So-net無料ブログ作成

2017年10月発売の気になる文庫本 [来月発売の気になる文庫本]

◎ 2017年10月発売予定の文庫本で、気になるものを独断で紹介します。
  データは、出版社やamazonの、HPやメールマガジンを参考にしています。


・10/05 「アンチクリストの誕生」 レオ・ペルッツ (ちくま文庫)
 → 幻想的な作品で知られる作者の短・中篇小説集。少し気になる。

・10/06 「見知らぬ乗客」 パトリシア・ハイスミス (河出文庫)
 → 「太陽がいっぱい」のハイスミスの最初の作品。とても気になる。

・10/? 「若草物語」 オルコット (光文社古典新訳文庫)
 → 私は角川文庫で、娘は青い鳥文庫で読んでいる。少し気になる。


◎ おまけ(千夜一夜物語を何で読むか)

 私は、長大な作品については、全て読むことにこだわっていません。
 時には選集や、要約版や、部分訳を読むのもOKだと思っています。

 たとえば「千夜一夜物語」の完訳は、ちくま文庫で全11巻16632円です。
 読破するには膨大な時間とお金がかかります。

 しかし当然ながら、面白い話もあればそうでない話もあるといいます。
 それならば、無理して全て読むこともないでしょう。

 完訳は老後の楽しみとして、有名な話だけ抜粋したものを読みたいです。
 では、どれを読んだらいいでしょうか?

 角川文庫から、「バートン版 千夜一夜物語拾遺」が出ています。
 コンパクトですが、シンドバッ トの物語が入っていないのが致命的です。

 新潮文庫の「アラビアンナイトを楽しむために」は、現在絶版です。
 阿刀田高による解説書で、とても面白かったです。復刊してほしい。

 岩波少年文庫の「アラビアンナイト」は上下二分冊です。
 児童向きですし、文庫本ではないのですが、この本がおススメです。

 岩波少年文庫版は、全264編の中から、特に名高い16編を選んでいます。
 「シンドバット」も「アラジン」も「アリ・ババ」も収録しています。


千夜一夜物語(全11巻セット)―バートン版 (ちくま文庫)

千夜一夜物語(全11巻セット)―バートン版 (ちくま文庫)

  • 作者: 大場正史
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2005/11
  • メディア: 文庫



アラビアンナイト  バートン版 千夜一夜物語拾遺 (角川ソフィア文庫)

アラビアンナイト バートン版 千夜一夜物語拾遺 (角川ソフィア文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 角川学芸出版
  • 発売日: 2013/10/25
  • メディア: 文庫



アラビアンナイトを楽しむために (新潮文庫)

アラビアンナイトを楽しむために (新潮文庫)

  • 作者: 阿刀田 高
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1986/12
  • メディア: 文庫



アラビアン・ナイト〈上〉 (岩波少年文庫)

アラビアン・ナイト〈上〉 (岩波少年文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2001/09/18
  • メディア: 単行本



 さいごに。(区の大運動会)

 町内の運動会が終わりましたが、今度は2週間後に区の運動会があります。
 私は毎年リレーに出ていましたが、今年は若い人が走ってくれるので免除。

 若い人が代わってくれて、ようやく肩の荷が下りたという感じです。
 当日は体育委員としての仕事があるので、家族でその他の種目に出場します。

nice!(5)  コメント(0) 
共通テーマ:

下流の宴 [日本の現代文学]

 「下流の宴」 林真理子 (文春文庫)


 フリーターの男女とその家族を中心に、格差社会をリアルに描いた物語です。
 毎日新聞に連載された後、2011年にはNHKのTVドラマ化さになりました。



 由美子は、田舎の医者の家に生まれ、今は大企業に勤める夫を持っています。
 中流家庭の主婦というプライドがあり、下流の人々を見下しています。

 ところが、愛する息子の翔はひきこもって高校を中退し、現在はフリーター。
 しかも、家出して女と同棲を始め、結婚すると言い出したのです。

 「子どもがどういう相手と結婚するか、というのは、それまで築き上げた自分
 の家庭の採点を受けるようなものですね。」(P91)

 相手の玉緒もフリーター。このままでは、うちが下流におちてしまう!
 断固反対する由美子。しかし、馬鹿にされた玉緒は・・・

 実に面白かったです。さすが林真理子です。
 「白蓮れんれん」もいいけど、こういう現代小説で本領を発揮しています。

 ただ、最後にもやもやが残りました。翔が、あまりにも情けないではないか!
 玉緒の奮起で翔が変わるだろうと期待していたので、心底がっかりしました。

 意欲も無い、覇気も無い、根性もない、向上心も無い。本当に情けない。
 オマエみたいなヤツが、日本をダメにしてるんだよ、と言いたくなりました。

 「人のやることを見て、励ますなんて、マラソンの沿道で旗ふってるだけの
 人だよ。自分で走らなき ゃ、何の価値もない。」(P361) 本当にそう思う。

 こんなヘナチョコと一緒にいるなんて、玉緒が本当にかわいそうです。
 だから、皮肉なこの結末は、玉緒にとって救いだったのかもしれません。

 さいごに。(町内体育大会)

 今年は学区の体育部長として、全体の運営をしながら、種目に出場しました。
 忙しかった! リレーは今年もアンカーを務めましたが、ビリでした。

 しかし、5年生の娘と、初めて一緒にリレーを走れたので楽しかったです。
 娘は、それほどでもなかったようですが。ビリだったし・・・



nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:

カンタベリー物語1 [中世文学]

 「カンタベリー物語(上)」 ジェフリ・チョーサー作 桝井迪夫訳 (岩波文庫)


 カンタベリー大聖堂へ巡礼中に同宿した様々な人々が、交代でお話を語ったものです。
 イタリアを旅行したチョーサーが、「デカメロン」に影響されて書いた枠物語です。

 1995年に出た、比較的新しい訳なので、文章はとても読みやすかったです。
 丁寧な注釈が60ページあり(読まないって)、所々に美しい挿し絵が入っています。



 「わたし」は、カンタベリーへの巡礼を思い立ち、ある宿屋に泊まりました。
 そこで様々な人々と出会い、宿屋の主人も加わって、一緒に旅することになりました。

 「皆様はめいめい旅のつれづれを慰めるため、この旅行で、カンタベリーへ行く道で
 二つ話をし、家にかえる道でさらに二つ話をなさるということなんです。」(P58)

 クジ引きによって、騎士が最初の話をすることになりました。
 騎士は、古代ギリシアで起こった悲劇を語り始めました・・・

 冒頭の騎士の話は、壮大な叙事詩的な内容で、チョーサーの気合いが感じられます。
 ところが、「デカメロン」のような小話を期待していた私には、少し退屈でした。

 騎士の話が終わり、粉屋の話になって、ようやくこの物語は面白くなり始めました。
 大工の家に下宿している大学生ニコラスが、大工の若妻と恋仲になった話です。

 ニコラスは、「洪水が来る」と言って、桶の中に大工を非難させている間に・・・
 若妻を狙った忍んで来た教区書記に、ニコラスはブッと屁をかませて・・・

 皆が大笑いをする中で、昔大工をしていた家扶だけは、この話が面白くありません。
 そこで家扶(かふ)は、わざと粉屋をバカにした話を語りますが・・・

 家扶の話の後半は、「デカメロン」第九日6話のアレンジです。
 また、それに続く料理人の話は、途中でプツリと終わってしまいます。

 そういうところに、「デカメロン」に比べて、完成度の低さを感じました。
 それも当然。だいたい、「カンタベリー物語」が未完の物語なのですから。

 これは私個人の感想ですが、チョーサーは「デカメロン」に感心して、自分なりに
 「デカメロン」風の物語を書こうとしたけど、結局まとまらなかったのではないか。

 「デカメロン」の語り手は、お上品な紳士と淑女ばかりでした。
 「カンタベリー物語」は、騎士・粉屋・家扶・料理人・弁護士と、とても雑多です。

 この雑多な語り手が、時にけんかしながら色々と語るのが、この物語の魅力です。
 と同時に、雑多であるために、ごちゃごちゃしてまとまりにくいところが難点です。

 とはいえ、中巻・下巻には、まだまだ面白い話が残っています。
 このあとの物語にも期待したいです。

 さいごに。(仏像フィギュア、ゲット)

 アマゾンで仏像のフィギュアを見つけました。それも750円! 即購入しました。
 広隆寺の弥勒菩薩です。値段のわりには良いのですが、お顔がイマイチでした。

 もっと完成度の高いフィギュアはあるのですが、それは25000円もします。
 でも、欲しいなあ。毎月2000円ずつ積み立てようか。







nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:

僕の名はアラム [20世紀アメリカ文学]

 「僕の名はアラム」 ウィリアム・サローヤン作 柴田元幸訳 (新潮文庫)


 アラン少年の目を通して、アルメニア系移民の共同体を描いた、連作小説集です。
 村上柴田翻訳堂の第1回として、「結婚式のメンバー」と同時に出されました。



 最初の「美しい白い馬の夏」は、15ページ足らずですが、傑作だと思います。
 この作品が、マイ・ベストです。冒頭の一文から、いっきに引き込まれます。

 「僕が九歳で世界が想像しうるあらゆるたぐいの壮麗さに満ちていて、人生がいま
 だ楽しい神秘な夢だった古きよき時代のある日・・・」(P15)

 ある朝アランの部屋に、いとこのムーラッドが美しい白馬に乗ってやって来ました。
 ムーラッドは、その馬を、農夫のジョン・バイロの家から盗んできたのでした。

 それを承知で、アランはムーラッドと一緒に、早朝にその馬を乗り回していました。
 そしてあるとき2人で馬を引いていたら、ジョン・バイロに出会ってしまいました。

 農夫は言う、「私は誓えるよ、この馬は何週間も前に私が盗まれた馬だと。」と。
 そのあとジョン・バイロが言った言葉は・・・読んでいる私の胸にも刺さりました!

 「愛の詩から何からすべて揃った素敵な昔ふうロマンス」は、面白い物語です。
 従弟の落書きで叱られるアラン。ダフニー先生の怒りと、校長の微妙な対応・・・

 「オジブウェー族、機関車38号」も、なかなか面白い物語です。
 ある日、ロバに乗って街に来たインディアンは、機関車38号と名乗っていました。

 頭がおかしいと思われていた彼が言いました、「自動車、運転したことあるのか?」
 運転したことがないにもかかわらず僕は・・・実は、機関車38号は・・・

 ほか、わずか5ページの「アメリカを旅する者への旧世界流アドバイス」も印象的。
 最後を飾るわずか11ページの「あざ笑う者たちに一言」も忘れがたい作品です。

 さいごに。(ヘイセイジャンプ)

 うちの娘(11歳)のマイブームは、「hey! Say! JUMP」です。
 限定版のDVD付きCDが、幸い売れ残っていたので、喜んで買ってきました。

 それが、なんと5400円もするのだという。
 代金をママに出してもらったようで、しばらくおこづかい無しなのだそうです。



nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:

結婚式のメンバー [20世紀アメリカ文学]

 「結婚式のメンバー」 カーソン・マッカラーズ作 村上春樹訳 (新潮文庫)


 退屈な日常から脱出することを夢見る、12歳の少女の夏の出来事を描いています。
 2016年に、村上柴田翻訳堂の第一作として、村上春樹による新訳が出ました。


結婚式のメンバー (新潮文庫)

結婚式のメンバー (新潮文庫)

  • 作者: カーソン マッカラーズ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/03/27
  • メディア: 文庫



 12歳のフランキーは周囲となじめない少女で、何のメンバーにもなっていません。
 女料理人ベレニスと、6歳の従弟ジョンと、夏の間おしゃべりで過ごしています。

 フランキーは、自分が自分であることに、心底からうんざりしています。
 退屈な日常から抜け出したい。その願いは、根拠の無い妄想を生み出しました。

 自分は、兄と花嫁の「結婚式のメンバー」なのではないか。
 結婚式に出たら、もうここには戻らない。その日、自分の人生が変わるのだ・・・

 私は最初、フ ランキーのばかげた言動についていけませんでした。
 無知なくせに頑固で、気分屋で思い込みが激しく、自分で自分が分かっていない。

 ところが読んでいるうちに、しだいにフランキーに共感するようになりました。
 これが本書の魅力でしょう。いつのまにかフランキーを身近に感じていました。

 フランキーからジャスミンへ、ジャスミンからフランセスへ。
 12歳から13歳へ。そしてこの夏の日々は、もう二度と戻らない・・・

 また、料理女のベレニスが、とてもいい味を出しています。
 彼女が語る4度の結婚とその破綻の話は、この物語のひとつの読みどころです。

 そして、大事な言葉を発するのも、常にベレニスです。
 「あたしたちはみんな、多かれ少なかれ閉じ込められているんだ。」(P236)

 作者カーソン・マッカラーズを、私は村上春樹訳のこの本で知りました。
 もし村上春樹が取り上げなかったら、ずっと出会わなかったと思います。

 さて、「結婚式のメンバー」は、村上柴田翻訳堂の第1回に出ました。
 同時に出たサローヤンの「僕の名はアラム」(柴田元幸訳)も購入済みです。

 さいごに。(運動会のメンバー)

 今月下旬の、学区の運動会の選手集めが一段落し、ほっとしました。
 これで、体育部長としての私の仕事は、7割がた終わったようなものです。

 小さな町内会なので出てくれる人が少なくて、足りない所には自分が入ります。
 当日は運営をしながら、4種目に出場します。妻は3種目、娘は5種目です。

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:

だって、欲しいんだもん! [日本の現代文学]

 「だって、欲しいんだもん!」 中村うさぎ (角川文庫)


 買い物依存症について書いたエッセイです。副題は「借金女王のビンボー日記」。
 中村うさぎの最初の作品で、角川文庫から出ていましたが、現在は絶版です。


だって、欲しいんだもん!―借金女王のビンボー日記 (角川文庫)

だって、欲しいんだもん!―借金女王のビンボー日記 (角川文庫)

  • 作者: 中村 うさぎ
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1999/01
  • メディア: 文庫



 電話を止められ、ガスを止められ、しかし、買い物はするし、旅行にも行く。
 住み慣れた杉並区を、税金滞納のまま飛び出し、憧れの港区南麻布へ引越し。

 夜逃げ同然にもかかわらず、カーテンに75万円、ソファーセットに90万円。
 シャネル、エルメス等、ブランドを買い漁り、今月の支払いは450万円・・・

 「抱腹絶倒エッセイ」と紹介されていますが、笑えたのは前半だけでした。
 しばしば呆然とし、やがて恐ろしくなり、最後には悲しくなりました。

 本人も病んでいるが、社会も病んでいます。
 アメ ックスよ、年収400万で、毎月の限度額が300万って、どういうことか。

 しかもアメックスよ、限度額を600万円に増やしてどうする?
 「金遣え、金遣え、そして皆で地獄に行こう。」(P119)

 このエッセイでは、浪費ネタはもちろん、シモネタも絶好調です。
 特に「酒と泪(なみだ)とケツの穴」の章は、サイコー(サイテー?)です。

 「(酒を)呑まないんなら、代わりに、ケツの穴を見せてもらおう」
 友人は冗談で言ったはずだが・・・以後、彼女のあだ名は「肛門様」に・・・

 ところで、中村うさぎは、どうして買い物依存症になってしまったのか?
 それは、「うさぎの行きあたりばったり人生」を読むと分かります。

 1994年、シャネルのお店で60万円のコートを買ったとき・・・
 「ありがとうございます」と言って、店員が頭を下げたその瞬間・・・

 この本の最大の欠点は、2000年までのことしか書いてないことです。
 それ以後の人生が面白いのに!

 整形、風俗体験、HK(閉経)B48、心肺停止については書かれていません。
 ゲイの夫のことも書いてありません。ぜひ、増補改訂版を出してほしい。


うさぎの行きあたりばったり人生 (角川文庫)

うさぎの行きあたりばったり人生 (角川文庫)

  • 作者: 中村 うさぎ
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2002/11
  • メディア: 文庫



 さて、私の中で、林真理子と中村うさぎはイメージが重なります。
 二人ともほぼ同世代で、OLからコピーライターを経て成功した作家です。

 また、エッセイで書いている内容も少し似ています。
 林真理子をもっと過激にして、もっと下品にすると、中村うさぎになる?
 「野心のすすめ」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-08-13

 さいごに。(LEDから普通の電球へ)

 1~2年前に、高いお金を出して、家の電球の多くをLEDにしました。
 売り手は、「10年もつから高くない」と言っていましたが・・・嘘ばっか!

 LEDの電球が、次から次に切れてしまう。ネットでも、そういう投稿が多い。
 うちでは、LEDが切れたあとには、再び、これまでの安い電球を入れています。

nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:

デカメロン3 [中世文学]

 「デカメロン」 ボッカッチョ作 平川祐弘訳 (河出文庫)


 ペストから逃れた男女10人が、交代で10日間にわたって全100話を物語ったものです。
 河出文庫が読みやすくておススメです。今回は河出文庫版の下巻を紹介します。


デカメロン 下 (河出文庫)

デカメロン 下 (河出文庫)

  • 作者: ジョヴァンニ ボッカッチョ
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2017/05/08
  • メディア: 文庫



 河出文庫「デカメロン」下巻には、第八日から第十日まで30話のが入っています。
 それぞれのテーマは以下の通り。最後に「著者結び」が付きます。

 第八日は「相手におこなった悪さやいたずらの話」、第九日は「自由テーマ」。
 そして最終の第十日は「立派なことをおこなった話」で、本書は閉じられます。

 第八日の1話は、私のお気に入りです。ドイツ傭兵グルファルドの悪戯の話です。
 彼が裕福で美しい夫人に愛を告白したところ、夫人からお金を無心されました。

 彼はいかにしてお金を調達したか? そして、いかにして夫人を愚弄したか?
 グルファルドは身勝手ではありますが、その策略がとても鮮やかなので許せます。

 第八日の7話は、阿刀田も田辺も取り上げていますが、私は共感できません。
 いくら自分がひどいめにあったからって、学者の復讐はやりすぎですよ。

 第八日の8話も面白い。親友と妻の浮気現場を見た男は、どんな復讐をしたのか?
 こういう復讐だったら、まあいいでしょう。そして、結末には驚きます。

 「俺たち二人の間で違うのは家内だけだった。これからはそれも共有することに
 しようじゃないか」(!)(P133)

 第九日は再び「自由テーマ」です。その2話は傑作。ある尼僧院での話です。
 ふしだらな尼僧をしかる尼僧院長が、頭にかぶったのは男もののパンツで・・・

 10話もサイコーです。ある司祭が、インチキな魔法をほどこす話です。
 司祭は、ある男の依頼でその妻を馬に変えるため、彼女に尻尾をつけて・・・

 さて、とうとう最終日の第十日です。テーマは、立派なことをおこなった話です。
 さんざんバカ話を披露してきたボッカッチョも、最後を美談で飾りたかったのか。

 そこに、ボッカッチョの弱さを感じてしまい、少し悲しいです。
 私としては、最後は思いっきりバカ話をして、締めくくってほしかった!

 第十日の4話は、愛する人妻を生き返らせた騎士の物語です。
 埋葬された夫人から、鼓動が聞こえたため、彼女を家に連れて帰り・・・

 その夫の前で、この女は自分のものだと、筋道立てて主張するジェンティーレ。
 反論が無いにもかかわらず、ジェンティーレが取った賞賛すべき行動は・・・

 確かに立派な行動ではある。しかし、どこか無理をしていて不自然さを感じます。
 彼には、もっと「デカメロン」っぽく、欲望のままに行動してほしかったです。

 そういえば、ボッカッチョ自身も、人生の最後には神を信じたのではなかったか。
 勝手ながら、そこに「デカメロン」とボッカッチョの限界を感じてしまいました。

 さて、「デカメロン」を読んだら、「カンタベリー物語」も読みたいです。
 幸い、岩波文庫から、分かりやすい訳が出ています。
 

完訳 カンタベリー物語〈上〉 (岩波文庫)

完訳 カンタベリー物語〈上〉 (岩波文庫)

  • 作者: チョーサー
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1995/01/17
  • メディア: 文庫



 さいごに。(結局プレゼントは)

 娘の誕生日のプレゼントは、結局、お風呂で見られるDVDプレイヤーです。
 やれやれ。これからは、うちの女衆のお風呂時間が長くなりそうだ。

nice!(5)  コメント(0) 
共通テーマ:

なんとなく、クリスタル [日本の現代文学]

 「なんとなく、クリスタル」 田中康夫 (新潮文庫)


 東京で暮らす女子大生「由利」の奔放な生活を、442の注釈とともに描いた小説です。
 1980年の最先端の風俗を盛り込み、ブランド小説と呼ばれ、一世を風靡しました。


新装版 なんとなく、クリスタル (河出文庫)

新装版 なんとなく、クリスタル (河出文庫)

  • 作者: 田中 康夫
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2013/11/06
  • メディア: 文庫



なんとなく、クリスタル (新潮文庫)

なんとなく、クリスタル (新潮文庫)

  • 作者: 田中 康夫
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1985/12/01
  • メディア: 文庫



 女子大生兼モデルの由利は、大學生兼ミュージシャンの淳一と同棲しています。
 由利は、ある日気晴らしで、ディスコで知り合った学生とデートして・・・

 「結局、私は、”なんとなくの気分”でいきているらしい。」
 「クリスタルなのよ、きっと生活が。なにも悩みなんて、ありゃしない」

 ストーリーはたわいない。学校さぼって、デートして、ホテルに入って・・・
 しかし、この作品を、唯一無二のものとしているのは、442にわたる注釈です。

 私が読んだ新潮文庫版は、右ページが本文、左ページは注釈となっています。
 註には、当時最先端だった、機器、ブランド、お店、流行等が書かれています。

 ところが、当時の最先端が今では懐かしい。レコードとか、電話(固定)とか。
 「ターンテーブル」は、現代では古すぎて、別の意味で、注釈が必要でしょう。

 この作品は、一橋大学4年だった田中のデビュー作で、芥川賞候補になりました。
 「皮膚感覚を頼りに行動する、今の若者たちが登場する小説」を目指したという。

 そのため、登場人物が身につけているブランドが、次から次に出てきます。
 中村うさぎはこの小説を読んで、シャネルの似合う女になりたいと思ったとか。

 その後、田中は政治家に転身。2000年に長野県知事になり脱ダム宣言をしました。
 当時、私は北アルプスに頻繁に通っていたので、勝手に親近感を抱いていました。

 ところが、田中康夫の作品を読んだことが、一度も無かったのです。
 今回初めてこの作品を読んで、現在の田中康夫とのギャップを楽しめました。

 3年前の2014年には、「33年後のなんとなく、クリスタル」が書かれていました。
 河出書房新社から単行本で出ています。文庫化されたら読んでみたいです。


33年後のなんとなく、クリスタル

33年後のなんとなく、クリスタル

  • 作者: 田中 康夫
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2014/11/26
  • メディア: 単行本



 さいごに。(あいさつ名人)

 娘のクラスでは毎日、一番あいさつが良かった人を、当番が決めるのだそうです。
 それを、「あいさつ名人」と言います。

 当番になるのが嫌だ、あいさつ名人を決めなければならないから、と言っています。
 なにかと気を使うのだとか。適当に指名すればいいと思うのだけど。

nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:

野火 [日本の近代文学]

 「野火」 大岡昇平 (新潮文庫)


 肺病で中隊から見捨てられた田村の、レイテ島での極限状況を描いた小説です。
 自身の体験をもとに書いた、大岡昇平の代表作で、戦争小説の永遠の名作です。


野火 (新潮文庫)

野火 (新潮文庫)

  • 作者: 大岡 昇平
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1954/05/12
  • メディア: 文庫



 肺病の田村一等兵は、芋を六本与えられただけで、中隊を追い出されました。
 彼が受けた命令は、病院に引き返し、入院できなければ自決しろというものです。

 病院の前では、同じように隊から追われた多くの兵たちが、座り込んでいました。
 そこで、顔なじみの安田と永松に再会して・・・翌朝、砲声で目覚めると・・・

 私がこの小説を初めて読んだのは、大学時代です。
 二十代の私は、この作品を、戦争小説というよりも、冒険小説として読みました。

 先月「100分de名著」で取り上げられたのをきっかけに、久々に読み直しました。
 五十になった私は、この小説を、哲学小説として読んだような気がします。

 死の意識と自由、自然の生命力、戦場経済、十字架、発作的殺人、銃、死の観念、
 ある夜に見た火、聞こえてきた声、万物に見られている感覚、人肉食、神、狂気。

 本当に、様々な場面で、様々なことを、考えさせられる小説でした。
 中でも特に、印象に残っているのが、ある夜に見た動く火の場面です。

 「ある夜、火は野に動いた。(中略)人の通るはずのない湿原を貫いて、提灯ほど
 の高さで、揺れながら近づいて来た。/私の方へ、どんどん迫って来るように思わ
 れた。」(P147)

 この「火」は何だったのか? タイトル「野火」とどんな関係があるのか?
 直後、人肉を食べたい発作に襲われることから、大事な場面だと思うのですが。
 (「100分de名著」でも、島田雅彦が問題提起していました。)

 「野火」には「野焼きの火」以外にも、「突如出現する怪火」の意味もあります。
 この「火」は、ヒトダマなのか? 万物または神による、なんらかの合図なのか?

 この問題に、自分なりの解答ができた時、この小説がぐっと近くなると思います。
 が、現在の私には、まだよく分かりません。

 さて、「野火」のあとは「レイテ戦記」を読む、というパターンがあります。
 しかし、この作品は長いし、内容的にも重たいので、私は読む気がしません。

レイテ戦記 (上巻) (中公文庫)

レイテ戦記 (上巻) (中公文庫)

  • 作者: 大岡 昇平
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 1974/09/10
  • メディア: 文庫



 「俘虜記」も、戦争文学で、大岡の代表作です。
 「野火」の感動が残っているうちに読んでおきたいです。

俘虜記 (新潮文庫)

俘虜記 (新潮文庫)

  • 作者: 大岡 昇平
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1967/08/14
  • メディア: 文庫



 さらに、「武蔵野夫人」も読みたいです。戦争文学ではありません。
 スタンダールの手法を意識した作品だそうです。

武蔵野夫人 (新潮文庫)

武蔵野夫人 (新潮文庫)

  • 作者: 大岡 昇平
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1953/06/09
  • メディア: 文庫



 さいごに。(欲しいものが無いという不幸)

 今年も、ひとり娘の誕生日が来ました。11歳になります。びっくりです。
 このブログを始めた頃、娘はまだ3歳でした。

 娘に「プレゼントは何がいいか」と聞いたところ、「特に無い」という返事。
 欲しいものが無いというのは、物に恵まれた時代特有の不幸かもしれません。

nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:

謎解きはディナーのあとで [日本の現代文学]

 「謎解きはディナーのあとで」 東川篤也(とくや) (小学館文庫)


 新米刑事宝生麗子が遭遇した事件を、彼女の執事影山が推理する連作小説です。
 2011年の本屋大賞で、映画化・ドラマ化もされ、第三部まで出ています。


謎解きはディナーのあとで (小学館文庫)

謎解きはディナーのあとで (小学館文庫)

  • 作者: 東川 篤哉
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2012/10/05
  • メディア: 文庫



 宝生(ほうしょう)麗子は、巨大企業「宝生グループ」総帥のお嬢様です。
 彼女はその正体を隠し、国立(くにたち)署の新米刑事として働いています。

 あるアパートの一室から、一人暮らしの若い女性の絞殺体が発見されました。
 その死体はブーツを履いたままなのに、なぜか部屋に足跡が無かったのです。

 殺されたのはほかの場所か? 死後運ばれたのか? では犯人は?
 彼女の元交際相手にはアリバイがあり、捜査が行き詰ってしまったが・・・

 「失礼ながらお嬢様ーーこの程度の真相がお判りにならないとは、お嬢様は
 アホでいらっしゃいますか」 宝生麗子の執事、影山が語る推理は・・・

 全6話が「事件→宝生麗子の行き詰まり→影山の推理」というパターンです。
 それでいて、まったく飽きません。それはおそらくキャラクターの魅力です。

 主人公の宝生麗子の二面性が魅力的ですが、さらに興味深いのが影山です。
 影山はまさに陰の主役。どこか謎めいています。影山の正体は?

 ところで、この作品の特徴は、全て影山の推理で終わっているところです。
 その後の逮捕劇は省略され、逮捕後の犯人たちの言葉もありません。

 私はそこが物足りなかったです。どの犯人も動機が薄いような気がします。
 彼らがどうして殺人を犯すまでに至ったのか、犯人の生の声を聞きたいです。

 さて、この作品はシリーズ化されて、現在第3巻まで出ています。(未読)
 第3巻まで読めば、影山の正体が分かるのか? 本当にただの執事なのか?


謎解きはディナーのあとで 2 (小学館文庫)

謎解きはディナーのあとで 2 (小学館文庫)

  • 作者: 東川 篤哉
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2013/11/06
  • メディア: 文庫



謎解きはディナーのあとで 3 (小学館文庫)

謎解きはディナーのあとで 3 (小学館文庫)

  • 作者: 東川 篤哉
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2015/01/05
  • メディア: 文庫



 さいごに。(浜名湖からの日の出)

 浜名湖旅行で一番印象深かったのは、浜名湖からの日の出です。
 5時30分頃、部屋から直接朝日を拝むことができました。美しかった!

DSCF2990-2.jpg
nice!(6)  コメント(0) 
共通テーマ: