎町に案内しますが・・・

 なるほど、村上龍がホラーを書くとこうなるのか、と妙に納得しました。
 殺人鬼は怖いけど、それ以上にむなしさや寂しさを感じました。

 それは、殺される側が持っていた、むなしさや寂しさのせいかもしれません。
 そして死んでいく彼らは、現代の日本を象徴しています。

 「みんな誰かに命令されて、ある種類の人間を演じているだけのようだった。
 おれはあの連中と接しながら、こいつらのからだには血や肉ではなくて、ぬい
 ぐるみのようにおがくずとビニールの切れ端がつまっているのではないかと思
 って、ずっと苛立っていた。」(P211)

 そういう奴隷のような生き方をしている連中が、新宿に集まっていました。
 掃きだめと化したこの街は、それを一掃する誰かを必要としていました。

 その役割をむりやり担わされたのが、フランクだったのかもしれません。
 彼らを殺戮するフランクは、日本が招いた悲しいモンスターかもしれません。

 殺戮の後、フランクが自分のことを切々と語る場面は、寂しい感じがしました。
 そのときのフランクは、殺人鬼というよりも、ただの孤独な人間でした。

 ひょっとしたら、異常なのはフランクではなく、日本人の方かもしれません。
 お見合いパブにいた人々(特にマキ)は、確かに歪んでいたと思います。

 そのほかにも、この作品の随所から、日本批判の言葉が聞こえてきます。
 次のような言葉が、私には印象に残りました。

 「普通に生きていくのは簡単ではない。親も教師も国も奴隷みたいな退屈な生
 き方は教えてくれるが、普通の生き方というものがどういうものかは教えてく
 れないからだ。」(P93)

 さいごに。(不審者現る)

 小学校から不審者情報が回ってきました。この寒い中、現れたのは露出狂です。
 うちの近所にも出没したので、昨日はママが娘を迎えに行きました。

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走ることについて語るときに僕の語ること [日本の現代文学]

 「走ることについて語るときに僕の語ること」 村上春樹 (文春文庫)


 熱心な市民ランナーでもある著者が、走ることについて存分に語ったエッセイです。
 走ることについて語りながら、小説家としての自分を語る個人史にもなっています。


走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)

走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2010/06/10
  • メディア: ペーパーバック



 「走ることは、僕がこれまでの人生の中で後天的に身につけることになった数々の
 習慣の中では、おそらくもっとも有益であり、大事な意味を持つものであった。」

 そう語る村上春樹は、1週間に60キロを走り、年に一度フルマラソンを走ります。
 走り始めたのは1982年で33のとき。小説家として本格的に活動し始めた時期です。

 だから、著者にとって走ることと小説を書くことは、密接な関係があります。
 走ることを語りながら、書くことについても語っていて、そこが実に興味深い。

 特に第2章「人はどのように走る小説家になるのか」は、面白かったです。
 小説を書いたきっかけや、小説家としての苦労なども書かれています。

 「鑿(のみ)を手にこつこつと岩盤を割り、穴を深くうがっていかないと、
 創作の水源にたどり着くことができない。」(P69)と村上春樹は言います。

 鑿で岩を割り続けることと、ひたすら走り続けることは、ある意味で似ています。
 彼が勤勉でストイックで、根気強く努力している作家だということが分かります。

 古代ギリシャロード、ウルトラマラソン、トライアスロンについても書いてます。
 が、印象に残っているのは、日ごろ感じていることをそのままつづった部分です。

 「与えられた個々人の限界の中で、少しでも有効に自分を燃焼させていくこと、それが
 ランニングというものの本質だし、それはまた生きることのメタファーでもあるのだ。」

 なるほど、走ることを説明するとき、こういう言葉で説明すればいいのか・・・
 村上春樹の言葉選びのセンス、文章のうまさが、とてもよく表れています。

 この本を読んでいるうちに、走り出したくなってきました。
 そんなふうに、ランナーの心を心地よく刺激し、やる気にさせてくれる本です。

 さいごに。(娘のTV録画は・・・)

 娘は、年末・年始に多くの特番を録画し、土日に少しずつ見ています。
 「パパも一緒に見よう。おもしろいよ。」と言われて、一緒に見てみると・・・

 ものまねやコントはまだいい。でもドッキリは! いったい何が面白いのか?
 バカバカしいイタズラに怒っていると、「あっちに行って」と言われてしまった。

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風が強く吹いている [日本の現代文学]

 「風が強く吹いている」 三浦しをん (新潮文庫)


 素人ばかりの寄せ集め陸上部員たちが、箱根駅伝で頂点を目指す物語です。
 2007年本屋大賞の3位に入り、コミックや映画にもなりました。


風が強く吹いている (新潮文庫)

風が強く吹いている (新潮文庫)

  • 作者: 三浦 しをん
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2009/06/27
  • メディア: 文庫



 ある日、清瀬灰二は蔵原走(かける)と出会い、同じ下宿を紹介しました。
 そこに住むのは、同じ寛政大学に籍を置く、個性あふれる学生たちでした。

 清瀬は、走を入れて10人になった下宿人を一堂に集めて、宣言しました。
 『俺たちみんなで、頂点を目指そう』『目指すは箱根駅伝だ』・・・

 ここまで読んで「なんじゃこれ」と思いました。「箱根を知らんのか」と。
 「5000mを17分」とか軽々しく言ってるし。「陸上を知らんのか」。

 ところがところが、アマゾンのレビューを読んでみると・・・
 箱根を走った人や、目指していた人が、この小説を絶賛しているのです!

 そこで私は、騙されたつもりで読み進めました。
 すると不思議と、「これもありかな」と思えてきたのです。

 やがて設定の無謀さなど気にならなくなるくらい、物語に没入しました。
 箱根の場面では、手に汗握り、何度も涙しそうになりながら読みました。

 わずか10人のチームが、予選会を突破して、箱根駅伝に出場する。
 しかも、そのうち8人はずぶのシロウトで・・・

 ありえない。でももし本当に、こんなチームがあったら!
 我々は、寛政大学のメンバーたちに、夢とロマンを見たのだと思います。

 物語の所々で、印象的な言葉に出会いました。
 こういう言葉は、綿密な取材をしなくては、なかなか出てきません。

 「これはなんて原始的で、孤独なスポーツなんだろう。だれも彼らを支える
 ことはできない。・・・あのひとたちはいま、たった一人で、体の機能を全
 部使って走り続けている。」(P306)

 「たとえ俺が一位になったとしても、自分に負けたと感じれば、それは勝利
 ではない。タイムや順位など、試合ごとにめまぐるしく入れ替わるんだ。・・
 ・そんなものではなく、変わらない理想や目標が自分のなかにあるからこそ、
 俺たちは走りつづけられるんじゃないのか」(P327)

 作者は、選手のことを、よく分かっているではないか!
 走がゾーンに入るところなどは、読んでいてしびれました!

 ただし、ひとつ欲を言えば、榊との和解の場面がほしかったです。
 最後まで東体大の榊は、器の小さいつまらない選手として描かれています。

 もし榊の苦悩と成長が少しでも入っていたら、更に味わい深くなったはず。
 私には榊の悔しさが分かる気がするし、それほど悪い奴には思えないです。

 さて、今年の箱根も数々のドラマと感動がありました。
 調子が悪くて泣きながら走る選手、たすきをつないで倒れ込んでいる選手。

 その中で、往路&総合優勝した青山学院大学はさすがです。
 また、地元出身の選手が出ると、ついつい応援に力が入ってしまいました。

 私はこれまでに、三浦しをんの小説を、ほかにも二つ紹介しました。
 しかし「強い風が吹いている」こそが、彼女を代表する傑作だと思います。

 「まほろ駅前多田便利軒」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
 「舟を編む」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2015-12-25

 余談ですが、この小説を読むと、走るとはどういうことか知りたくなります。
 そこで衝動買いしたのが、「走ることについて語るときに僕の語ること」。


走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)

走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2010/06/10
  • メディア: ペーパーバック



 村上春樹は、マラソンに凝っていることでも知られています。
 彼がどんなことを語ってくれるのか、とても楽しみです。

 さいごに。(今日から学校)

 娘は今日から登校です。私も今日から出勤です。お正月休みもおしまい。
 ゆうべは、娘と私と二人してブルーになっていました。

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マイナス・ゼロ [日本の現代文学]

 「マイナス・ゼロ」 広瀬正 (集英社)


 昭和を舞台に、タイムマシンとタイムパラドックスを扱ったSF長編小説です。
 広瀬正の代表作で名作中の名作です。日本のタイムトラベル小説の金字塔です。

 長い間、入手困難な本でしたが、2008年に改定新版が出ました。
 2008年本屋大賞の「この文庫を復刊せよ!」で、1位の票を得たためです。


マイナス・ゼロ (集英社文庫)

マイナス・ゼロ (集英社文庫)

  • 作者: 広瀬 正
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2008/07
  • メディア: 文庫



 昭和20年に浜田俊夫少年は東京空襲に遭い、隣家の伊沢邸は爆弾でやられました。
 「18年後の今日、ここに来てほしい」伊沢は俊夫にそう言い残して絶命しました。

 18年後、32歳の俊夫が旧伊沢邸を訪れると、そこに不思議な球体がありました。
 そして突然、18年間行方不明だった教授の娘の啓子が、当時の姿で現れたのです。

 この球体は、もちろんタイムマシン。俊夫はすぐに確信しました。
 二人はこのタイムマシンを使って、昭和9年に戻ろうとしますが・・・

 先が気になって気になって、ぐいぐい読み進みました。
 先へ行けば行くほど、時間を超えて様々な事件が絡まり合い、頭が混乱しました。

 しかし、最後は驚きの真相によって、すべてがすっきりと解決されます。
 それにしても、ここで扱うタイムパラドックスは、あまりにも不可思議です。

 啓子の母は、〇〇で・・・啓子の娘は、〇〇で・・・(!)
 この小説の熱狂的なファンがいるというのも、よく分かります。

 ところで、私が広瀬正の「タイムマシンのつくり方」を読んだのは1996年でした。
 タイムトラベルものばかりの、ショートショート集で、とても面白かったです。

 次に代表作「マイナス・ゼロ」を読もうと思ったら、もう店頭から消えていました。
 その後、2008年に復刊されるまで、私はこの本と出合えなかったのでした。

 だから私は、「タイムマシンのつくり方」は旧版で、本書は新版で持っています。
 現在は、広瀬正小説全集(全6巻)が、文庫本で手に入ります。嬉しいです。


タイムマシンのつくり方 (集英社文庫)

タイムマシンのつくり方 (集英社文庫)

  • 作者: 広瀬 正
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2008/12/16
  • メディア: 文庫



 タイムトラベルもので、多くのファンを持つのが、ハイラインの「夏への扉」です。
 「夏への扉」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-06-01

 さいごに。(ラスコーとコラボ)

 人気ドラマ「逃げ恥」第10回が、国立科学博物館「ラスコー展」とコラボしました。
 来週末に家族3人で行く予定ですが、とても混みそうです。やれやれ。

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もつれっぱなし・他2作 [日本の現代文学]

 「もつれっぱなし」 井上夢人 (講談社文庫)


 男女の会話だけで成り立っていて、どんどんもつれていく短編ばかりです
 井上夢人は、1982年から活躍している推理・SF・ホラー作家です。


もつれっぱなし (講談社文庫)

もつれっぱなし (講談社文庫)

  • 作者: 井上 夢人
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2006/04/14
  • メディア: 文庫



 「宇宙人の証明」「四十四年後の証明」「呪いの証明」「狼男の証明」「幽霊の証明」
 「嘘の証明」の、全6編が収録されています。マイ・ベストは「宇宙人の証明」です。

 「・・・あたしね」「うん」「宇宙人、見つけたの」「・・・」
 彼女が拾って、小鉢に入れておいた宇宙人とは・・・(「宇宙人の証明」)

 「あたし、お祖父ちゃんの孫なの」悪戯かと思ったら・・・(「四十四年後の証明」)
 「あたしね・・・ここにいないの」幽霊になったという彼女・・・(「幽霊の証明」)

 なにげなく始まった会話が、もつれにもつれて、意外な方向へ進んでいきます。
 笑える話、切ない話、ゾッとする話、いろいろあって、とても楽しく読めました。

 タイトルは、「もつれている話」と「もつれてばかりいる」との意味を掛けています。 
 そのもつれ方が実に面白かったです。作者のセンスを感じる1冊です。

 さて、男女の会話が中心となる作品で、印象的なものが、ほかに2作あります。
 鎌田敏夫「恋愛映画」と、丸谷才一「女性対男性」。どちらも絶版です。残念!


恋愛映画 (新潮文庫)

恋愛映画 (新潮文庫)

  • 作者: 鎌田 敏夫
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1994/10
  • メディア: 文庫



 「恋愛映画」は、恋愛映画を見た二人の男女の、会話だけでできている短編集です。
 「旅愁」「恋に落ちて」「昼下がりの情事」「マンハッタン」など、全10編です。

 マイ・ベストは冒頭の「プリティ・ウーマン」です。
 映画「プリティ・ウーマン」は、私がとても好きな恋愛映画です。

 どの作品も会話だけで成り立っているので、その会話自体が恋愛映画のようです。
 そして、恋愛映画のようにオシャレです。作者のセンスが光ります。

 鎌田敏夫といえば、私にとっては、「金曜日の妻たちへ」の脚本家です。
 30年以上前、私の高校時代、このドラマは不倫ブーム(!)を巻き起こしました。

 明石家さんま主演「男女7人夏物語」や、山口智子主演「29歳のクリスマス」も、
 大ヒットしました。今振り返ると、良くも悪くもバブル期のドラマですね。


女性対男性 (文春文庫)

女性対男性 (文春文庫)

  • 作者: 丸谷 才一
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1976/02/25
  • メディア: 文庫



 丸谷才一「女性対男性」も、会話が中心の短編集(エッセイ集?)です。
 副題は「会話のおしゃれ読本」。オシャレな会話であふれています。

 全50編です。1章が6ページほどですが、中身がギュッと詰まっています。
 センスより知性を重視した会話ばかりで、話者の教養の高さを感じます。

 また、言葉遣いがとても丁寧で正確で、品のある文章です。さすが丸谷才一。
 「パーティーの話からパンティの話になりました」という話さえ、品があります。

 さいごに。(「逃げ恥」)

 「戦争と平和」ロスから、最近ようやく立ち直りました。
 ところで、民放ドラマをよく見ている娘は、「逃げ恥」がイチオシだと言います。

 そこで、娘と一緒に見てみたら、これが実にほんわかしていて、良い感じでした。
 新垣結衣と星野源の組み合わせが絶妙です。二人とも、良い味を出しています。

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葡萄が目にしみる [日本の現代文学]

 「葡萄が目にしみる」 林真理子 (角川文庫)


 ブドウ作りの盛んな田舎町を舞台に、乃里子の思春期を描いた自伝的小説です。
 直木賞候補となった作品で、現在も角川文庫から出ているロングセラー本です。


葡萄が目にしみる (角川文庫)

葡萄が目にしみる (角川文庫)

  • 作者: 林 真理子
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1986/03
  • メディア: 文庫



 ブドウ農家の乃里子は、不美人で動作が鈍くて、あまりパッとしない女の子です。
 友だちから「メスカバちゃん」と呼ばれたりしていて、強い劣等感を持っています。

 一念発起して進学校に入ると、さまざまな個性ある男女と出会って・・・
 初恋の先輩保坂への淡い思い、ラグビー部のスター選手岩永に感じる恋心・・・

 この小説を読んだのは、今から20年近く前で、私は30歳ぐらいの頃でした。
 人生の一番良い時期が過ぎ去って、失われた青春を懐かしく思い出す時期です。

 「葡萄が目にしみる」は瑞々しくて少し切なくて、まったく期待通りの作品でした。
 今でも、女子を主人公にした青春小説の中では、最高の作品だと思っています。

 特に印象的だったのは第7章で、席替えの時に、岩永に啖呵を切る場面です。
 「あんた失礼だよ」と言って、相手をたじろがせたところまでは良かったが・・・

 彼らの不器用なやり取りの中に、青春期特有の純情さが見られるように思います。
 作品全体が飾らず素朴で、素直に分かりやすく書かれている点が、好感が持てます。

 そして、ラストの再会の場面! この場面が、じーんときます。
 かつて読んだときは、ここで涙が出そうになってしまいました。

 ところが、この場面が「甘すぎる」という批判があるらしいのです。
 確かにこの偶然は出来すぎてはいますが、でも、小説なんだからいいではないか!

 また読みたい小説です。そして、誰にでも自信をもっておススメできる小説です。
 ところで、作者の代表作は「不機嫌の果実」でしょうか。こちらは不倫小説です。

 NHKで「花子とアン」がやっていた頃、「白蓮れんれん」が話題になりました。
 しかし、私が気になっているのは「六条御息所源氏がたり」。いずれも未読です。


不機嫌な果実 (文春文庫)

不機嫌な果実 (文春文庫)

  • 作者: 林 真理子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2001/01/10
  • メディア: 文庫



白蓮れんれん (集英社文庫)

白蓮れんれん (集英社文庫)

  • 作者: 林 真理子
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2005/09/16
  • メディア: 文庫



六条御息所 源氏がたり 上 (小学館文庫)

六条御息所 源氏がたり 上 (小学館文庫)

  • 作者: 林 真理子
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2016/09/06
  • メディア: 文庫



 さいごに。(大学図書館)

 今年も、母校の大学祭に娘を連れて行きました。
 もう4年生なので、娘は友達と合流して、勝手に行動してくれました。

 そこで私は、大学図書館に入りました。なんと、27年ぶりです!
 学生の頃はよく昼寝をしに来ました。定年になったら勉強しに来たいです。

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すべての男は消耗品である。 [日本の現代文学]

 「すべての男は消耗品である。」 村上龍 (集英社文庫)


 主に男女について言いたい放題に言い放った、挑発的なエッセイ集です。
 バブル期に、某アダルト雑誌に連載され、多くのファンを獲得しました。


すべての男は消耗品である (集英社文庫)

すべての男は消耗品である (集英社文庫)

  • 作者: 村上 龍
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1993/09
  • メディア: 文庫



 この作品が出たのは、私がまだ大学生だった1980年代後半のことです。
 当時、村上龍の小説は読まないがエッセイは好きだ、という仲間が多かった。

 彼らが読んでいたのが、本書「すべての男は消耗品である。」でした。
 そして私も、彼ら同様イキがって、このエッセイを手にしたのでした。

 巻頭のエッセイから衝撃的でした。頭をガツンとやられた感じでした。
 誰も言わないことを遠慮なく言い、自信をもって断定するその文章ときたら!

 「デパートや遊園地に行くと、すげえ! と大声を出したくなるようなブスが、
 平気で結婚していて、子供なんか連れている。ブスとやる男もいるのだ。」

 当時、こういう文章をカッコイイと思っていました。なんとアサハカな!
 私は「限りなく透明に近いブルー」は投げ捨てたが、本書は愛読していました。

 まさにバブル期が生んだ文章です。あの時代特有の品の無さがあります。
 こういう文章をもてはやしてしまった、当時の私たちの罪は大きい(?)。

 しかし、それでもこのエッセイが、捨てがたい魅力を放っているのは確かです。
 それは、所々にキラキラときらめく、知的で鋭い発言が見られるからです。

 「制度というものは、あたりまえの話だが、嘘であり、幻想である。
 (中略)動物に比べて人間は不完全だから制度を確立したのだ。」

 この本を嫌いな人は、彼のこういう発言を、ハッタリだと言ったりします。
 しかし村上龍は、「共同幻想論」の吉本隆明と、対談をしたりもしています。

 現在は、NHKの番組にも出ていて、昔とだいぶイメージが変わりました。
 よく言えば、まっとうな人になった、悪く言えば、つまらない人になった・・・

 先日一家で「世界一受けたい授業」を見ていたら、村上龍が先生として登場し、
 日本の伝統文化について語っていて、「え? こんな人だっけ?」と思った。

 ちなみに、うちにあるのは角川文庫版です。現在は集英社文庫から出ています。
 絶版にならずに文庫化され続けています。時代を超えた魅力があるのでしょう。

 さいごに。(宇多田ヒカルと尾白川渓谷)

 サントリー天然水のCMがすばらしい。宇多田ヒカルが歩くのは尾白川渓谷です。
 昨年の夏と一昨年の夏、一家で水遊びに行きました。水が美しい素敵な所です。

 そして、宇多田ヒカルが歌う「道」は、聴いたら忘れられません。感動モノです。
 胸を打つメロディー、切ない歌声、そして、亡き母に捧げた味わい深い歌詞!

 「私の心の中にあなたがいる いついかなるときも 
 どこへ続くかまだ分からぬ道でも きっとそこにあなたがいる」・・・泣けます。

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69 [日本の現代文学]

 「69(sixty nine)」 村上龍 (文春文庫・集英社文庫)


 高校3年生の男子の、エネルギッシュでパワー全開の青春を描いた小説です。
 自伝的小説です。作者が青春を謳歌した1969年の出来事として書かれました。


69 sixty nine (文春文庫)

69 sixty nine (文春文庫)

  • 作者: 村上 龍
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2007/08
  • メディア: 文庫



69 sixty nine (集英社文庫)

69 sixty nine (集英社文庫)

  • 作者: 村上 龍
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2013/06/26
  • メディア: 文庫



 1969年。学生運動が盛んで、若者たちのエネルギーに満ち満ちていた時代。
 佐世保北高校3年の僕は、何かでっかいことをやりたくてうずうずしています。

 ある時、親友アダマと一緒に、学校のバリケード封鎖を計画しました。
 その目的は、学校のマドンナ松井和子の気をひきたいためでしたが・・・

 明るく陽気で、軽やかで楽しく、テキトーで行き当たりばったりな青春像です。
 「限りなく透明に近いブルー」と違い過ぎて、良い意味で戸惑ってしまいます。

 作品自体がポップで、所々に拡大文字が使われていて、目で見て楽しめます。
 あるページを開くと、「ウンコです」という文が目に飛び込んできます!

 漏れそうだ、というナカムラに、「あそこの上でしてこい」と僕は言いました。
 僕がそのとき、指さした場所は・・・

 1969年の「僕」は何もかもがきらめき、どんなバカなこともできました。
 あれは、二度と戻れない黄金の時代です。はるか昔に過ぎ去った日々です。

 痛快な場面を読んで、大笑いしながらも、妙に懐かしく、切なくなってきます。
 ただ笑うだけで終わりません。随所にとても味わい深い場面があります。

 村上龍の小説を一つだけ勧めるとしたら、迷わずこの「69」です。
 2004年には妻夫木聡を主演に映画化されて、その映画も高く評価されました。


69 sixty nine [DVD]

69 sixty nine [DVD]

  • 出版社/メーカー: 東映
  • メディア: DVD



 ついでながら私は、村上龍の代表作の一つ「五分後の世界」も読みました。
 平行世界に迷い込んだ男が見たのは、第二次大戦を継続する日本の姿で・・・

 現代の日本に対する批判とメッセージが強烈すぎて、読んでいて疲れました。
 とても面白い設定だと思いましたが、私はその内容についていけませんでした。


五分後の世界 (幻冬舎文庫)

五分後の世界 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 村上 龍
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 1997/04
  • メディア: 文庫



 さいごに。(この時期故障するプリンター)

 妻と年賀状のことを相談し始めたらテキメン! プリンターが故障しました。
 昨年もこの時期にインクを検知しなくなり、インクを取り換えて解決しました。

 インクは純正ではありません。純正が3800円、純正以外は1000円以下なので。
 純正のインクを1200円ぐらいにしてくれれば、みんな純正を使うと思うのだが。

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