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ガラスの鍵 [20世紀アメリカ文学]

 「ガラスの鍵」 ハメット作 池田真紀子訳 (古典新訳文庫)


 一賭博師がボスのために命がけで陰謀を暴く、ハードボイルド探偵小説です。
 1931年に発表され、ハメット自身が最も愛した作品と言われています。

 2010年に古典新訳文庫から出ました。訳はとても分かりやすかったです。
 創元推理文庫の大久保訳は絶版ですが、硬質な文体で根強いファンがいます。


ガラスの鍵 (光文社古典新訳文庫)

ガラスの鍵 (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: ダシール ハメット
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2010/08/10
  • メディア: 文庫



ガラスの鍵 (創元推理文庫 130-3)

ガラスの鍵 (創元推理文庫 130-3)

  • 作者: ダシール・ハメット
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1960/05/20
  • メディア: 文庫



 主人公ボーモントは賭博師で、マドヴィッグ家の食客として暮らしています。
 マドヴィックは親友でありボスであり、その街の市政を握る実力者です。

 ボーモントはマドヴィッグから、選挙で上院議員を後押しすると聞きました。
 さらに上院議員の娘と結婚するとのこと。どこか陰謀の匂いがします。

 その後、上院議員の長男が死体で発見されました。
 そして、マドヴィックの犯行を匂わす手紙が、主要な人々に送られました。

 上院議員の息子を殺したのは誰か? 陰謀を企んでいるのは誰か?
 ボーモントは、マドヴィックの無実を信じて、この陰謀に立ち向かい・・・

 冒頭の会話部分から、いっきに物語の世界に引き込まれました。
 そして、最後までぐいぐいと引っ張られるように、読み続けました。

 この物語の魅力は、主人公のボーモント。悪党ですが、魅力的な悪党です。
 非情ですが独特の流儀を持っていて、親友のためなら命がけで行動します。

 彼は賭博師で、生活は危なっかしいが、その行動はもっと危なっかしい。
 必要とあれば、一人で敵陣に乗り込んでいくようなバカなことをします。

 しかし、その行動の裏には冷徹な計算があります。
 状況から正しい意味を見い出し、相手の2手も3手も先を読んでいます。

 物語を盛り上げているのが、無駄をそぎ落としたハードボイルドの文体です。
 登場人物の行動や言葉から、気持ちや狙いを読み取らなくてはなりません。

 そのため、先の展開が読めないので、緊張感があります。
 「え、そうなるの?」と驚くことが、しばしばでした。

 さて、ハメットには「血の収穫」と「第三の男」という傑作があります。
 しかし、私的には「ガラスの鍵」がベストでした。

 「血の収穫」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2016-05-23-1
 「第三の男」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2016-05-19

 さいごに。(夢で魔法は使えない?)

 夢の中で夢だと分かっても魔法は使えないというのが、娘と妻の意見です。
 理由は、夢だと分かった瞬間、現実に戻ってしまうから、とのこと。

 そういえば先日、私は夢の中で夢だと分かって、宇宙に行こうとしました。
 しかし、私はその瞬間に目覚めてしまいました。難しいものですね。

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血の収穫 [20世紀アメリカ文学]

 「血の収穫」 ダシール・ハメット作 河野一郎・田中西二郎訳 (嶋中文庫)


 探偵社の「わたし」が、暴力と犯罪と汚職の街から、悪人を一掃する物語です。
 ハメット初の長編で、ハードボイルド小説の代表的な作品として有名です。

 私は嶋中文庫版で読みましたが、訳は1960年のもので、しかも現在は絶版です。
 本当はハヤカワ文庫の小鷹訳で読みたい。しかし、この名作がやはり絶版です。


赤い収穫 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 143‐2))

赤い収穫 (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 143‐2))

  • 作者: ダシール・ハメット
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1989/09
  • メディア: 文庫



 コンチネンタル探偵社の「わたし」は、通称「毒の町」に派遣されました。
 依頼者の新聞社社長に面会を求めますが、彼はその晩に殺されてしまいました。

 殺された依頼者の父エリヒュー老人は、この街の独裁者と呼ばれる実力者です。
 彼は数年前、鉱山ストをつぶすために、多くの悪党を街に引き込んだのでした。

 しかし、彼らの勢力が増し、街は悪党が跳梁跋扈するようになっていて・・・
 「わたし」は殺人の犯人を探すため、暗黒街のボスたちと対立し・・・

 非情な文体で独自の境地を開いたハメットの、初の長編小説であり代表作です。
 淡々ととんでもないことが起こり、淡々と人が死んでいきます。まさに非情。

 この小説の魅力も、「マルタの鷹」同様、主人公の「わたし」にあります。
 「わたし」=コンチネンタル・オプの魅力が、次のように説明されていました。

 「ここに登場する探偵は従来の天才的推理能力に恵まれた超人ではない。非情で
 利己的で、女性関係も潔癖とはいえない。しかし、自己の信念は固く守り通し、
 しかも行動は敏速で凶暴でさえある。」(P558)

 目的のためには手段を選ばない。どんな汚いことでもする。そしてとにかく強い。
 私は時に、次々とやられる悪党たちに、同情してしまいました。

 このような私立探偵は当時初めて登場し、このような推理小説は革命的でした。
 それゆえ、ハードボイルド小説は、ダシール・ハメットを始祖とします。

 ただし、ハードボイルドの文体を始めたのは、ヘミングウェイ(だと思う)。
 「血の収穫」が出た1929年、ヘミングウェイの「武器よさらば」も出ています。

 さて、「血の収穫」は文句なく名作で、かつて多くの文庫から出ていました。
 しかし現在は、どこの文庫でも絶版。この状況は、実に嘆かわしい。

 「マルタの鷹」を潔く改訳した小鷹氏に、この作品の改訳も出してほしかった。
 しかし、小鷹氏は昨年末(2015年12月)79歳で亡くなりました。惜しい。

 とりあえず、古典新訳文庫の「ガラスの鍵」を読んでおきたい。
 これは、ハメット自身が最も好んでいた作品だというので。


ガラスの鍵 (光文社古典新訳文庫)

ガラスの鍵 (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: ダシール ハメット
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2010/08/10
  • メディア: 文庫



 さいごに。(わらびもちサンド)

 ミスドのわらびもちサンドには、わらびもちが1個しか入っていません。
 しかも、食べていると、わらびもちだけがスルスルと抜けてしまいます。

 だから、ほとんどわらびもちなしで、食べることになりました。
 わらびもちを細切れにして、まんべんなく入れてくれるといいのだけど。

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マルタの鷹 [20世紀アメリカ文学]

 「マルタの鷹」 ダシール・ハメット作 小鷹信光訳 (ハヤカワ文庫)


 私立探偵サム・スペードを中心に、謎の黒い鷹の彫像を巡る傑作長編です。
 ハンフリー・ボガード主演の同名映画も、傑作として名高いです。

 ハヤカワミステリ文庫から、小鷹氏の名訳で「改訳決定版」が出ています。
 私が読んだのは、小高訳の旧版です。


マルタの鷹〔改訳決定版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

マルタの鷹〔改訳決定版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 作者: ダシール ハメット
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2012/09/07
  • メディア: 文庫



 私立探偵サム・スペードの事務所に、美しい女の依頼人がやってきました。
 依頼を受けてスペードの相棒は、その妹と駆け落ちした男を尾行しました。

 ところが相棒は撃ち殺され、尾行の相手も何者かによって射殺されました。
 二つの殺人の嫌疑は 、スペードに向けられます。

 その後スペードのもとに、カイロと名乗る男が訪問し・・・
 さらに、ガットマンなる男も接触してきて・・・

 そして、女依頼人は、実は・・・
 彼らの狙いは、謎の黒い鷹の彫像にあって・・・

 私の中でサム・スペードは、ハンフリー・ボガードです。
 この映画を見たのは20年ほど前で、ボギーのカッコよさにしびれました。

 実際、この物語の魅力は、主役のサム・スペードによるものです。
 スペイドの魅力(?)を、モームが述べた文章がとても良いです。

 「彼は破廉恥な悪党であり、冷酷なペテン師である。彼自身犯罪人にも
 等しいところがあるために、彼と彼の扱う犯罪人とは、ほとんど区別が
 つき かねる。まったくけがらわしい代物だが、みごとに描かれている。」
 (「世界文学鑑賞辞典・第一巻」佐藤和夫氏の文章から)

 私がこの小説を読んだのは、10年ほど前のことで、当時入院していました。
 淡々とした語り口と、スパスパと切り替わる場面が、とても印象的でした。

 しかし、最も強い印象を残したのは、「フリットクラフトの寓話」です。
 何不自由なく暮らしていた男が、ある時すべてを捨てて失踪してしまう・・・

 「人生なんてものは、落ちてくる鉄梁によって、無差別に終止符を打たれて
 しまうものだ。」(P100)

 突然大きな病気が見つかって、数日後に手術を控えていた私に、
 「死は突然にやってくる」という言葉が、強烈に響きました。

 ところでこの挿話は、実際にハメットが関わった事件をもとにしているという。
 映画ではカットされたこの挿話に、重要な意味を見出そうとする人は多い。

 さて、私は現在出ている「改訳決定版」を、旧版の復刊だと思っていました。
 しかし、訳者が丁寧に訳を見直したものだそうです。これは手に入れなければ。

 さいごに。(ユルブリンナー)

 職場で同僚に、「ユルブリンナーに似てるね」と言われました。
 ハンフリー・ボガードのような男になりたいと思っていたのですが。(笑)

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星を継ぐもの(コミック) [20世紀アメリカ文学]

 「星を継ぐもの」 P・ホーガン原作 星野之宣作 (小学館)


 はるか昔からの人類と異星人とのつながりを解明していく、壮大なSF小説です。
 SF史上の傑作を、日本を代表するSF漫画家星野之宣が描いたコミックです。

 書店では大版が全4冊で出ていますが、コンビニでは小型版が全3冊で出ました。
 コンビニ版は1冊500円でお手ごろでしたが、期間限定のため現在は品切れです。


星を継ぐもの 異星の魚 (My First Big SPECIAL)

星を継ぐもの 異星の魚 (My First Big SPECIAL)

  • 作者: 星野 之宣
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2015/09/11
  • メディア: ムック



 大版は手に入りやすいです。ただし、4冊で5000円ほどになります。


星を継ぐもの コミック 1-4巻 セット (ビッグ コミックス〔スペシャル〕)

星を継ぐもの コミック 1-4巻 セット (ビッグ コミックス〔スペシャル〕)

  • 作者: 星野之宣
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2012/10/12
  • メディア: コミック



 月面で、異星人の遺体が発見されました。それは、なんと5万年前のもの。
 どこから来たのか? どうして月にいるのか? 仲間はどうなったのか?

 物理学者のハントと生物学者のダンチェッカーが、宇宙軍に召集されました。
 彼らは月に向かいますが、肝心の遺体が何者かによって焼失され・・・

 ん? 遺体の焼失? 原作も、そんな展開だっただろうか。
 国際平和委員会とかいう、胡散臭い連中も登場しているし・・・

 このコミックは、必ずしも原作通りに描いていないようです。
 星野氏の解釈で描かれていて、原作に無いエピソードも盛り込まれています。

 それから、原作との最大の違いは、続編2作を含んでいることです。
 「ガニメデの優しい巨人」と「巨人たちの星」の2冊の内容を含んでいます。


ガニメデの優しい巨人 (創元SF文庫)

ガニメデの優しい巨人 (創元SF文庫)

  • 作者: ジェイムズ・P・ホーガン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1981/07/31
  • メディア: 文庫



巨人たちの星 (創元SF文庫 (663-3))

巨人たちの星 (創元SF文庫 (663-3))

  • 作者: ジェイムズ・P・ホーガン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 1983/05/27
  • メディア: 文庫



 コミック版も素晴らしい内容で、原作の続編をぜひ読みたいと思いました。
 いえ、第1作からもう一度読み直したいと思いました。
 「星を継ぐもの」原作→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-05-24

 ところで、コミック版は、絵が素晴らしかったです。
 さすが星野之宣。原作の壮大な宇宙観が、みごとに描き出されています。

 それなのに、この表紙はどうしたことでしょうか。ひどすぎる!
 特に第1巻。うちの娘はこれを見て、「原始人のお話?」と言いました。

 大版が出ている現在、故意にちゃちな絵を使ったのではないでしょうか。
 大版購入者に気を使って、いかにも廉価版という感じを出したのでは?

 ちなみに私は、古本屋で買いました。1冊250円。それならいいでしょう。
 正直言って、コンビニでこの表紙を見た時は、買う気がしなかったです。

 さいごに。(年度初め)

 新学期が始まって1週間になります。
 娘はクラスに慣れてきたようで、仲良しの友達と学級委員にもなりました。

 私はというと、新年度から仕事内容が変わって、いまだに慣れません。
 この2週間、毎日いっぱいいっぱいで、好きな本もなかなか読めません。

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ガラスの街 [20世紀アメリカ文学]

 「ガラスの街」 ポール・オースター作 柴田元幸訳 (新潮文庫)


 ある男の尾行をすることになった男が、自分自身を見失っていく物語です。
 オースターの小説の第一作で、「ニューヨーク三部作」の一つです。

 新潮文庫から出ています。カバーイラストが、オシャレでカッコいいです。
 訳は新しくて分かりやすく、原文の透明感が伝わってきます。名訳です。


ガラスの街 (新潮文庫)

ガラスの街 (新潮文庫)

  • 作者: ポール オースター
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2013/08/28
  • メディア: 文庫



 ある日の夜中、ミステリ作家クインの部屋に、間違い電話がありました。
 「ポール・オースターですか?」・・・「番号違いでしょう」

 その電話がきっかけで、クインは自ら事件に巻き込まれていきます。
 スティルマン老教授という、奇妙な人物を監視することになりました。

 「ニューヨークは尽きることのない空間、無限の歩みから成る一個の迷路だ
 った。どれだけ遠くまで歩いても、どれだけ街並や通りを詳しく知るように
 なっても、彼はつねに迷子になったような思いに囚われた。」(P6)

 そして、クインは実際に、「自分のなかでも迷子」になっていき・・・
 やがて、自分自身の存在さえ疑うようになり・・・

 探偵小説ならば、読んでいるうちに真相がしだいに明らかになるものです。
 しかしこの小説は、かえってこんがらがっていきます。

 読者は、主人公と一緒にふわふわとして、どこかに迷い込みそうな感じです。
 読み終わったときには、最初よりもっとずっと混乱した状態になりました。

 「ニューヨーク三部作」の次作「幽霊たち」も、オースターらしい作品です。
 こちらは、向かい宅の男を監視する、私立探偵の奇妙な体験の物語です。

 新潮文庫から柴田訳で出ています。リズムがあって読みやすい訳文です。
 「ガラスの街」よりも前の、1995年に出ています。


幽霊たち (新潮文庫)

幽霊たち (新潮文庫)

  • 作者: ポール・オースター
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1995/03/01
  • メディア: 文庫



 1947年2月3日、私立探偵ブルーのところに、ある依頼がありました。
 それは、ブラックという男を見張り、週に1度報告書を送れというものです。

 ブルーは依頼人が提供したアパートに籠り、ブラックの監視を始めました。
 ところが相手は、いつまでたっても動き出そうとしないのです。

 ブラックとは何者か? この監視にどんな意味があるのか?
 何も起こらず何も分からないままに、時間だけがたっていき・・・

 「事件の起こらない探偵小説であり、犯人のいない推理小説である。」
 「ガラスの街」同様、何も起こらないゆえに、とても不気味で刺激的でした。

 「幽霊」まで読んだら、第三作「鍵のかかった部屋」も読みたくなります。
 こちらも、柴田訳が出ています。ただし、白水Uブックス(新書版)です。


鍵のかかった部屋 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

鍵のかかった部屋 (白水Uブックス―海外小説の誘惑)

  • 作者: ポール・オースター
  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 1993/10
  • メディア: 新書



 オースターの代表作は、青春小説の「ムーン・パレス」(新潮文庫)でしょうか。
 放浪小説(?)の「偶然の音楽」も評判がいいです。どちらも読んでみたいです。


ムーン・パレス (新潮文庫)

ムーン・パレス (新潮文庫)

  • 作者: ポール・オースター
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1997/09/30
  • メディア: 文庫



偶然の音楽 (新潮文庫)

偶然の音楽 (新潮文庫)

  • 作者: ポール オースター
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2001/11/28
  • メディア: 文庫



 さいごに。(ミカドコーヒー)

 鎌倉旅行で一番おいしかったのは、散歩中にミカド珈琲で食べた一品。
 「小倉deエスプ」です。エスプレッソをかけて食べます。鎌倉店限定。

DSCF2008-2.jpg

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アルジャーノンに花束を [20世紀アメリカ文学]

 「アルジャーノンに花束を」 キイス作 小尾芙佐訳 (ダニエル・キイス文庫)


 知的障害を持つ青年が、手術によって天才になった後の、苦悩を描いた物語です。
 何度か映画化された名作です。昨年TVドラマにアレンジされ話題になりました。

 1999年にハヤカワ文庫から出ました。単行本は1989年に出ていました。
 訳は分かりやすくて、活字も読みやすいです。


アルジャーノンに花束を〔新版〕(ハヤカワ文庫NV)

アルジャーノンに花束を〔新版〕(ハヤカワ文庫NV)

  • 作者: ダニエル・キイス
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2015/03/13
  • メディア: 文庫



 主人公は、32歳のパン屋の店員、チャーリイ・ゴードンです。
 彼は幼児の知能しか持たないため、頭が良くなりたいと願っていました。

 ある日、知能が高くなる脳手術を受けたらどうかという勧めがありました。
 ネズミのアルジャーノンは、既に手術を受け、高い能力を発揮していました。

 手術は成功し、チャーリイは高い知能を持ち、天才的な能力を発揮しました。
 ところが、同時に彼は、様々な問題を抱えるようになり・・・

 これはただのSF小説ではなく、なかなか重たいテーマを含んでいます。
 知能が高くなることが、本当に幸せなのでしょうか?

 以前の彼は、人にからかわれても、自分のことが好きなんだと思いました。
 今では、いかに自分が馬鹿にされていたのかが分かり、怒りを覚えます。

 あるとき、彼は言われました。「でもあなたは以前もっていたものを失って
 しまった。あなたは笑顔をもっていた・・・」(P467)と。

 また、心の奥底に眠っていた記憶も、しだいに呼び戻されます。
 自分はなぜ一人なのか? 家族はどこに行ったのか?

 読みながら、チャーリイの過去が少しずつ分かっていきます。
 ミステリーっぽい展開で、物語にぐいぐい引き込まれます。

 やがて、ネズミのアルジャーノンに変化が訪れ・・・
 そして、研究の盲点を自身で明らかにし・・・

 最後は、涙無しには読めません。
 この作品が、何度も映画化、ドラマ化、舞台化された理由がよく分かります。

 さて、作者ダニエル・キイスは、この作品ののちも様々な名作を書きました。
 早川書房には、「ダニエル・キイス文庫」という、個人シリーズまであります。

 さいごに。(1週間ぶり)

 娘は1週間ぶりに学校へ行きました。
 インフルエンザは終息に向かっていて、今日の欠席は1人だけだったそうです。

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ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ [20世紀アメリカ文学]

 「ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ」
 ジョン・ル・カレ作 村上博基訳 (ハヤカワ文庫)


 元イギリス情報部員が、情報部に潜り込んでいるソ連の二重スパイを探す物語です。
 「スクールボーイ閣下」「スマイリーと仲間たち」と続く、三部作の第一弾です。

 2012年3月に、待望の〔新訳版〕が出ました。
 次から次にカタカナの人名が登場するため、意外と読みにくかったです。


ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫NV)

ティンカー、テイラー、ソルジャー、スパイ〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫NV)

  • 作者: ジョン ル・カレ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2012/03/31
  • メディア: 文庫



 ジョージ・スマイリーは、前年までイギリス情報部「サーカス」の中枢にいました。
 しかし、情報部チーフだったボスが失脚し、スマイリーは引退生活に入りました。

 そのスマイリーが、ある日、情報機関監視役によって、ひそかに呼び出されました。
 どうやら「サーカス」の中に、ソ連のスパイがもぐりこんでいるようなのです。

 膨大な情報を丹念に調べていくうちに、スパイの候補は絞られていき・・・
 ボスが失脚した事件の真相も、しだいに明らかとなり・・・

 私がこの作品を知ったきっかけは、「池澤夏樹の世界文学リミックス」でした。
 スパイ小説としてはもちろん、リアリズム小説としても傑作だと書かれていました。

 「池澤夏樹の世界文学リミックス」
 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2015-10-27

 実は私は、この本を、お正月休みのお愉しみに、買っておいたのです。
 しかし、内容が気になって気になって、とうとう我慢できずに読んでしまいました。

 スマイリーが、少しずつ二重スパイをあぶり出していく過程は、もちろん面白い。
 そして、スマイリーら登場人物が背負う悲しみが、物語に深みを与えています。

 この作品の魅力の大きな部分は、主人公スマイリーの人物像にあります。
 元情報部員の切れ者。今は小太りで短足で初老の男。妻に逃げられた孤独な男。

 普通のスパイ小説なら、真実に近づけば近づくほど、わくわくするものなのに、
 スマイリーが、真実に近づけば近づくほど、なぜかもの悲しさがつのっていきます。

 さて、この本は〔新訳版〕ですが、意外と読みにくかったです。
 アマゾンのレビューでは、翻訳に対する否定的な意見が目立ちました。

 私にとって、この作品の読みにくさの原因は、登場人物の多さにありました。
 冒頭ページに登場人物リストがありますが、それ以外にもわんさと出てきます。

 私はレイコンとヘイドンを取り違えて、わけが分からなくなってしまいました。
 途中、だいぶ前のページに戻って読み直し、ようやく理解しました。(愚かな!)

 また、話が必ずしも時間軸に沿っていません。突然回想シーンが入ったりします。
 暗示も多用されています。構成が緻密で、要するに実に文学的な作品なのです。

 この作品は、「裏切りのサーカス」というタイトルで映画化されました。
 派手なアクションはありませんが、とても丁寧に美しく仕上げられています。


裏切りのサーカス スペシャル・プライス [DVD]

裏切りのサーカス スペシャル・プライス [DVD]

  • 出版社/メーカー: Happinet(SB)(D)
  • メディア: DVD



 「ティンカー、テイラー」を読んだら、続編もぜひ読んでみたくなります。
 特に二作目「スクールボーイ閣下」は、村上春樹が絶賛した作品だといいます。


スクールボーイ閣下〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)

スクールボーイ閣下〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)

  • 作者: ジョン ル・カレ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1987/01/31
  • メディア: 文庫



スクールボーイ閣下〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)

スクールボーイ閣下〈下〉 (ハヤカワ文庫NV)

  • 作者: ジョン ル・カレ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1987/01/31
  • メディア: 文庫



スマイリーと仲間たち (ハヤカワ文庫 NV (439))

スマイリーと仲間たち (ハヤカワ文庫 NV (439))

  • 作者: ジョン・ル・カレ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1987/04/15
  • メディア: 文庫



 さいごに。(おにぎりハンバーグ完食)

 先日、地元で有名なハンバーグ屋に行きました。
 娘が「おにぎりハンバーグ」を注文すると言うので、私は最初止めました。

 それは200グラムあり、おにぎりのような大きさです。しかし娘は楽々完食。
 次は250グラムのげんこつハンバーグを食べると言っています。

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ベンジャミン・バトン [20世紀アメリカ文学]

 「ベンジャミン・バトン」 フィツジェラルド作 永山篤一訳 (角川文庫)


 生まれたときは老人で、しだいに若返る男の物語など、7編を収めた短編集です。
 ブラッド・ピット主演の「バンジャミン・バトン」は、2008年に上映されました。

 角川文庫から、映画の公開に合わせて出版されました。
 未訳だった作品ばかり集められているため、貴重な作品集です。


ベンジャミン・バトン  数奇な人生 (角川文庫)

ベンジャミン・バトン 数奇な人生 (角川文庫)

  • 作者: フィツジェラルド
  • 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
  • 発売日: 2009/01/24
  • メディア: ペーパーバック



 タイトル作「ベンジャミン・バトン」は、映画化によって注目された作品です。
 生まれたときは老人で、死んでいくときは赤ん坊。もしそんな人生だったら?

 年を取るたびに若返るというのは、ちょっと羨ましい気がしましたが・・・
 他人と違う時間軸で生きる者の、どうしようもない孤独・・・

 「ダンス・パーティの惨劇」は、この本の中で最もオススメの作品です。
 美女を殺したのは誰か? 婚約者が殺したのか? よくできたミステリです。

 「最後の美女」は、青春時代の切ない喪失感が、余韻として残る作品です。
 美女アイリーは、精神を病み始めた妻ゼルダをモデルにしているという。

 「異邦人」もまた、切なくなる作品で、最も印象に残りました。
 若い夫婦ケリー夫妻は、莫大な遺産を手にし、世界を旅して回っています。

 しかし、楽しかったのは最初だけで、やがて倦怠を感じるようになり・・・
 贅沢な暮らしをしているのに、ちっとも幸福ではなくて・・・

 「平穏な暮らしに、愛情に 、健康といった具合に、大切なものがどんどん
 うしなわれていくのはなぜなのでしょうね?」(P200)

 こんな、なんでもない言葉が、妙に悲しく胸に響きます。
 ケリー夫妻は、フィツジェラルドと妻ゼルダをモデルにしているという。

 次は、村上春樹訳の「マイ・ロスト・シティ」を読みたいです。
 中公文庫から出ていた中古本が、アマゾンでは1円で手に入ります。


マイ・ロスト・シティー―フィッツジェラルド作品集 (1981年)

マイ・ロスト・シティー―フィッツジェラルド作品集 (1981年)

  • 作者: スコット・フィッツジェラルド
  • 出版社/メーカー: 中央公論社
  • 発売日: 1981/05
  • メディア: -



 さいごに。(ドラ焼き買って怒られて)

 土曜日に、近所の和菓子屋で、名物のドラ焼きを家族3人分買いました。
 娘は素直に喜んで、「パパ、ありがとう」と言ってくれました。

 しかしママさんは、「また体に良くない物を買って」と言って怒り出しました。
 すると娘も寝返って、「パパ、またそんなもの買って」と、私は二人に怒られて・・・

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イリュージョン [20世紀アメリカ文学]

 「イリュージョン」 リチャード・バック作 村上龍訳 (集英社文庫)


 気ままなヒコーキ野郎と、もと救世主という不思議な男との交流を描いた物語です。
 「かもめのジョナサン」と並ぶ、リチャード・バックの代表作です。

 集英社文庫から、村上龍訳が出ていましたが、現在は品切れ。私が読んだのもこれ。
 訳者の創作部分が多いことで有名です。オシャレな挿し絵が多数入っています。


イリュージョン (集英社文庫 ハ 3-1)

イリュージョン (集英社文庫 ハ 3-1)

  • 作者: リチャード・バック
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1981/03
  • メディア: 文庫



 村上龍の訳は、勝手な創作部分が多いため、違和感を覚える人も多いです。
 同じ集英社文庫から、より原文に近い佐宗訳も出ましたが、現在は品切れ。


イリュージョン―悩める救世主の不思議な体験 (集英社文庫)

イリュージョン―悩める救世主の不思議な体験 (集英社文庫)

  • 作者: リチャード バック
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2009/05
  • メディア: 文庫



 ヒコーキ乗りのリチャードは、同業のドナルド・シモダという男に出会いました。
 その男は、かつて大衆の前から忽然と姿を消した救世主だというのです。

 この日から、二人は行動をともにすることになりました。
 リチャードは救世主から、さまざまなことを教えられます・・・

 「自由が欲しい時は他人に頼んじゃいけないんだよ、
  君が自由だと思えばもう君は自由なんだ、・・・」(P56)

 「イリュージョンだ、リチャード、この世の全てはイリュージョンだ、
  何から何まで光と影が組織されて、像を結んでるだけなんだ、・・・」(P77)

 物語は、淡々と進行します。言葉は、じわりじわりと心に染み入ります。
 この作品をバイブルにしている人も多いようです。

 では、この救世主は、いったい何者だったのか?
 なぜ、リチャードのもとにやってきたのか?

 「もちろん俺はいかさま師だ、この世界に生きている人間はみんなそうだ、本当の
 自分じゃないものになりすまして生きているのさ、」(P182)・・・んー?

 さて、ファンの間では、集英社文庫の旧版(村上訳)と新版(佐宗訳)の二つのうち
 どちらを取るかで、意見が分かれているのだとか。

 私は村上訳しか読んでいないため、佐宗訳を買いたいと思ったら、品切れでした。
 現在は、旧版も新版も、どちらも新刊では手に入らない状態です。残念!

 二つを読み比べたいので、集英社さん、ぜひ復刊してください。
 ついでながら、リチャード・バックの「one」の復刊もお願いします。


ONE(ワン) (集英社文庫)

ONE(ワン) (集英社文庫)

  • 作者: リチャード バック
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1996/12
  • メディア: 文庫



 さいごに。(スターウォーズ)

 家族で「スターウォーズ」を、エピソードⅠから順に、少しずつ見ています。
 娘が話について来られなくなるので、しょっちゅう中断しています。

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かもめのジョナサン [20世紀アメリカ文学]

 「かもめのジョナサン」 リチャード・バック作 五木寛之訳 (新潮文庫)


 飛ぶことを追求し続けて、高次の世界へ入ってゆく、一羽のかもめの物語です。
 1970年代にヒッピーに読まれ、アメリカで爆発的なブームとなった作品です。

 現在、新潮文庫から出ています。訳は作家の五木寛之で、分かりやすいです。
 かもめの写真が多数挿入されていて、文章は少ないです。


かもめのジョナサン (新潮文庫 ハ 9-1)

かもめのジョナサン (新潮文庫 ハ 9-1)

  • 作者: リチャード・バック
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1977/06/01
  • メディア: 文庫



 かもめのジョナサン・リヴィングストンは、飛ぶことが大好きです。
 食べることも忘れて、様々な飛び方で自分の限界に挑戦しています。

 しかし、あるとき長老に呼ばれ、ジョナサンは群れから追放されてしまいました。
 エサを食べて生きるだけの、大多数のかもめからは、異端者と見られたのでした。 

 同胞と離れてひとり、生きることの意味を考え、飛び続けるジョナサン。
 そこに現れた二羽のかもめが、彼を高次の世界へ誘い・・・

 この小説を初めて読んだのは、高校時代です。
 その頃はさっぱり分からなかった。特に、パート2とパート3が。

 「一羽一羽が、まさしく偉大なかもめの思想であり、自由という無限の思想なのだ」
 (P102)なんて言われても、なんのこっちゃ、と思っただけでした。

 「目に見えるものには、みんな限りがある。きみの心の目で見るのだ。」(P129)
 なんて言われてもねえ。(しかしこの言葉は「星の王子さま」に通じる。)

 今読み直してみると、スピリチュアルな部分が相当含まれていることが分かります。
 高校生の自分にとっては、かなり抽象的で高度な内容だったと思います。

 では、なぜ高校時代に読んだかというと、夏休み(冬休み?)の宿題のためでした。
 先生方が推薦する30冊ほどの中から、1冊選んで読まなければならなかったのです。

 推薦図書の中で、最も短い時間で読めるのが、「かもめのジョナサン」だったのです。
 写真が多いので、確かに読むのは簡単でしたが、理解することはできませんでした。

 さて、この作品にはもともとパート4があったのだそうです。
 昨年2014年に、44年ぶりの封印を解いて、パート4が発表されました。

 それが、「かもめのジョナサン完成版」で読むことができます。
 単行本なので、私は図書館で借りて読みました。

 ジョナサンの去った後のことが分かった点は、良かったと思いました。
 しかし私は、パート4無しの方が、内容にまとまりがあると感じました。


かもめのジョナサン完成版

かもめのジョナサン完成版

  • 作者: リチャード バック
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2014/06/30
  • メディア: 単行本



 さいごに。(念願の再放送2)

 NHKで、かの名作アニメ「ベルサイユのばら」の再放送が始まりました。
 毎回録画して、家族で見ようと思っています。

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