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女ざかり [日本の現代文学]

 「女ざかり」 丸谷才一 (文春文庫)


 大新聞の論説委員である40代の南弓子が、政府の圧力に屈せず奮闘する物語です。
 1993年に出版されてベストセラーとなり、吉永小百合主演で映画にもなりました。


女ざかり (文春文庫)

女ざかり (文春文庫)

  • 作者: 丸谷 才一
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1996/04/10
  • メディア: 文庫



 南弓子は40代でバツイチのシングルマザーで、仕事も恋もがんばっています。
 知的で美しく、多くの地位ある男たちに囲まれ、今がまさに「女ざかり」です。

 ところが、弓子の書いた単身赴任についての社説が、政府を激怒させました。
 社内での地位が危うくなった弓子は、自分の仲間たちとともに反撃に出て・・・

 もう20年以上前のことですが、話題になった時、周囲に流される形で読みました。
 ところが冒頭から引き込まれて、面白くて面白くて、いっきに読み終わりました。

 ただし物語的には、最後の首相との対決場面に拍子抜けしたように記憶しています。
 コネがあって偶然解決されたという感じで、少し物足りなかったような気がします。

 しかし、この小説の魅力は、ストーリーの面白さだけではありません。
 なんといっても、丸谷の知的なおしゃべりが、この作品の魅力を倍増しています。

 たとえば、恋人の哲学者の口を借りて開陳される「贈与論」。
 日本は贈与の文化を特色として持ち、それは古代の文化を残している証拠で・・・

 ほか様々な場面で、日本の文化・政治・社会・宗教等を鋭く批評しています。
 オオーとうなったり、クスリと笑ったりしてしまう部分が、けっこう多いです。

 さて、丸谷が亡くなったのは、ついこのあいだのような気がしますが、2012年です。
 文章の品格にこだわった作家で、あえて歴史的仮名遣いを使っていました。

 エッセイもオススメです。というより、エッセイの方がオススメだったりします。
 「文学のレッスン」「思考のレッスン」「女性対男性」などは、私の愛読書です。

 「文学のレッスン」「思考のレッスン」
  → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-10-18
 「女性対男性」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2016-12-12

 さいごに。(知事選)

 現知事の川勝氏は、大いにリーダーシップを発揮し、わが県を引っ張っています。
 その一方で強引さが目立ち、〇〇市長や教育委員会等と対立してきました。

 その結果、対立候補の溝口氏を、地元の保守党や元教育長などが応援しています。
 川勝氏優勢の流れの中、溝口氏支持がじわじわ広がり始め、面白くなってきました。

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古代からの伝言2 [日本の現代文学]

 「古代からの伝言(日出づる国・水漬くかばね・壬申の乱・わが国家成る)」
 八木荘司 (角川文庫)


 「日本書紀」の世界を、まるで見てきたかのように、リアルに再現した小説です。
 角川文庫で全7巻で出ています。今回はそのうち後半の4~7巻を紹介します。


古代からの伝言 日出づる国 (角川文庫)

古代からの伝言 日出づる国 (角川文庫)

  • 作者: 八木 荘司
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2006/09/22
  • メディア: 文庫



古代からの伝言 壬申の乱 (角川文庫)

古代からの伝言 壬申の乱 (角川文庫)

  • 作者: 八木 荘司
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2007/02
  • メディア: 文庫



古代からの伝言 水漬くかばね (角川文庫)

古代からの伝言 水漬くかばね (角川文庫)

  • 作者: 八木 荘司
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2006/09/22
  • メディア: 文庫



古代からの伝言 わが国家成る (角川文庫)

古代からの伝言 わが国家成る (角川文庫)

  • 作者: 八木 荘司
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2007/03
  • メディア: 文庫



 第4巻は「日出づる国」編です。聖徳太子を中心に描いています。
 崇峻天皇と蘇我馬子、推古天皇と厩戸の王子、小野妹子と隋の使節団・・・

 第5巻は「水漬くかばね」編です。天智天皇を中心に描いています。
 中臣鎌足と中大兄皇子、大化の改新、有間皇子、天智天皇、白村江の戦い・・・

 第6巻は「壬申の乱」編です。天武天皇を中心に描いています。
 大海人皇子、高市皇子、壬申の乱、大友皇子、大津皇子、天武天皇・・・

 第7巻は「わが国家成る」編です。完結編です。
 藤原不比等、大津皇子の変、持統天皇、律令制、光明皇后、平常遷都・・・

 前回の第3巻辺りから、資料が充実したためか、記述がだいぶ詳しくなりました。
 歴史上の人物の、息づかいが聞こえるぐらい、生き生きと描かれています。

 特に、崇峻暗殺の場面、有間皇子と大津皇子の悲劇の場面などが印象的でした。
 所々に著者独自の見方や仮説もあって、とても興味深く読むことができました。

 このシリーズ後半は、読んでワクワクすると同時に懐かしい気持ちになりました。
 というのも、舞台となっている飛鳥と奈良は、若い頃よく通った土地だからです。

 大学時代、青春十八きっぷを使って、飛鳥と奈良を、何度訪れたことでしょう。
 あのころ通ったお寺にいつか家族で行きたいと思いつつ、まだ果たせていません。

 一度は奈良ホテルに滞在して、奈良公園をたっぷり味わいたいと思っています。
 そして、日本書紀の人々や万葉時代の人々と、言葉を交わすことができたら・・・

 さて、この時代のドラマを、別の視点から描き直したのが「遥かなる大和」です。
 「青雲の大和」「大和燃ゆ」と、現在三部作を成しています。


遥かなる大和 上 (角川文庫)

遥かなる大和 上 (角川文庫)

  • 作者: 八木 荘司
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2010/08/25
  • メディア: 文庫



 さいごに。(読書クラブ)

 昨年の娘の必修クラブは、手芸クラブでした。年に7回~8回活動しました。
 今年は、調理クラブを希望していますが、希望者がとても多いのだそうです。

 入れなかった場合は、第2希望の読書クラブになりそうです。
 ただ本を読むだけでつまらないと言っていますが・・・とてもうらやましい!

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古代からの伝言1 [日本の現代文学]

 「古代からの伝言(日本建国・民族の雄飛・悠久の大和)」 八木荘司 (角川文庫)


 「日本書紀」の世界を、まるで見てきたかのように、リアルに再現した小説です。
 1999年から産経新聞に連載され、大きな反響を呼びました。角川文庫で全7巻。


古代からの伝言 日本建国 (角川文庫)

古代からの伝言 日本建国 (角川文庫)

  • 作者: 八木 荘司
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2007/01
  • メディア: 文庫



古代からの伝言 民族の雄飛 (角川文庫)

古代からの伝言 民族の雄飛 (角川文庫)

  • 作者: 八木 荘司
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2006/12/22
  • メディア: 文庫



古代からの伝言 悠久の大和 (角川文庫)

古代からの伝言 悠久の大和 (角川文庫)

  • 作者: 八木 荘司
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2006/11
  • メディア: 文庫



 第1巻は「日本建国」編です。神話時代を扱うため、最もロマンあふれる巻です。
 卑弥呼から神武天皇の建国神話を経て日本武尊(ヤマトタケル)まで描いています。

 卑弥呼と邪馬台国、中国からの使者と金印、卑弥呼の死と新女王、神武天皇の東征、
 欠史八代、天皇の長寿と倍年説、四道将軍、大和と出雲、日本武尊と白鳥伝説・・・

 第2巻は「民族の雄飛」編です。空白の4世紀を扱っていて、興味深いです。
 神功皇后から応神天皇と仁徳天皇を経て雄略天皇までを描いています。

 仲哀天皇の死と神功皇后、新羅攻略、武内宿禰(たけしうちのすくね)、七支刀、
 応神天皇と高句麗との戦闘、好太王碑、仁徳天皇、倭の五王と雄略天皇・・・

 第3巻は「悠久の大和」編です。いよいよなじみのある時代に入りました。
 継体天皇から大伴氏、物部氏、蘇我氏の時代までを描いています。

 大伴金村と継体天皇、任那(みまな)日本府、磐井の反乱、欽明天皇、金村の失脚、
 任那滅亡、仏教伝来、物部守屋、蘇我稲目と馬子、厩戸王子、物部氏対蘇我氏・・・

 すごいのは、大きな時代の流れが、ひとつのストーリーとしてまとまっている点です。
 しかも、登場人物たちに生命が吹き込まれ、当時の状況が生き生きと描かれています。

 神武東征などの神話的な出来事も、まるでその場で見ているかのような臨場感でした。
 古代日本史が好きで好きでたまらないという人が書いた小説だと思いました。

 時間ができたら絶対に読み返したい本です。
 または、コミックで読みたいです。どなたか漫画化してくれないだろうか。

 さいごに。(好きな人でもできてくれれば・・・)

 月曜になるたびに、娘は「いやだなあ、いやだなあ」とぼやきます。
 「早く好きな人でもできてとっとと学校に行ってくれればいいのに」と妻は言います。

 が、毎日さっさと支度をしてどんどん学校に行ってしまったら、それはそれで寂しい。
 こうして娘のぼやきを聞いたことを懐かしく思い出す日が、いつか来るかもしれない。

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四畳半神話大系 [日本の現代文学]

 「四畳半神話大系」 森見登美彦 (角川文庫)


 京大3回生の男が、どんなサークルに入りどんな学生生活を送ったかを描いています。
 「夜は短し歩けよ乙女」の前年に出ました。テレビアニメにもなりました。


四畳半神話大系 (角川文庫)

四畳半神話大系 (角川文庫)

  • 作者: 森見 登美彦
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2008/03/25
  • メディア: 文庫



 「大学三回生の春までの二年間、実益のあることなど何一つしていないことを断言
 しておこう。」・・・冒頭のこの一文で、いっきに物語に没入してしまいました。

 物語は4話で構成されています。冒頭は全て同じ文章で始まります。
 この構成にはちょっとした仕掛けがあって、第4話でその意味が分かります。

 「第一話 四畳半恋ノ邪魔者」は、「私」が映画サークルを選んでいた場合です。
 3回生の5月には、「私」は悪友の小津と一緒にサークルを追放されていました。

 ある夜、ラーメンの屋台で、「私」は奇妙な男に出会いました。
 「神様だよ、貴君。私は神様だ」そして、神様と名乗る男が言ったことは・・・

 次々と実現する予言。男は本当に神さまなのか?
 小津と神様の関係は? そして気になる結末は?

 「第二話 四畳半自虐的代理代理戦争」は、「私」が師匠の弟子になった場合です。
 師匠といっても樋口師匠は、ただの大学八回生で、人生を棒に振っている人物です。

 師匠に言われて、「私」と小津が誘拐しようとした「香織さん」なるものは・・・
 師匠と城ケ崎の間に何があったのか? 「自虐的代理代理戦争」とは?

 「貴君なら大丈夫だ。・・・この先二年と言わず、三年でも四年でも、きっと立派に
 棒に振ることができるだろう。私が保証する」(P149)・・・

 「第三話 四畳半甘い生活」は、「私」がソフトボールサークルに入った場合です。
 サークルの正体は宗教サークルで、そこで知り合った小津と一緒に逃げ出しました。

 悪友の小津が、ある日私の下宿に連れて来た香織さんなるものは・・・
 そして、今まで文通をしていた女性は、実は・・・

 第一話から第三話まで、小津をはじめ、明石さん、城ケ崎、師匠などが登場します。
 占い師、猫ラーメン、下鴨神社、「海底二万里」、蛾の大群なども毎回登場します。

 そして、全ての話にわたって、「私」は大学2年間を棒に振っています。
 いったい、第一話から第三話まではどのように関連しているのか?

 その答えが、「最終話 八十日間四畳半一周」ではっきりします。
 物語のタイトルがなぜ「四畳半」の「神話大系」なのかが、最終話で理解できます。

 ある朝「私」が目覚めると、ドアの向こうには同じ四畳半があって・・・
 四畳半から四畳半へと渡り歩いた「私」は、やがてこの世界の構造を理解し・・・

 非常に凝った構成です。ただし私は、凝り過ぎていると思いました。
 私的には、第一話が感服するほど面白かったので、ほかの話はいらなかったです。

 さて、森見登美彦といえば、今年「夜は短し歩けよ乙女」が映画化されたばかりです。
 主人公役が星野源となって話題となりました。私も少しだけ気になっています。

 「夜は短し歩けよ乙女」(小説)
 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-03-02

 さいごに。(ママさんの新しいバッグ)

 家に見慣れないバッグがありました。ママさんの買った新しいバッグでしょうか。
 しかし、ママさんに声を掛けていいのか悪いのか、判断に迷います。

 以前、「新しいバッグ?」と聞いたら、「違うわよ。いつも何見てるの」と言われた。
 でも何も言わなかったら、「新しいバッグに気付いてくれないの」と言われそうだし。

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プリンセス・トヨトミ [日本の現代文学]

 「プリンセス・トヨトミ」 万城目学 (文春文庫)


 400年間秘密を守ってきた大阪の男たちと、会計検査官らとの対決を描いています。
 「鴨川ホルモー」「鹿男あをによし」に続く関西モノの第三弾。映画化されました。


プリンセス・トヨトミ (文春文庫)

プリンセス・トヨトミ (文春文庫)

  • 作者: 万城目 学
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2011/04/08
  • メディア: 文庫



 「このことは誰も知らない。
  五月末日の木曜日、午後四時のことである。
  大阪が全停止した。」

 冒頭、いきなりこのような話から始まります。
 大阪が全停止? まさかね、と思いながらも、いっきに引き込まれました。

 物語はそれより十日前、会計検査院の調査官が大阪に入るところから始まります。
 それは、鬼の松平副長、ハーフの美女ゲールズブール、ミラクル鳥居の3人です。

 ところが「社会法人OJO」という怪しげな団体が、実地検査できなかったのです。
 後日、実地検査を行うために訪れた松平が、案内されたその場所は・・・

 次々と明かされる衝撃の事実! 大阪400年の秘密!
 理解を求める大阪の男たち対、決して妥協をしない鬼の松平。

 「あなたの目的は――いったい何なのです?」
 「見たかったからだ」
 「見たい? 何を?」
 「この光景を」(P438)

 大阪の男たちがやったことは? そこで、調査官らが見たものは?
 騒動を大きくしたのは誰だったのか? 松平は最後にどんな決断を下すか?

 「なぜこんなお伽噺のような世界を信じることができる?」(P471)
 そういう松平に、真田幸一が答えた言葉は?! 最後は少し泣けます。

 さすが万城目です。この作品もめちゃくちゃ面白かったです。
 ただし、難があるとしたら、少し長すぎることです。530ページあります。

 セーラー服少年の苦悩の場面や、「栄光の五月 Ⅰ」の章は必要ないでしょう。
 余分な箇所をざっくり削って、350ページぐらいにまとまればサイコーでした。

 さて私は、調査官の松平とゲールズブールが、とてもカッコ良いと思いました。
 映画では堤真一と岡田将生(?)がやっています。鳥居は綾瀬はるか。え?

 さいごに。(時計修理)

 腕時計はゼニスのエル・プリメロを使っています。クロノグラフです。
 15年前に婚約指輪を贈った時、うちの奥さまがお返しに買ってくれました。

 今回、2度目のオーバーホールで5万円かかります。前回は8万円でした。
 ああ、身の丈に合ったものを持つべきですね!

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なんて素敵にジャパネスク [日本の現代文学]

 「なんて素敵にジャパネスク」 氷室冴子 (集英社コバルト文庫)


 大納言家のおてんば娘「瑠璃(るり)姫」の愛と冒険を描く、王朝のドタバタ劇です。
 1984年に出ると、またたくまに中高生の間でブームとなり、シリーズ化されました。

 うちにあるのはコバルト文庫の旧版です。カバーのイラストが懐かしいです。
 現在は新装版で読むことができます。


なんて素敵にジャパネスク (集英社文庫―コバルト・シリーズ)

なんて素敵にジャパネスク (集英社文庫―コバルト・シリーズ)

  • 作者: 氷室 冴子
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1984/05
  • メディア: 文庫



なんて素敵にジャパネスク ―新装版― 全10巻完結セット (コバルト文庫)

なんて素敵にジャパネスク ―新装版― 全10巻完結セット (コバルト文庫)

  • 作者: 氷室 冴子
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2012/02/01
  • メディア: 文庫



 1980年代に、女子中高生を中心に古典ブームを巻き起こした、作者の代表作です。
 高校時代に出ましたが、少女小説のイメージが強くて、当時は読みませんでした。

 うちの妻は、少女時代にこのシリーズを夢中になって読んでいたそうです。
 最近、妻がこの本を懐かしく思い出して、アマゾンで旧版を1円で手に入れました。

 そこで、私もこの機会に、初めて読んでみました。とても面白かったです。
 第一巻には、2つの短編と1つの長編の、全3編が収録されていました。

 「お約束は初めての接吻(キス)での巻」は、瑠璃姫と幼なじみの愛を描いています。
 初恋を忘れられない瑠璃姫は、権少将(ごんのしょうしょう)の策略に乗せられ・・・

 「初めての夜は恋歌で囁(ささや)いての巻」は、瑠璃姫の勘違いを描いています。
 夫となるはずの高彬(たかあきら)が、他の女に歌を贈っているというが・・・

 先の二つも楽しい物語ですが、なんといっても面白いのは、長編の第3話です。
 「初めての夜よ もう一度の巻」は、瑠璃姫が壮大な陰謀に巻き込まれる物語です。

 瑠璃姫の目の前で、弟の融(とおる)が怪しげな男ともみ合い、倒されました。
 男を追っているうちに、ある屋敷に迷い込み、そこで瑠璃姫が耳にしたのは・・・

 融ともみ合ったのは誰だったのか? その者の正体は?
 瑠璃姫が迷い込んだ屋敷は誰のものなのか? そこで聞いた陰謀めいた話の意味は?

 第2話までは、平安朝貴族の姫君の日常生活を中心に描かれていました。
 しかし第3話で、瑠璃姫の活躍の場が大きく広がり、テンションも高まります。

 冒険小説的な要素や、探偵小説的な要素が加わり、瑠璃姫の魅力は一段と輝きます。
 第3話だけ200ページ近くある長編ですが、読み始めたら止まりません。

 さて、「なんて素敵にジャパネスク」はシリーズ化されて、第十巻まで出ています。
 第二巻も非常に面白いです。初恋の吉野の君の謎が、徐々に明かされていきます。

 帝の誘いを断り、太秦に逃げ込んだ瑠璃姫は、意外な人物と出会い・・・
 瑠璃姫の屋敷は、放火によって失われ、その焼け跡で出会った人物は・・・

 瑠璃姫の決めゼリフ「冗談はよしのすけ」に、懐かしさを覚えます。
 この言葉は、当時のクラスの女子がよく使っていました。


なんて素敵にジャパネスク (2) (集英社文庫―コバルト・シリーズ)

なんて素敵にジャパネスク (2) (集英社文庫―コバルト・シリーズ)

  • 作者: 氷室 冴子
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1985/04
  • メディア: 文庫



なんて素敵にジャパネスク〈2〉 (コバルト文庫)

なんて素敵にジャパネスク〈2〉 (コバルト文庫)

  • 作者: 氷室 冴子
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1999/04
  • メディア: 文庫



 コミック版が白泉社文庫から出ています。全6巻を大人買いしてしまいました。
 しかし、読む時間がありません。6冊のコミックは現在、娘に占領されています。


なんて素敵にジャパネスク (第1巻) (白泉社文庫)

なんて素敵にジャパネスク (第1巻) (白泉社文庫)

  • 作者: 山内 直実
  • 出版社/メーカー: 白泉社
  • 発売日: 1997/09
  • メディア: 文庫



 さいごに。(車はベンツかって? 冗談はよしのすけ!)

 「車はベンツですか」と聞かれました。いいえ、ダイハツのミラジーノです。
 実は、新しい職場の駐車スペースの隣に、朝早くからベンツが置いてあります。

 私の車は小さいから、ベンツにすっぽりと隠れてしまいます。
 だから、仕事場から見ると、私がベンツから出てくるように見えるようです。

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おもいでエマノン [日本の現代文学]

 「おもいでエマノン」 梶尾真治 (徳間文庫)


 地球に生命が発生してから現在までのすべての記憶を持つ女「エマノン」の物語です。
 作者の人気のエマノンシリーズです。「おもいでエマノン」ほか全8編の短編集です。


おもいでエマノン: 〈新装版〉 (徳間文庫)

おもいでエマノン: 〈新装版〉 (徳間文庫)

  • 作者: 梶尾 真治
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2013/12/06
  • メディア: 文庫



 1967年、「ぼく」は九州放浪の帰りの船で、不思議な少女と知り合いました。
 「私は地球に生命が発生してから現在までのことを総て記憶しているのよ」

 そう語る彼女は、エマノンと名のりました。ノー・ネームの逆さ綴りです。
 「私の祖先は常に系統発生の最先端にいたっていうことになるのね。」

 エマノンの存在意義は? エマノンの持つ役割は? 第一、本当の話なのか?
 目が覚めるとエマノンの姿はなくて・・・13年後に再会した彼女は・・・

 突拍子もないアイディア、エマノンの鮮烈な印象、結末の切ない余韻・・・
 冒頭の『おもいでエマノン』は、30ページ余りですが、忘れられない作品です。

 ラストを飾る『あしびきデイドリーム』もまた、印象に強く残る作品です。
 布川という青年のもとに、突然現れて突然消えていった少女にまつわる物語です。

 6年後、エマノンの手引きで、少女の故郷にやってきた布川が見たものは・・・
 自分が会っていた時には、すでに少女は死んでいた?・・・

 30ページ余りの中に、映画「君の名は。」のアイディアが、凝縮されています。
 なぜ「君の名」を忘れたのか、その答えがこの作品中に暗示されています。

 『たそがれコンタクト』では、予知能力を持つ男子が登場します。
 ヒデノブの未来の記憶と、エマノンの過去の記憶が交差した時、悲劇が・・・

 『しおかぜエヴォリューション』では、植物界のエマノン的存在が登場します。
 原油備蓄基地建設現場に出現した、奇妙な植物群は何だったか?・・・

 これら作品の魅力の大きな部分は、エマノンというキャラクターの魅力にあります。
 一度会ったら忘れられない女性です。だからシリーズ化されたのでしょう。


さすらいエマノン

さすらいエマノン

  • 作者: 梶尾 真治
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2014/01/08
  • メディア: 文庫



まろうどエマノン (徳間文庫)

まろうどエマノン (徳間文庫)

  • 作者: 梶尾 真治
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2014/02/07
  • メディア: 文庫



ゆきずりエマノン (徳間文庫)

ゆきずりエマノン (徳間文庫)

  • 作者: 梶尾 真治
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2014/03/07
  • メディア: 文庫



うたかたエマノン (徳間文庫)

うたかたエマノン (徳間文庫)

  • 作者: 梶尾 真治
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2016/11/02
  • メディア: 文庫



 さいごに。(新しい職場)

 年度末に転勤が決まって、明日4月3日の月曜日からは、新しい職場に移ります。
 引継ぎを大急ぎで完了しました。新しい職場には、少しずつ慣れていきたいです。

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君の名は。 [日本の現代文学]

 「小説 君の名は。」 新海誠 (角川文庫)


 東京の男子「瀧」と田舎の女子「三葉」の、夢の中の入れ替わりをめぐる物語です。
 説明は不要でしょう。2016年に大ヒットした同名のアニメ映画の小説版です。


小説 君の名は。 (角川文庫)

小説 君の名は。 (角川文庫)

  • 作者: 新海 誠
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/メディアファクトリー
  • 発売日: 2016/06/18
  • メディア: 文庫



 東京の男子高校生「瀧(たき)」は、ある朝、田舎の女子高校生になっていました。
 田舎の女子高校生「三葉(みつは)」は、東京の男子高校生になっていました。

 最初は、これを夢だと思っていますが、やがて入れ替わっていることに気付きます。
 そしてスマホに、お互いにメモを残して、情報を交換し合いますが・・・

 突然入れ替わりが途絶えたのはなぜか?
 会おうとしても会えないのはどうしてか?

 彗星の接近とともに、しだいに明かされる驚愕の真実!
 切ない展開! そして、感動の結末!

 この物語の魅力の一つは、神事が彗星到来に関わるというアイディアにあります。
 時空を超えた壮大な話に、私はどんどん引き込まれていきました。

 そして、もう一つの魅力は、新海誠特有の切なさにあると思います。
 胸を優しく締め付けられるような切なさに、いつまでも包まれていたくなります。

 「世界がこれほどまでに酷い場所ならば、俺はこの寂しさだけを携えて、
 それでも全身全霊で生き続けてみせる。」(P207)・・・いいなあ。

 ところでこの切なさは、「記憶の喪失」と深く関わっています。
 なぜ、記憶が無くなったのか? なぜ、「君の名」を忘れてしまったのか?

 すでに多くの人が、ネットで解説しています。
 私は、HP「はにはにわ。」の【君の名はネタバレ解説】を読んで納得しました。

 小説も映画も名作です。(と、映画を見ていないくせに断言してしまう。)
 ぜひ映画も見たいです。(と、今さらながら思ってしまう。)

 ところで「君の名は。」は、古典「とりかへばや物語」からヒントを得たそうです。
 文春文庫の田辺聖子訳を買っておきながら、まだ読んでいませんでした。


とりかえばや物語 (文春文庫 た 3-51)

とりかえばや物語 (文春文庫 た 3-51)

  • 作者: 田辺 聖子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2015/10/09
  • メディア: 文庫



 さいごに。(ダイヤモンドゲームが得意)

 うちでダイヤモンドゲームがブームです。三人家族なのでちょうどいいゲームです。
 適当にコマを動かしているだけなのに、不思議といつも私が勝つのです。

 女子よりも男子の方が、空間把握能力が高いからか?(相手は妻と娘なので)
 おそらく、まだ二人がそれほどゲームに慣れていないだけなのだと思いますが・・・


キングダイヤモンド

キングダイヤモンド

  • 出版社/メーカー: ハナヤマ
  • メディア: おもちゃ&ホビー



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美亜へ贈る真珠 [日本の現代文学]

 「美亜へ贈る真珠」 梶尾真治 (ハヤカワ文庫)


 「時間と恋愛」をテーマにしたSF作品の原点となった、全8編の短編集です。
 「君の名は。」等で注目される「時尼に関する覚え書」が、収録されています。

 昨年2016年に話題になったため、ハヤカワ文庫から新版が出ました。
 長い間文庫では読めなかった作品ばかりなので、とても嬉しいです。


美亜へ贈る真珠 〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

美亜へ贈る真珠 〔新版〕 (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 梶尾真治
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2016/12/20
  • メディア: 文庫



 『時尼(じにぃ)に関する覚え書』は、出会うたびに若返る女性を描いた物語です。
 保仁(やすひと)は、会うたびに若返る時尼に、どんどん惹かれていき・・・

 「時尼」とは何者か? 「そときびと」とは何か?
 保仁と時尼には、いったいどんなつながりがあったのか?

 わずか40ページ足らずの中に、驚きと感動がぎゅっと詰まっています。
 今後も多くの作品に影響を与え続ける、古典的な傑作だと思います。

 「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」のアイディアが、全て含まれています。
 この作品を読んだ人が、「ぼくは明日、」に厳しくなる気持ちが理解できました。

 ほか、次の7編収録です。『美亜へ贈る真珠』『詩帆が去る夏』『梨湖という虚像』
 『玲子の箱宇宙』『”ヒト”はかつて尼那を・・・』『江里の”時”の時』『時の果の色彩』

 『美亜へ贈る真珠』は、「SFマガジン」に載って作者のデビュー作となりました。
 航時機内の時間の流れは8万5000分の1で、中の1秒は外の1日にあたり・・・

 『梨湖という虚像』は、亜高速で星間を飛び交う男と、梨湖という女の物語です。
 梨湖は亡き婚約者を忘れられず、遠い惑星のコンピュータの中に、彼を再現し・・・

 『時の果の色彩』は、奇妙な時間仮説に基づく、異色のタイムマシンものです。
 時の波の長さは38年で、今を中心にプラスマイナス19年間が移動できる範囲で・・・

 梶尾真治の代表作は、映画化された「黄泉がえり」でしょうか。
 私は、「エマノン」シリーズが気になっています。


黄泉がえり (新潮文庫)

黄泉がえり (新潮文庫)

  • 作者: 梶尾 真治
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2002/11/28
  • メディア: 文庫



おもいでエマノン: 〈新装版〉 (徳間文庫)

おもいでエマノン: 〈新装版〉 (徳間文庫)

  • 作者: 梶尾 真治
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2013/12/06
  • メディア: 文庫



 タイムマシンものの傑作「たんぽぽ娘」(R・F・ヤング)が復刊されていました。
 これは、以前「ビブリア古書堂の事件手帖」で登場し、注目されていた作品です。


たんぽぽ娘 (河出文庫)

たんぽぽ娘 (河出文庫)

  • 作者: ロバート・F・ヤング
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2015/01/07
  • メディア: 文庫



 さいごに。(誰に似た?)

 「パパ、こっちに来て!」と、娘の声。
 「威張った言い方をするんじゃない!」と、ママさんが注意した。ここまではいい。

 ところが、「あの言い方は、誰に似たんだろうねえ」というママさんに私はびっくり。
 「あんたの言い方にそっくりじゃないか」なんて、言えない言えない。

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時をかける少女・ねらわれた学園 [日本の現代文学]

 「時をかける少女」 筒井康隆 (角川文庫)


 突然タイム・リープの能力を手に入れた少女が、謎を解くために冒険する物語です。
 初期の作品ですが、何度も映画化・ドラマ化され、古典的名作と見なされています。


時をかける少女 〈新装版〉 (角川文庫)

時をかける少女 〈新装版〉 (角川文庫)

  • 作者: 筒井 康隆
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2006/05/25
  • メディア: 文庫



 ある日の放課後、中学3年生の芳山和子は理科室で倒れて、意識を失いました。
 翌朝、和子は車にはねられそうになった瞬間、前日の朝のベッドの中にいました。

 和子は無意識のうちに、テレポーテーションとタイム・リープをしていたのです。
 どうして? 和子は戸惑い、不安になります。もう普通に戻れないのか?

 様々な疑問を解くため、担任の先生が出した解決策は・・・
 そして、謎を握っていた意外な人物とは・・・

 私にとって、「時をかける少女」といったら、原田知世です。
 1983年上映の同名映画では、ショートカットで、清楚な魅力にあふれていました。

 当時この原作小説を、原田知世を頭にイメージして、ワクワクしながら読みました。
 私は高校1年生でした。読書の楽しみを覚え始めた頃の、懐かしい読書体験です。

 映画も小説も、最後にとても甘く切ない余韻を残していました。
 原田知世が歌うテーマソングも、微妙に下手なところが、心にじわりときました。

 その後は、南野陽子のドラマ、内田有紀のドラマ、中本奈々の映画、
 安倍なつみのドラマ、劇場版アニメ、仲里依紗の映画、昨年の土曜ドラマ・・・

 と、何回もドラマ化・映画化を繰り返し、今では古典的名作と見なされています。
 その魅力は、なんといっても、青春と恋の、甘く切ない余韻にあると思います。

 この本にはほかに、「悪夢の真相」と「果てしなき多元宇宙」が入っています。
 前者は恐怖症を題材にした小説で、後者は多元宇宙論を題材にした小説です。

 どちらも当時は、新鮮な作品だったのでしょう。
 しかし、表題作がとても印象的なので、他は「おまけ的」な感じになっています。

 ところで、私にとってこの作品は、眉村卓の「ねらわれた学園」とセットです。
 こちらも学園もののSF小説で、角川映画です。主演は薬師丸ひろ子でした。


ねらわれた学園 (講談社文庫)

ねらわれた学園 (講談社文庫)

  • 作者: 眉村 卓
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2012/09/14
  • メディア: 文庫



 中学校の支配をねらう生徒会と、それに対抗する生徒たちの物語です。
 しかし、生徒会長はただ者ではなく、謎の男がバックに付いています。

 ある夜、生徒会長と謎の男は、不思議な力を見せつけて・・・
 彼らは何者なのか? 何を企んでいるのか?・・・

 1981年に映画が上映されて、薬師丸ひろこがアイドルの地位を確立しました。
 私は中学二年の時この映画を見て、薬師丸ひろ子の大ファンになりました。

 その後、角川文庫から出ていた原作を、ワクワクしながら読みました。
 映画とストーリーが微妙に違っていて、小説は小説で楽しめました。

 本のカバーは、薬師丸ひろこの顔写真を大写しにした涙モノの一品です。
 あの懐かしい本は、ぼろぼろになって、いつのまにか無くなっていました。

 翌1982年に、今度は原田知世主演で、TVドラマ化されました。
 その後、何度も映像化され、今では古典的な名作と見なされています。


ねらわれた学園

ねらわれた学園

  • 作者: 眉村 卓
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1998/06
  • メディア: 文庫



 さいごに(オレが悪いのか?)

 娘がスナック菓子を食べていて、袋に残ったカスを大口開けて流し込んでいました。
 「お行儀が悪い!」とママさん。「だっていつもパパがやってるんだもん。」と娘。

 「パパがやるからこの子が真似するのよ!」
 このように、意外な方向から鉄砲の弾が飛んでくることが、時々あります。

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