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とりかえばや物語 [日本の古典文学]

 「とりかえばや物語」 田辺聖子訳 (文春文庫)


 男性性の強い女子と、女性性の強い男子の、苦悩とその克服を描いた長編小説です。 
 12世紀半ばに成立した物語で、内容の珍奇さから「変態的」と評されたりもします。

 文春文庫から田辺聖子訳が出ています。若者向けの、軽快で読みやすい訳です。
 便宜上、主な登場人物に「春風」「秋月」「夏雲」「冬日」という名を与えています。


とりかえばや物語 (文春文庫 た 3-51)

とりかえばや物語 (文春文庫 た 3-51)

  • 作者: 田辺 聖子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2015/10/09
  • メディア: 文庫



 左大臣には、顔が似ていて性格の違う二児がいました。「春風」と「秋月」です。
 父の左大臣はいつも思っています、二人を「とりかえばや(取り替えたい)」と。

 妹の春風は快活で才能豊かで、男子として生きることを強く望んでいました。
 彼女は元服し、官位をもらい、宮廷に出仕して、若君としての人生を歩み始めます。

 兄の秋月は内気で世間に出たがらず、女子として生きることを強く望んでいました。
 彼は後宮に入り、女一宮の話し相手となり、姫君としての人生を歩み始めますが・・・

 平安時代に、こんなに面白くて刺激的な作品が書かれていたのかと、私は驚きました。
 しかし内容が内容なので、かつてはこの物語を読むことはできなかったのだそうです。

 物語の前半は、春風と秋月の、現代でいう性同一性障害の苦悩が描かれています。
 しかもそれを矯正するのではなく、女を男として、男を女として育ててしまうのです。

 ここに、この物語の新しさと珍しさがあります。
 当時この内容は、たいへんなインパクトだったのではないかと思います。

 しかし、この物語の価値はそれだけではありません。
 随所から感じられる男社会への批判が、この物語に奥深さを与えているようです。

 男として振る舞っていた春風は、とても生き生きしていました。
 しかし正体を見破られ、一旦男に征服されてしまうと、急に弱々しくなるのです。

 「あれほど誇りにみち希望にあふれ、人々に讃美されていたわたしが、(中略)
 こんな情けないあつかいをされ、男が通ってくるのをじっと待つだけ、というよ
 うな暮らしに埋もれ果てていいものか。」(P150)

 この辺に、作者の言いたかったことが、隠れているような気がします。
 訳者あとがきにも、女の生き方が問われている話だ、という記述がありました。

 ついでながら、春風に苦痛を与えた「夏雲」は、物語では滑稽な役回りの脇役です。
 あさはかな男ですが、そこに男の悲哀も感じられて、私は気に入ってしまいました。

 さて、この物語は現代でも様々にアレンジされています。
 氷室冴子の「ざ・ちぇんじ!」は、その中でも最も有名な作品です。


ざ・ちえんじ 前編―新釈とりかえばや物語 (1) (集英社文庫―コバルトシリーズ 52-J)

ざ・ちえんじ 前編―新釈とりかえばや物語 (1) (集英社文庫―コバルトシリーズ 52-J)

  • 作者: 氷室 冴子
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1983/01
  • メディア: 文庫



 文春文庫からは、同じ田辺聖子訳の古典「おちくぼ物語」が出ています。
 すでに買ってあるので、この機会に読みたいです。


おちくぼ物語 (文春文庫)

おちくぼ物語 (文春文庫)

  • 作者: 田辺 聖子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2015/04/10
  • メディア: 文庫



 さいごに。(修学旅行の脱ディズニー)

 娘が嘆いていました。「修学旅行のコースからディズニーランドが外された」と。
 理由は意外なことに、「つまらなかった、という感想が多い」ということでした!

 人ごみに酔う、男子がはぐれる、どこへ行っても行列、入れたのは2つか3つ・・・
 「疲れただけで楽しめなかった」という。それじゃ確かに高い金を払う意味がない。

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日本永代蔵 [日本の古典文学]

 「日本永代蔵」 井原西鶴 (角川ソフィア文庫)


 日本各地に実在した金持ちの、成功と失敗を描いた全30編の短篇集です。
 浮世草子の町人物の代表作で、江戸時代の経済小説として有名です。

 角川ソフィア文庫から出ています。原文も解説も挿し絵も入っています。
 しかし500ページ以上あって約1200円。私が読みたいのは訳だけなのに。


新版 日本永代蔵 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)

新版 日本永代蔵 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)

  • 作者: 井原 西鶴
  • 出版社/メーカー: 角川学芸出版
  • 発売日: 2009/03/25
  • メディア: 文庫



 以前は、小学館ライブラリーから、西鶴の口語訳の選集が出ていました。


日本永代蔵―現代語訳・西鶴 (小学館ライブラリー)

日本永代蔵―現代語訳・西鶴 (小学館ライブラリー)

  • 作者: 井原 西鶴
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 1992/03
  • メディア: 新書



 この作品で最も有名なのは、倹約家の「藤市」でしょうか。
 藤市のもとに、長者になる方法を教えてもらおうと、三人の客が来ました。

 夜、そろそろ夜食が出るのではないかと、期待していた三人でしたが、
 「夜食でも出る時分だが、それを出さないのが長者になる心がけだ。」

 この話は、落語か何かで聞きました。有名な話だろうと思います。
 しかし、このほかにも、印象に残った話はたくさんあります。

 たとえば、松屋の後家。
 莫大な借金を引き継いだ後家は、いかにして窮境を打開したか?

 たとえば、鯨捕り名人の天狗源内。
 酔いつぶれて神社への参詣が遅れた源内に、どんなことが起こったか?

 たとえば、呉服屋忠助。
 やけくそで無間(むげん)の鐘を撞いた忠助は、その後どうなったか?

 しかし、なんといっても傑作は、染物屋の桔梗屋夫婦。
 貧乏神を祭った夫婦に、いったいどんなご利益があったか?

 当時の町人たちの商売にかける意気込みが、生き生きと伝わってきます。
 江戸や大坂の町のにぎわいが、感じられて楽しいです。

 さいごに。(転勤なし)

 今の職場に9年いますが、今シーズンも転勤がありませんでした。
 ほっとしたような、ひょうし抜けしたような、複雑な気分です。

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好色五人女 [日本の古典文学]

 「好色五人女」 井原西鶴作 吉行淳之介訳 (河出文庫)


 当時の話題の事件をもとに描かれた、恋に命をかける五人の女の物語です。
 「好色一代男」の2年後に書かれ、西鶴の代表作の一つとなった作品です。

 角川ソフィア文庫版は、原文と訳が付いていいます。
 河出文庫版は、吉行淳之介の訳で、とても分かりやすかったです。


新版 好色五人女 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)

新版 好色五人女 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)

  • 作者: 文庫
  • 出版社/メーカー: 角川学芸出版
  • 発売日: 2008/06/25
  • メディア: 文庫



現代語訳 好色五人女 (河出文庫)

現代語訳 好色五人女 (河出文庫)

  • 作者: 井原 西鶴
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2007/03
  • メディア: 文庫



 「好色五人女」は短編集で、物語の一つ一つは短く、少し物足りないです。
 物語が佳境に入った途端、あっけなく終わってしまう作品もありました。

 その中で、最も印象的だったのが、最後を飾る「おまん源五兵衛物語」。
 衆道に迷う男を、おまんはいかにして振り向かせるか・・・

 この本には、ほかに「好色一代女」も収録されています。
 「好色一代女」は、「好色一代男」同様、ある人物の性の一代記です。

 恋に悩む二人の男が、人里はなれた山の中を歩いていました。
 山の奥には静かな住居がありました。その名も「好色庵」!

 その住人で、品のよい老女がこそ、好色一代女です。
 二人の男を前に、自分の恋多き人生を語りだします。

 姫君として生まれながら、転落していく過程で、様々な職に就きました。
 太夫、天神、囲い女郎、見せ女郎、遊女、奉公人、茶屋女、風呂女・・・

 そして、あらゆる階層の男(時に女)たちと交わります。
 私的には、終盤の老いてからの話が、とても面白かったです。

 この作品を読み通すと、江戸の性風俗のちょっとした通になれます。
 ところで、「好色一代男」と「好色一代女」は、対になっています。

 「一代男」は女を買いまくりました。「一代女」は身を売りまくります。
 「一代男」は好色丸で船出しました。「一代女」は好色庵に隠居します。

 そして「一代男」も「一代女」も、一代限りの人生。子孫は残しません。
 ぜひ両方セットで読んでおきたい作品です。

 さいごに。(梅)

 梅を見に行きました。きれいに咲いていました。
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好色一代男 [日本の古典文学]

 「好色一代男」 井原西鶴作 吉行淳之介訳 (中公文庫)


 好色で知られた世之介が、誕生してから60歳で消息を絶つまでの一代記です。
 「こうしょくいちだいおとこ」は、西鶴の処女作で、江戸文学の最高傑作です。

 中公文庫版は、吉行淳之介の名訳です。原文は付いていません。
 西鶴の描いた挿絵入りです。訳者覚え書も付いていて、参考になります。


好色一代男 (中公文庫)

好色一代男 (中公文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2008/02/25
  • メディア: 文庫



 世之介は好色な富豪の子として生まれ、7歳で恋を覚え、19歳で勘当され、
 34歳で莫大な遺産を受け継ぎ、その後の人生で、色恋の道を極めました。

 あらゆる男女を相手にし、その数は、女3742人、少年725人。
 「腎水(じんすい=精液)を干すようにして」生きたといいます。

 実に破天荒な人生です。特に、ラストはすごいです。
 「好色丸」で、海の彼方の「女護(にょご)が島」を目指し・・・

 さて、物語を読むまでは、どうせ低俗な官能小説だろ、と思っていました。
 しかし、とんでもない。教養がないと読めません。読む人を選ぶ書物です。

 江戸時代の風俗、京の習俗、遊里での立居振舞、各地の名所はもちろんのこと、
 日本の古典文学の知識がないと、充分に理解することができません。

 エピソードの多くは、「源氏物語」と「伊勢物語」のパロディになっています。
 この二作は読んでおかないと味わえません。そういう意味で難解な書物でした。

 作者は俳諧師。文は含蓄が深い俳文。訳者も苦労したようです。
 「訳者覚え書」には、様々な解釈が紹介されていて、興味深いです。

 たとえば、ラストの「好色丸」は、要するに棺桶なのだという。
 そして、世之介ら一行は、黄泉の国へ旅立ったのだとか・・・

 訳者による「世之介とは何者」には、モデル考もあって面白かったです。
 読み終わる頃には、すっかり世之介のファンになってしまっていました。

 井原西鶴の官能作品は、ほかにも「好色五人女」等が吉行氏の訳で読めます。
 また、経済小説「日本永代蔵」も、手に入りやすいです。

現代語訳 好色五人女 (河出文庫)

現代語訳 好色五人女 (河出文庫)

  • 作者: 井原 西鶴
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2007/03
  • メディア: 文庫



新版 日本永代蔵 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)

新版 日本永代蔵 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)

  • 作者: 井原 西鶴
  • 出版社/メーカー: 角川学芸出版
  • 発売日: 2009/03/25
  • メディア: 文庫



 「いきの構造」も、このさいぜひ読んでおきたいです。


九鬼周造「いきの構造」   ビギナーズ 日本の思想   (角川ソフィア文庫)

九鬼周造「いきの構造」   ビギナーズ 日本の思想   (角川ソフィア文庫)

  • 作者: 九鬼 周造
  • 出版社/メーカー: 角川学芸出版
  • 発売日: 2011/02/25
  • メディア: 文庫



「いき」の構造 (講談社学術文庫)

「いき」の構造 (講談社学術文庫)

  • 作者: 九鬼 周造
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2003/12/11
  • メディア: 文庫



 さいごに。(zip)

 娘の小学校では、朝の「zip」が流行っていて、最近見るようになりました。
 番組の中の「zipでポン・あくび」というゲームを、娘は楽しみにしています。


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雨月物語 [日本の古典文学]

 「改訂 雨月物語」 上田秋成 (角川ソフィア文庫)


 「菊花の約」「浅茅が宿」など、怪異小説の名作9編を集めたものです。
 1776年に、読み本として刊行されました。江戸文学の代表作です。

 角川ソフィア文庫、ちくま学芸文庫、河出文庫などから出ています。
 角川ソフィア文庫の訳は昭和34年のものです。挿絵が入っていて嬉しい。


改訂版 雨月物語―現代語訳付き (角川ソフィア文庫)

改訂版 雨月物語―現代語訳付き (角川ソフィア文庫)

  • 作者: 上田 秋成
  • 出版社/メーカー: 角川学芸出版
  • 発売日: 2006/07
  • メディア: 文庫



 西行が崇徳院の御陵に参拝して、そこで出会ったのは・・・「白峰」。
 七年ぶりにの懐かしい我が家で、男を待っていたのは・・・「浅茅が宿」。

 美青年が、雨宿りの時に会った美しい女は・・・「蛇性の淫」。
 その里で恐れられている、山寺の住職は・・・「青頭巾」。

 怖いだけではありません。どの話も、悲しいて美しいです。
 しかし、なんといってもベストは、「菊花の約」でしょう。

 軟禁された男が、遠く離れた義弟と再会するためにとった手段は!
 命がけで果たされた約束! これこそ、男の美学です。

 私がこの話を知ったのは、小泉八雲の「怪談」だったと思います。
 当時、私はまだ小学生でしたが、強烈な印象を受けました。

 さて、「雨月物語」は、ちくま学芸文庫でも読むことができます。
 「注釈・日本の古典」シリーズで、注釈や解説が充実しています。

雨月物語 (ちくま学芸文庫)

雨月物語 (ちくま学芸文庫)

  • 作者: 上田 秋成
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1997/10
  • メディア: 文庫



 河出文庫版は、女流作家円地文子による訳で、とても分かりやすいです。
 春雨物語の一部も収録されています。ただし、原文が無いのは寂しい。

現代語訳 雨月物語・春雨物語 (河出文庫)

現代語訳 雨月物語・春雨物語 (河出文庫)

  • 作者: 上田 秋成
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2008/07/04
  • メディア: 文庫



 ちくま文庫からは、作家石川淳による名訳も出ていました。
 現在は品切れ。品切れでなかったら、これがイチオシでした。

新釈雨月物語;新釈春雨物語 (ちくま文庫)

新釈雨月物語;新釈春雨物語 (ちくま文庫)

  • 作者: 石川 淳
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1991/06
  • メディア: 文庫



 さいごに。(溶連菌2)

 私も調子が悪くなり、病院で検査したら、溶連菌の反応が出ました。
 具合は良くなりましたが、抗生物質は10日間飲まなければなりません。

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おくのほそ道 [日本の古典文学]

 「おくのほそ道」 松尾芭蕉 (角川ソフィア文庫)

 元禄時代の代表的な俳人松尾芭蕉が、晩年に東北と北陸を巡った時の紀行文です。
 芭蕉の死後、1702年に刊行されました。

 多くの出版社から出ていますが、オススメは角川ビギナーズ・クラシック版です。
 訳は分かりやすくて、解説の量は適度です。図版が多くて、理解しやすいです。


おくのほそ道(全) (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

おくのほそ道(全) (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2001/07
  • メディア: 文庫



 死の5年前のこと。松尾芭蕉は、決死の覚悟で旅に出ました。
 行き先は東北と北陸。約2400キロを150日ほどかけて踏破します・・・

 「月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人なり」。
 この有名な冒頭を読むと、「道祖神の招きにあひて」旅に出たくなります。

 私はかつてこの本を持って、愛車ユーノスロードスターで東北を旅しました。
 白川の関、もじずり石、末の松山、松島、平泉、立石寺、出羽三山・・・

 しかし、最も印象に残っているのは、「奥の細道」でいう「笠島」です。
 芭蕉は雨のために、「実方のかたみのススキ」を通り過ぎてしまいました。

 「かたみのススキ」は、今でも残っています。道には標識が出ていました。
 なんでもないただのススキですが、それゆえにしみじみと心に染み入りました。

 私の旅は1週間ほどでしたが、独身時代最後の、忘れられない思い出です。
 結婚後は、そんな勝手は許されず、ユーノスは妻には不評で、乗り換えました。

 さて、このビギナーズ・クラシック版は、 訳・原文・解説の順に登場します。
 訳と原文は総ルビなので、とても読みやすいです。

 ただし、訳の文はとても散文的です。それもやむをえないと思います。
 原文は含蓄がありすぎるため、どうしても説明的になってしまうのでしょう。

 訳のあと原文が続きます。文章は原文で味わえ、ということでしょうか。
 割り切った処置です。いさぎよい方針だと思いました。


おくのほそ道(全) (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

おくのほそ道(全) (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2001/07
  • メディア: 文庫



 ついでながら、遊女が出てくる段もいいです。「萩と月」の段です。
 なんでもない話のようですが、ちょっと泣けます。

 さて、同じ角川ソフィア文庫の「新版おくのほそ道」は、マニア向けの本です。
 文はもちろん句についても詳しい解説があり、しかも曽良の随行日記付きです。


おくのほそ道―現代語訳/曽良随行日記付き (角川ソフィア文庫)

おくのほそ道―現代語訳/曽良随行日記付き (角川ソフィア文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2003/03
  • メディア: 文庫



 角川ソフィア文庫には「芭蕉全句集」「芭蕉のこころをよむ」もあります。
 いずれも、芭蕉ファンにはたまらない 本だと思います。


芭蕉全句集 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)

芭蕉全句集 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)

  • 作者: 松尾 芭蕉
  • 出版社/メーカー: 角川学芸出版
  • 発売日: 2010/11/25
  • メディア: 文庫



芭蕉のこころをよむ 「おくのほそ道」入門 (ソフィア(学芸))

芭蕉のこころをよむ 「おくのほそ道」入門 (ソフィア(学芸))

  • 作者: 尾形 仂
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川学芸出版
  • 発売日: 2014/10/25
  • メディア: 文庫



 ところで、芭蕉の死は1693年。前年1692年に、井原西鶴が亡くなっています。
 二人は同時代人です。西鶴の「好色一代男」は、1682年に出ています。


好色一代男 (中公文庫)

好色一代男 (中公文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2008/02/25
  • メディア: 文庫



 また、「おくのほそ道」の刊行は、芭蕉の死後の1702年です。
 翌1703年には、「曾根崎心中」が刊行されて、近松の全盛期に入ります。
 「曾根崎心中」→http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2015-01-13

 さいごに。(がんばれ班長さん)

 娘は、班長をやっているのだそうです。班をまとめられるのでしょうか。
 班は、うちの娘以外は全員男子。クラス一のいたずらっ子もいるそうです。

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曽根崎心中 [日本の古典文学]

 「曾根崎心中」 近松門左衛門作 諏訪春雄訳注 (角川ソフィア文庫)


 友人に仕組まれて窮地に立った男と、男に最後まで尽くす遊女の悲劇です。
 人形浄瑠璃の作者近松門左衛門の、最初の世話物として有名です。

 角川ソフィア文庫で読みました。河出文庫、岩波文庫からも出ています。


曾根崎心中 冥途の飛脚 心中天の網島―現代語訳付き (角川ソフィア文庫)

曾根崎心中 冥途の飛脚 心中天の網島―現代語訳付き (角川ソフィア文庫)

  • 作者: 近松 門左衛門
  • 出版社/メーカー: 角川学芸出版
  • 発売日: 2007/03
  • メディア: 文庫


 
 醤油屋で真面目に働く徳兵衛には、将来を契った遊女のお初がいました。
 しかし、結婚のことで主人から疎まれ、友人からは裏切りにあって・・・

 特に心中の「道行」の文は名文として知られています。
 私はこの文を 、「声に出して読みたい日本語」か何かで覚えました。

 「此の世のなごり。夜もなごり。死にに行く身をたとふれば、
 あだしが原の道の霜。一足ずつに消えて行く。夢の夢こそ哀れなれ。」

 この作によって心中は美学にまで高まり、心中物がブームになりました。
 徳兵衛とお初は恋の手本となり、二人を真似る者たちも出ました。

 この物語は、実際に起きた心中事件を題材に描いています。
 「徳兵衛」と「お初」も、実在の人物だったのです。

 二人の心中事件の舞台となったのは、大阪市北区の「露天神社」です。
 通称「お初天神」ともいって、「お初と徳兵衛ブロンズ像」があります。

 ところで、私はこの作品を、角川ソフィア文庫で読みました。
 「曾根崎心中」「冥土の飛脚」「心中天の網島」と、名作三つが読めます。

 表紙に「現代語訳付き」とありますが、「原文付き」と改 めたほうがいい。
 最初に現代語訳があり、巻末に原文が付属されている、という形態なので。

 こういう形態がベストだと思います。原文から始まったら読み通せません。
 現代語訳を読んで、気に入った箇所だけ原文を参照するのがいいでしょう。


曾根崎心中 冥途の飛脚 心中天の網島―現代語訳付き (角川ソフィア文庫)

曾根崎心中 冥途の飛脚 心中天の網島―現代語訳付き (角川ソフィア文庫)

  • 作者: 近松 門左衛門
  • 出版社/メーカー: 角川学芸出版
  • 発売日: 2007/03
  • メディア: 文庫



 河出文庫版は、全六編収録ですが、現代語訳だけです。
 訳は分かりやすいのですが、原文が付いていないのは寂しい気がします。


現代語訳 曾根崎心中 (河出文庫)

現代語訳 曾根崎心中 (河出文庫)

  • 作者: 近松 門左衛門
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2008/01/05
  • メディア: 文庫



 岩波文庫版は、全七編収録ですが、原文と注釈だけです。
 古文が得意な人はいいでしょう。私は、現代語訳がないものは敬遠します。


曾根崎心中・冥途の飛脚 他五篇 (岩波文庫)

曾根崎心中・冥途の飛脚 他五篇 (岩波文庫)

  • 作者: 近松 門左衛門
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1984/01
  • メディア: 文庫



 角川文庫のビギナーズクラシックシリーズからも出ています。
 ビギナー向けなので、クライマックスだけがセレクトされています。





 さて、今年のテーマは18世紀。近松は17世紀から18世紀の人です。
 特に「曾根崎心中」など世話物は、18世紀の初頭に出ています。

 当時は太平の世。上方では町人が力を持ち、独自の文化を求めました。
 そして、上方を中心とする、元禄文化を生み出したのです。

 また、江戸幕府の文治政策によって、教育水準がじわじわと上がりました。
 印刷術の進歩によって、様々なジャンルの文学が興隆しました。

 元禄時代の文学を代表するのが、井原西鶴、近松門左衛門、松尾芭蕉です。
 この時代の日本は、世界的に見ても、恥ずかしくない時代だったと思います。

 さいごに。(どうせ当たるのなら)

 正月早々追突されて、車が1週間ぶりに、直って帰ってきました。
 年末の当て逃げと年初の追突と、2度の大きな当たりを取りました。

 宝くじを買っておけば良かったです。
 当たるのなら、宝くじで当たりたかった!


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源氏物語 [日本の古典文学]

 「源氏物語」 紫式部


 光源氏の物語です。それだけで、説明は充分でしょう。
 約1000年前の平安時代に作られた、古典の名作中の名作です。

 現在、様々な訳が出ていて、どれを選ぶかは悩ましい問題です。
 どれもよくできていて、ほとんど外れはありません。
 私の本棚にある円地訳は、丁寧で分かりやすい訳です。


源氏物語 1 (新潮文庫 え 2-16)

源氏物語 1 (新潮文庫 え 2-16)

  • 作者: 紫式部
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2008/08
  • メディア: 文庫



 全54帖の中で、「夕顔」「若紫」「葵」などが、とても人気があります。
 私が好きなのは、断然「須磨」です。
 光源氏が、一人前の男へと、大きく成長する場面だからです。

 「須磨」では、26歳の光源氏が、人生で初めて挫折を味わいます。
 時の権力者である、右大臣家の怒りを、買ったためです。
 都を離れ、わずかな従者と、静かな侘び住まいを始めます。

 光源氏の元には、訪れる人はほとんどありません。
 人々は、右大臣を恐れているからです。

 そこを敢えて訪れたのが、旧友の頭中将(すでに宰相の中将)。
 この場面の頭中将は、本当にかっこいい。
 右大臣家側でありながら、世間の目を恐れず、慰問にやってきます。

 二人は一晩中、酒を飲み、詩を作って過ごしました。
 「酔ひの悲しび涙を灌(そそ)ぐ 春の盃の裏(うち)」(P59)
 と、白楽天の詩を、声をそろえて歌います。(絶妙な引用!)

 ここで、紫式部が描いたのは、何でしょうか。
 男同士の友情? いえいえ、そんな軽いものではありません。
 紫式部がここで描いたのは、「本物の男」です。

 「本物の男」はどう行動すべきか。
 「本物の男」にとって何が大事か。
 そして、「本物の男」とは何か。

 これらの深遠な問題の答えが、「須磨」の中に凝縮されています。
 光源氏が、頭中将から学んだことは、計り知れないと思います。
 私にとっても、「須磨」の巻は、人生の教科書のひとつです。

 ただし、紫式部が描く二人は、ちょっと泣きすぎか。
 その点、「あさきゆめみし」の方が、男らしく描かれています。
 この場面、わずか4ページほどですが、大和和紀は本当にうまい。

 ところで、私が30代で読んだ円地訳本は、すでにぼろぼろです。
 しかも、いつからか、第5巻が見当たりません。
 40代のうちに、再読したいので、買い直さなければ。

 田辺聖子の「新源氏物語」は、まだ20代の頃、読みました。
 実に面白くすらすらと読めました。
 原作に抵抗があるという人には、とてもオススメです。


新源氏物語 (上) (新潮文庫)

新源氏物語 (上) (新潮文庫)

  • 作者: 田辺 聖子
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1984/05
  • メディア: 文庫



 また、橋本治の「窯変源氏物語」は、気になります。
 源氏の一人称で、語られているようです。


窯変 源氏物語〈1〉

窯変 源氏物語〈1〉

  • 作者: 橋本 治
  • 出版社/メーカー: 中央公論社
  • 発売日: 1995/11
  • メディア: 文庫



 さいごに。

 このあいだの朝、娘に言われました。
 「パパは、私が寝ている間に、お菓子を食べているんだよね」

 「ちがう、そんなことはない、何かのまちがいだ!」
 と、慌てて否定しましたが、私はかなり動揺していました。

 テーブルにあった、お菓子の包み紙を、見たのでしょうか。
 女の子は、目ざといです。気をつけなければ。

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あさきゆめみし [日本の古典文学]

 「あさきゆめみし」 大和和紀 (講談社漫画文庫)


 源氏物語を漫画化した、大和和紀(やまとわき)の名作です。
 現在、講談社漫画文庫から出ています。


あさきゆめみし 美麗ケース入り 全7巻文庫セット

あさきゆめみし 美麗ケース入り 全7巻文庫セット

  • 作者: 大和 和紀
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2001/08/01
  • メディア: 文庫



 源氏物語は、様々な訳が出ていて、どれを読んでいいのか迷います。

 与謝野晶子や谷崎潤一郎の、味わい深い古典的名訳もあります。
 円地文子や瀬戸内寂聴の、分かりやすく読みやすい訳もあります。
 大塚ひかりや林望の、個性的で面白い訳もあります。

 と、このように色々ありますが…
 初めて源氏物語を読む人には、「あさきゆめみし」をオススメします。

 漫画だからと言って、あなどってはいけません。
 時代考証がしっかりしていて、信頼できる作品です。
 特に、平安貴族の宮廷生活は、よく調べて絵にしています。

 しかも、ある意味、原作以上です。
 例えば、光源氏と藤壺の不倫の場面は、すばらしい。

 藤壺は、時の皇后であり、光源氏にとっては義理の母です。
 その藤壺と密通は、反逆罪でもあり、禁忌でもあります。
 だから、原作では、あまりにも恐れ多くて、描写を避けています。

 しかし、だからこそ、とても重要な場面です。
 「あさきゆめみし」ではこの場面を、ごまかさずに描ききっています。
 これは、漫画だからこそできたこと。しかも、描き方が、うまい!

 また、話の展開が工夫されているため、原作以上に面白く読めます。
 原作に無いエピソードも、所々に見られますが、許容範囲内です。
 一方、重要な和歌については、きちんと原文で引用されています。

 時に、こんな苦情も出ます。(特に、男性から)
 「登場人物の顔が皆同じで、区別することができない」と。

 そんなことありません。それはただ、絵に慣れていないからです。
 それに、「源氏物語」自体が、容貌について、ろくに書いていない。
 原作で、容貌について書かれているのは、末摘花ぐらいです。

 ところで、講談社漫画文庫の「あさきゆめみし」は、全7巻です。
 そのうち6巻と7巻は、「宇治十帖」です。
 とりあえず5巻までは、通して読みたいです。

 「あさきゆめみし」で、話の概略をつかんだら、次は活字の本へ。
 訳は相性が大事。一度必ず読んでみて、自分に合うものを選びます。
 私は円地訳で読みました。瀬戸内訳も読んでみたいです。


源氏物語 巻一 (講談社文庫)

源氏物語 巻一 (講談社文庫)

  • 作者: 瀬戸内 寂聴
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2007/01/12
  • メディア: 文庫




源氏物語 1 (新潮文庫 え 2-16)

源氏物語 1 (新潮文庫 え 2-16)

  • 作者: 紫式部
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2008/08
  • メディア: 文庫



 ついでながら、江川達也も、「源氏物語」を描いています。
 でも、描き方が、品が無いように感じました。

 さいごに。

 先週の金曜日のこと。妻が、新年会に出かけました。
 私と娘にとって、これはチャンスです。
 二人ではりきって、巨大パフェを食べに行きました。

 男一人では、なかなかこういうことは、できません。
 家族三人では、妻の反対があって、できません。

 パフェは、おいしくて、娘は満足していました。
 ただし、結局、ひとつを二人で分けて食べたので、
 私としては、量的に、もの足りなかったです。

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