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東京タワー オカンとボクと、時々オトン [日本の現代文学]

 「東京タワー」 リリー・フランキー (新潮文庫)


 子供時代から母親が亡くなるまでの、自身の半生を描いた自伝的小説です。
 2006年の本屋大賞に選ばれ、映画にもなった、大ベストセラー小説です。


東京タワー―オカンとボクと、時々、オトン (新潮文庫)

東京タワー―オカンとボクと、時々、オトン (新潮文庫)

  • 作者: リリー・フランキー
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/06/29
  • メディア: 文庫



 ボクが4歳になる頃、オカンはボクを連れ家を出て、オトンと別居しました。
 それ以来、ボクのために精一杯働き、ひとりでボクを育て続けてくれました。

 「オカンの人生は十八のボクから見ても、小さく見えてしまう。それは、ボク
 に自分の人生を切り分けてくれたからなのだ。」(P193)

 「ボクに自分の人生を切り分けて」生きて来た存在。まさにそれがオカンです。
 自分のものは買わず、ボクが高校へ、大学へ行くために、せっせと働き続けます。

 ところがそのオカンは、ボクと血がつながっていない?
 どちらでも取れる書き方をしていますが、どうも本当の親子ではないようです。

 それなのに、ダメダメなボクのために、自分の人生をほとんど捧げてしまう!
 そして、ボクがようやく自立できた時、オカンはすでにガンに侵されていました。

 ガンのオカンを東京へ呼び寄せてからが、この作品の本領発揮です。
 ガンの摘出手術が成功し、二人で慎ましく、しかし楽しく暮らした日々は短く・・・

 すぐそこに見える東京タワーに、連れて行くと言いながら果たせなかった約束・・・
 さんざんお世話になったあげく、ほとんど恩返しもできないまま、オカンは・・・

 ボクとオカンの関係が中心ですが、時々登場するオトンも良い味を出しています。
 例えば次のようなオトンの言葉が、作品の味わいを深めています。

 「どんなことにも最低五年はかかるんや。いったん始めたら五年はやめたらいか
 んのや。なんもせんならそれでもええけど、五年はなんもせんようにしてみぃ。
 (中略)途中からやっぱりあん時、就職しとったらよかったねぇとか思うようや
 ったら、オマエはプータローの才能さえないっちゅうことやからな」(P220)

 この作品は、本屋大賞受賞作ということで読みました。
 確かに、評判どおりのすばらしい作品だと思いました。

 ただし、期待が大きすぎたからか、皆が言うほど感動しませんでした。
 最後まで「オカン」「オトン」という呼び方に慣れなかったせいかもしれません。

 さいごに。(アコーディオンのオーディション)

 娘は、小学生最後の音楽発表会で、アコーディオン担当を狙っています。
 オーディションで選ばれるために、この2週間ほど毎夜練習しています。

 オーディションまで1週間ほど。選ばれるのは、わずかに4人。
 以前に比べて、だいぶ上達したように思うのですが、結果はいかに?

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アニバーサリー・ソング [日本の現代文学]

 「アニバーサリー・ソング」 永倉万治 (新潮文庫)


 「語りの名人」が語る、とっておきのお話12編を収録したエッセイ集です。
 1989年に刊行され第5回講談社エッセイ賞を受賞した、作者の代表作です。


アニバーサリー・ソング (新潮文庫)

アニバーサリー・ソング (新潮文庫)

  • 作者: 永倉 万治
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1992/05
  • メディア: 文庫



 私は1993年、社会に出てまもない二十代前半の頃、この本と出会いました。
 ある番組でその内容の一部が紹介され、書店では平積みになっていました。

 収録されている12のエッセイは、どれも作者特有の味わいのある佳作です。
 中でも、「菅野大尉」と「山本クンの才能」は、私のイチオシです。

 おでん屋で知り合った初老の人物は、自分を「菅野大尉」だと言いました。
 マンガのモデルにもなった彼は、様々な体験談で「僕」らを魅了します。

 飛行中に消えた少年兵とグライダーは、4年後になって・・・
 菅野大尉は終戦後のパラオで、イルカと恋してしまい・・・(菅野大尉)

 ある日、かつてヨーロッパ旅行で一緒になった山本クンと再会しました。
 山本クンには、ある種の変わった才能があって・・・(山本クン)

 ほか、「愛犬ロズベイ」「十七年目の再会」も、オススメです。
 私にとって懐かしいこの本も、長い間絶版となったままの状態です。

 永倉万治は、「アニバーサリー・ソング」刊行の年、脳出血で倒れました。
 リハビリを経て仕事に復帰しますが、2000年に再び倒れて帰らぬ人に。

 最初に倒れたときの闘病記は、テレビドラマになって話題になりました。
 しかし現在、長倉万治はほとんど忘れられた存在。少し寂しい気が・・・

 さいごに。(プールの神様)

 2年前、市民プールで、娘はあるおばさんに平泳ぎを教えてもらいました。
 その後、娘の泳ぎは急成長。我々はその方を「プールの神様」と呼びました。

 先日、クロールで50m泳いだ日に、「プールの神様」と再会しました。
 そのときは、背泳ぎを教えてもらい、25m泳げるようになりました!

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新・世界の七不思議 [日本の現代文学]

 「新・世界の七不思議」 鯨統一郎 (創元推理文庫)


 うらぶれたバーに集う4人によって、世界の七不思議が解明されていく物語です。
 「邪馬台国はどこですか?」の続編で、「ミステリーズ」に連載されました。


新・世界の七不思議 (創元推理文庫)

新・世界の七不思議 (創元推理文庫)

  • 作者: 鯨 統一郎
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2005/02/24
  • メディア: 文庫



 古代史の世界的権威であるジョゼフ・ハートマン教授は、寂れたバーを訪れました。
 そこで待っていたのは、歴史学者の早乙女静香。そしてバーテンダーの松永でした。

 3人が古代史について話していると、居合わせた雑誌ライターの宮田が加わり・・・
 この日から7夜、世界の七不思議について、歴史検証バトルが繰り広げられました。

 毎回、歴史学者の早乙女静香が豊富な知識を披露し、バーテンの松永がそれに応じ、
 話が盛り上がったところで、雑誌ライターの宮田六郎が奇抜な解釈を提示します。

 「あなたのブラックホールのような無知の穴には、太陽のようなあたしの知性も吞
 みこまれそうよ」と、静香にけなされながらも、結局話を締めくくるのは宮田です。

 テーマは、アトランティス大陸、ストーンヘンジ、ピラミッド、ノアの方舟、
 始皇帝、ナスカの地上絵、モアイ像。タイトルを見るだけで、ワクワクします。

 中でも、ストーンヘンジの解釈は、とても面白かったです。
 ストーンヘンジが二本の柱で支えたものは? それが日本に渡り〇〇となった?

 ノアの方舟の解釈は、信者の方が聞いたら怒りそうですが、実に面白かったです。
 日本で言う「ムカシ」の意味は? ノアや動物たちは偶然に集まった?

 しかし、もっとも魅力的だったのは、静香と宮田そして松永の知的な会話でした。
 知らず知らずのうちに、古代史ほか多くの蘊蓄が、楽しみながら身に付きました。

 ところで、宮田が紹介した仮説は、全て作者のオリジナルなのでしょうか。
 たとえばナスカの地上絵の解釈は、TV番組で見たような気がするのですが・・・

 全てオリジナルでなくても、読み物としてとても面白くて価値があると思います。
 できれば、どこまでが引用で、どこからがオリジナルなのかを、確認したいです。

 さて、デビュー作で姉妹編の「邪馬台国はどこですか?」も、ファンが多いです。
 邪馬台国の場所、ブッダの悟り、聖徳太子の正体、イエスの復活など、興味深い。


邪馬台国はどこですか? (創元推理文庫)

邪馬台国はどこですか? (創元推理文庫)

  • 作者: 鯨 統一郎
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1998/05/24
  • メディア: 文庫



 さいごに。(51歳になりました)

 先日、誕生日を迎えて、とうとう51歳になりました。
 100歳まで生きる予定なので、人生の折り返し点を越えたところです。

 シャトレーゼのロールケーキを買い、4センチぐらいに切って食べました。
 少し前だったら、10センチくらい食べるのは、余裕だったのですが。

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点と線 [日本の現代文学]

 「点と線」 松本清張 (文春文庫)


 *今回はネタバレが多めです。


 九州での心中事件から始まる推理小説で、時刻表を駆使したアリバイで有名です。
 清張の推理小説家としての人気を決定づけ、映画化・ドラマ化された傑作です。

 2018年3月のNHK「100分de名著」の「松本清張スペシャル」で紹介されました。
 私は文春文庫版で読みました。挿し絵が、当時の雰囲気を醸し出してくれました。


点と線―長篇ミステリー傑作選 (文春文庫)

点と線―長篇ミステリー傑作選 (文春文庫)

  • 作者: 松本 清張
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2009/04/10
  • メディア: 文庫



点と線 (新潮文庫)

点と線 (新潮文庫)

  • 作者: 松本 清張
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1971/05/25
  • メディア: 文庫



 九州博多の香椎海岸で、男女の情死体が発見されました。
 男は某省の課長補佐「佐山」。女は赤坂の料亭の女中「お時」。

 心中事件として処理されましたが、古参の刑事「鳥飼」が疑問を持ちました。
 食堂車の受取証が「御一人様」なのはなぜか? 鳥飼は単独で捜査を続けます。

 実は、佐山は某省の汚職事件の重要参考人だったのです。
 本庁から派遣された刑事「三原」も、「鳥飼」と対面して疑いを持ち・・・

 「佐山」と「お時」が特急あさかぜに乗るとき、3人の目撃者がいました。
 しかし、その目撃が可能なのは、わずか4分間。これは偶然か、必然か?

 「佐山とお時とはばらばらな二つの点でした。その点が相寄った状態になって
 いたのを見て、われわれは間違った線を引いて結んでしまったのです」(P256)

 「点と線」は、時刻表を駆使したアリバイのトリックで有名です。
 しかし、「四分間の目撃」は、出来過ぎていて、違和感を覚えました。

 また、本書が書かれたのは1957年。60年以上も前です。
 被疑者のアリバイも、〇〇機を使えば可能だろ、と今ならすぐ分かります。

 しかし、「点と線」の魅力は、トリック自体ではなく、社会問題です。
 描かれているのは、格差。犠牲者は、常に弱者。

 「100分de名著」においても、そのことが強調されていました。
 そして放送の前後で、森友学園問題の渦中の人物が、自殺してしまいました。

 あまりにもタイミングが合い過ぎて、怖いくらいでした。
 死んだのは近畿財務局職員で、決裁文書の書き換えを指示されたらしい。

 汚れ役は常に下の者の担当です。それにしても彼は、本当に自殺だったのか?
 「点と線」の事件と森友問題が、自然と重なって見えてきます。

 さて、文春文庫版では、藤井康栄と有栖川有栖の2人が解説を書いています。
 特に有栖川は、「三原刑事の勘の鈍さは度を超している」と批判しています。

 有栖川の「江神次郎の洞察」の中に、「四分間では短すぎる」があります。
 「点と線」の「四分間の目撃」について、興味深い分析がされていると言う。


江神二郎の洞察 <江神シリーズ> (創元推理文庫)

江神二郎の洞察 <江神シリーズ> (創元推理文庫)

  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2017/05/29
  • メディア: Kindle版



 さいごに。(沖縄芸大は?)

 私の同僚の娘さんが沖縄の人と結婚して、将来は沖縄で暮らすのだそうです。
 そうなったら、父親である彼もまた、一緒に沖縄に移住すると言っています。

 その影響を受けて、小学校5年の娘に、沖縄県立芸術大学を勧めています。
 娘が沖縄で就職し、沖縄で結婚したら、我々も沖縄に移住して・・・

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西行花伝2 [日本の現代文学]

 「西行花伝」2 辻邦生 (新潮文庫)


 【注意】今回もネタバレが多いです。


 様々な者たちの語りによって、西行の人生を浮き彫りにした傑作小説です。
 1999年に新潮文庫に入りました。その年、辻邦生は亡くなりました。


西行花伝 (新潮文庫)

西行花伝 (新潮文庫)

  • 作者: 辻 邦生
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1999/06/30
  • メディア: 文庫



 西行が待賢門院を垣間見たのは、おそらく北面の武士として奉公したときです。
 二人の年齢差は17歳。西行が20歳ぐらい、待賢門院は37歳ぐらいの頃でしょう。

 西行が、身分違いの恋に悩み、やがて出家するのが1140年で23歳のことです。
 待賢門院は、実子が崇徳天皇であったため、いまだ権勢を保っていました。

 ところが1141年に、崇徳天皇は半ば強制的に、近衛天皇に譲位させられました。
 翌1142年に、待賢門院は法金剛院で出家し、1145年には崩御していまいました。

 西行にとって永遠の女性待賢門院の死は、「西行花伝」の半ばで描かれます。
 こののち、近衛の急死、後白河の即位、保元の乱、平治の乱、平家の滅亡・・・

 「西行花伝」後半で、激動の時代を生きる西行の姿が描かれています。
 西行は、死んだ待賢門院を、常に身近に感じ続けていたのでした。

 出家とは生きながら死ぬことであり、死者の眼を獲得することであると言う。
 死者の眼には、森羅万象が「花咲くすがた」として立ち現れていて・・・

 「亡くなられたことで、女院はこの森羅万象のなかに変成され、この世界と一
 つになられたように思われるのだ。」(P368)

 西行が、女院は山であり川であり雲であり太陽であると悟る場面は感動的です。
 そして、自分自身もまた、山であり川であり雲であり太陽であると悟ります。

 山を歩きながら、森羅万象の哀歓を呼吸しているのだと感じるようになり・・・
 私が山を見ているのではなく、山が私を通して現れるのだと思うようになり・・・

 特に一五帖、一六帖、二一帖に現れている西行の言葉は、どれも見逃せません。
 辻邦生も、西行について書くうちに、西行と一体になってしまったのではないか。

 「西行花伝」で西行の人生と思想に触れて、西行の歌に新たな魅力を感じました。
 西行の歌は、「新古今和歌集」に94首入っていて、ここでの入撰数は第一位です。


新古今和歌集〈上〉 (角川ソフィア文庫)

新古今和歌集〈上〉 (角川ソフィア文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川学芸出版
  • 発売日: 2007/03/31
  • メディア: 文庫



 辻邦生の作品には、もう一つ「背教者ユリアヌス」という傑作があります。
 旧版を全三冊購入しながら読んでいません。読みたい本が多すぎて。


背教者ユリアヌス(一) (中公文庫)

背教者ユリアヌス(一) (中公文庫)

  • 作者: 辻 邦生
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2017/12/22
  • メディア: 文庫



 さいごに。(憧れのガスト)

 先日のバレエ発表会のあと、がんばった娘のために外食しました。
 「どこで食べたい?」と聞いたところ、「ガスト!」という返事。

 外食といえばいつもうどん屋なので、娘にとってガストは憧れなのです。
 安い女に育ててしまった・・・

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西行花伝1 [日本の現代文学]

 「西行花伝」 辻邦生 (新潮文庫)


 【注意】今回はネタバレが多いです。


 様々な者たちの語りによって、西行の人生を浮き彫りにした傑作小説です。
 辻の最晩年1995年に新潮社から刊行され、谷崎潤一郎賞を受賞しました。


西行花伝 (新潮文庫)

西行花伝 (新潮文庫)

  • 作者: 辻 邦生
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1999/06/30
  • メディア: 文庫



 弟子の藤原秋実が、様々な証言を積み重ねて、西行の人生を再構成します。
 序を入れて全二二帖。西行と関わった多くの人びとが、秋実に語ります。

 乳母の蓮照尼、弟子の西住、歌人の寂然と寂念、堀河局などが語り手です。
 時に憑女(よりましめ)に霊をのりうつらせ、死人に語らせたりもします。

 しかし最も重要な語り手は、藤原秋実自身と、彼の回想の中の西行です。
 特に西行の言葉のひとつひとつは、胸の奥深くに染み込んできます。

 「この世の花を楽しむためには、生を喜ぶと同時に死を喜ばなくてはいけな
 いんじゃないだろうか」(P110)

 「生死を超えた生き方(中略)とは、こうして月や花に溺れて、生死のこと
 も、 事が成る成らぬも忘れ果てて生きることかもしれない」(P112)

 本書「西行花伝」前半のクライマックスは、西行と待賢門院との恋です。
 決して愛し合ってはいけない二人が、お互いに恋してしまったとき・・・

 「女院がここにおられることが、私には救いなのだ、と、そう心底思いまし
 た。女院が地上にお生まれになり、私の前にお姿をお現しになられたこと―
 そのことだけで、生まれてきた意味が、もう成就していると思いました。」
 (P179)

 女院を恋することによって、西行は全人生の意味を味わい尽くしました。
 そして、生も死も全てが、女院への愛の中に溶け込んでいたと言います。

 のちに女院の落飾のとき、西行は女院が森羅万象に変成したと感じ・・・
 西行が出家したのは、この世の全てを抱きしめたいと思ったからで・・・

 というように、この作品は西行の人生を、たどっただけではありません。
 西行とともに悩み、西行とともに考える、人生の書、哲学の書なのです。

 「西行花伝」を初めて読んだのは、まだ二十代の半ばの頃でした。
 「そういう考え方もあるのか!」と、深く深く感銘を受けました。

 この物語の半ばで、待賢門院は亡くなります。
 後半は女院亡き後の世界で、西行の思いは更に深まりますが、それは次回に。

 さいごに(まただまされた?)

 「スマートフォンは意外と安く使えるんです。
 AUピタット・プランなら通信・通話料金が1980円~」

 しかし1980円というのは、一部の人が、一部の期間利用できるだけです。
 ちょっと紛らわしい。私は1980円で利用できると、信じてしまいましたよ。

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西遊記(平岩版) [日本の現代文学]

 「西遊記」 平岩弓枝 蓬田やすひろ画 (文春文庫)


 荒唐無稽な「西遊記」を、仲間との絆を中心に、平岩流にアレンジしています。
 2005年から毎日新聞に連載されました。新聞小説なのでとても読みやすいです。


西遊記〈1〉 (文春文庫)

西遊記〈1〉 (文春文庫)

  • 作者: 平岩 弓枝
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2009/03/10
  • メディア: 文庫



 唐の太宗と龍王の話、太宗の冥界めぐりのエピソードから、物語は始まります。
 冥界から帰還した太宗は、亡者を救うための大法会を、玄奘に指揮させました。

 玄奘は、三蔵の仏典を取りに行くため旅に出て、三蔵法師と呼ばれ・・・
 孫悟空、猪八戒、沙悟浄らとともに、妖怪に邪魔されながらも旅を続け・・・

 ただの日本語訳ではありません。平岩流に大きくアレンジされています。
 物語を効果的にする工夫が、随所に施されています。

 冒頭の、悟空が石から誕生した場面も、天界で大暴れした場面もありません。
 釈迦の手のひらから出られなかったという、有名なエピソードもありません。

 また、三蔵法師の身の上を説明した部分も、ざっくりとカットされています。
 三蔵の前世の話も、両親の悲劇と仇討ちのエピソードもありません。

 そういったことは、孫悟空や三蔵法師の口を借りて、所々で語られています。
 読者は一行の旅を追いながら、その身の上を少しずつ知るという仕掛けです。

 こうして作者は、「西遊記」の物語世界に、入り込みやすくしています。
 このような工夫によって、とても親しみやすい物語になっています。

 平岩版「西遊記」は、「一番美しい西遊記」と紹介されています。
 それは、仲間の絆を中心に、お互いが成長していく姿を描いているからです。

 また孫悟空は、「一番かわいい孫悟空」と紹介されたりもします。
 悟空のけなげな姿が描かれているからですが、イラストの力も大きいです。

 4~5ページごとに挿し絵がありますが、悟空の絵がとてもかわいいです。
 カバーイラストでも分かるとおり、かわいいやんちゃな子猿という感じです。

 なお、猪八戒(P240)はイメージどおり。沙悟浄(P287)は予想外でした。
 そして一番かわいかったのは子竜(P49)でした。絵は蓬田やすひろです。

 平岩版「西遊記」は、1~4の全4巻です。
 たまたま4冊買い置きしてありましたが、すでに絶版になっているようです。

 さいごに。(sportio)

 私がオークションでゲットしたケータイは、2008年に出た「sportio」です。
 この当時のケータイが、一番カッコ良かった気がします。中古で4900円。


TOSHIBA WIN Sportio W63T レイ・ホワイト

TOSHIBA WIN Sportio W63T レイ・ホワイト

  • 出版社/メーカー: Toshiba
  • メディア: エレクトロニクス



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西行 [日本の現代文学]

 「西行」 白洲正子 (新潮文庫)


 西行の足跡をたどりながら、西行の人生とその歌について自由に述べています。
 白洲正子は白洲次郎の妻であり、随筆家。本書は晩年に近い1988年に出ました。


西行 (新潮文庫)

西行 (新潮文庫)

  • 作者: 白洲 正子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1996/05/29
  • メディア: 文庫



 西行と明恵、西行と出家、西行と和歌、西行と阿漕が浦、西行と法金剛院、
 西行と嵯峨、西行と在原業平、西行と吉野山、西行と桜、西行と熊野詣で、
 西行と能因法師、西行と歌枕、西行とその娘、西行と崇徳院、西行と死・・・

 著者は、西行の足跡をたどりながら、西行の人生を追体験していきます。
 その中でも特に興味深いのは、西行と待賢門院との恋を扱った部分です。

 西行の出家の原因は、「西行物語」によ ると、親友の佐藤範康の急死でした。
 しかし「源平盛衰記」によると、それはある高貴な人との恋ゆえでした。

 「西行発心のおこりを尋ぬれば、源は恋故とぞ承る。申すも恐れある上臈女房
 を思懸け進らせたりけるを、あこぎの浦ぞと云ふ仰を蒙りて、思い切り・・」

 この「申すも恐れある上臈」というのが、「待賢門院」にほかならない。
 白河法皇に寵愛されながら、その孫の鳥羽天皇に入内し、中宮となった人です。

 しかも彼女は、後白河天皇を生みます。こうして平家物語までつながるのです。
 西行と待賢門院の報われぬ愛は、歴史のうねりの中で、燦然と輝いて見えます。

 さて、待賢門院が落飾した法金剛院では、待賢門院の肖像画が見られるという。
 本堂には、待賢門院の御願による、丈六の阿弥陀如来が鎮座しているともいう。

 西行もよく訪れた法金剛院に、すぐにでも行ってみたくなりました。
 近くの広隆寺には何度も行きましたが、法金剛院には一度も行っていないので。

 白洲正子によると、西行は待賢門院の面影を桜にたとえているのだと言います。
 そして吉野に籠ったのも、待賢門院への思慕から解放されるためだと言います。

 「ねがはくは花のしたにて春死なむそのきさらぎの望月の頃」
 この有名な歌も待賢門院との関わりで解釈すると、新たな魅力が発見されます。

 西行と待賢門院を描いた小説といえば、辻邦夫の「西行花伝」があります。
 「西行物語」も「西行花伝」も20代に読んで、西行にすっかりはまりました。


西行花伝 (新潮文庫)

西行花伝 (新潮文庫)

  • 作者: 辻 邦生
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1999/06/30
  • メディア: 文庫



 さいごに。(90分待ちも当たり前?)

 ガラケーをネットで手に入れたので、手続きをするためAUショップへ。
 ところが1店目は80分待ち。次は90分待ちで、明日の予約を勧められた!

 それを当たり前のように、おとなしく待っている人たちは本当にえらい。
 私は頭にきて帰ってきてしまいましたよ。次に行けるあてはないのに。

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本を読む女 [日本の現代文学]

 「本を読む女」 林真理子 (集英社文庫)


 まだ女性にとって生きにくかった昭和を、懸命に生きた文学少女の物語です。
 主人公の小川万亀(まき)は、作者林真理子の母をモデルにしています。


本を読む女 (集英社文庫)

本を読む女 (集英社文庫)

  • 作者: 林 真理子
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2015/06/25
  • メディア: 文庫



 万亀は大正4年に山梨の菓子屋に生まれ、恵まれた子供時代を送りました。
 小学生のとき作文が「赤い鳥」に載り、「第二の樋口一葉」と呼ばれました。

 名門の山梨高女でもよく学び優等生と言われ、東京の学校に進学しました。
 「一生、小説や詩の本を読んで暮らしていけたらいいなあと思う」

 ところが、しだい万亀も、現実社会という網の目に絡み取られていき・・・
 それまで漠然と夢見ていた可能性は、ひとつひとつと失われていき・・・

 のちに万亀は、自分の弱さを反省します。自分はいつも卑屈で臆病だったと。
 しかし、万亀の生き方は、充分たくましかったと、感ぜずにはいられません。

 女は結婚するものだと言われた時代に、「結婚しない」と公言していた女。
 24歳ですでに「行き遅れ」と言われていた時代に、30歳で結婚した女。

 女一人では生きていけないと言われていた時代に、職を持って自立した女。
 そして、そんな万亀を、いつも大好きな本たちが支えていました。

 全7章のタイトルは「赤い鳥」「花物語」「放浪記」「大地」「オリンポスの
 果実」「万葉集」「斜陽」と、そのとき万亀が夢中になっていた作品名です。

 万亀の本への愛情と、作者の本への畏敬の念が、ひしひしと伝わる作品です。
 解説を書いた中島京子は、次のように書いています。

 「この小説は、作者の、本への偏愛の結晶のような小説であり、小説家として
 の決意表明のような特別な一冊でもある。」(P291)

 本好きな人に、この作品が好きな人が、多いのだそうです。
 そして、この本は私にとっても、愛すべき一冊となりました。

 特に、高校時代の「花物語」、大学時代の「放浪記」、教員時代の「大地」。
 この3章は、万亀の青春時代を描いていて、とても面白かったです。

 高校には艶子がいて、大学には房子がいて、教員時代にはいとがいました。
 万亀にとっても、この頃が、一番良ったのではないでしょうか。

 ところが後半、田代が現れ、義朗が登場して・・・
 相変わらず林真理子は、だめな男を書くのがうまいですね。

 さて、林真理子の作品で、今年ぜひ読んでおきたいものがあります。
 「六条御息所 源氏がたり」です。六条御息所が語る源氏物語です。


六条御息所 源氏がたり 上 (小学館文庫)

六条御息所 源氏がたり 上 (小学館文庫)

  • 作者: 林 真理子
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2016/09/06
  • メディア: 文庫



 さいごに。(女子カーリングが面白い)

 女子カーリングが、こんなに面白かったとは!
 私も、「そだねー」と「おやつタイム」に癒された一人です。

 彼女たちが、全力でがんばる姿はけなげで、自然と応援したくなりました。
 ピンチになっても悲壮感が無く、競技を楽しんでいるところがすばらしい。

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「リアル鬼ごっこ」ほか、計3冊 [日本の現代文学]

 「リアル鬼ごっこ」 山田悠介 (幻冬舎文庫)
 「ちょっと今から仕事やめてくる」 北川恵海 (メディアワークス文庫)
 「猫とともに去りぬ」 ロダーリ (光文社古典新訳文庫)


 「リアル鬼ごっこ」は、捕まると殺されるリアルな鬼ごっこを描いた作品です。
 無名の青年の自費出版でありながら、大ヒットして映画やゲームになりました。


リアル鬼ごっこ (幻冬舎文庫)

リアル鬼ごっこ (幻冬舎文庫)

  • 作者: 山田 悠介
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2004/04/10
  • メディア: 文庫



 西暦3000年。若き王は、自分と同じ佐藤姓を減らすためある手段を思いつく。
 それがリアル鬼ごっこ。鬼に捕まった佐藤さんは、実際に殺されるのです。

 若きスプリンター佐藤翼は、生き別れた妹を探しながら、逃げ切ろうと・・・
 最終日の7日目、追い詰められた翼に、何があったのか? 驚くべき結末!

 私はこの本を、友人から、「これもまた陸上部モノだ」と紹介されました。
 思っていた内容と、まったく違いましたが、とても楽しんで読めました。

 ところがアマゾンでの評価はとても悪いです。
 若い作家特有の、少しつたない文章のせいのようです。

 しかし、「本当に殺される鬼ごっこ」という発想は、すごいと思いました。
 本作品の魅力が、解説では次のように、とてもうまく表現されています。

 「フィクションでありながら、どこかで皆が予感している〈足元の床が突然
 抜け落ちる感じ〉を敏感に察知して描いている。」(P309)

 さて、年末年始のお休みで、ほかにもいくつか、軽い本を読みました。
 その1冊が、「ちょっと今から仕事やめてくる」。映画にもなった作品です。


ちょっと今から仕事やめてくる (メディアワークス文庫)

ちょっと今から仕事やめてくる (メディアワークス文庫)

  • 作者: 北川恵海
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
  • 発売日: 2015/02/25
  • メディア: 文庫



 この本もまた、内容が想像とだいぶ違いました。
 タイトルと違って、主人公は、なかなか仕事を辞めません。

 主人公に、見当違いの努力をしているような、もやもやを感じました。
 また、ヤマモトという男は、存在感が無さすぎて、しっくりきませんでした。

 ところが、福士蒼汰主演の映画は、なかなか評判が良いらしいのです。
 もしTVで放映されることがあったら、見るかもしれません。

 もう1冊、ロダーリの「猫とともに去りぬ」も軽い気持ちで読んだ作品です。
 表題作ほか、全16編のファンタジー短編小説集です。


猫とともに去りぬ (光文社古典新訳文庫)

猫とともに去りぬ (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: ジャンニ ロダーリ
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2006/09/07
  • メディア: 文庫



 表題作「猫とともに去りぬ」は、わずか15ページながら印象的な作品です。
 アントニオ氏が、アルジェンティーナ広場の鉄柵を越えると・・・

 実に面白い。「そんなばかな!」と口に出したくなる展開です。
 それでいて、しみじみとした悲哀が感じられました。愛すべき作品です。

 しかし、その他の作品は、ばかばかしすぎて受け入れられませんでした。
 目覚めたら前日になっていた、魚になった家族、バイクと結婚する男・・・

 これをユーモアというのか? たわごとを並べているだけなのではないか?
 どのように味わうべきなのか分からず、途中で投げ出してしまいました。

 さいごに。(鍾乳洞と洞窟カフェ)

 沖縄旅行で一番印象に残ったのは、おきなわワールドの玉泉洞です。
 日本一と言われる通り、壮大で幻想的で美しく、別世界のようでした。

 その近くの、ガンガラーの谷の洞窟内の「ケイブカフェ」も良かったです。
 まさか日本で、洞窟カフェに入れるとは思っていませんでした。

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