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2017年5月発売の気になる文庫本 [来月発売の気になる文庫本]

◎ 2017年5月発売予定の文庫本で、気になるものを独断で紹介します。
  データは、出版社やamazonの、HPやメールマガジンを参考にしています。

・5/1 「卵を産めない郭公」 ジョン・ニコルズ(新潮文庫)
  → 村上柴田翻訳堂シリーズ。村上春樹訳なので読みたい。気になる。

・5/1 「オリヴァー・ツイスト」 チャールズ・ディケンズ(新潮文庫)
  → 以前、同文庫旧版の中村訳で読んだ。読み比べたい。気になる。

・5/9 「楽園への道」 マリオ・バルガス=リョサ(新潮文庫)
  → 河出世界文学全集から文庫化。ゴーギャン・ファンは必読。買い。

・5/9 「デカメロン(下)」 ボッカッチョ(河出文庫)
  → 待望の新訳が全3巻揃った。今年中に読みたい。三巻まとめて買い。

・5/10 「西洋哲学史 ルネサンスから現代まで」 野田又夫 (ちくま学芸文庫)
  → 1965年に出た単行本の文庫化。大学時代に見た。懐かしい。気になる。

・5/11 「哲学書簡」 ヴォルテール (古典新訳文庫)
  → 読みやすい訳が出たら読みたいと思っていた作品。気になる。

・5/12 「中世ヨーロッパの騎士」 フランシス・ギース (講談社学術文庫)
  → 中世ヨーロッパの騎士は、今年のマイ・ブーム。気になる。

・5/16 「まっぷたつの子爵」 カルヴィーノ(岩波文庫)
  → 20世紀イタリアの国民的作家の代表作。アホらしい話だが、気になる。

 来月は気になる本が多いです。中でも「デカメロン」は3巻まとめて「買い」。
 ただし、どれだけ読むことができるかは分かりません。少しずつ読みたいです。


◎ おまけ1(4月の岩波文庫重版で出ていた本)

・4/14 「地霊・パンドラの箱 ― ルル二部作」 F.ヴェデキント
  → ずっと読みたかった本。4月に出た「春のめざめ」とともに買い。


◎ おまけ2(いつでも読めるゆえに、いつまでも読まれない本)

 たとえば、薄っぺらくて、いつでも簡単に読めそうな本。
 たとえば、娯楽小説で、読みだしたらすぐに読めてしまいそうな本。

 そのような、いつでも読める本に限って、なかなか読む機会がありません。
 つまり、「いつでも読めるゆえに、いつまでも読まれない本」なのです。

 ところが、最近仕事がやたらと忙しくて、なかなか読書の時間が取れません。
 この機会に読んでいるのが、私の書棚に埋まっていた、そのような本です。

 前回紹介した「ヘッダ・ガーブレル」は、薄い本なので短時間で読めました。
 その割には密度の濃い作品で、充分に楽しむことができました。

 ほかにも「十二夜」「田園交響曲」「クヌルプ」「お目出たき人」「春琴抄」
 「恩讐の彼方へ」「民王」「謎解きはディナーのあとで」等があります。
 時間的な余裕ができるまでは、そのような本を読み進めようと思います。


◎ さいごに(リボ払いにして3000ポイント・ゲットという、恐ろしいワナ)

 ヤフーから、こんなメールが来ました。
 「もし残高が80万円あった場合、リボ払いのままその残高を払いきると、
 利息で余計に『43万円』も支払うことになるのです。
 しかも払いきるまでは「約5年」もかかります。(毎月2万円の返済の場合)」

 よくぞ教えてくれた! リボ払いにするというのは、ワナに落ちるようなもの。
 これを読むと、リボ払いなんか絶対やるもんか、という気持ちになります。

 一方で、ヤフーカードがあの手この手でリボ払いにさせようとするのはなぜか?
 リボ払いにすると3000ポイントもらえる、というメールがしょっちゅう来るし!

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ヘッダ・ガーブレル [19世紀ドイツ北欧文学]

 「ヘッダ・ガーブレル」 イプセン作 原千代海訳 (岩波文庫)


 美貌で自由奔放な女が、退屈な結婚生活の中でいかに行動するかを描いた戯曲です。
 イプセン晩年の作品で、後にヘッダは多くの女優の意欲をそそる役柄となりました。

 現在、岩波文庫から出ています。訳は比較的新しくて、分かりやすかったです。
 ただ、私はイェルゲンの文末に頻出する「え?」というのが、気になりました。


ヘッダ・ガーブレル (岩波文庫)

ヘッダ・ガーブレル (岩波文庫)

  • 作者: イプセン
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1996/06/17
  • メディア: 文庫



 ヒロインのヘッダは美貌で自由奔放な女で、新婚旅行ですでに退屈していました。
 夫のイェルゲンは真面目な研究者で、ヘッダの言う事なら何でも聞いてしまいます。

 ある日彼らの屋敷に、昔なじみのエルヴステード夫人が訪ねてきました。
 その日のうちに、イェルゲンのライバルであるエイレルトもやって来て・・・

 エイレルトとエルヴステード夫人の関係は? エイレルトとヘッダの関係は?
 夫イェルゲンの知らない関係が、観客に少しずつ明かされていきます。

 エイレルトとエルヴステード夫人を出し抜くため、ヘッダが取った行動は?
 そして、最後にヘッダ決断したことは?

 ヘッダは悪女です。こういう女を妻に持ってしまうと、男はたいへんです。
 しかし凡庸な夫に比べて、ヘッダはとても魅惑的に描かれています。

 ヘッダ:あたくし、たびたび思ったわ、この世の中で、あたくしに向いているのは、
     たった一つのことっきりなの。
 ブラック:(相手に近づき)、何ですか、そりゃ、いったい?
 ヘッダ:(立って外を眺めながら)退屈すること、死ぬほどね。

 こういうセリフを吐く美貌の女がいたら、彼女の方こそ犠牲者だと思ってしまう!
 ヘッダという存在は、確かに女優魂をかきたてられる役柄でしょう。

 ヘッダ:(激しい嫌悪の表情で相手を見上げ)また違う! ああ、あたしが手を
     触れるものは、何もかも滑稽で、下卑たものになっちまうのね。

 このセリフを吐いた時、おそらくヘッダは最後の決断をしていたのでしょう。
 それにしても・・・初演当時、世間に受け入れられなかった理由がよく分かります。

 ところでヘッダは、ヘッダ・テスマン夫人です。
 ところがタイトルが、未婚時代の「ヘッダ・ガーブレル」になっている所がうまい!

 さいごに。(人間関係の構築におけるストレス)

 前の職場には11年いたので、私は座っていても、色んな人が何かを聞きにきました。
 4月から私はあちこち歩き回って、色んな人にあらゆることを聞きまくっています。

 ところが、相手がどういう人なのかまだよく分からないので、とても気を使います。
 相手のちょっとした反応が気になり、ストレスがたまります。ああ胃が痛い!

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ケルト神話と中世騎士物語 [中世文学]

 「ケルト神話と中世騎士物語」 田中仁彦 (中公新書)


 中世騎士物語の中に生きている、ケルト人の他界の観念について解説しています。
 新書です。1995年に出て、ロングセラーを続けている著書です。


ケルト神話と中世騎士物語―「他界」への旅と冒険 (中公新書)

ケルト神話と中世騎士物語―「他界」への旅と冒険 (中公新書)

  • 作者: 田中 仁彦
  • 出版社/メーカー: 中央公論社
  • 発売日: 1995/07/25
  • メディア: 新書



 三部構成になっています。第一部は「ケルト人と他界」です。
 ケルト人の残した妖精や小人の神話から、彼らの他界の観念を述べています。

 海の彼方の女人国とは何か? ケルト人の他界の観念はどのようなものか?
 巨石文明を作ったのは誰か? 地下に住む妖精や小人は何者か?

 「ブランの航海」、「コンラの冒険」、「ダナの息子たち」にまつわる神話・・・
 この第一部には、他界への旅の神話が次々と登場して、とても興味深いです。

 第二部は「ケルト・キリスト教と他界」です。
 キリスト教の受容とともに、ケルト的他界が変貌していくさまを述べています。

 ケルトの神は悪魔となり、ケルトの他界は天国・楽園・煉獄・地獄となって・・・
 古い神々は、しだいに新しい神々に支配されていきます。

 第三部は「中世騎士物語と他界」です。いよいよアーサー王物語が登場します。
 ここでは、中世騎士物語の中に生きる、ケルト的他界の観念について述べています。

 アーサー王とアヴァロン、ランスロとゴールの国、ペルスヴァルと聖杯城・・・
 彼らは皆、突如開かれたケルト的他界へと旅立っています。

 また第三部は、アーサー王伝説について、いろいろと面白い指摘をしています。
 いわく、アーサー王国を滅ぼした真の原因は、王妃とランスロの愛・・・

 アーサー王伝説を、ケルト神話を踏まえて読み直せた点が、良かったです。
 ところで、終章の次の言葉が、とても心に染み入りました。

 「現代のわれわれは人生が旅であるということの本当の意味を見失ってしまった。
  われわれはどこへも出発することなく、ただじっと死を待っている。
  われわれにはもはや、そこに向かって出発すべき他界が存在しないのだ。」(P238)

 さいごに。(手越とパパとどっちがいいか?)

 娘によると、うちのママはNEWSの手越が好きなのだそうだ。
 「手越とパパとどっちがいいか、ママに聞いてみる」と言うので、私は慌てました。

 「やめなさい。ママは答えたくないだろうし、パパだって答えを聞きたくはない。」
 すると娘は、「大丈夫。パパが傷つかないように聞くからね。」と言いました。(涙)

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コンタクト [20世紀アメリカ文学]

 「コンタクト」 カール・セーガン作 池央耿・高見浩訳 (新潮文庫)


 人類が初めて地球外知的生命体とコンタクトする様を描いた、ハードSF小説です。
 1980年代に書かれて、作者の死後1990年代に映画化されました。

 新潮文庫から出ています。とても読みやすいです。
 なお、カール・セーガンといえば科学番組「コスモス」を思い出す人も多いでしょう。


コンタクト〈上〉 (新潮文庫)

コンタクト〈上〉 (新潮文庫)

  • 作者: カール・セーガン
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1989/07
  • メディア: 文庫



コンタクト〈下〉 (新潮文庫)

コンタクト〈下〉 (新潮文庫)

  • 作者: カール・セーガン
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1989/07
  • メディア: 文庫



 女天文学者エリーは、30代後半でありながら、アーガスという研究所の所長です。
 そこでは、電波望遠鏡を使って、地球外知的生命体の探索が進められていました。

 ある日受信した電波信号は、26光年離れたベガ星系から送られてきたものでした。
 そしてそこには、ある隠されたメッセージが・・・

 地球外知的生物は本当に存在するのか? 彼らはどのような存在なのか?
 どうして地球に電波信号を送ってきたのか? コンタクトは成功するのか?

 地球外知的生命体との遭遇を中心に、ほかにも様々な内容が盛り込まれています。
 全能なる神の存在、世界の平和、家族の絆、人間としての成長・・・

 さて、私が宇宙に興味を持 ったきっかけは、中学校時代に見た「コスモス」です。
 宇宙の謎が分かりやすく解説されている番組で、毎回わくわくしながら見ました。

 その番組の監修していたのが、本書の作者であるカール・セーガンです。
 彼も、地球外知的生命体の探査をしていました。エリーは彼の分身でしょうか。


コスモス 上 (朝日文庫)

コスモス 上 (朝日文庫)

  • 作者: カール・セーガン
  • 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
  • 発売日: 1984/04
  • メディア: 文庫



 ジョディ・フォスター主演の映画も、なかなかよくできています。名画です。
 乗組員を1人だけにしたりと、原作を効果的にアレンジしています。


コンタクト 特別版 [DVD]

コンタクト 特別版 [DVD]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • メディア: DVD



 さいごに。(「参観会に来てほしい」その理由)

 今年の参観会は、仕事と重なって参加できません。
 娘はとても残念そうに「来てほしかった」と言っています。というのも・・・

 娘のクラスの担任が、学校で一番かわいい先生なのだそうです。
 「うちの先生のかわいさを見てほしかった」とのこと。そりゃ行きたかったよ。

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なんて素敵にジャパネスク [日本の現代文学]

 「なんて素敵にジャパネスク」 氷室冴子 (集英社コバルト文庫)


 大納言家のおてんば娘「瑠璃(るり)姫」の愛と冒険を描く、王朝のドタバタ劇です。
 1984年に出ると、またたくまに中高生の間でブームとなり、シリーズ化されました。

 うちにあるのはコバルト文庫の旧版です。カバーのイラストが懐かしいです。
 現在は新装版で読むことができます。


なんて素敵にジャパネスク (集英社文庫―コバルト・シリーズ)

なんて素敵にジャパネスク (集英社文庫―コバルト・シリーズ)

  • 作者: 氷室 冴子
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1984/05
  • メディア: 文庫



なんて素敵にジャパネスク ―新装版― 全10巻完結セット (コバルト文庫)

なんて素敵にジャパネスク ―新装版― 全10巻完結セット (コバルト文庫)

  • 作者: 氷室 冴子
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2012/02/01
  • メディア: 文庫



 1980年代に、女子中高生を中心に古典ブームを巻き起こした、作者の代表作です。
 高校時代に出ましたが、少女小説のイメージが強くて、当時は読みませんでした。

 うちの妻は、少女時代にこのシリーズを夢中になって読んでいたそうです。
 最近、妻がこの本を懐かしく思い出して、アマゾンで旧版を1円で手に入れました。

 そこで、私もこの機会に、初めて読んでみました。とても面白かったです。
 第一巻には、2つの短編と1つの長編の、全3編が収録されていました。

 「お約束は初めての接吻(キス)での巻」は、瑠璃姫と幼なじみの愛を描いています。
 初恋を忘れられない瑠璃姫は、権少将(ごんのしょうしょう)の策略に乗せられ・・・

 「初めての夜は恋歌で囁(ささや)いての巻」は、瑠璃姫の勘違いを描いています。
 夫となるはずの高彬(たかあきら)が、他の女に歌を贈っているというが・・・

 先の二つも楽しい物語ですが、なんといっても面白いのは、長編の第3話です。
 「初めての夜よ もう一度の巻」は、瑠璃姫が壮大な陰謀に巻き込まれる物語です。

 瑠璃姫の目の前で、弟の融(とおる)が怪しげな男ともみ合い、倒されました。
 男を追っているうちに、ある屋敷に迷い込み、そこで瑠璃姫が耳にしたのは・・・

 融ともみ合ったのは誰だったのか? その者の正体は?
 瑠璃姫が迷い込んだ屋敷は誰のものなのか? そこで聞いた陰謀めいた話の意味は?

 第2話までは、平安朝貴族の姫君の日常生活を中心に描かれていました。
 しかし第3話で、瑠璃姫の活躍の場が大きく広がり、テンションも高まります。

 冒険小説的な要素や、探偵小説的な要素が加わり、瑠璃姫の魅力は一段と輝きます。
 第3話だけ200ページ近くある長編ですが、読み始めたら止まりません。

 さて、「なんて素敵にジャパネスク」はシリーズ化されて、第十巻まで出ています。
 第二巻も非常に面白いです。初恋の吉野の君の謎が、徐々に明かされていきます。

 帝の誘いを断り、太秦に逃げ込んだ瑠璃姫は、意外な人物と出会い・・・
 瑠璃姫の屋敷は、放火によって失われ、その焼け跡で出会った人物は・・・

 瑠璃姫の決めゼリフ「冗談はよしのすけ」に、懐かしさを覚えます。
 この言葉は、当時のクラスの女子がよく使っていました。


なんて素敵にジャパネスク (2) (集英社文庫―コバルト・シリーズ)

なんて素敵にジャパネスク (2) (集英社文庫―コバルト・シリーズ)

  • 作者: 氷室 冴子
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1985/04
  • メディア: 文庫



なんて素敵にジャパネスク〈2〉 (コバルト文庫)

なんて素敵にジャパネスク〈2〉 (コバルト文庫)

  • 作者: 氷室 冴子
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1999/04
  • メディア: 文庫



 コミック版が白泉社文庫から出ています。全6巻を大人買いしてしまいました。
 しかし、読む時間がありません。6冊のコミックは現在、娘に占領されています。


なんて素敵にジャパネスク (第1巻) (白泉社文庫)

なんて素敵にジャパネスク (第1巻) (白泉社文庫)

  • 作者: 山内 直実
  • 出版社/メーカー: 白泉社
  • 発売日: 1997/09
  • メディア: 文庫



 さいごに。(車はベンツかって? 冗談はよしのすけ!)

 「車はベンツですか」と聞かれました。いいえ、ダイハツのミラジーノです。
 実は、新しい職場の駐車スペースの隣に、朝早くからベンツが置いてあります。

 私の車は小さいから、ベンツにすっぽりと隠れてしまいます。
 だから、仕事場から見ると、私がベンツから出てくるように見えるようです。

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結婚十五の歓び [中世文学]

 「結婚十五の歓び」 (岩波文庫)


 「結婚十五の歓び」は、男から見た結婚における十五の「難儀」を述べたものです。
 岩波文庫から出ています。所々に稚拙だが味わいのある挿絵が入っています。


結婚十五の歓び (岩波文庫 赤 571-1)

結婚十五の歓び (岩波文庫 赤 571-1)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1979/01/16
  • メディア: 文庫



 「結婚十五の歓び」なんて嘘ばっかり。結婚によって不幸になった男たちの話です。
 結婚した男を、魚梁(やな)に入り込んで抜け出せない魚に例えています。

 いわく、結婚する男は魚に似ている。大海を自由に泳ぎながら、魚梁の餌の匂いに
 誘われて、魚梁の中へ入り込んだら最後、もうそこから逃げ出せないのだ・・・

 そして、結婚には十五の難儀があり、しかも人はそれを歓喜とみなす、と言います。
 「結婚十五の歓び」とは、つまり「結婚十五の難儀」のことなのです。

 「第一の歓び」では、結婚まもない男が、妻に服をねだられる様子を描いています。
 「第二の歓び」では、着飾った妻が、社交界で夫を軽んずる様子を描いています。

 「第三の歓び」では、遊びまわった妻が、身重になった様子を描いていて・・・
 という調子で十五まで続きます。だんだんやりきれない気持ちになっていきます。

 私のお気に入りは「第十一の歓び」です。
 若い貴公子が各地を遍歴している時、身重とは知らずにその娘を求婚してしまい・・・

 女たちの恐ろしい知恵。手の込んだ計略。
 やれやれ。この本を読んでしまった男は、もう結婚したいとは思わないでしょう。

 さいごに。(本が読めない)

 転勤して新しい職場にまだ慣れないのに、年度替わりの忙しさが加わって大変です。
 帰りは夜遅くなるし、仕事は持ち帰らなければならないし、読書の時間が取れません。

 まあ、もう少ししたら少しずつ慣れて、余裕も生まれるとは思うのですが・・・
 ちなみに、あすの土曜もあさっての日曜も仕事です。

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ピエール・パトラン先生 [中世文学]

 「ピエール・パトラン先生」 渡辺一夫訳 (岩波文庫)


 仕事のない代言人パトラン先生が、相手を口車で丸め込む姿を描いた喜劇です。
 中世フランスの代表的笑劇で、15世紀中頃に修道士によって書かれたようです。

 第一刷は1963年。しばらく絶版でしたが、今年2017年2月に復刊されました。
 訳は少し古いですが、分かりやすかったです。買うなら今がチャンスです。


ピエール・パトラン先生 (岩波文庫)

ピエール・パトラン先生 (岩波文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1963/09/16
  • メディア: 文庫



 代言人のパトラン先生には依頼人がつかず、貧乏暮らしで苦しんでいます。
 金もないのに羅紗屋に行き、店主をおだてて、布地をツケで買いました。

 金を取りに来た羅紗屋を、パトラン先生はいかにして追い返したか?
 弁護を依頼に来た羊飼いに、パトラン先生はどんなアドバイスをしたのか?

 すべてが順調に見えたその時・・・最後にはちゃんとオチがつきます。
 この作品が、中世で最も有名な喜劇と言われる理由が、よく分かりました。

 ところで、私は中世にこのような喜劇があることが、とても意外でした。
 この作品の内容は、中世の騎士道やキリスト教精神に反しているからです。

 解説によると、13世紀を境に、騎士の時代から市民の時代に移ったと言います。
 都市が発展し、市民階級の力が増すにつれて、作品も変わっていったようです。

 このような喜劇は、市民階級の欲求を満たすため、当時流行したといいます。
 一方、封建社会が衰退するにつれて、叙事詩や騎士物語は衰えていきました。

 中世の庶民的文学には、他に「狐物語」や「結婚十五の歓び」等があります。
 どちらも現在、岩波文庫で手に入れることができます。 


狐物語 (岩波文庫)

狐物語 (岩波文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2002/05/16
  • メディア: 文庫



結婚十五の歓び (岩波文庫 赤 571-1)

結婚十五の歓び (岩波文庫 赤 571-1)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1979/01/16
  • メディア: 文庫



 ところで「ピエール・パトラン先生」は、春のリクエスト復刊で出たばかりです。
 私はこのフェアを見落としていた! 同時期に出た次の2点は「買い」です。


ヴィルヘルム・テル (岩波文庫 赤 410-3)

ヴィルヘルム・テル (岩波文庫 赤 410-3)

  • 作者: シラー
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1957/09/05
  • メディア: 文庫



小公子 (岩波文庫)

小公子 (岩波文庫)

  • 作者: フランシス・ホジソン バーネット
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1939/08/05
  • メディア: 文庫



 さいごに。(何度も味わうコミック)

 娘はコミック「orange」の第4巻を買ってきたのに、なかなか読み始めません。
 どういうわけか第1巻を読んでいるのです。娘にわけを聞いてみると・・・

 「第4巻を読む前に、第1巻から第3巻までをもう一度読んでおさらいする。」
 なるほど。そうすれば、一つのコミックで何度でも楽しめます。

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おちくぼ物語 [日本の古典文学]

 「おちくぼ物語」 田辺聖子 (文春文庫)


 継母によっていじめられていた姫君が、貴公子に救われるシンデレラストーリーです。
 10世紀末頃に、「源氏物語」に先立って成立した王朝時代の大衆小説です。

 「おちくぼ物語」は読みやすいのですが、作者によって大きくアレンジされています。
 角川文庫の「落窪物語(上・下)」などで、正確な訳を読むことができます。


おちくぼ物語 (文春文庫)

おちくぼ物語 (文春文庫)

  • 作者: 田辺 聖子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2015/04/10
  • メディア: 文庫



落窪物語〈上〉 (角川ソフィア文庫)

落窪物語〈上〉 (角川ソフィア文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2004/02
  • メディア: 文庫



 おちくぼ姫には身寄りがなく、継母によって落ちくぼんだ部屋に住まわされています。
 食べ物も着る物も満足に与えられず、毎日衣装縫いの仕事ばかりやらされていました。

 しかしおちくぼ姫には、阿漕(あこぎ)という機転の利く侍女がいました。
 阿漕が夫の帯刀(たてわき)に、姫君の魅力を話すと、少将にも伝わって・・・

 北の方は、いかにして二人の仲を裂こうとしたか?
 少将は、いかにしておちくぼ姫を救い出したか?

 読んでいて、ハラハラドキドキする物語です。読み始めたら止まりません。
 この本は、作者によって読みやすく書き直されているので、本当に楽しく読めます。

 さて、古典の「落窪物語」は、普通「継子いじめの物語」として紹介されます。
 おちくぼ姫をヒロインとした「シンデレラストーリー」などとも書かれています。

 しかし、田辺聖子版「おちくぼ物語」のヒロインは、侍女の阿漕でした。
 この物語は、薄幸の姫君に幸せをもたらすまでの、阿漕の活躍が描かれています。

 これは、作者田辺聖子のアレンジでしょうか。いかにも作者の好みそうな内容です。
 原作はどうなっているのでしょうか。原作にもあたってみたいです。

 ただし実際の物語は、後半にこれでもかこれでもかと、復讐が行われるとのこと。
 作者は、そういう場面をやんわりと描き、最後は大団円で終わらせました。

 また物語の途中で、「この時代の貴族の結婚は、」とか「しかし千年昔では、」など
 と、作者による解説が適度に挿入されているため、背景が理解しやすかったです。

 最近妻は、「なんて素敵にジャパネスク」が懐かしくなって、購入しました。
 彼女は昔、この小説を夢中になって読んだのだそうです。


なんて素敵にジャパネスク (集英社文庫―コバルト・シリーズ)

なんて素敵にジャパネスク (集英社文庫―コバルト・シリーズ)

  • 作者: 氷室 冴子
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1984/05
  • メディア: 文庫



 さいごに。(娘にすまないことをした)

 伊勢旅行で、助手席の娘にナビをさせました。アイフォンのアプリを使いました。
 博物館へ行く時、娘が違う方向へナビするので、疲れていた私は怒ってしまった。

 そのあと娘は、間違えないように必死で、眠いのに一生懸命ナビしていました。
 その姿がとてもいじらしくて、本当にすまないことをしてしまったと思いました。
 しかもあとで分かったのですが、博物館でのナビはアプリが間違っていたのです!

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パニック [日本の近代文学]

 「パニック・裸の王様」 開高健 (新潮文庫)


 ネズミの大発生による騒動を描いた「パニック」など、短編全4編を収めています。
 サントリー宣伝部時代の1957年~1959年に書いた、作者の初期の傑作短編集です。

 「知的な痴的な教養講座」で開高健の語り口にしびれたら、次はぜひ小説を読みたい。
 新潮文庫のこの本は、芥川賞受賞の「裸の王様」など、傑作ぞろいでオススメです。


パニック・裸の王様 (新潮文庫)

パニック・裸の王様 (新潮文庫)

  • 作者: 開高 健
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1960/06/28
  • メディア: 文庫



 「パニック」は、ネズミの大発生と、それに翻弄される人間を描いています。
 主人公の俊介は、県庁山林課で、鼠害を最小限に食い止めるために戦います。

 120年ぶりに笹が実を結び、地下ではネズミたちの大繁殖の兆しが見られました。
 俊介は被害を未然に防ぐため、上司に対策を提案しますが、相手にされません。

 怠惰な組織は、問題が表面化するまで、リスクのある行動を取らないのです。
 そして問題が表面化すると、責任のなすりつけとごまかしに走るのでした・・・

 ネズミと戦う俊介は、同時に腐敗した組織と戦っています。
 そして悲しいことに、俊介自身も腐った手の中に、からめ取られていくのです。

 暴走するネズミたちが、私には天から遣わされた生き物のように思えてきました。
 彼らは社会の腐敗を一掃するという使命を与えられ、やって来たのではないか?

 そして驚くべき結末! 最後は怒りと虚脱感と、なぜか感動でいっぱいでした。
 わずか60ページですが、とても強烈で、開高健の作品中最も印象的な作品です。

 「裸の王様」は「パニック」と並ぶ代表作で、芥川賞受賞作でもあります。
 画塾を経営している「僕」と、生徒の大田太郎の心の交流を描いています。

 太郎は大商人の一人息子ですが、家庭では疎外されてどこか歪んでいました。
 「僕」は太郎と一緒に川原で遊ぶなどして、彼の心を徐々に開いていき・・・

 解説では、「作者は打算と偽善と虚栄と迎合にみちた社会のなかで、ほとんど
 圧殺されかかっている生命の救出を描いている。」と、うまくまとめています。

 太郎が描いた裸の王様は、欺瞞に満ちた大人たちをも表しているのではないか。
 「王様は裸だ!」という小さい叫び声が、どこからか聞こえてきそうでした。

 「巨人と玩具」は、製菓会社のキャラメル販売合戦の徒労を描いています。
 身を粉にして働き、多くの犠牲の出した挙句、巨人たちは共に滅んでいく!

 「流亡記」は、ある日突然万里の長城建設にかり出された男の物語です。
 巨大で合理的で非情なシステムのもと、自由な者などは存在しません。

 「誰ひとりなんのためかわからず、どこをめざしているのかも分からない」
 この「厖大な徒労」からまぬがれるために、彼はどんな決断をしたのか?

 全4編いずれも傑作だと思います。特に語り口がいいです。クセになります。
 開高健は遅筆で有名でしたが、作品に妥協をしなかったためなのでしょうか。

 余談ですが、山口瞳の「男性自身 傑作選」を購入しました。
 時間がある時に、のんびりと読みたいです。


山口瞳「男性自身」傑作選 中年篇 (新潮文庫)

山口瞳「男性自身」傑作選 中年篇 (新潮文庫)

  • 作者: 山口 瞳
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2003/05/28
  • メディア: 文庫



 さいごに。(楽しかった食べ歩き)

 伊勢神宮に行ってきました。1泊してきました。
 荘厳で厳粛な雰囲気でした。さすが、神々の宿る土地です。

 一方で、おはらい町やおかげ横丁での食べ歩きも楽しかったです。
 シュークリーム、赤福、松坂牛串、松坂牛モツ汁、カキフライ、
 さわ餅、ハマグリ串、鶏の皮揚げ・・・ああ、本当によく食べた!

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おもいでエマノン [日本の現代文学]

 「おもいでエマノン」 梶尾真治 (徳間文庫)


 地球に生命が発生してから現在までのすべての記憶を持つ女「エマノン」の物語です。
 作者の人気のエマノンシリーズです。「おもいでエマノン」ほか全8編の短編集です。


おもいでエマノン: 〈新装版〉 (徳間文庫)

おもいでエマノン: 〈新装版〉 (徳間文庫)

  • 作者: 梶尾 真治
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2013/12/06
  • メディア: 文庫



 1967年、「ぼく」は九州放浪の帰りの船で、不思議な少女と知り合いました。
 「私は地球に生命が発生してから現在までのことを総て記憶しているのよ」

 そう語る彼女は、エマノンと名のりました。ノー・ネームの逆さ綴りです。
 「私の祖先は常に系統発生の最先端にいたっていうことになるのね。」

 エマノンの存在意義は? エマノンの持つ役割は? 第一、本当の話なのか?
 目が覚めるとエマノンの姿はなくて・・・13年後に再会した彼女は・・・

 突拍子もないアイディア、エマノンの鮮烈な印象、結末の切ない余韻・・・
 冒頭の『おもいでエマノン』は、30ページ余りですが、忘れられない作品です。

 ラストを飾る『あしびきデイドリーム』もまた、印象に強く残る作品です。
 布川という青年のもとに、突然現れて突然消えていった少女にまつわる物語です。

 6年後、エマノンの手引きで、少女の故郷にやってきた布川が見たものは・・・
 自分が会っていた時には、すでに少女は死んでいた?・・・

 30ページ余りの中に、映画「君の名は。」のアイディアが、凝縮されています。
 なぜ「君の名」を忘れたのか、その答えがこの作品中に暗示されています。

 『たそがれコンタクト』では、予知能力を持つ男子が登場します。
 ヒデノブの未来の記憶と、エマノンの過去の記憶が交差した時、悲劇が・・・

 『しおかぜエヴォリューション』では、植物界のエマノン的存在が登場します。
 原油備蓄基地建設現場に出現した、奇妙な植物群は何だったか?・・・

 これら作品の魅力の大きな部分は、エマノンというキャラクターの魅力にあります。
 一度会ったら忘れられない女性です。だからシリーズ化されたのでしょう。


さすらいエマノン

さすらいエマノン

  • 作者: 梶尾 真治
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2014/01/08
  • メディア: 文庫



まろうどエマノン (徳間文庫)

まろうどエマノン (徳間文庫)

  • 作者: 梶尾 真治
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2014/02/07
  • メディア: 文庫



ゆきずりエマノン (徳間文庫)

ゆきずりエマノン (徳間文庫)

  • 作者: 梶尾 真治
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2014/03/07
  • メディア: 文庫



うたかたエマノン (徳間文庫)

うたかたエマノン (徳間文庫)

  • 作者: 梶尾 真治
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2016/11/02
  • メディア: 文庫



 さいごに。(新しい職場)

 年度末に転勤が決まって、明日4月3日の月曜日からは、新しい職場に移ります。
 引継ぎを大急ぎで完了しました。新しい職場には、少しずつ慣れていきたいです。

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