So-net無料ブログ作成
検索選択
日本の現代文学 ブログトップ
前の10件 | -

海の向こうで戦争が始まる [日本の現代文学]

 「海の向こうで戦争が始まる」 村上龍 (講談社文庫)


 海の向こうの街で生きる人々の、怒りの爆発や破壊的衝動を描いた小説です。
 処女作「限りなく透明に近いブルー」に続く作品です。


海の向こうで戦争が始まる

海の向こうで戦争が始まる

  • 作者: 村上 龍
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1980/11/12
  • メディア: 文庫



 「僕」は海辺で、フィニーという水着の女性に出会います。
 フィニーは「僕」に、「あなたの目に町が映っているわ。」と言いました。

 それは、海の向こうにある街。そこには、ごみ漁り少年たち、大佐と愛人、
 衛兵の家族、洋服屋と入院中の母など、様々な境遇の人間がいますが・・・

 この街は本物だろうか? いや、もちろん違うだろう。
 大佐がいたり衛兵がいたり、最後はとんでもないことになるし。

 おそらく、「僕」の目に映るその町は、僕の心が作り上げたものでしょう。
 そして、そこに生きる人々は、「僕」の分身でしょうか。

 彼ら(=「僕」)にあるのは、怒り、お祭り、暴力、破壊、狂気、破滅など。
 「戦争が始まればいい。一度全てを切開して破壊して殺してしまうのだ。」

 では、フィニーはどうか? おそらく彼女も、「僕」の作り上げた存在です。
 結局「僕」は海辺でコカインをやって、幻想にとりつかれているだけなのでは?

 さて、「海の向こうで戦争が始まる」は、意外と高い評価を得ている作品です。
 しかし、私は苦手です。はっきり言って、気持ちが悪い。

 たとえば少年たちと犬の場面。たとえば衛兵の妻の災難の場面・・・
 これを、「美しい」「詩情豊かだ」と言っている人たちには、教えを請いたい。

 この作品は、「コインロッカー・ベイビーズ」につながる作品として重要です。
 次はぜひ、村上龍の代表作「コインロッカーズ・ベイビーズ」を読みたいです。


新装版 コインロッカー・ベイビーズ (講談社文庫)

新装版 コインロッカー・ベイビーズ (講談社文庫)

  • 作者: 村上 龍
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2009/07/15
  • メディア: 文庫



 さいごに。(ルービックキューブ)

 娘は、現在ルービックキューブがブームです。すでに二面揃えることができます。
 娘は私に、色の揃え方を教えてくれるのですが、まったく理解できません。

nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:

野心のすすめ・ルンルンを買っておうちに帰ろう [日本の現代文学]

 「野心のすすめ」 林真理子 (講談社現代新書)
 「ルンルンを買っておうちに帰ろう」 林真理子 (角川文庫)


 「野心のすすめ」は数年前に出ました。「野心」の大切さを訴えて評判になりました。
 「ルンルンを買っておうちに帰ろう」は作者の最初のエッセイで、出世作です。


野心のすすめ (講談社現代新書)

野心のすすめ (講談社現代新書)

  • 作者: 林 真理子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2013/04/18
  • メディア: 新書



 林真理子に興味がある、と話したら、友人が「野心のすすめ」を勧めてくれました。
 彼いわく、「これを読めば林真理子のことがたいてい分かる」とのことです。

 本当にその通りでした。しかも、面白かったです。
 特に「第三章 野心の履歴書」では、林真理子の半生がつづられていて興味深い。

 容姿に対するコンプレックス、いじめられていた少女時代、不採用通知の束・・・
 どん底から這い上がって、「ルンルンを買っておうちへ帰ろう」で成功するまで・・・

 人生の紆余曲折を乗り越える原動力となったのが、彼女の「野心」です。
 「野心」をもって、とにかくなんでもやってみなければ!

 「やってしまった過去を悔やむ心からはちゃんと血が出て、かさぶたができて治って
 いくけど、やらなかった取り返しのつかなさを悔やむ心には、切り傷とはまた違う、
 内出血のような痛みが続きます。」(P25 )(この表現は素敵すぎる)

 私的に面白かったのは、「野心」と「時間の観念」を結びつけているところです。
 将来の自分を想像し、与えられた時間を意識していることが、大事だと言います。

 逆に現在は、将来の自分が想像できず、与えられた時間が意識できないと言います。
 その背景には、飢え死にせずになんとか生きていける社会がある、と分析しています。

 また、「野心」と「強運」の関係に触れた個所は、自己啓発本以上に面白かったです。
 実体験に基づいているから、とても説得力がありました。

 「自分でちゃんと努力をして、野心と努力が上手く回ってくると、運という大きな輪
 がガラガラと回り始めるのです。一度、野心と努力のコツをつかむと、生き方も人生
 もガラっと変わってくる。」(P63)

 こういう文章を読むうちに、知らず知らず元気になってきます。
 下手な成功本を読むよりも、はるかに多くのエネルギーをもらいました。

 さて、林真理子の人生の転換点が、1982年の「ルンルンを買って」の成功でした。
 とても興味が湧いたので、「ルンルンを買って」も勢いで読んでみました。

 その目次を見ると、「ベッドは、男と女のゴールデンリング」「ブスはやはり差別
 されても仕方ない」「美少年は公共のものです」等、魅力的なタイトルばかりです。

 たとえば、う〇こに向かって「ありがとう、Aさん」と、過去の恋人の名を呼ぶなど、
 とても素敵なお話もありました。林真理子のセンスの良さ(?)を感じます。

 ところが全体的に見ると意外にフツーです。1982年当時はとても新鮮でしたが。
 実は、1999年刊の「美女入門」(角川文庫)も買いましたが、まだ読んでいません。


美女入門 (角川文庫)

美女入門 (角川文庫)

  • 作者: 林 真理子
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2002/03/01
  • メディア: 文庫


 女性のエッセイの中で強烈なのは、中村うさぎの「パリのトイレで・・・」。
 ゲロを吐いたり、うんこをもらしたり、この人は本当にすごい。

 中村うさぎ「パリのトイレでシルブプレ〜〜!」
 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2012-11-08

 さいごに。(おのれ、ウィンドウズよ) 

 せっかくのお盆休みなのに、タブレットが故障してたいへんでした。
 ウィンドウズが勝手に更新されて、その直後に画面が消えて、電源が入りません。

 修理屋は休みだし、メーカーには電話がつながらないし・・・
 メーカー送りで結構な金額がかかるらしいので、買い替えようかとも・・・

nice!(5)  コメント(0) 
共通テーマ:

レキシントンの幽霊 [日本の現代文学]

 「レキシントンの幽霊」 村上春樹 (文春文庫)


 国語教科書に載った表題作、読書会用の本となった「沈黙」等、全7編の短編集です。
 少し怖い話ばかりが集められています。文春文庫から出ています。


レキシントンの幽霊 (文春文庫)

レキシントンの幽霊 (文春文庫)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1999/10/01
  • メディア: 文庫



 「レキシントンの幽霊」は、タイトル通りレキシントンの屋敷に現れる幽霊の話です。
 「僕」は友人に頼まれて、レキシントンの古い屋敷で留守番をすることになりました。

 「僕」は深夜に、階下から楽しげな音楽や笑い声が聞こえてくるのに気づきました。
 しかし、この屋敷には今は誰もいないはずです。いったい、あの音は何なのか?・・・

 「沈黙」は、職場の先輩が、同級生との間で起こった苦い出来事を語った話です。
 人生でたった一度、中学二年生の時に殴ってしまった相手が、同級生の青木でした。

 そして、高校3年生の時にある事件が起こり、「僕」は青木に陥れられて・・・
 身に覚えのないことで、多くの人に疑われた「僕」は・・・実にひどい話です。

 「めくらやなぎと、眠る女」は、幻想的で怖い感じの話でオススメです。
 いとこの耳鼻科に付き合って、バスに乗っている間、「僕」は昔を思い出して・・・

 「めくらやなぎには強い花粉があって、その花粉をつけた小さな蠅が耳から潜り込ん
 で、女を眠らせるの」・・・
 「それで・・・・・その蠅は何をするの?」
 「女のからだの中で、その肉を食べるのよ、もちろん」(P200)

 ほか、「緑色の獣」「氷男」「トニー滝谷」「七番目の男」等、全7編収録です。
 いずれも1990年代に発表された短編です。

 さいごに。(ガトリン、おめでとう。ボルト、ありがとう。)

 世界陸上を早朝見るため、最近寝不足気味です。ボルトのラストランも見ました。
 ガトリンはドーピングの過去があるものの、あのブーイングはひどいと思います。

 しかし、敗れてゴールしたボルトは、1位のガトリンと健闘を讃え合っていました。
 さすが、ボルト。彼は、あらゆる意味でスーパースターです。感動をありがとう!

nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:

白蓮れんれん [日本の現代文学]

 「白蓮れんれん」 林真理子 (集英社文庫)


 筑紫の女王「白蓮」が再婚してから、白蓮事件を起こすまでを描いた伝記小説です。
 2014年の連ドラ「花子とアン」では、仲間由紀恵が白蓮を演じて話題になりました。


白蓮れんれん (集英社文庫)

白蓮れんれん (集英社文庫)

  • 作者: 林 真理子
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2005/09/16
  • メディア: 文庫



 1911年、柳原燁子(あきこ)は、九州の炭坑王・伊藤伝右衛門のもとに嫁ぎました。
 この不釣り合いな結婚は、「華族の令嬢が売り物に出た」と、話題になりました。

 燁子は、出戻りとはいえ、大正天皇の従妹で、まだ26歳。
 伝右衛門は、大富豪とはいえ、労働者上がりでもう51歳。

 九州に着くと燁子は、伊藤家の複雑な事情を知り、次々と希望を失っていきました。
 そして、自身の苦悩を短歌に託し、白蓮と名乗って、雑誌に発表し続けるのでした。

 1919年に発表した戯曲「指鬘外道」(しまんげどう)が、文学界で注目されました。
 翌年、その戯曲のことで白蓮のもとにきたのは、27歳の宮崎龍介。運命の出会い!

 二人はいかにして、禁断の愛におぼれていったのか?
 そしていかにして、白蓮事件を起こしたのか?

 事件当時、白蓮は36歳、宮崎龍介は29歳。世間を大きく騒がせました。
 ひょっとしたら白蓮は、こういう形で、社会に復讐をしたかったのではないか。

 さてこの小説は、白蓮事件が起こるまでの、九州における10年ほどを描いています。
 東洋英和女学校時代のことは出てきません。村岡花子もほとんど出てきません。

 だから、2014年にNHKで放送した「花子とアン」は貴重でした。見ておきたかった!
 しかも、白蓮役は仲間由紀恵だったというではないか。(ドラマでは「葉山蓮子」役)

 また、この小説は、「不機嫌な果実」とは全く違いました。
 「不倫小説」と呼ぶのは不適切でした。ジャンルは「伝記小説」でしょうか。

 さいごに。(水泳補習が楽しみだった)

 娘はある程度泳げるため、水泳の補習はわずか1日で終わりました。
 1日目で合格したことで、娘はとてもがっかりしています。

 補習は人が少なくて、楽しく泳げたといいます。
 今、自由プールに行っていますが、人が多すぎてあまり泳げないのだそうです。

nice!(5)  コメント(0) 
共通テーマ:

カンガルー日和 [日本の現代文学]

 「カンガルー日和」 村上春樹 (講談社文庫)


 「カンガルー日和」「鏡」など全18編を収録した、村上春樹の初期の短編集です。
 所々に佐々木マキのイラストが入っていて、おシャレです。


カンガルー日和 (講談社文庫)

カンガルー日和 (講談社文庫)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1986/10/15
  • メディア: 文庫



 冒頭の「カンガルー日和」は、彼女と二人でカンガルーの子どもを見に行く話です。
 わずか8ページですが、村上春樹特有の味わいがあります。

 カンガルーの赤ん坊の誕生を知って1カ月。ようやくやってきたカンガルー日和。
 僕と彼女が楽しみにしていた赤ん坊は、しかしすでに大きく成長していて・・・

 ありふれた日常の一コマを描きながら、どこか不思議でイミシンな感じがします。
 だから、何かほかに深い意味があるのではないかと、深読みしたくなる作品です。

 僕と彼女は同棲しているのに、「僕」「彼女」と呼んでいて、夫婦ではなさそう。
 彼女はなぜかピリピリしていて、カンガルーの赤ん坊に異常にごだわっている。

 彼女は妊娠しているのでは? と、誰でも考えるでしょう。
 カンガルーの赤ん坊は、自分の胎内の子を暗示しているように思えます。

 ひょっとして、月曜日の朝に二人が行ったのは、動物園ではなく婦人科なのでは?
 考えすぎかもしれないけど、月曜日はたいていの動物園が閉まっているので。

 ところで、この作品は最近、高校の国語の教科書にも載っています。
 学校で教えるには、少し微妙な問題を含んでいると思いますが・・・

 「鏡」も高校の国語の教科書に載っている作品です。この作品もイミシンです。
 鏡は何だったのか? 鏡の中の僕は何だったのか? 様々な解釈ができて面白い。

 「図書館奇譚」と「1963/1982年のイパネマ娘」は、幻想的で印象に残ります。
 特に「図書館奇譚」には羊男が出てくるので、興味深いです。

 以上、タイトルを紹介した4編が私のオススメです。
 正直に言って、この短編集には「だから、なに?」という作品も入っています。

 さいごに。(アマゴをさばく)

 宿泊研修では、全員がアマゴを自分でさばいて、塩焼きにしたのだそうです。
 アマゴをデコピンで気絶させ、ハサミで腹を切って内臓を出したのだそうです。

 しかし娘のアマゴは気絶しなくて、クネクネと動くアマゴの腹を裂いたという。
 そのアマゴはとてもおいしかったとのこと。貴重な体験をしたと思います。

nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:

不機嫌な果実 [日本の現代文学]

 「不機嫌な果実」 林真理子 (文春文庫)


 32歳の美しき人妻が、結婚6年目にして不倫に走り、人生を転換する物語です。
 「不倫小説の最高傑作」として有名で、石田ゆりこ主演でドラマ化されました。


不機嫌な果実 (文春文庫)

不機嫌な果実 (文春文庫)

  • 作者: 林 真理子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2001/01/10
  • メディア: 文庫



 水越麻也子は、32歳の美しい人妻です。結婚6年目で、まだ子供がいません。
 夫に対する不満から、ある日かつての恋人の野村に連絡を取りました。

 野村は、広告代理店に勤める中年の男で、すでに結婚しています。
 彼との不倫なら、いつでも引き返すことができる。

 しかし、独身の若き音楽評論家の通彦(みちひこ)と出会ってしまいました。
 彼との不倫は、野村とはまったく違う・・・

 あのみずみずしい青春小説「葡萄が目にしみる」と、なんと違うことか。
 「葡萄が目にしみる」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2016-11-24

 しかし、内容は違うものの、文章はやはりうまい、と思いました。
 次のような名文が、数ページおきに、さりげなく登場します。

 「可能性というのは、違う道もあり得るのだというやさしい示唆だ。が、それが
 失くなってしまった今、麻也子の前にあるのはのっぺりとした一本の日常である。」

 また、女性から見た男性観察が、とても鋭くて面白いです。
 次のような文は、男にはなかなか書けないと思います。

 「過去について、具体的なことを口にし始めるのは、男が欲情している証拠である。」
 「買い被りは、男の気持ちが既に愛情すれすれのところまで来ている何よりの証だ。」

 さて、この物語の結末は・・・やっぱりね。どうして麻也子は気付かなかったのか。
 いい歳をして「高等遊民になりたい」なんて言ってる男を、信じてはいけない!

 それにしても、この本を読んで、不倫に憧れてしまう人もいるのでは?
 女性にはあまり読んでほしくない小説です。

 ところで林真理子には、もうひとつ不倫小説「白蓮れんれん」があります。
 この勢いに乗って、読んでみたいです。


白蓮れんれん (集英社文庫)

白蓮れんれん (集英社文庫)

  • 作者: 林 真理子
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2005/09/16
  • メディア: 文庫



 さいごに。(宿泊研修)

 2泊3日の宿泊研修から、娘が帰ってきました。「楽しかった!」とのこと。
 行く前は少し憂鬱そうでしたが、元気に帰ってきてよかったです。

 学校からは、こまめに一斉メールが来ました。便利な世の中になりましたね。
 「現地到着。車酔いはいませんでした」などと知らされて、ほっとしました。

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:

サクリファイス [日本の現代文学]

 「サクリファイス」 近藤史恵 (新潮文庫)


 自転車競技のアシストとして活躍する青年と、仲間たちとのドラマを描いています。
 2008年本屋大賞で2位に入りました。青春小説でもありミステリーでもあります。


サクリファイス (新潮文庫)

サクリファイス (新潮文庫)

  • 作者: 近藤 史恵
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/01/28
  • メディア: 文庫



 白石誓(ちかう)は、もと陸上の長距離選手で、全国優勝したほどの実力者です。
 しかし、走ることや勝つことの意味が分からなくなり、自転車に転向しました。

 そして彼はプロのロードレースチームに所属し、アシストとして活躍しています。
 その役割は、チームのエースを勝たせるために、徹底的に尽くすことです。

 アシストはエースの踏み台ですが、誓はその仕事にプライドを持っています。
 そして、チームのエース石尾のために、全力でサポートしていますが・・・

 石尾が故意に起こしたという、過去の事故の真相は?
 そして、石尾の身に起こった事故の真相は?

 私はロードレースのことを全く知らなかったのですが、とても楽しめました。
 読んでいるうちに、少しずつロードレースについて、知ることができました。

 自転車競技が、団体競技であり、紳士のスポーツと言われる理由が分かります。
 そして、特に興味深かったのは、アシストという役割です。

 誓は、石尾を勝たせるために、風よけとなって走り、全力で彼を引っ張ります。
 まさに、エースのために犠牲(サクリファイス)となるのです。

 それが分かっている石尾も、チームのために犠牲(サクリファイス)となります。
 あとになって誓は知ります。石尾の言動の意味と、その思いを。

 なんという男同士の信頼!
 これは、女性によって書かれた、最高の「男の小説」でしょう。

 しかし、読後のもやもやはなんだ? これは袴田と元恋人の香乃からくるもの。
 卑劣な男と、見る目のない女。こいつら、このままでいいのか?!

 さて、続巻の「エデン」「サヴァイブ」「キアズマ」も、とても気になります。
 また、TVでツールド・フランスを見てみたくなりました。


エデン (新潮文庫)

エデン (新潮文庫)

  • 作者: 近藤 史恵
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2012/12/24
  • メディア: 文庫



キアズマ

キアズマ

  • 作者: 近藤 史恵
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2013/04
  • メディア: 単行本



 さいごに。(調べ学習?)

 娘が熱心にパソコンを見ながらメモをとっていました。何を調べているのか?
 こっそりメモをのぞいてみると、そこには新しく始まるドラマのタイトルが!

 何かと思えばくだらない。新しいドラマのチェックをしていたのです。
 見たいドラマが3つもあって、困っています。見られるのは2つまでなので。

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:

女ざかり [日本の現代文学]

 「女ざかり」 丸谷才一 (文春文庫)


 大新聞の論説委員である40代の南弓子が、政府の圧力に屈せず奮闘する物語です。
 1993年に出版されてベストセラーとなり、吉永小百合主演で映画にもなりました。


女ざかり (文春文庫)

女ざかり (文春文庫)

  • 作者: 丸谷 才一
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1996/04/10
  • メディア: 文庫



 南弓子は40代でバツイチのシングルマザーで、仕事も恋もがんばっています。
 知的で美しく、多くの地位ある男たちに囲まれ、今がまさに「女ざかり」です。

 ところが、弓子の書いた単身赴任についての社説が、政府を激怒させました。
 社内での地位が危うくなった弓子は、自分の仲間たちとともに反撃に出て・・・

 もう20年以上前のことですが、話題になった時、周囲に流される形で読みました。
 ところが冒頭から引き込まれて、面白くて面白くて、いっきに読み終わりました。

 ただし物語的には、最後の首相との対決場面に拍子抜けしたように記憶しています。
 コネがあって偶然解決されたという感じで、少し物足りなかったような気がします。

 しかし、この小説の魅力は、ストーリーの面白さだけではありません。
 なんといっても、丸谷の知的なおしゃべりが、この作品の魅力を倍増しています。

 たとえば、恋人の哲学者の口を借りて開陳される「贈与論」。
 日本は贈与の文化を特色として持ち、それは古代の文化を残している証拠で・・・

 ほか様々な場面で、日本の文化・政治・社会・宗教等を鋭く批評しています。
 オオーとうなったり、クスリと笑ったりしてしまう部分が、けっこう多いです。

 さて、丸谷が亡くなったのは、ついこのあいだのような気がしますが、2012年です。
 文章の品格にこだわった作家で、あえて歴史的仮名遣いを使っていました。

 エッセイもオススメです。というより、エッセイの方がオススメだったりします。
 「文学のレッスン」「思考のレッスン」「女性対男性」などは、私の愛読書です。

 「文学のレッスン」「思考のレッスン」
  → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-10-18
 「女性対男性」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2016-12-12

 さいごに。(知事選)

 現知事の川勝氏は、大いにリーダーシップを発揮し、わが県を引っ張っています。
 その一方で強引さが目立ち、〇〇市長や教育委員会等と対立してきました。

 その結果、対立候補の溝口氏を、地元の保守党や元教育長などが応援しています。
 川勝氏優勢の流れの中、溝口氏支持がじわじわ広がり始め、面白くなってきました。

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:

古代からの伝言2 [日本の現代文学]

 「古代からの伝言(日出づる国・水漬くかばね・壬申の乱・わが国家成る)」
 八木荘司 (角川文庫)


 「日本書紀」の世界を、まるで見てきたかのように、リアルに再現した小説です。
 角川文庫で全7巻で出ています。今回はそのうち後半の4~7巻を紹介します。


古代からの伝言 日出づる国 (角川文庫)

古代からの伝言 日出づる国 (角川文庫)

  • 作者: 八木 荘司
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2006/09/22
  • メディア: 文庫



古代からの伝言 壬申の乱 (角川文庫)

古代からの伝言 壬申の乱 (角川文庫)

  • 作者: 八木 荘司
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2007/02
  • メディア: 文庫



古代からの伝言 水漬くかばね (角川文庫)

古代からの伝言 水漬くかばね (角川文庫)

  • 作者: 八木 荘司
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2006/09/22
  • メディア: 文庫



古代からの伝言 わが国家成る (角川文庫)

古代からの伝言 わが国家成る (角川文庫)

  • 作者: 八木 荘司
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2007/03
  • メディア: 文庫



 第4巻は「日出づる国」編です。聖徳太子を中心に描いています。
 崇峻天皇と蘇我馬子、推古天皇と厩戸の王子、小野妹子と隋の使節団・・・

 第5巻は「水漬くかばね」編です。天智天皇を中心に描いています。
 中臣鎌足と中大兄皇子、大化の改新、有間皇子、天智天皇、白村江の戦い・・・

 第6巻は「壬申の乱」編です。天武天皇を中心に描いています。
 大海人皇子、高市皇子、壬申の乱、大友皇子、大津皇子、天武天皇・・・

 第7巻は「わが国家成る」編です。完結編です。
 藤原不比等、大津皇子の変、持統天皇、律令制、光明皇后、平常遷都・・・

 前回の第3巻辺りから、資料が充実したためか、記述がだいぶ詳しくなりました。
 歴史上の人物の、息づかいが聞こえるぐらい、生き生きと描かれています。

 特に、崇峻暗殺の場面、有間皇子と大津皇子の悲劇の場面などが印象的でした。
 所々に著者独自の見方や仮説もあって、とても興味深く読むことができました。

 このシリーズ後半は、読んでワクワクすると同時に懐かしい気持ちになりました。
 というのも、舞台となっている飛鳥と奈良は、若い頃よく通った土地だからです。

 大学時代、青春十八きっぷを使って、飛鳥と奈良を、何度訪れたことでしょう。
 あのころ通ったお寺にいつか家族で行きたいと思いつつ、まだ果たせていません。

 一度は奈良ホテルに滞在して、奈良公園をたっぷり味わいたいと思っています。
 そして、日本書紀の人々や万葉時代の人々と、言葉を交わすことができたら・・・

 さて、この時代のドラマを、別の視点から描き直したのが「遥かなる大和」です。
 「青雲の大和」「大和燃ゆ」と、現在三部作を成しています。


遥かなる大和 上 (角川文庫)

遥かなる大和 上 (角川文庫)

  • 作者: 八木 荘司
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2010/08/25
  • メディア: 文庫



 さいごに。(読書クラブ)

 昨年の娘の必修クラブは、手芸クラブでした。年に7回~8回活動しました。
 今年は、調理クラブを希望していますが、希望者がとても多いのだそうです。

 入れなかった場合は、第2希望の読書クラブになりそうです。
 ただ本を読むだけでつまらないと言っていますが・・・とてもうらやましい!

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:

古代からの伝言1 [日本の現代文学]

 「古代からの伝言(日本建国・民族の雄飛・悠久の大和)」 八木荘司 (角川文庫)


 「日本書紀」の世界を、まるで見てきたかのように、リアルに再現した小説です。
 1999年から産経新聞に連載され、大きな反響を呼びました。角川文庫で全7巻。


古代からの伝言 日本建国 (角川文庫)

古代からの伝言 日本建国 (角川文庫)

  • 作者: 八木 荘司
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2007/01
  • メディア: 文庫



古代からの伝言 民族の雄飛 (角川文庫)

古代からの伝言 民族の雄飛 (角川文庫)

  • 作者: 八木 荘司
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2006/12/22
  • メディア: 文庫



古代からの伝言 悠久の大和 (角川文庫)

古代からの伝言 悠久の大和 (角川文庫)

  • 作者: 八木 荘司
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2006/11
  • メディア: 文庫



 第1巻は「日本建国」編です。神話時代を扱うため、最もロマンあふれる巻です。
 卑弥呼から神武天皇の建国神話を経て日本武尊(ヤマトタケル)まで描いています。

 卑弥呼と邪馬台国、中国からの使者と金印、卑弥呼の死と新女王、神武天皇の東征、
 欠史八代、天皇の長寿と倍年説、四道将軍、大和と出雲、日本武尊と白鳥伝説・・・

 第2巻は「民族の雄飛」編です。空白の4世紀を扱っていて、興味深いです。
 神功皇后から応神天皇と仁徳天皇を経て雄略天皇までを描いています。

 仲哀天皇の死と神功皇后、新羅攻略、武内宿禰(たけしうちのすくね)、七支刀、
 応神天皇と高句麗との戦闘、好太王碑、仁徳天皇、倭の五王と雄略天皇・・・

 第3巻は「悠久の大和」編です。いよいよなじみのある時代に入りました。
 継体天皇から大伴氏、物部氏、蘇我氏の時代までを描いています。

 大伴金村と継体天皇、任那(みまな)日本府、磐井の反乱、欽明天皇、金村の失脚、
 任那滅亡、仏教伝来、物部守屋、蘇我稲目と馬子、厩戸王子、物部氏対蘇我氏・・・

 すごいのは、大きな時代の流れが、ひとつのストーリーとしてまとまっている点です。
 しかも、登場人物たちに生命が吹き込まれ、当時の状況が生き生きと描かれています。

 神武東征などの神話的な出来事も、まるでその場で見ているかのような臨場感でした。
 古代日本史が好きで好きでたまらないという人が書いた小説だと思いました。

 時間ができたら絶対に読み返したい本です。
 または、コミックで読みたいです。どなたか漫画化してくれないだろうか。

 さいごに。(好きな人でもできてくれれば・・・)

 月曜になるたびに、娘は「いやだなあ、いやだなあ」とぼやきます。
 「早く好きな人でもできてとっとと学校に行ってくれればいいのに」と妻は言います。

 が、毎日さっさと支度をしてどんどん学校に行ってしまったら、それはそれで寂しい。
 こうして娘のぼやきを聞いたことを懐かしく思い出す日が、いつか来るかもしれない。

nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:
前の10件 | - 日本の現代文学 ブログトップ