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男の作法 [マナー・エチケット]

 「男の作法」 池波正太郎 (新潮文庫)


 著者が自身の体験をもとに、男のマナーとダンディズムについて語ったエッセイです。
 幅広いファンを持つ作品です。新潮文庫から出ていて、ロングセラーを続けています。


男の作法 (新潮文庫)

男の作法 (新潮文庫)

  • 作者: 池波 正太郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1984/11/27
  • メディア: 文庫



 勘定、顔、組織、旅行、結婚、ネクタイ、スーツ、眼鏡、本、日記、浮気、贈り物、
 クセ、小遣い、心遣い、電話、家具、風呂、酒、一戸建て、女、病気、生、死・・・

 ファッション、マナー、エチケット等、自分の体験をもとに、縦横無尽に語ります。
 私は社会人になって数年後に読んで、その語り口にしびれ、愛読書となりました。

 寿司屋では通ぶってはいけないとか、初めて行った店でカウンターに座るなとか、
 寿司は手で持ってそのまま食ってもいいとか、全てこの本から学びました。

 (ただし今では、寿司を箸で取るというのが、マナーとして確立しつつあります。
 ここに書かれたマナーは、主に昭和時代のものです。時代は少しずつ変わります。)

 そして、所々で語られる人生訓が、さらに印象に残りました。
 私は、男としての生き方の多くを、この本から教えられました。

 「やはり、顔というものは変わりますよ。だいたい若いうちからいい顔というものは
 ない。男の顔をいい顔に変えていくということが男をみがくことなんだよ。」(P22)

 「『自分も世の中に出来る限りは、むくいなくてはならない・・・・・』
 と。それが男をみがくことになるんだよ。」(P129)

 「人生の常識という意味から言っても、いちばんわかっていることなんじゃないか。
 自分が、『死ぬところに向かって生きている・・・』ということが、はっきりわかっ
 ている。あとはわからないんだよ。何がどうなのか。」(P192 )

 先日、パラパラと読み返してみて、とても懐かしく思い出しました。
 現在、作品の関連部分を対照した再編集版も出ています。注文してしまいました!
 

(文庫)新編 男の作法 作品対照版 (サンマーク文庫)

(文庫)新編 男の作法 作品対照版 (サンマーク文庫)

  • 作者: 池波正太郎
  • 出版社/メーカー: サンマーク出版
  • 発売日: 2011/10/18
  • メディア: 文庫



 「男の作法」は座右の書ですが、恥ずかしながら、池波の小説はまだ読んでいません。
 「鬼平犯科帳」「剣客商売」「真田太平記」など、多数の傑作があるのですが。

 さいごに。(贅沢シューアイス)

 娘が買って来た「贅沢シューアイス」を一つもらったら、とてもおいしかった。
 自分で買いたくてセブンイレブンに何度も行きましたが、一度も巡り合いません。

 念のため、他のお店にも行きましたが、やはり品切れでした。
 手に入らないと分かると、余計に欲しくなってしまう。ああ・・・(アホらし)

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男のポケット [マナー・エチケット]

 「男のポケット」 丸谷才一 (新潮文庫)


 「男のポケット」は、1975年に「夕刊フジ」に連載した、含蓄あるエッセイ集です。
 丸谷エッセイの代表的な作品であるものの、現在は絶版です。アマゾンで1円。


男のポケット (新潮文庫 ま 2-3)

男のポケット (新潮文庫 ま 2-3)

  • 作者: 丸谷 才一
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1979/05
  • メディア: 文庫



 「男のポケット」には、2ページ半ほどのエッセイが、全100話収録されています。
 歴史・文化から酒・料理まで、あらゆる分野にわたって蘊蓄を傾けたエッセイです。

 「サツマノカミ孝」・・・なぜ電車のただ乗りをそのように呼ぶのか?
 「切り裂きジャック」・・・なぜ「ジャック・ザ・リパー」と呼ぶのか?

 「固まった雨だれ」・・・なぜアントニウスはクレオパトラに惚れたのか?
 「藍関の雪」・・・どのようにして織田信長は一徹を許したのか?

 「『腕くらべ』と『宝島』」・・・カキダシストとキリストとは何か?
 「包む」・・・なぜ「堤中納言物語」はそのような題名なのか?

 次から次に面白い話題が続き、読みだしたら止まりません。
 しかし数ある中で、サイコーなのは「アイスクリーム百杯」でしょう。

 友人の篠田氏が、柔道部時代にアイスクリームを百杯食べた、という話をしました。
 皆が感心し、余韻に浸っている中で、宴の主宰者であるK氏が話したことは・・・

 「よかったのは五回目まででしたな。あとはもう辛いだけでした。・・・最後の一回
 が終るその瞬間、眼の前にパッと火花が散って、人事不省になつたんです。」(P104)

 さて、「男ごころ」も同じ趣向の作品です。短いエッセイが全71話収録されています。
 こちらも現在は、残念ながら絶版です。アマゾンで1円です。


男ごころ (新潮文庫)

男ごころ (新潮文庫)

  • 作者: 丸谷 才一
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1992/08
  • メディア: 文庫



 「男ごころ」は、「男のポケット」に比べて、だいぶ真面目な内容が多いです。
 話題的には、文学や本に関わるものが目立ちました。

 「小を愛す」・・・なぜ日本人は文庫本を愛するのか?
 「岩波文庫の思ひ出」・・・どのような本を丸谷は読んできたのか?

 「テフとドゼウ」・・・どのような表記上のこだわりが丸谷にはあるのか?
 「テンとマル」・・・このことについてどのような考えをもっているのか?

 私が丸谷のエッセイにはまったのは、社会人になって数年後のことでした。
 今からもう25年以上前のことです。だから、もう手持ちの本はボロボロです。

 せめて「男のポケット」だけでも復刊してほしい。
 山口瞳や開高健と同じく、読んでいるうちにクセになるはずです。

 山口瞳 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-01-21-1
 開高健 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-02-07

 さいごに。(平日夜7時の会議)

 今週は、水曜日に防災会議が、金曜日に体育部会がありました。
 いずれも夜の7時から。ご隠居さん中心にだらだらと始まりだらだらと続きます。

 7時に入るためには、仕事を早く切り上げて、仲間に後を託さなければならない。
 これが大変なのだが、ご隠居さん達にはこの苦労がなかなか伝わらなくて・・・

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女ざかり [日本の現代文学]

 「女ざかり」 丸谷才一 (文春文庫)


 大新聞の論説委員である40代の南弓子が、政府の圧力に屈せず奮闘する物語です。
 1993年に出版されてベストセラーとなり、吉永小百合主演で映画にもなりました。


女ざかり (文春文庫)

女ざかり (文春文庫)

  • 作者: 丸谷 才一
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 1996/04/10
  • メディア: 文庫



 南弓子は40代でバツイチのシングルマザーで、仕事も恋もがんばっています。
 知的で美しく、多くの地位ある男たちに囲まれ、今がまさに「女ざかり」です。

 ところが、弓子の書いた単身赴任についての社説が、政府を激怒させました。
 社内での地位が危うくなった弓子は、自分の仲間たちとともに反撃に出て・・・

 もう20年以上前のことですが、話題になった時、周囲に流される形で読みました。
 ところが冒頭から引き込まれて、面白くて面白くて、いっきに読み終わりました。

 ただし物語的には、最後の首相との対決場面に拍子抜けしたように記憶しています。
 コネがあって偶然解決されたという感じで、少し物足りなかったような気がします。

 しかし、この小説の魅力は、ストーリーの面白さだけではありません。
 なんといっても、丸谷の知的なおしゃべりが、この作品の魅力を倍増しています。

 たとえば、恋人の哲学者の口を借りて開陳される「贈与論」。
 日本は贈与の文化を特色として持ち、それは古代の文化を残している証拠で・・・

 ほか様々な場面で、日本の文化・政治・社会・宗教等を鋭く批評しています。
 オオーとうなったり、クスリと笑ったりしてしまう部分が、けっこう多いです。

 さて、丸谷が亡くなったのは、ついこのあいだのような気がしますが、2012年です。
 文章の品格にこだわった作家で、あえて歴史的仮名遣いを使っていました。

 エッセイもオススメです。というより、エッセイの方がオススメだったりします。
 「文学のレッスン」「思考のレッスン」「女性対男性」などは、私の愛読書です。

 「文学のレッスン」「思考のレッスン」
  → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-10-18
 「女性対男性」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2016-12-12

 さいごに。(知事選)

 現知事の川勝氏は、大いにリーダーシップを発揮し、わが県を引っ張っています。
 その一方で強引さが目立ち、〇〇市長や教育委員会等と対立してきました。

 その結果、対立候補の溝口氏を、地元の保守党や元教育長などが応援しています。
 川勝氏優勢の流れの中、溝口氏支持がじわじわ広がり始め、面白くなってきました。

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ジャングルブック [19世紀イギリス文学]

 「ジャングルブック」 キプリング作 田口俊樹訳 (新潮文庫)


 インドのジャングルで狼に育てられた少年モウグリの、数々の冒険を描いた物語です。
 全二巻で15編の短編から成っています。作者のインド生活に取材した作品集です。

 2016年にディズニー映画の公開に合わせて、新潮・文春・角川から新訳が出ました。
 各社それぞれ微妙に収録作品の内容が違っています。どれを選んでも読みやすいです。

 私が選んだのは新潮文庫版です。全15編の中からモーグリの物語8編が入っています。
 カバーイラスト・扉絵・挿し絵が、原書から採録されたものなので、オススメです。


ジャングル・ブック (新潮文庫)

ジャングル・ブック (新潮文庫)

  • 作者: ラドヤード キプリング
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/06/26
  • メディア: 文庫



 ジャングルに住む狼の一家に、虎に追われた人間の赤ん坊が紛れ込みました。
 その子は「モウグリ」と名付けられ、仲間たちに助けられながら成長しました。

 10年後、虎のシア・カーンが狼の群れに、「モウグリ」を寄こせと迫りました。
 「モウグリ」は危機を脱するため、人間の所で「赤い花」を奪って・・・

 ジャングルにおけるモウグリの冒険と活躍に、ワクワクしながら読みました。
 人間でありながらオオカミとして育ち、ジャングルの主となっていく・・・

 また、モウグリの仲間たちも、個性的で生き生きと描かれています。
 狼のアケイラ、黒ヒョウのパギーラ、クマのバルー、象のハティ、蛇のカー・・・

 特に、次の5編が素晴らしかったです。
 ジャングルで生き、ジャングルを追われるまでを描いた「モウグリの兄弟たち」。

 虎のシア・カーンに復讐し、人間界を追われるまでを描いた「虎よ、虎よ!」。
 恩人を救い、人間界に復讐を果たすまでを描いた「ジャングルを呼び寄せる」。

 宝を奪い合い殺し合う、人間の愚かさを描いた「王のアンカス」。
 そして、赤犬たちとの壮絶な戦いと、アケイラの死を描いた「赤犬」。

 さて、興味深いのは、所々で人間に対する批判が書かれているところです。
 作者自身が、インドでの生活をどのように感じていたのかが分かって面白いです。

 「人間たちは怠けもので、分別がなくて。残酷だ。いつも口を動かしているし、
 食べもしないくせに、気ばらしで弱いものを殺す。腹がいっぱいになると、同じ
 種族を赤い花の中に放り込もうとする。」(P233・モウグリの言葉)

 ところで「ジャングルブック」は、文春文庫と角川文庫からも新訳が出ています。
 特に角川文庫版は、二分冊で全15編を収録。完全版にこだわるならオススメです。


ジャングル・ブック (文春文庫)

ジャングル・ブック (文春文庫)

  • 作者: ラドヤード キプリング
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2016/06/10
  • メディア: 文庫



ジャングル・ブック (角川文庫)

ジャングル・ブック (角川文庫)

  • 作者: キップリング
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2016/06/18
  • メディア: 文庫



ジャングル・ブック (2) (角川文庫)

ジャングル・ブック (2) (角川文庫)

  • 作者: キプリング
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川書店
  • 発売日: 2016/08/25
  • メディア: 文庫



 さいごに。(給食時間15分)

 娘の小学校では、歯磨きタイムができました。それはいいことだと思います。
 ところが、そのために給食時間が圧縮され、20分間から15分間になりました。

 時間内で完食するのは女子にはきつくて、黙々と食べるようになったとのこと。
 時間に追われて食べるのはどうか? 給食時間ぐらい楽しんでほしいのだが。

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新生 [中世文学]

 「新生」 ダンテ・アリギエーリ作 平川祐弘訳 (河出文庫)


 永遠の女性ベアトリーチェへの愛と、その死に対する悲しみを綴った詩文集です。
 若い頃に書いた詩31編と、その説明文で構成されています。1293年頃の作品です。

 2012年に河出書房新社から単行本で出て、2015年7月に河出文庫に入りました。
 とても分かりやすい、画期的な訳だと思います。また、註が充実しています。


新生 (河出文庫)

新生 (河出文庫)

  • 作者: ダンテ
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2015/07/04
  • メディア: 文庫



 「わたしの記憶の書物には『ココニ新シキ生は始マル』と朱で特筆された章がある。」
 第1章に書かれていますが、これはダンテの「新しき生」について記したものです。

 ダンテ・アリギエーリは9歳の時、ベアトリーチェという9歳の少女と出会いました。
 それ以後、ベアトリーチェの面影は、ダンテの念頭を離れなくなりました。

 それから9年後、18歳の最後の日に、ダンテはベアトリーチェと邂逅しました。
 しかも彼女は、ダンテの前を過ぎていくとき、いかにも上品に会釈をしたのです。

 ダンテはひそかに彼女を「あえかなる君」と呼んで、ひそかに愛し始めました。
 数年後、ベアトリーチェは、はかなく天に召され、ダンテの苦しみが始まり・・・

 「この苦しみは死にいたる道ーー苦しみを晴らすためには、わたしには
 ほかに手立てはない、泣きつつ語るしかない。ーー」(P161) 

 ダンテは苦しみをやわらげるために、詩の中でベアトリーチェを描きました。
 そして、詩の中にありながらベアトリーチェは、ダンテ自身の心を癒したのです。

 こうしてベアトリーチェは、生前にも増して、圧倒的な存在感を獲得しました。
 彼女はもう「あえかなる君」ではなく、永遠に生きる女神となったのです。

 この「新生」を読んでいると、そういったことが、ぞくぞくするほど分かります。
 まるでダンテになったかのように、彼の恋と悲しみを再体験することができます。

 ベアトリーチェは他の男と結婚しましたが、ダンテは生涯彼女を愛し続けました。
 のちにダンテは「神曲」でベアトリーチェを登場させ、彼女を神格化させました。

 さて以前、ある文学全集の「新生」を読んだら、難解で、すぐに投げ出しました。
 しかしこの河出文庫版は、「新生」を身近にする画期的な名訳だと私は思います。

 また同じ河出文庫から、「デカメロン」の新訳も出ていて、こちらも読みやすい。
 ボッカッチョは、ダンテの半世紀後に生まれ、ダンテの作品に心酔しました。


デカメロン 上 (河出文庫)

デカメロン 上 (河出文庫)

  • 作者: ジョヴァンニ ボッカッチョ
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2017/03/07
  • メディア: 文庫



 さいごに。(ケガばかり)

 50歳の記念に、競技会に出たいと思っているのですが、脚を傷めてばかりいます。
 東海マスターズも筋膜炎で棄権。無理せず、まずケガを完治させようと思います。

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コーランを知っていますか [中世文学]

 「コーランを知っていますか」 阿刀田高 (新潮文庫)


 イスラム教の聖典「コーラン」について、とても分かりやすく解説した著書です。
 阿刀田得意の解説シリーズのひとつです。2006年に新潮文庫から出ました。

コーランを知っていますか (新潮文庫)

コーランを知っていますか (新潮文庫)

  • 作者: 阿刀田 高
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2005/12/22
  • メディア: 文庫



 「コーラン」は、アラーがマホメットの口を通して語った言葉が書かれています。
 つまりそこに記されているのは、マホメットの言葉ではなく、神の言葉なのです。

 「慈悲あまねく慈愛深きアラーの御名(みな)において。
 万有の主(あるじ)、アラーにこそ凡(すべ)ての称讃あれ、
 慈悲あまねく慈愛深き御方、最後の審(さば)きの主宰者に。・・・」(冒頭)

 マホメットが40歳のとき(西暦610年)、アラーからの最初の啓示がありました。
 その後、その死(632年)まで、あらゆる分野にわたって啓示があり続けました。

 その啓示を集大成したのが、第三代カリフのウスマーンで、時は650年代でした。
 構成はバラバラで、内容も長さも統一感がありませんが、音読した時すばらしい。

 私は以前、放送大学のTV放送で、コーランの祈りの声を聞きました。
 非常に厳かで格調高く、そして美しく響いていました。

 さて、この著書には「コーラン」のこと以外にも、多くのことが書かれています。
 マホメッドの生涯、後継者の争い、イスラムの歴史、アラブの文化などなど。

 そして終章は、サウジアラビア旅行記になっていて、これがけっこう楽しいです。
 期待に胸を膨らませてメディアに入ったら、そのまま空港に誘導されて・・・

 読後、岩波新書の「メッカ」(野町和嘉)を読みたくなります。
 野町氏は、この写真を撮るために、イスラム教徒になったとか。執念を感じます。


カラー版 メッカ―聖地の素顔 (岩波新書)

カラー版 メッカ―聖地の素顔 (岩波新書)

  • 作者: 野町 和嘉
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2002/09/20
  • メディア: 新書



 ところで私は、「コーラン」を中世の叙事詩の一つであるととらえています。
 それは、「旧約聖書」を古代の叙事詩としてとらえたことと同じです。

 どちらもそれぞれの民族の英雄について書かれています。
 そしてどちらも、長い時間詠唱され続け、その民族の心の支えとなっています。

 さて、阿刀田の解説本には、「ギリシア神話を知っていますか」等もあります。
 「ギリシア神話を知っていますか」
 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2010-11-05

 さいごに。(ビアガーデン)

 職場の仲間といっしょに、百貨店の屋上のビアガーデンに行きました。
 飲み放題、食べ放題で、4000円。飲みすぎ、食べ過ぎで、翌朝たいへんでした。

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青い鳥 [20世紀フランス文学]

 「青い鳥」 メーテルリンク作 江國香織訳 (新潮文庫)


 ティルティルとミティルの兄妹が、幸せの青い鳥を探して冒険する物語です。
 ベルギーのノーベル文学賞作家による童話劇で、何度も映画になりました。

 2016年に講談社文庫から出た江國香織訳は、童話劇が小説化されています。
 訳は新しいためとても分かりやすく、挿し絵も多くてオススメです。


青い鳥 (講談社文庫)

青い鳥 (講談社文庫)

  • 作者: モーリス・メーテルリンク
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/12/15
  • メディア: 文庫



 クリスマス・イブ、小さな家にティルティルとミティルという兄妹がいました。
 そこへ醜い妖精ベリリュンヌがやってきて、2人に言いました。

 「どうやらお前たちに、ちゃんとした青い鳥を探しに行ってもらわなきゃならない
 ようだね」(P20)

 そして妖精は、ダイヤモンドの付いた帽子を、ティルティルに渡しました。
 それは、「物事の内側に隠れているものが見えるようになる」と言います。

 こうして2人の兄妹の旅が始まりました。「光」が2人を導いてくれます。
 「記憶の国」「夜の城」「月夜の森」「幸福の館」「墓地」「未来の王国」・・・

 メーテルリンクは霊魂の神秘をさぐる戯曲家で、これは夢幻劇の精髄だそうです。
 たとえば、次のような部分に、スピリチュアルな面が出ていると思います。

 「私たちはどこにも行っていないわ。おなじ場所にいるの。あなたの、物の見方が
 変わっただけよ。物事の本質を見ているの。」(P180)

 幸福は私たちの周りに満ちている、だけど、そういう大事なことは目に見えない、
 というような教訓が、至る所で示されています。「星の王子さま」と似ています。

 そして、幸せの青い鳥がどこにいたかというと・・・この結末は、あまりにも有名。
 物語を通して、幸せとは何かを、じっくりと考えさせられました。

 ところで、講談社文庫の江國訳は、英訳書を底本にしています。つまり重訳です。
 それゆえ、新潮文庫の堀口大學訳を選ぶという人もいます。堀口は仏文学者なので。

 堀口訳の方が原作に忠実だと思います。もちろん、童話劇の形そのままです。
 やっぱり表記は「チルチル」と「ミチル」でしょうという人も、こちらをどうぞ。


青い鳥 (新潮文庫 メ-3-1)

青い鳥 (新潮文庫 メ-3-1)

  • 作者: メーテルリンク
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1960/03/22
  • メディア: 文庫



 さいごに。(おんぶは卒業してほしい)

 娘は小5にもなって、いまだに時々、私におぶさってきます。
 体重が重くなっているので、50歳の私にはキツイ。そろそろ卒業してほしい。

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血の婚礼 [20世紀その他文学]

 「血の婚礼」 ガルシーア・ロルカ作 牛島信明訳 (岩波文庫)


 「血の婚礼」は、婚礼の日に2人の若者が、因縁のが果たし合いをする物語です。
 ほか、「イェルマ」「ベルナルダ・アルバの家」の二つの戯曲を収録しています。

 1992年に出ました。訳が比較的新しくて、分かりやすいです。
 カバーのロルカ自身によるカットがいいです。また、全三作入っていてお得です。


三大悲劇集 血の婚礼 他二篇 (岩波文庫)

三大悲劇集 血の婚礼 他二篇 (岩波文庫)

  • 作者: ガルシーア ロルカ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1992/07/16
  • メディア: 文庫



 花むこは花嫁をとても愛していますが、その母親は花嫁に対して懐疑的でした。
 というのも、花嫁がかつてある男と恋愛関係にあったという噂があるからです。

 その男というのが、よりによって・・・両家には忘れられない過去があり・・・
 婚礼の日、花嫁は失踪して・・・そして二人の青年は因縁の対決で・・・

 最初は花婿側から描かれていたので、レオナルドを悪党だと思っていました。
 ところがしだいに、愛を語るレオナルドこそ、陰の主役だと分かってきます。

 「あんたは、時間が火傷をいやし、壁がふたをしてくれると思ってるだろうが、
 それは違う、そうじゃないんだ。人の心と体の奥底まで入り込んでしまったもの
 は、決して引き抜くことはできないのさ。」(P54)

 レオナルドは、人生を踏み外しました。しかし、彼は大事なことに気付きます。
 だから、彼の言葉は生き生きとしていて、情熱的で説得力があります。

 一方、花むこはただのお人よしです。花嫁のことを最後まで理解していません。
 そういう意味で、花むこと花嫁とレオナルドの三人は、悲劇の共犯者です。

 さて、この戯曲で大切なことを伝えるのは、なぜか物語に関係のない木こりたち。
 「血を腐らせたまま生きながらえるより、血を流して死ぬほうがはるかにましさ。」

 アンダルシア特有の、情熱のほとばしりを感じました。
 メリメの「カルメン」を思い出します。
 「カルメン」 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2010-01-27

 次の「イェルマ」は、子どもができなくて悩む妻イェルマの苦悩を描いています。
 同時に、家に閉じ込められて生きる女性を、社会から解放することを訴えています。

 「あたしが人生から学んだ唯ひとつのことを教えてあげる。それはね、みんな好き
 でもないことをしながら、家のなかに閉じこめられているってこと。」(P163)

 なお、戯曲の所々から、子のできない原因が夫にあることが、示唆されています。
 「畑の喜びを淀ませてしまうような腐れ種しかもたらさない男たちの・・・」

 そしてここに、ゲイであるゆえに子供を持てなかったロルカ自身が重ねられます。
 つまりこの戯曲には、女性の苦悩とロルカ自身の苦悩の二つが描かれているのです。

 三つめの「ベルナルダ・アルバの家」は、ベルナルダと6人の娘たちの物語です。
 ベルナルダは60歳。長女アングスティアスは39歳、末娘アデーラは20歳です。

 ベルナルダの夫が死に、遺産の多くは長女のアングスティアスに贈られました。
 すると効果てきめん、このオールドミスの長女に、突然婚約者が現れたのです。

 婚約者は25歳の美丈夫。これをきっかけに、一家は悲劇的結末に向かっていきます。
 もちろん男の狙いは遺産で・・・彼が愛したのは・・・そしてアデーラは・・・

 さて、ロルカは20世紀スペインを代表する詩人ですが、文庫で読めませんでした。
 その三大悲劇を、このように文庫で読めるようになって、本当にありがたいです。

 さいごに。(運動会)

 昨日は娘の小学校の運動会でした。とても楽しそうにやっていました。
 ただし、もっとも気合いを入れていたクラス対抗全員リレーはビリ。

 娘が走るところでは、競り合いでなくてよかったです。
 もし相手チームに抜かれたら、また落ち込むので。

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ヴィルヘルム・テル [19世紀ドイツ北欧文学]

 「ヴィルヘルム・テル」 シラー作 桜井政隆・桜井国隆訳 (岩波文庫)


 スイスの英雄ヴィルヘルム・テルを中心に、代官に抵抗する人民を描いた戯曲です。
 シラーの最後の完成作です。オペラなど、多くの作品に影響を与えました。

 今年2017年2月に岩波文庫から復刊されました。今が購入のチャンスです。
 初版は1929年(昭和4年)ですが、1957年に改訳されていてストレスなく読めます。


ヴィルヘルム・テル (岩波文庫 赤 410-3)

ヴィルヘルム・テル (岩波文庫 赤 410-3)

  • 作者: シラー
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1957/09/05
  • メディア: 文庫



 ウーリーのヴィルヘルム・テルは、誠実で義理堅く、弓の名手としても有名でした。
 当時ウーリー州では、オーストリーの代官ゲスラーによる悪政が行われていました。

 あるときテルは、代官の手下に突然呼び止められて、逮捕されてしまいました。
 というのも、代官の「帽子を拝まなかった」ためです。

 テルをかばう人々と手下の間で騒ぎとなり、そこへゲスラー本人がやってきました。
 そして有名な一場面。「この子の頭から林檎を射おとすのだぞ。」・・・

 私はこの後、無事に林檎を射落として、めでたしめでたしとなると思っていました。
 しかし、この後もう一波乱あるのですね。この後の展開が、むしろ面白かったです。

 ゲスラーに、矢を二本持っていたことを見とがめられて、テルが答えた言葉は?
 テルはいかにして危機を脱し、いかにして伝説的英雄となったのか?

 また、テルを取り巻く人々のエピソードも印象に残りました。
 たとえば、ルーデンツとベンダ嬢、ルーデンツと老男爵、メルヒタールと父など。

 その一方で、少し盛り込みすぎだとも思いました。おなかいっぱいです。
 皇帝暗殺の話はいらないのでは? 話の焦点がぼやけたように感じました。

 さて、この名作が絶版で、時々復刊されるのを待つだけという状況は、嘆かわしい。
 ぜひどこかの文庫で、新訳を出してほしいです。

 シラーの作品で最近復刊されていない傑作に、「オルレアンの少女」があります。
 これはぜひ岩波さんで復刊してほしい。(地道に復刊リクエストをするしかないか)


オルレアンの少女 (岩波文庫)

オルレアンの少女 (岩波文庫)

  • 作者: シルレル
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1992/10
  • メディア: 文庫



 さいごに。(出勤が早くなって)

 4月から出勤が少し早くなって、娘の登校する姿が見られるようになりました。
 車で娘たちチビッコ軍団を追い越していくのが、毎朝の楽しみになりました。

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