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デカメロン1 [中世文学]

 「デカメロン」 ボッカッチョ作 平川祐弘訳 (河出文庫)


 ペストから逃れた男女10人が、交代で10日間にわたって全100話を物語ったものです。
 別名「十日物語」。また、ダンテの「神曲」に対して、「人曲」とも言われています。

 2012年に単行本で出た平川訳が、河出文庫から三分冊で出ています。オススメです。
 分かりやすくてリズム感のある名訳です。また、注釈と解説が充実しています。


デカメロン 上 (河出文庫)

デカメロン 上 (河出文庫)

  • 作者: ジョヴァンニ ボッカッチョ
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2017/03/07
  • メディア: 文庫



 時は1348年。イタリアではペストが流行し、人々がバタバタと死んでいました。
 たまたま出会った7人の淑女と3人の貴公子が、田舎の地所に避難しました。

 そこで、退屈しのぎにある提案がありました。「どなたかお一人に物語を話して
 いただき、皆さんがそれを拝聴するというのはいかがでしょう。・・・」(P45)

 以後、毎日10人が交代で話をし、それを10日間続けることになりました。
 といっても、私が読んだのはまだ第三日まで。計30話にすぎない。

 第一日のテーマは自由です。第二日は「最初は不幸で最後に幸せになった話」。
 第三日は「欲しかったものを手に入れた人や失ったものを取り戻した人の話」。

 さて、冒頭の第一日第一話から傑作です。
 極悪非道のチャッペㇽレットが、嘘の懺悔をしたあげく、聖人として祭られる!

 第二日第九話は、めまぐるしく展開する短編小説です。
 夫に誤解された妻は、男装してサルタンに仕え、自分を陥れた男に復讐を遂げる!

 しかし、なんといっても面白いのは、第三日第八話でしょう。
 友人の妻に惚れてしまった修道院長は、驚くべき手段で人妻と思いを遂げる!

 夫の焼きもちを治すためには、一度死んで煉獄へ行かなければならない。
 そう言って修道院長が企んだことは? 夫が死んでいる間、修道院長と人妻は?

 そして、巻末を飾る第三日第十話は、爆笑まちがいなし。典型的な好色話です。
 娘が聖者に行った「悪魔をインフェルノへ送り込む」行為とは、いったい何か?

 登場するのは、好色で貪欲で狡猾な人間ばかり。中でも不良修道士が目立ちます。
 ペストによる混乱で乱れきった当時の風俗が、よく伝わってきました。

 ダンテの「神曲」では、この人はこんなに悪いことをしたからこんな罰を受けている、
 という話ばかりが続きました。その基準になるのは、キリスト教的か否かでした。

 ボッカッチョの「人曲」では、この人はこんなに悪いことをしてこんなに得をした、
 という話が目立ちます。キリスト教的であろうがなかろうが、関係ありません。

 その代表的な人物が、冒頭に登場する極悪非道の代書人チャッペㇽレットです。
 この男は宗教をバカにしていたゆえに、死後聖者として崇められるようになります。

 キリスト教的にはとんでもない。しかし、ひとりの人の生き方としては実に痛快です。
 こういう生き方を肯定的に描いているところが、「人曲」といわれるゆえんでしょう。

 さて、話はそれぞれ10~20ページほどの短編なので、飽きずにどんどん読めます。
 しかも、冒頭に物語の概略が示されているため、後で読み返す時に便利です。

 「デカメロン」は名著なので、これまでにいくつもの文庫から出ていました。
 しかし、講談社文芸文庫版は部分訳で、ちくま文庫版と岩波文庫版は絶版です。

 本書の魅力を伝えた本に、田辺聖子の「ときがたりデカメロン」があります。
 また、阿刀田高の「花のデカメロン」もオススメです。ただし両方とも絶版。


ときがたりデカメロン (講談社文庫)

ときがたりデカメロン (講談社文庫)

  • 作者: 田辺 聖子
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1987/03
  • メディア: 文庫



花のデカメロン (光文社文庫)

花のデカメロン (光文社文庫)

  • 作者: 阿刀田 高
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 1990/11
  • メディア: 文庫



 さいごに。(シューアイス、ゲット)

 セブンイレブンのシューアイスを、ようやくゲットしました。
 娘が買ったお店を教えてもらって、そこへ行ったら、ちゃんと売っていました。

 夕食後のデザートとして、娘と一緒に食べています。とてもおいしいです。
 しかし、これをあちこち探し回っていた時が、一番楽しかったような・・・

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