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にんじん [19世紀フランス文学]

 「にんじん」 ルナール作 高野優訳 (新潮文庫)


 にんじんと呼ばれ、母親から不当な扱いを受ける男の子の、成長を描いた物語です。
 ルナール自身の幼少期の体験をもとにした、49のエピソードから成っています。

 2014年に新潮文庫から新訳が出ました。とても分かりやすい訳です。
 原書と同じ挿し絵が入っていているのも嬉しいです。


にんじん (新潮文庫)

にんじん (新潮文庫)

  • 作者: ジュール ルナール
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2014/09/27
  • メディア: 文庫



 主人公は、赤毛でソバカスがあるため「にんじん」と呼ばれる男の子です。
 にんじんは、母親によって虐待されています。この虐待がなかなかひどい。

 家の雑用を押し付けられ、おいしいものは与えられませんが、それはまだいい。
 極めつけは、おねしょをスープに混ぜて、飲ませられる場面でしょう。

 この母親の残酷な仕打ちは理解に苦しみます。彼女は精神的な病気でしょうか。
 訳者はあとがきで、「モラル・ハラスメント」として解釈していますが・・・

 一方で父親は、にんじんに不器用ながらも愛情を持って接しています。
 たとえば、お父さんとの手紙のやりとりは、冷淡というよりもユーモラスです。

 「おまえが手紙に書いてきた作家たちは、私やおまえと同じく人間だ。
  つまり、彼らにできることは、おまえにもできるということだ。
  だから、まず自分で本を書きなさい。」

 ほかにも随所で、残酷な母親と優しい父親、という構図が成り立っています。
 しかし、最後まで読んで、私はそのとらえ方が大きく変わりました。

 「ぼくも母親が嫌いなんだ。」というにんじんに、父親が答えた言葉は・・・
 この言葉は、母親に対してあまりにも残酷ではないか?

 この小説は、虐待を生き抜いた男の子が、人間的に成長する物語だと言われます。
 しかし私には、ダメな母親が、最後にのけものにされる物語だと思いました。

 ある意味、この物語で一番かわいそうなのは、母親なのかもしれません。
 このような終わり方をしたところに、ルナールの幼少期の深い傷跡が見えます。

 さて、49の小話のうち最も面白かったのは、「赤いほっぺ」です。
 にんじんが、ヴィオロン先生のことを告げ口した本当の理由は・・・

 にんじんの屈折した心理が読み取れて面白いです。
 「赤いほっぺ」は、単独のショートショートとして楽しむことができそうです。

 ところで、恥ずかしながら私は、49になって初めて「にんじん」を読みました。
 実際に読んでみて、今まで漠然と抱いていたイメージが、だいぶ変わりました。

 さいごに。(ころぼっくるヒュッテ)

 家族旅行初日は、台風が次々に三つも発生した日で、天気が不安定でした。
 車山は、肩の駐車場から歩いて登りましたが、山頂は霧の中でした。

 しかし、ころぼっくるヒュッテで食べたボルシチが、とてもおいしくて良かったです。
 知る人ぞ知る老舗のヒュッテです。来年はここに泊まろうか、と話しています。

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死都ブリュージュ [19世紀フランス文学]

 「死都ブリュージュ」 ローデンバック作 窪田般彌(はんや)訳 (岩波文庫)


 愛妻の面影を求め続ける男と、愛妻に生き写しの女との、愛の悲劇の物語です。
 世紀末のブリュージュを舞台に、ベルギーのローデンバックが書いた傑作です。

 岩波文庫から1988年に出ています。1976年に刊行されたものの改訳です。
 ブリュージュを描いた三十数点の挿絵が、幻想的な雰囲気を醸し出しています。


死都ブリュージュ (岩波文庫)

死都ブリュージュ (岩波文庫)

  • 作者: G. ローデンバック
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1988/03/16
  • メディア: 文庫



 愛妻を亡くしたユーグは、5年前にブリュージュに移り住みました。
 まだ40になったばかりなのに、仕事もせず、生きた屍のように暮らしています。

 夕方はいつも、妻の面影を求めて、ブリュージュの街をさまよい歩いています。
 そしてある日、ユーグが散歩中に見かけた女は、亡き妻に瓜二つでした。

 いや、あれは妻だ、妻が帰ってきたのだ。死もここでは一時の不在にすぎない。
 永遠に終わってしまったと思われた恋が、今また始まろうとしているのだ!

 彼女の名はジャーヌ。幻影だと知りつつも、ユーグは彼女と暮らし始めます。
 しかし身代わりの愛は幻滅に変わり、やがて悲劇的な結末へ向かって・・・

 私がこの物語を知ったのは、中野京子の「怖い絵」によってです。
 クノップフの「見捨てられた街」は、死都ブリュージュを描いた絵だそうです。

 44歳のクノップフは、小説「死都ブリュージュ」に激しく心を捕えられました。
 以来まるで取りつかれたように、彼はブリュージュの絵ばかり描き続けました。

 「見捨てられた街」は、内部に死を抱えたまま、ゆっくり海を迎えています。
 「やがて確実に、全てが海底という記憶の底へ沈んでゆくだろう。」・・・

 地味なのに、心をかきみだされる絵です。人をとても不安にさせる絵です。
 この絵を見て、ぜひ「死都ブリュージュ」を読んでみたいと思ったのです。

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 さて、恥ずかしながら私は、ブリュージュを架空の街だと思っていました。
 もちろん実在の都市です。ブルッヘとオランダ語読みした方が分かりやすい。

 ブリュージュは、かつては繁栄を誇った商業都市で、その後衰退しました。
 この死都の絵が三十数点も、物語の中に挿し込まれています。

 というのも、主人公はユーグでもジャーヌでもなく、死都ブリュージュだから。
 「あらゆる都市は一つの精神状態であって、」われわれに感染するのだそうです。

 この物語を読むと、ブリュージュという都市に、ますます興味が湧いてきます。
 中公新書の「ブリュージュ」本は、アマゾンで1円です。読んでみたいです。


ブリュージュ―フランドルの輝ける宝石 (中公新書)

ブリュージュ―フランドルの輝ける宝石 (中公新書)

  • 作者: 河原 温
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2006/05
  • メディア: 新書



 さいごに。(もしクーラーが無かったら)

 先日、気温36度を記録しました。クーラーが無かった、どうなっていただろうか。
 昨年、思い切って家にクーラーを設置して、本当に良かったと思っています。

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シルヴェストル・ボナールの罪 [19世紀フランス文学]

 「シルヴェストル・ボナールの罪」 A・フランス作 伊吹武彦訳 (岩波文庫)


 本に囲まれてひっそりと暮らす老学者の日常が、日記体でつづられていく物語です。
 アナトール・フランス37歳の時の小説で、彼の出世作です。

 岩波文庫から出ています。A・フランスの作品中、現在唯一文庫で出ている本です。
 訳はだいぶ古いようですが、読みやすくて、しみじみとした味わいのある文章です。


シルヴェストル・ボナールの罪 (岩波文庫)

シルヴェストル・ボナールの罪 (岩波文庫)

  • 作者: アナトール フランス
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1975/07/16
  • メディア: 文庫



 主人公は、学士院会員のシルベストル・ボナール老人です。
 パリの本に囲まれた部屋で、中世の修道院の研究を続けています。

 1861年12月、54歳のとき、研究資料としてたいへん貴重な写本が発見されました。
 8年後、62歳のボナールは、写本を求めてイタリアへ旅立ちましたが・・・

 写本はどこへ行ったのか? 競売で値をつり上げるのは誰か?
 そして、ナポリで出会ったトレポフ夫人とは、いったい誰なのか?

 ・・・私は正直に言って、最初はこの小説に、たいして期待していませんでした。
 しかし、読んでみるととても面白くて美しい作品で、想像以上に良かったです。

 この小説は二部構成です。第一部は、自分にとって大切な本にまつわる物語です。
 第二部は、自分がかつて愛した女性の孫娘にまつわる物語です。

 どちらも心温まるエピソードが、穏やかで品のある口調で語られています。
 この小説の魅力は、愛すべき主人公老ボナールの、語り口と人間性にあります。

 ところでタイトルの「罪」とは何か? 最後の最後にようやく分かりますが・・・
 それが罪と呼べるものなのかどうか・・・

 さて、他の登場人物では、第二部に登場するプレフェール女史が傑作でした。
 悪い女ですが、滑稽で笑えます。ボナールとは違う意味で、愛すべき人物でした。

 この作品の随所から、そこはかとない哀愁が漂ってきました。
 例えば、部屋の本をみんな読んだのかと尋ねられたボナールは、こう答えます。

 「悲しいことにみんな読みました。だからこそ何も知らないのです。
 何しろどの本もほかの本と矛盾しないものは一冊もない、」(P185)

 アナトール・フランスの小説集が、白水社から単行本で出ています。
 新訳ではありませんが、いろんな作品があるので、文庫化を期待したいです。


アナトール・フランス小説集〈1〉シルヴェストル・ボナールの罪

アナトール・フランス小説集〈1〉シルヴェストル・ボナールの罪

  • 作者: アナトール フランス
  • 出版社/メーカー: 白水社
  • 発売日: 2001/01
  • メディア: 単行本



 さいごに。(あった! シュガーラスク味)

 甘い味の「うまい棒」があることを、妻と娘は長い間信じてくれませんでした。
 しかし3人で100円ショップに行った時、シュガーラスク味を見つけました。

 「ほらね。パパの言ったとおりだろ!」と言ったら、
 「もっとマシなことで自慢してよ。」と、2人に言われてしまいました。


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フランス革命史 [19世紀フランス文学]

 「フランス革命史」 ミシュレ著 桑原武夫ほか訳 (中公文庫)


 英雄中心ではなく「人民中心」の、当時としては画期的なフランス革命史です。
 国立古文書保管所の歴史部主任であり、歴史家でもあるミシュレの代表作です。

 中公文庫から二分冊で出ています。全訳ではなく、所々要約されています。
 中公公論の「世界の名著」シリーズの文庫版で、冒頭に詳細な解説があります。


フランス革命史〈上〉 (中公文庫)

フランス革命史〈上〉 (中公文庫)

  • 作者: ジュール ミシュレ
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2006/12
  • メディア: 文庫



フランス革命史〈下〉 (中公文庫)

フランス革命史〈下〉 (中公文庫)

  • 作者: ジュール ミシュレ
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2006/12
  • メディア: 文庫



 ミシュレは実証的に革命史を描きましたが、文章には時々感情が混じります。
 たとえばバスチーユ襲撃を扱った部分は、歴史書というより小説に近いです。

 「朝の光とともにパリの上に一つの考えが輝き、そして、すべての人が同じ光 をみ
 た。人々の心のうちに一つの光がさし、ひとりひとりの胸に一つの声が聞こえた。
 『行け、そしてバスチーユを攻略するのだ!』」(P133)

 人々の心に光がさしたり、声が聞こえたり・・・
 でも、こういう文学的な表現だからこそ、読んでいて面白いのです。

 そして、もうひとつの特徴が、主役がなんでもない「人々」であることです。
 名も無き人々のエピソードが集積して、ひとつの大きな物語となっています。

 バスチーユを攻撃する人々。ヴェルサイユへ行進する女たち。
 扇動されて、虐殺を行う人々。政治に飽きて、無関心になる人々。

 善人もいれば、悪人もいます。英雄もいれば、俗物もいます。
 そういう雑多な人々すべてをひっくるめた「人民」が、革命を推進します。

 「第一ページから最終ページにいたるまで、この歴史にはひとりの英雄
 しかいない。すなわち、人民である。」(P75)

 それだからといって、英雄をないがしろにしているわけではありません。
 たとえば、ミラボーやダントンに対しては、思い入れたっぷりに描いています。

 また、何人かの小さな英雄たちも、印象的に描かれています。
 危険を顧みず王を弁護し、断頭台に消えた老マルセルブ(下・P70)は素晴らしい。

 ところで、この本は所々に飛躍があって、少し分かりにくかったです。
 それもそのはず。原作の5分の1しか訳されてないのだそうです。

 さて、ミシュレには、ライフワークである長大な「フランス史」があります。
 藤原書店から全六巻で抄訳が出ています。単行本で1冊5000円ほど。文庫化を期待!


フランス史 1 〔中世(上)〕 (フランス史(全6巻))

フランス史 1 〔中世(上)〕 (フランス史(全6巻))

  • 作者: ジュール ミシュレ
  • 出版社/メーカー: 藤原書店
  • 発売日: 2010/04/26
  • メディア: 単行本



 さいごに。(安心してください)

 最近、娘(小3)がはまっているのが、「とにかく明るい安村」です。
 お風呂に入る前、パンツ一丁で、「安心してください、はいてます」をやる。

 「品のない芸はやめなさい」と注意すると、余計に面白がってやるのです。
 困ったことです。でも、こんなことするのも、せいぜいあと1年でしょうか。

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従妹ベット2 [19世紀フランス文学]

 「従妹ベット」 バルザック作  (新潮文庫)


 老嬢ベットが復讐のためマルネフ夫人と組んで、ユロ一族を破滅に導く物語です。
 私は新潮文庫版で読みました。初版が1968年ですが、訳は分かりやすかったです。


従妹ベット〈上〉 (新潮文庫)

従妹ベット〈上〉 (新潮文庫)

  • 作者: バルザック
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1968/01
  • メディア: 文庫



 下巻に入ってベットとマルネフ夫人は絶好調です。
 二人は最強タッグですね。

 主人公のベットは、相変わらず黒幕的な存在で、老獪に立ち回ります。
 ユロ一家の味方を演じながら、じわじわと破滅に追い込んでいきます。

 表立って悪をなすのは、魔性の女マルネフ夫人です。
 彼女の堕落ぶりときたら!

 自分の欲望を満たすために、男どもを誘惑し破滅させる毒婦、マルネフ夫人。
 特に二十二章で、スタインボックを誘惑するところが印象的でした。

 下巻は、マルネフ夫人を中心に展開します。
 その悪徳ぶりといい、壮絶な最後といい、「マルネフ夫人の物語」です。

 我々男たちは、アドリーヌのような貞淑で敬虔な女性を理想としていながらも、
 悲しいことに、ついついマルネフ夫人のような妖婦に惹かれてしまうものです。

 だから、ユロの気持ちも分かる気がします。
 とはいえ、この結末は! いやはや、やりきれないですね。

 ところで、ユロ男爵は、「絶対の探求」のバルタザールによく似ています。
 どちらも最初はまともな人間で、どちらも奥さんは善良な人でした。

 しかしユロは女に狂い、バルタザールは化学に狂い、一家を破滅させました。
 二人のきちがいじみた熱情は、バカを通り越して、崇高でさえあります。

 さて、これで文庫で読めるバルザック作品は、ほとんど読んでしまいました。
 文庫化されていない他の作品を、読みたいです。

 さいごに。(バンニーキルク)

 「バンニーキルク」と聞いてピンとくる人は、相当の陸上おたくでしょう。
 南アフリカの選手で、ケニアのベットとともに、アフリカ陸上界の英雄です。

 8月の世界陸上で、男子400mを43秒48という驚異的なタイムで制しました。
 やけくそのように最初からぶっとばしていく走りは、とても感動的でした。

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従妹ベット1 [19世紀フランス文学]

 「従妹ベット」 バルザック作 平岡篤頼訳 (新潮文庫)


 老嬢ベットが復讐のためマルネフ夫人と組んで、ユロ一族を破滅に導く物語です。
 バルザック最晩年に書かれた傑作で、「従兄ポンス」の姉妹編です。

 新潮文庫と岩波文庫から出ていましたが、現在はどちらも品切れです。残念。
 私は新潮文庫版で読みました。初版が1968年ですが、訳は分かりやすかったです。


従妹ベット〈上〉 (新潮文庫)

従妹ベット〈上〉 (新潮文庫)

  • 作者: バルザック
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1968/01
  • メディア: 文庫



従妹ベット 上 (岩波文庫 赤 529-5)

従妹ベット 上 (岩波文庫 赤 529-5)

  • 作者: バルザック
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1950/07/05
  • メディア: 文庫



 舞台は1830年代から1840年代のパリです。
 陸軍省局長のユロ・デルヴィ男爵邸を中心に、物語が繰り広げられます。

 ユロ男爵は60歳になりながらも、女に血道をあげて一家を窮地に陥れています。
 美しくて善良な夫人アドリーヌは、ダメ男ユロとの生活を耐え忍んでいます。

 男爵夫人アドリーヌの従妹が、中年の独身女「従妹ベット」です。
 ベットは、若い亡命貴族のスタインボックをかくまい、密かに愛しています。

 しかしベットは、アドリーヌの娘にスタインボックを取られて復讐を誓い・・・
 そして、同じアパルトマンに住む魔性の女マルネフ夫人と協定を結んで・・・

 「この公理は心に留めておくといい。パリでは、やましい人間のなれ合いこそ、
 神聖同盟のように弾力無比なのだという公理を。利害関係だけで結ばれた人間
 はいつかかならず仲間割れするが、堕落した人間は同士はいつまでたっても仲
 がいい。」(P252)

 主人公は、老嬢ベット。彼女が密かに企てる復讐が、この小説のテーマです。
 しかし上巻を読んだ段階では、ベットはどちらかというと影武者的な存在です。

 なんといっても、強烈な個性を発揮してすばらしいのは、ユロ男爵です。
 本当にどうしようもない好色ジジイです。(ユロ男爵、バンザイ!)

 ユロは、美しい女を見つけたら、いてもたってもいられなくなってしまいます。
 家では食べる物にも困っているのに、愛人のためにお金をじゃんじゃん使います。

 「お前を思う気持ちが、どんなにひどいことまでわしにさせるか、わかったかね?
 ・・・家族にたいする罪だって、平気で犯させるんだ・・・」(P299)(アホか)

 本当にアホなことに、メカケに逃げられると悔しがって、妻に愚痴ってしまう。
 アドリーヌはアドリーヌで、そんなユロを慰めてしまう。なんというお人よし!

 さて、私は上巻を読み終わったばかりです。
 下巻でユロは、ますますひどいことになりそうで、楽しみです。

 さいごに。(ケニアのベット)

 「ケニアのベット」といって、ピンときた人は、相当の陸上オタクです。
 今年の世界陸上の400mハードルで、ケニア勢初の金メダルを獲得した選手です。

 「ケニアといえば長距離」というイメージを、一新した歴史的なレースでした。
 手に汗を握りながら、私は何度も何度も録画を見てしまいました。

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魔の沼 [19世紀フランス文学]

 「魔の沼」 ジョルジュ・サンド作 杉捷夫訳 (岩波文庫)


 迷い込んだ森の中で夜を明かすうちに、運命を変えた若い農夫と娘の愛の物語です。
 ジョルジュ・サンドの田園小説の傑作として名高い小説です。

 岩波文庫で出ていましたが現在は品切れ。うちには1990年の復刊版がありました。
 初訳は1948年。旧字体で言葉遣いが古いですが、その割には分かりやすかったです。


魔の沼 (岩波文庫)

魔の沼 (岩波文庫)

  • 作者: ジョルジュ・サンド
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1952/02/05
  • メディア: 文庫



 村一番の働き者で正直なジェルマンは、2年前に最愛の妻を亡くしていました。
 彼は今28歳。小さな子供が3人いるため、周りから再婚を勧められています。

 死んだ妻を忘れられず、気乗りがしないまま、彼は相手の家に向かいました。
 近所の16歳の娘マリを、同じ方角の村に送るため、一緒に出発しました。

 ところが、森の道で魔法にかけられたように迷い・・・
 一夜を明かすうちに、ジェルマンが気づいた自分の本心は・・・

 すがすがしい印象が残る作品です。とても健全な恋愛小説だと思いました。
 特に、「世紀児の告白」でどろどろした恋愛を読んだあとなので。

 ジェルマンもマリも、誠実でとても好感が持てる人物です。
 物語の展開も、ほぼ期待どおりに進んで裏切ることが無く、好感が持てました。

 ただし、「魔の沼」というタイトルは、少しホラーっぽいと思います。
 森や沼の場面では、いつ魔物が出てくるのかと、変な期待をしてしまいました。

 さて、ジョルジュ・サンドは日本では、田園小説ばかり読まれているようです。
 しかしサンドらしい作品は、女性解放をテーマにした「アンディアナ」など。

 岩波文庫の「アンディアナ」の初版は1937年。
 古本ならアマゾンで1円から手に入りますが、ぜひ新訳を出してほしいです。

 なお、藤原書店から「ジョルジュ・サンド・セレクション」が出ています。
 「モープラ」「コンシュエロ」も入っています。ぜひ文庫化してほしい!


モープラ    ジョルジュ・サンドセレクション 1

モープラ ジョルジュ・サンドセレクション 1

  • 作者: ジョルジュ・サンド
  • 出版社/メーカー: 藤原書店
  • 発売日: 2005/07
  • メディア: 単行本



 さいごに。(最大のイベント)

 24日(月)に夏休みを取り、土日月の2泊3日で山梨にキャンプに行きます。
 明日の朝出発です。これが毎年、我が家の最大のイベントです。

 キャンプといっても、キャンプ場内のトレーラーハウスに泊まります。
 うちは車が軽しかないため、テントや寝袋などが積めないので。


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世紀児の告白 [19世紀フランス文学]

 「世紀児の告白」 ミュッセ作 小松清訳 (岩波文庫)


 憂鬱な世紀病を患った作者たち世代の、愛と青春を描いた半自伝的な小説です。
 ミュッセとジョルジュ・サンドとの、熱狂的な恋愛から生まれた作品です。

 岩波文庫から出ていましたが品切れ。1994年に復刊された本が家にありました。
 初版は1953年。漢字は旧字体で、言葉遣いも古いので、少し読みにくいです。


世紀児の告白 (上) (岩波文庫)

世紀児の告白 (上) (岩波文庫)

  • 作者: ミュッセ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1953/06/25
  • メディア: 文庫



 帝政期の熱狂の中で生まれ、熱狂が消え去った後に青春期を迎えた「私」たち世代。
 19世紀の青年たちは、空虚、憂鬱、倦怠、絶望という名の世紀病を患っていました。

 ずっと信じ続けていた愛人に裏切られた「私」は、放蕩に走り始めました。
 しかし心の中はいつも満たされず、自分が世紀病を患っていることを知るのです。

 父の死をきっかけに、放蕩をやめますが・・・
 しかし、ピエルソン夫人に出会って・・・

 「世紀児の告白」は、ジョルジュ・サンドとの愛が描かれていることで有名です。
 この二人の激しい恋は、当時もっとも有名な恋愛事件でした。

 23歳のミュッセは、美しくダンディな青年詩人として社交界に出入りしていました。
 28歳のサンドは、夫と別居中の女流作家で、男装して社交界に出入りしていました。

 1833年の夏、二人は会合の席で運命的な出会いをしました。
 二人は愛し合い、傷つけ合い、翌年の春にはヴェネチアで破局を迎えました。

 その後も1836年まで、くっついたり離れたりしながら二人の関係は続きました。
 そして、この恋愛は二人の人生と作品に、大きな影響を与えたのです。

 ミュッセの詩の作風はがらりと変わり、内省的で深みのあるものになりました。
 1936年に「世紀児の告白」を出しますが、30歳までに力を使い尽くしました。

 一方サンドの方は、その後も様々なジャンルの小説をいくつも書き上げました。
 そして、ショパンやリストなどとも関係を持ち、恋の方でも充実していました。

 さて、この小説で感心したのは、ミュッセのカッコ悪さです。
 嫉妬で泣いたりわめいたり、一転して許しを求めたり、恥ずかしい恥ずかしい。

 しかし、こういう自分のかっこ悪さを隠さず、そのまま描いたところがいいです。
 もしかしたら、そういうところがサンドの母性本能をくすぐったのでしょうか?

 ミュッセはこの作品を、サンドを傷つけたことの償いのつもりで書いたそうです。
 だから、自分はありのままに書き、夫人(サンド)は理想化して書いたそうです。

 さいごに。(東京は暑かった)

 お盆に4日間、東京へ出張に行きました。日中は外での仕事なので暑かったです。
 家に帰って来た夜はへとへとで、そのまま11時間眠り続けました。

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二人の愛人 [19世紀フランス文学]

 「二人の愛人」 ミュッセ作 新庄嘉章訳 (新潮文庫)


 性格が対照的な二人の愛人の間で、愛の綱渡りを続ける25歳の青年貴族の物語です。
 美しい中編小説で、ミュッセの代表作ではありませんが、捨てがたい魅力があります。

 新潮文庫で出ていましたが現在は品切れ。うちには昭和62年の第46刷がありました。
 訳は古いですが、読みにくくありません。アマゾンで古本が1円で出ています。


二人の愛人 (新潮文庫 ミ 1-1)

二人の愛人 (新潮文庫 ミ 1-1)

  • 作者: ミュッセ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1952/04
  • メディア: 文庫



 1825年のパリに、ヴァランタンという25歳の青年が住んでいました。
 彼は一種の二重人格で、ある時は気障な伊達男、ある時は慎ましい倹約家でした。

 そして、二つの性格に対応するかのように、二人の愛人を持っていました。
 一人は金持ちで才気活発なパルヌ侯爵夫人、一人は貧しくて優しいドゥロネイ夫人。

 二人にはそれぞれ違った、すばらしい魅力があります。
 「どうして一人だけを愛さねばならないのだ?」(P83)

 ヴァランタンは二人の間で悩み・・・(ただの優柔不断なんだよ、おまえは)
 そして最後に選んだのは・・・(ただのマザコンなんだよ、おまえは)

 と、ツッコミどころ満載で、そういう意味で楽しく読めました。
 主人公ヴァランタンが、それほど真面目に悩んでいないところがいいですね。

 二人の愛人のうち、一人は既婚者で、一人は未亡人です。
 選ぶのは結婚相手ではなく、遊び相手(=愛人)ですからね。

 「二人の愛人」は、愛すべき作品です。決して傑作ではありませんが。
 ミュッセの傑作は、戯曲「戯れに恋はすまじ」と小説「世紀児の告白」でしょう。

 「戯れに恋はすまじ」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-11-01
 「世紀児の告白」→ 岩波文庫から出ていましたが、現在は品切れ。

 ところで、平野啓一郎の「葬送」という長編小説が、ずっと気になっています。
 ショパンとドラクロワの物語ですが、もちろんサンドとミュッセも出てきます。


葬送〈第1部(上)〉 (新潮文庫)

葬送〈第1部(上)〉 (新潮文庫)

  • 作者: 平野 啓一郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2005/07/29
  • メディア: 文庫



 さいごに。(今年もお盆は出張)

 8月12日から15日まで、恒例のお盆の出張で、東京に来ています。
 今回初めて、予約投稿機能を使ってみました。投稿できているかな?

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ツールの司祭 [19世紀フランス文学]

 「ツールの司祭・赤い宿屋」 バルザック作 水野亮訳 (岩波文庫)


 陰謀によって全てを奪われる司祭と、全てを奪っていく司祭を描いた物語です。
 バルザックの中編の傑作で、写実小説として名高い作品です。

 岩波文庫から出ていましたが現在は品切れ。アマゾンで比較的安価で出ています。
 旧字体ですが活字が大きいので救われます。きれいな挿絵が所々に入っています。


ツールの司祭/赤い宿屋 (岩波文庫 赤 530-1)

ツールの司祭/赤い宿屋 (岩波文庫 赤 530-1)

  • 作者: バルザック
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1945/11/30
  • メディア: 文庫



 1826年、ツールにはガマールという老嬢が営んでいる下宿屋がありました。
 そこには、二人の対照的な老司祭が、下宿していました。

 一人はビロトー師。親友が残した家具で快適な生活を送る、人の好い司祭です。
 一人はトルーベール師。貧しい生活を送りながら、密かな野望を持っています。

 ある日ビロトー師は、ガマール老嬢から疎まれていることに突然気づきました。
 家主の陰湿ないじめに耐えきれず、ビロトー師は下宿を出る決心をしました。

 しかし、そこに罠があることも知らずに・・・
 この陰謀には、トルーベール師が絡んでいて・・・

 これまたバルザックらしい、救いの無い物語です。
 善良なビロトー師が財産を奪われる姿は、「従兄ポンス」にそっくりです。

 ビロトー師の不幸は、悪意というをあまりにも知らなかったところにあります。
 だから、自分の人生を左右する事件に真剣に向きあえず、他人任せにしてしまう。

 「そして彼は自分の生活を、わづか一本の編み目がはづれると、横糸全体が引き
 裂けてしまふ靴下に較べてみるのだった。」(P111)

 物語のクライマックスは、トルーベール師と、リストメール老婦人の対決です。
 この場面は、緊張感にあふれていてみごと。二人とも生き生き描かれています。

 特に、トルーベール師の悪党ぶりがいいですね。司祭という名の悪魔ですよ。
 こういう人間はホンモノです。決して敵に回したくありません。

 ところで、この本を読んで二つほど疑問が残りました。
 一つは題名について。もう一つは「参事会員」について。

 まず、解説に「本篇の題名は(略)司祭ビロトー師を指す」と書いてあります。
 しかし、トルーベール師も司祭です。題名は、この二人を指すのではないか?

 また、小説冒頭で、ビロトー師は参事会員になりたがっています。
 しかし、うだつの上がらないトルーベールは、すでに参事会員です。なぜか?

 当時の時代背景を知らないと、分からないことが多いですね。
 こういうことに詳しい方、できれば教えていただけないでしょうか。

 さて、この本には「赤い宿屋」という小品も収録されています。
 無実でありながら処刑された青年の話が発端となって・・・

 驚くことべきに、訳は昭和18年のものです。よくぞ戦時中にこれだけの仕事を!
 70年も昔の訳文なので、旧字体ではありますが、文章は分かりやすかったです。

 さいごに。(氷枕大活躍)

 暦の上では秋ですが、まだまだ暑い日が続きます。
 うちには今年エアコンが付きましたが、リビングに1台あるだけです。

 そのため寝室はむし暑いので、寝苦しい時には氷枕を使っています。
 頭がひんやりして、すぐに眠れます。今年は氷枕が大活躍です。

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