So-net無料ブログ作成
19世紀アメリカ文学 ブログトップ
前の10件 | -

フランクリン自伝 [19世紀アメリカ文学]

 「フランクリン自伝」 フランクリン作 松本慎一・西川正身訳 (岩波文庫)


 老齢のフランクリンが、生涯を振り返って息子に宛てて書き始めた自伝です。
 アメリカ建国の父の自伝として、ロングセラーを続けています。

 いくつかの文庫から出ていましたが、現在手に入るのは岩波文庫版です。
 初版が1956年。訳は古いですが、分かりやすかったです。


フランクリン自伝 (岩波文庫)

フランクリン自伝 (岩波文庫)

  • 作者: フランクリン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1957/01/07
  • メディア: 文庫



 フランクリンといえば、100ドル紙幣に描かれ、凧を使った雷の実験で有名です。
 1706年、彼はアメリカのボストンの、貧しい石鹸作りの家に生まれました。

 12歳の時から、印刷業者の兄のもとで、年季奉公をしながら学問に励みました。
 17歳の時、兄と衝突してフィラデルフィアに出て、波乱万丈の人生が始まります。

 渡英の機会を得て、ロンドンに行ってみたが・・・
 帰国して印刷業を始めてからは・・・

 アメリカンドリームがぎゅっと詰まった成功物語であり、自己啓発本です。
 ちょっとした冒険小説でもあります。

 特に面白かったのは、前半の第二章から第五章です。
 家を飛び出して働いて、渡英して、印刷業を始めて、結婚して・・・

 感心するのは、彼がとても多くの人物と知り合い、親しくなるところです。
 知事、大佐、大商人、詩人、弁護士、政治家、などなど。

 そしてフランクリンが苦境に立たされると、次々と支援者が現れるところです。
 彼には、きっととても大きな人間的魅力があったのでしょう。

 第六章には、彼に成功をもたらした「フランクリンの十三徳」が登場します。
 「節制」「沈黙」「規律」「決断」「節約」「勤勉」「誠実」と続きます。

 面白いのは、第十二徳の「純潔」。彼の生真面目な性格がよく分かります。
 「性交はもっぱら健康ないし子孫のためにのみ行い、・・・」(P158)

 フランクリンの成功は、勤勉と倹約のたまものだと思います。
 彼の真面目で誠実で、何事にも一生懸命な姿は、人の心を強く揺さぶります。

 ところが後半、十三徳の後から、文章が説明的で教訓的になってしまいました。
 そして最も残念なのは、未完であることです。晩年の大活躍が記されてません。

 フランクリンがもともと計画していた半分ほどしか書けなかったようです。
 アメリカ独立運動での活躍や、当事者しか知りえない裏話を読みたかったです。

 さいごに。(9歳)

 先日、うちの娘が9歳になりました。生意気になるのも、当然ですね。
 このブログを始めた頃は、まだ3歳でした。早いものです。

nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:

大渦巻への落下 [19世紀アメリカ文学]

 「大渦巻への落下・灯台 ポー短編集ⅢSF&ファンタジー編」
 エドガー・アラン・ポー作 巽孝之訳 (新潮文庫)


 巨大な渦巻きに船ごと呑み込まれる名作「大渦巻への落下」など7編です。
 ポーはゴシックやミステリのほか、SFものも書いていました。

 新潮文庫から今年2015年3月に出ました。分かりやすい訳でした。
 特に「大渦巻への落下」は、待ちに待った新訳です。


大渦巻への落下・灯台: ポー短編集III SF&ファンタジー編 (新潮文庫)

大渦巻への落下・灯台: ポー短編集III SF&ファンタジー編 (新潮文庫)

  • 作者: エドガー・アラン ポー
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2015/02/28
  • メディア: 文庫



 「ゴシック編」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2010-04-08
 「ミステリ編」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2010-12-06

 ノルウェーの沿岸では、船を丸ごと呑みこむほどの巨大な渦巻が出現します。
 年老いた漁師が、3年前に体験した大渦巻への落下を物語ります。

 その日、いつものように漁に出た帰りに、突然のハリケーンに襲われました。
 船は強風によって進まず、大渦巻の中心へ徐々に引きずられていき・・・

 と私が書いても、なかなかこの恐ろしさが伝わらないのが残念。
 ハリー・クラークの有名な絵があるので、これを見て雰囲気を感じてください。

Maelstrom-Clarke.jpg

 以前、新潮文庫の旧版「黒猫・黄金虫」が、新版に編集し直されたとき、
 「メールストロムの旋渦」が削られたと思って、悲しみました。

 しかし「ポー短編集」は、ⅠとⅡで終わりではなかったのですね。
 「大渦巻への落下」と、タイトルを新たに復活したので、とても喜んでいます。

 もうひとつのタイトル作「灯台」も、未完の遺作として興味深い作品です。
 書かれていないからこそ、最後は不気味で恐ろしいです。

 サイボーグものの「使い切った男」の発想は、当時としては新しかったでしょう。
 狂気ものの「タール博士とフェザー教授の療法」も、面白かったです。

 しかし、残りの3作は読まなくてもいいでしょう。
 この本は、なんとなく中途半端。拾遺集的な編集だったのかもしれません。

 ところで、新潮文庫のポー短編集Ⅰ~Ⅲは、カバーイラストが少しコミカルです。
 内容を盛り込んでいるのは分かるけど、もっとミステリアスな絵にしてほしい。

 さいごに。(1週間早かった)

 じいじの所へ、お寿司とお酒を持っていきました。
 でも、父の日は来週だったんですね。1週間間違えました。

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:

19世紀アメリカ文学のベスト10を選びました2 [19世紀アメリカ文学]

 「文学全集 第Ⅴ集 19世紀アメリカ編」について若干の補足説明


 前回、「19世紀アメリカ文学のベスト10」を選びました。
 その10作品は、以下の通りです。

 1 「ホーソーン短篇小説集」ホーソーン(1837年~)岩波文庫 ¥907
 2 「ポー短編集Ⅰ・Ⅱ」ポー(1839年~)新潮文庫 ¥432・¥529
 3 「緋文字(ひもんじ)」ホーソーン(1850年)古典新訳文庫 ¥1296
 4 「白鯨」メルヴィル(1851年)岩波文庫 ¥1080・¥1080・¥1080
 5 「トム・ソーヤーの冒険」トウェイン(1876年)古典新訳文庫 ¥1008
 6 「デイジー・ミラー」ヘンリー・ジェイムズ(1878年)岩波文庫 ¥864
 7 「ワシントン・スクエア」ヘンリー・ジェイムズ(1880年)岩波文庫 ¥907
 8 「ハックルベリ・フィンの冒険」トウェイン(1885年)角川文庫 ¥821
 9 「アウルクリーク橋の出来事」ビアス(1892年)古典新訳文庫  ¥700
10 「シスター・キャリー」ドライサー(1900年)岩波文庫 ¥1166・¥1166

 このラインナップには、選んだ私自身が納得できていません。
 品切れのために、エントリーできなかった作品が多いからです。

 例えば、ジェイムズの「ある婦人の肖像」。岩波文庫で品切れになっています。
 この作品はジェイムズの代表作で、文学全集には絶対に外せない作品でしょう。

 私にとっても、「ある婦人の肖像」は、今年のベスト5に入る作品です。
 ぜひ、岩波文庫の定番にしてほしいです。
 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2014-06-29
 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2014-07-05

 次に、クーパーの「モヒカン族の最後」。ハヤカワ文庫で長らく品切れです。
 やや読みにくい文章なので、ぜひ、新訳を出してほしいです。
 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2014-07-30

 さらに、アーヴィングの「スケッチブック」。新潮文庫等で品切れです。
 ついでに、メルヴィルの「バートルビー」。岩波文庫で品切れです。
 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2014-03-02
 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2014-07-31

 その他、手に入りにくい本もあります。ストウの「アンクル・トムの小屋」、
 ハウエルズの「サイラス・ラパムの向上」、ノリスの「死の谷」などです。

 では、こういった作品まで含めて、我が文学全集の改訂版を出しましょう。
 理想的な「文学全集 第Ⅴ集 19世紀アメリカ編」は、以下の通りです。
 (★印は前回のラインナップに有り)

 1  「モヒカン族の最後」クーパー(1826年)ハヤカワ文庫 品切れ
 2 ★「ポー短編集Ⅰ・Ⅱ」ポー(1839年~)新潮文庫 ¥432・¥529
 3 ★「緋文字(ひもんじ)」ホーソーン(1850年)古典新訳文庫 ¥1296
 4 ★「白鯨」メルヴィル(1851年)岩波文庫 ¥1080・¥1080・¥1080
 5  「アンクルトムの小屋」ストウ(1852年)旺文社文庫 品切れ
 6  「ある婦人の肖像」ヘンリー・ジェイムズ(1881年)岩波文庫 品切れ
 7 ★「ハックルベリ・フィンの冒険」トウェイン(1885年)角川文庫 ¥821
 8 ★「アウルクリーク橋の出来事」ビアス(1892年)古典新訳文庫  ¥700
 9  「死の谷(マクティーグ)」ノリス(1899年)岩波文庫 品切れ
10 ★「シスター・キャリー」ドライサー(1900年)岩波文庫 ¥1166・¥1166

 4編を入れ替えただけですが、だいぶ充実したような気がします。
 「アンクルトム」と「死の谷」は読んでいませんが、ぜひ読みたい作品なので。

 さて、「なぜエマソンやソーロウがないのか」という声も聞こえそうです。
 確かに、彼ら思想家が、アメリカ文学に与えた影響は大きいです。

 特に、ソーロウの「ウォルデン(森の生活)」は、文学としても評価が高い。
 しかし、私は選びませんでした。なぜか? ・・・面白くなかったからです。

 訳が悪かったのか。私には、森の生活が、趣味人の自己満足に見えました。
 「あ、そう。だからなに? 勝手にやってれば?」と思ってしまいました。

 しかし、「ウォルデン(森の生活)」を絶賛する人は多いです。
 もし、今後読み直す機会があって、その価値に気がついたらエントリーします。

 さいごに。(マスターズ陸上を断念)

 7月に傷めたひざがなかなか治りません。
 ジョッグはできるのだけど、ダッシュができません。

 残念ですが、マスターズ陸上全国大会は断念しようと思います。
 今年はアジア大会を兼ねているので、楽しみにしていたのですが。

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:

19世紀アメリカ文学のベスト10を選びました [19世紀アメリカ文学]

 「文学全集 第Ⅴ集 19世紀アメリカ編」


 文庫本で自分だけの文学全集をそろえることが、このブログの目標です。
 そろそろ第Ⅴ集の19世紀アメリカ文学編を決定する時期になりました。

 すでに、第Ⅰ集から第Ⅳ集は、以下のように完成しています。

 第Ⅰ集「19世紀フランス編」
 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2010-10-23
 第Ⅱ集「19世紀イギリス編」
 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-08-04
 第Ⅲ集「19世紀ロシア編」
 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2012-12-22
 第Ⅳ集「19世紀ドイツ北欧編」
 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-11-09

 第Ⅰ集から第Ⅳ集までは、20作品ずつ選びましたが、今回は10作品です。
 というのもアメリカ文学は、西欧に比べて半世紀ほど遅れているようだから。

 アメリカの独立は1776年です。
 この頃までアメリカには、日記とか説教集とか評論などしかありません。

 19世紀に入って、ワシントン・アーヴィングや、クーパーが活躍します。
 しかし、まだ彼らは先駆者という感じです。

 19世紀の半ばになって、ポーや、ホーソーンや、メルヴィルが活躍します。
 ここにきて、ようやくアメリカ文学が始まったという感じです。

 19世紀の後半になると、トウェインと、ヘンリー・ジェイムズが出ます。
 ここからいっきに、アメリカ文学は最盛期に向かって行きます。

 そして20世紀に、フィッツジェラルドや、ヘミングウェイらが出ます。
 この頃が、アメリカ文学の黄金期でしょう。

 西欧では、19世紀に小説の黄金期を迎えました。
 しかしアメリカでは、20世紀に入って黄金期を迎えたのです。

 というわけで、19世紀アメリカ文学編は10作品だけにしました。
 いつものように、文庫本のみで、品切れの本は除いています。

 1 「ホーソーン短篇小説集」ホーソーン(1837年~)岩波文庫 ¥907
   → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2014-06-02
 2 「ポー短編集Ⅰ・Ⅱ」ポー(1839年~)新潮文庫 ¥432・¥529
   → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2010-04-08
   → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2010-12-06
 3 「緋文字(ひもんじ)」ホーソーン(1850年)古典新訳文庫 ¥1296
   → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2014-03-08
 4 「白鯨」メルヴィル(1851年)岩波文庫 ¥1080・¥1080・¥1080
   → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2014-03-20
   → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2014-03-29
 5 「トム・ソーヤーの冒険」トウェイン(1876年)古典新訳文庫 ¥1008
   → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2014-03-05
 6 「デイジー・ミラー」ヘンリー・ジェイムズ(1878年)岩波文庫 ¥864
   → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2014-04-07
 7 「ワシントン・スクエア」ヘンリー・ジェイムズ(1880年)岩波文庫 ¥907
   → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2014-06-02
 8 「ハックルベリ・フィンの冒険」トウェイン(1885年)角川文庫 ¥821
   → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2014-07-19-1
   → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2014-07-19-2
 9 「アウルクリーク橋の出来事」ビアス(1892年)古典新訳文庫  ¥700
   → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2014-04-13
10 「シスター・キャリー」ドライサー(1900年)岩波文庫 ¥1166・¥1166
   → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2014-06-05
   → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2014-06-09

 以上で、全14冊、13,036円でした。

 例によって、「なんであの作品が入っていないの?」という声が聞こえそうです。
 次回に、若干の補足説明をさせてください。

 さいごに。(スマホ、やーめた)

 先日妻が、ようやくスマホにしました。アイフォンです。
 私も興味があったので、ちょっといじらしてもらったのですが・・・

 この年になると、新しいものに適応するのがたいへん。実にめんどくさいです。
 新しい操作方法に、ついていけないし、また、ついていく気もなくなりました。

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:

バートルビー [19世紀アメリカ文学]

 「幽霊船 他一篇」 メルヴィル作 坂下昇訳 (岩波文庫)


 「幽霊船」と「バートルビー」の傑作中編二篇を収録した作品集です。
 「バートルビー」は、与えられた仕事を何もしない男を描いています。

 岩波文庫から出ていましたが品切れ。楽天オークションで手に入れました。
 初版は1979年。訳は少し古いため、読みにくい個所がありました。


幽霊船 他1篇 (岩波文庫 赤 308-5)

幽霊船 他1篇 (岩波文庫 赤 308-5)

  • 作者: ハーマン・メルヴィル
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1979/12/17
  • メディア: 文庫



 弁護士事務所の助手として、バートルビーという青年が雇われました。
 彼は、清らげなまでに青白く、哀れを誘うほど恭しい男です。

 ところが、ある仕事を命じられたとき、バートルビーは言いました。
 「ぼく、そうしない方がいいのですが」。あくまで、柔和な表情で。

 その後は何を言ってもダメ。自分の仕事さえしなくなります。
 「ぼく、そうしない方がいいのです」と、穏やかに言って・・・

 すごいです。なかなかこんな風には言えません。
 呆れるというより、感心してしまいます。

 実は、ちょっと複雑な思いを持ちながら、この作品を読みました。
 というのも、私はバートルビーそっくりな人を知っているからです。

 彼は、仕事を割り振られると、「できない」と言って逃げていきます。
 比喩ではありません。上司の前から、本当に逃げて行くのです。

 そして、忙しい同僚をしりめに、ブラブラしています。
 当然誰からも相手にされませんが、本人はまったく気にしていません。

 すごいです。その超然とした態度は、神聖ですらあります。
 私は今後、この人に敬意を表して、バートルビーと呼ぼうと思います。

 さいごに。(恒例の出張)

 恒例の夏の出張に行ってきました。今年から1日増えて3泊4日です。
 ↓ 毎年すぐ近くに泊まるのに、忙しくて一度も行っていません。
CA3K0038.jpg


nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:

幽霊船 [19世紀アメリカ文学]

 「幽霊船 他一篇」 メルヴィル作 坂下昇訳 (岩波文庫)


 「幽霊船」と「バートルビー」の傑作中編二篇を収録した作品集です。
 「幽霊船」は、難破して漂流するスペイン船にまつわる物語です。

 岩波文庫から出ていましたが品切れ。楽天オークションで手に入れました。
 初版は1979年。訳は古いため、少し 読みにくかったです。


幽霊船 他1篇 (岩波文庫 赤 308-5)

幽霊船 他1篇 (岩波文庫 赤 308-5)

  • 作者: ハーマン・メルヴィル
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1979/12/17
  • メディア: 文庫



 1799年のこと。アメリカの商船のデラーノ船長は、ある難破船に遭遇しました。
 それはスペインの奴隷船で、船長のドン・ペニートは、ひどく陰鬱な男でした。

 スペイン船の中は、異様な雰囲気に包まれていました。
 デラーノは、スペイン人船長から、漂流のいきさつを聴きますが・・・ 

 どうしてこれだけ長い間、漂流していたのか?
 どうして壊血病や熱病で、黒人らはそれほど死ななかったのか?

 刃物を研ぐようなあの音は何か? この異様な雰囲気は何か?
 スペイン人船長に始終付き添っている、バボーなる黒人はいったい何者か?

 スペイン人船長のとった衝動的な行動。黒人たちによる意外な行動・・・
 最後まで、予想外の展開が続きます。

 私はこの作品を、タイトルに惑わされて、ホラー小説として読んでいました。
 だから、いつ幽霊が出現するのかと、そればかりに気を取られていました。

 しかし、それは間違っていました。ホラー小説よりも、推理小説に近いです。
 解説には、「メルヴィルが書いた唯一の推理小説だと評していい」とあります。

 そう思って読み返してみると、なかなか良くできた推理小説です。
 ただし、訳のせいなのか、とても読みにくい。新訳化を強く望みます。

 ところで、この本には「バートルビー」という作品も収録されています。
 これがまた、実に興味深いのです。「バートルビー」については次回に。

 さいごに。(ラムネ)

 町内の夏祭りで、娘は初めてラムネを飲んで、とても気に入ったみたいです。
 サンタクロースには、ラムネ10本をお願いする、と今から言っています。


nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:

モヒカン族の最後 [19世紀アメリカ文学]

 「モヒカン族の最後」 クーパー作 犬飼和雄訳 (ハヤカワ文庫)


 白人の猟師とモヒカン族の戦士を中心に、インディアンの争いを描いた名作です。
 フレンチ・インディアン戦争時のアメリカを背景にした歴史小説です。

 映画「ラスト・オブ・モヒカン」公開の、1993年にハヤカワ文庫から出ました。
 しかし、現在は品切れです。私はアマゾンで古本を手に入れました。


モヒカン族の最後〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)

モヒカン族の最後〈上〉 (ハヤカワ文庫NV)

  • 作者: ジェイムズ・フェニモア クーパー
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 1993/02
  • メディア: 文庫



 18世紀後半の北アメリカでは、イギリス軍とフランス軍が領土を争っていました。
 部族間で戦っていたインディアンは、その争いに巻き込まれ、利用されていました。

 主人公は白人のホークアイ。鷹の目を持つ男。銃で狙った獲物は必ずしとめます。
 その親友は、モヒカン族のアンカスと、その父チンガチグック。有名な戦士です。

 彼ら三人は、道に迷って困っている一行に、たまたま出会いました。
 イギリス軍の少佐ヘイワードと、司令官の2人の娘コーラとアリスです。

 この一行を案内していたのは、ヒューロン族のマグワ。
 彼らとの偶然の出会いが、長い冒険の始まりでした。

 奇襲、銃撃戦、脱出、救出、追跡、変装、対決、そして大虐殺・・・
 憎しみ、恨み、祈り、そして、愛情と友情・・・

 最後までワクワクしながら読みました。
 歴史小説というより、冒険小説です。ハヤカワ文庫から出ていますし。

 歴史的事実を踏まえているため、臨場感があります。
 物語の中心になる「ウィリアム・ヘンリー砦の大虐殺」は、実際にあった事件です。

 さて、戦いの構図は複雑です。イギリス対フランス。モヒカン族対ヒューロン族。
 しかし根本的には、白人対インディアン。

 マ グワは狡猾な悪党ですが、見方を変えれば、白人の侵入による犠牲者です。
 白人に与えられた酒によって、堕落させられたのですから。

 「白人は、うまいことをいってインディアンを騙した。インディアンの戦士を
 金で雇って戦わせている。また、うまくごまかして地上の富をかき集めている。」

 悪党ながら、マグワの言葉には真実味があります。
 作者クーパーの主張も、案外この言葉の中にあるのではないでしょうか。

 ところで、クーパーは「アメリカ小説の父」とも言われています。
 しかし、日本ではあまり読まれません。代表作の「モヒカン」も品切れです。

 ちなみに「モヒカン」は、全5巻の「レザーストッキング物語」の第2部です。
 第1部は「開拓者」。岩波文庫では上巻 が品切れ。下巻だけ売ってどうするの?

 確かにクーパーの文体は、回りくどくて分かりづらい部分があります。 
 だからこそ、分かりやすい新訳を出してほしい。内容は面白いのだから。

 ちなみに、映画「ラスト・オブ・モヒカン」は、ブルーレイで出ています。
 見てみたいです。


ラスト・オブ・モヒカン ディレクターズカット [Blu-ray]

ラスト・オブ・モヒカン ディレクターズカット [Blu-ray]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • メディア: Blu-ray



 さいごに。(朝の楽しみ)

 娘が夏休みになったので、ラジオ体操の前に、町内1周のマラソンをしています。
 マラソンといっても10分ほどですが、娘と一緒に走るのはとても楽しいです。

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:

ハックルベリ・フィンの冒険 [19世紀アメリカ文学]

 「ハックルベリ・フィンの冒険」 マーク・トウェイン作 大久保博訳 (角川文庫)


 浮浪児のハックルベリが、逃亡奴隷のジムと一緒に、イカダで旅をする物語です。
 「トム・ソーヤーの冒険」の続編で、トムの親友ハックが主人公となっています。

 名作なので、多くの文庫から出ています。私が選んだのは、角川文庫版です。
 1999年の訳を改定したものです。挿し絵も所々に入っています。


ハックルベリ・フィンの冒険―トウェイン完訳コレクション (角川文庫)

ハックルベリ・フィンの冒険―トウェイン完訳コレクション (角川文庫)

  • 作者: マーク トウェイン
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2004/08/01
  • メディア: 文庫



 「トム・ソーヤーの冒険」のあと、ハックはダグラスおばさんに引き取られました。
 しかし、飲んだくれの父親がやってきて、ハックを連れて行ってしまいました。

 森の小屋に閉じ込められたハックは、脱出して、対岸の無人島に逃げ込みました。
 すると、そこへ逃亡奴隷のジムがやってきて、二人の冒険が始まります・・・

 流れてきた家と男の死体、沈没しかけた蒸気船と悪党たち、宿恨で殺しあう二家、
 ニセ王とニセ公爵による様々なペテン、トムとの再会と奴隷解放の冒険・・・

 さて、私が最も意外だったことは、ハックが実に賢いということです。
 自分の名前さえ書けなかったのが、いつのまにか手紙すら書けるようになっていた!

 しかし、それ以上に、ハックの考え方の中に、賢さを感じました。
 例えば、奴隷の逃亡を助けることは正義か、という問題について。

 当時は、奴隷の逃亡を助けることは禁じられていました。犯罪だったのです。
 ところがハックは、よく考えた上で、ジムの逃亡を助ける道を選びます。

 人種問題については、この作品の主要なテーマのひとつなのだそうです。
 黒人が人間扱いされていないことへの批判が、所々かいま見えます。

 「まあ大変! で、だれか怪我をしたかい?」
 「いいえ。黒ん坊が一人、死んだだけです」
 「そう、それは運がよかったわね。だって、ときには人間が怪我をすること
 だって実際にあるんだものね。」(P481)

 こういう会話が普通に交わされた時代に、ハックとジムは親友になりました。
 そしてハックは、親友の「黒ん坊」を、命がけで守ろうとするのです。

 社会批判に満ちた作品で、いろいろと考えさせられました。
 トウェインはインテリの読む本だ、という意味がよく分かった気がします。

 さいごに。(いいぞ、オラフ)

 「アナ雪」に出てくる雪だるまの「オラフ」は、かわいくて面白いと思います。
 アナに真実の愛を教えたりして、物語の中で重要な役割も果たしています。

 実は「オラフ」の声を担当しているのが、私の高校の同期生です。
 昔からひときわ目立っていましたが、これほどビッグになるとは! すごいです。

nice!(2)  コメント(1) 
共通テーマ:

ハックルベリ・フィンの冒険(なぜ古典新訳文庫を買わなかったか) [19世紀アメリカ文学]

 「ハックルベリ・フィンの冒険」 マーク・トウェイン作 大久保博訳 (角川文庫)


 浮浪児のハックルベリが、逃亡奴隷のジムと一緒に、イカダで旅をする物語です。
 「トム・ソーヤーの冒険」の続編です。アメリカ文学の原点とも言われています。

 様々な文庫で出ています。中でも古典新訳文庫版は、2014年の夏に出たばかり。
 土屋訳は、先行の「トム・ソーヤー」同様、とても分かりやすいです。 


ハックルベリー・フィンの冒険(上) (光文社古典新訳文庫)

ハックルベリー・フィンの冒険(上) (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: マーク トウェイン
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2014/06/12
  • メディア: 文庫



ハックルベリー・フィンの冒険(下) (光文社古典新訳文庫)

ハックルベリー・フィンの冒険(下) (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: マーク トウェイン
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2014/06/12
  • メディア: 文庫



 古典新訳文庫のカバーは、あいかわらずちょっとオマヌケなイラストです。
 しかし、中の挿し絵はとても良いです。数も多くて、配置も工夫されています。

 「トム・ソーヤー」同様、本当に本が好きな人が作っているのでしょうね。
 もちろん、ストーリーは文句なくすばらしい。訳も原文の良さを生かしています。

 ところが、しかし、私は古典新訳文庫版を、選ばなかったのです。なぜか?
 それは、コストパフォーマンスです。(要するに値段。セコイ話ですまない)

 古典新訳文庫版は1冊1200円。上下合わせて2400円。税を入れると約2600円!
 確かにすばらしい本ですが、約400ページで1200円が適正価格でしょうか。

 ちなみに、先に発売された「トム・ソーヤー」は、540ページで933円。
 安くはありませんが、まあ、充分に納得のできる価格です。

 それなら「ハック」は、約800ページで1500円くらいか、と想像していました。
 ところが、上下合わせて2400円。許容範囲を大きく超えてしまいました。

 私は、文庫本の大きな魅力のひとつに、安さという美徳があると思っています。
 古典新訳文庫の「ハック」の価格は、文庫本本来の美徳を損なってしまいました。

 こういう理由で、古典新訳文庫の「ハック」を、私は選びません。
 中身のすばらしさを認めた上で、泣きながら(アホか)却下いたしました。

 さて、「ハックルベリ・フィンの冒険」は、角川、新潮、岩波からも出ています。
 さすが、名作です。児童向けのものを入れると、もっと多くなります。

 新潮文庫は全1冊で約700円。訳者はNHKドラマで話題の村岡花子。
 岩波文庫は二分冊で、合わせて1400円ほど。新潮も岩波も、訳が古すぎます。

 結局、私が選んだのは、角川文庫の大久保訳です。全1冊。650ページで743円。
 1999年の訳を改定したものです。挿し絵もあります。まあ、無難な作りです。


ハックルベリ・フィンの冒険―トウェイン完訳コレクション (角川文庫)

ハックルベリ・フィンの冒険―トウェイン完訳コレクション (角川文庫)

  • 作者: マーク トウェイン
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2004/08/01
  • メディア: 文庫



 ところで、勝手な予想ですが、新潮文庫から新訳が出るのではないでしょうか。
 少し前に、「トム・ソーヤー」が新訳で出ました。だから、もしかして・・・

 今回は、「ハック」の内容に触れられませんでした。
 それはまた次回に。

 さいごに。(くるかなテスト)

 娘の小学校には、「くるかなテスト」というのがあります。
 正式名称は、「夏休み来るかな?テスト」。

 国語と数学のテストを、100点取るまで何度もやり直すというものです。
 今日が夏休み前の最終日ですが、クラス全員が合格しているようで、良かったです。

nice!(1)  コメント(0) 
共通テーマ:

ある婦人の肖像2 [19世紀アメリカ文学]

 「ある婦人の肖像」 ヘンリー・ジェイムズ作 行方昭夫訳 (岩波文庫)


 (注意。前回の記事の続きです。今回の記事も、ネタバレが多めです。)

 若くて美しくて知的なアメリカ人女性が、ヨーロッパで人生を探求する物語です。
 作者の代表作です。「ある貴婦人の肖像」というタイトルで、映画化されました。

 岩波文庫から、行方訳が出ていますが、現在品切れです。重版を強く願う!
 1985年に国書刊行会から出たものの改訳で、とても味わいのある訳です。


ある婦人の肖像 (上) (岩波文庫)

ある婦人の肖像 (上) (岩波文庫)

  • 作者: ヘンリー・ジェイムズ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1996/12/16
  • メディア: 文庫



ある婦人の肖像 (中) (岩波文庫)

ある婦人の肖像 (中) (岩波文庫)

  • 作者: ヘンリー・ジェイムズ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1996/12/16
  • メディア: 文庫



ある婦人の肖像 (下) (岩波文庫)

ある婦人の肖像 (下) (岩波文庫)

  • 作者: ヘンリー・ジェイムズ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1996/12/16
  • メディア: 文庫



 ようやく下巻を読み終わりました。
 期待通りに、最後まで面白かったです。いや、期待以上に面白かったです。

 この本を品切れにしておくなんて、本当にもったいない。
 もっともっと読まれていい作品です。

 さて、私はいつのまにかこの作品を、ラルフに感情移入して読んでいました。
 気づくと、「ラルフのプラトニックラブの物語」として、読んでいたのです。

 誠実で繊細なラルフは、どんなことがあっても、イザベルを見捨てません。
 イザベルのことを本当に理解していて、一番愛していたのは、ラルフでしょう。

 ラルフの死の場面は、強烈な印象が残ります。
 彼は、死によって、イザベルへの愛を完成させたのだと思います。

 ところで、よく問題になるのが、ラストシーンの解釈です。
 イザベルは、ローマに戻って、どうなるのか?

 ローマに戻ってオズモンドとの生活を続ける、という解釈には賛成できません。
 それでは、ラルフの愛と死の意味が、無くなってしまいます。

 ローマに戻ってオズモンドと対決し、二人の関係に決着をつける。(離婚する)
 ラルフの死後も、その愛を身近に感じたイザベルは、きっとそうしますよ。

 イザベルとオズモンドとの対決は、ローマを出たときに既に始まっています。
 その対決に決着をつける勇気を与えたのは、ラルフの死だったのではないか。
 (直接のきっかけは、グッドウッドの3度目の求婚であるが)

 ほかにも魅力的な登場人物はいます。たとえば、ウォーバトンとグッドウッド。
 この二人の求婚者は、タイプが全く異なっていて面白いです。

 また、オズモンドとマダム・マールは、実に生き生きと描かれています。
 「危険な関係」を思い出しました。こういう悪役(?)が、物語を面白くします。

 しかし、何といっても興味深いのが、イザベルの友人で新聞記者のヘンリエッタ。
 彼女は何でもズケズケ言い、あつかましくて、時には滑稽でさえあります。

 しかし彼女の言い分は、よくよく考えると、それほど的外れではありません。
 それどころか、ラルフが言えないことを、はっきり伝える役目を果たしています。

 ヘンリエッタは、イザベルの分身のような存在ではないかと思います。
 イザベルの無意識を顕在化したような存在。だから、二人は仲良しなのでしょう。

 余談ですが、私はこの本に、注釈がないことが、潔くて好ましく感じました。
 ただし、フローレンスがフィレンツェだということに、最後まで気付かなかった。

 本の中巻のカバーが、なぜフィレンツェなのかと、不思議に思っていたのです。
 フローレンスは、辞書にも載っていません。これだけは、注がほしかった。

 さいごに。(さよならエラー)

 職場対抗のソフトボール大会に参加しました。私はライトの6番。
 6対5のリードで迎えた最終回のウラ。相手の攻撃で2アウト満塁。

 打球が私に向かって飛んできました。追いついてキャッチ。
 と思ったら、グラブからボールがポロリ。敵軍の2者がかえって、サヨナラ負け。

 でも、私は全く責められませんでした。というのも、勝っていたらもう一戦。
 しかし、我が軍にはもう余力がなくて、みんな家に帰りたがっていたので。

nice!(2)  コメント(0) 
共通テーマ:
前の10件 | - 19世紀アメリカ文学 ブログトップ