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愛人(ラマン) [20世紀フランス文学]

 「愛人 ラマン」 マルグリット・デュラス作 清水徹訳 (河出文庫)


 仏領インドシナにおける、貧しい白人の少女と華僑の青年との愛の物語です。
 1984年に出た自伝的小説で、映画が1992年に公開されて話題になりました。

 河出文庫から出ています。口絵写真が付いていて参考になります。
 話があっちこっちに飛ぶので、少し読みにくかったです。


愛人 ラマン (河出文庫)

愛人 ラマン (河出文庫)

  • 作者: マルグリット デュラス
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 1992/02/05
  • メディア: 文庫



 少女は、仏領インドシナで、母と二人の兄と一緒に暮らしていました。
 15歳半のある日、メコン川の渡し場で、華僑の金持ちの青年と出会いました。

 二人は付き合い始め、関係を持つようになり、少女は性に目覚めました。
 青年は激しく愛しましたが、少女は彼を愛していたわけではありませんでした。

 少女は言いました。「そうすべきだったの、義務のような感じだった」と。
 少女が彼に付いていくのは、彼がお金持ちだったから・・・

 1992年の映画「愛人」は、映像の美しさが、日本でも話題になりました。
 そして我々男どもは皆、主演のあの少女の魅力にやられてしまったのです。

 映画を見た後、私は小説を読みましたが、「ん?」という感じでした。
 好き勝手にしゃべっているような文体が、当時はとても読みにくかったです。

 現在から15歳へ、4歳へ、23歳へ、そしてまた15歳へ、また現在へ・・・
 話があっちこっちに飛んで、ちっとも前に進みません。

 リムジンはP28で登場するのに、 青年が車から降りるのはP52なのです。
 ようやく二人が出会ったら、また話があっちこっちへ飛んでいきます。

 何度もはぐらかされているうちに、テンションがすっかり下がりました。
 このような理由で、まだ若かった私は、この本を投げ出してしまったのです。

 今回「愛人」を買い直して、久しぶりに読み直してみました。
 そして、いろんな発見がありました。

 私はこの作品を、華僑の「愛人」となった少女の物語だと記憶していました。
 金持ちの世界に拒まれ、家族が崩壊したフランス娘の悲しみを描いたのだと。

 しかし今回は、白人娘の「愛人」となった青年の物語として読んでいました。
 傷ついたのはフランス娘ではなく、なんと、年上の青年の方だったのです!

 青年はひ弱で軟弱でした。彼の恋は絶望的で破滅的でした。
 少女には分かってもらえず、父親には許してもらえず、泣いてばかりいます。

 読んでいてこちらが恥ずかしくなるほど、青年のカッコ悪さは印象的でした。
 「愛人」は、哀れな男の物語だと私は思います。

 さて、仏領インドシナが舞台の他の作品に、「太平洋の防波堤」があります。
 池澤夏樹の世界文学全集に入っていますが、以前河出文庫から出ていました。


太平洋の防波堤 (河出文庫)

太平洋の防波堤 (河出文庫)

  • 作者: マルグリット デュラス
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 1992/05
  • メディア: 文庫



 なお、あっちこっちに話が飛ぶ展開から、「ダロウェイ夫人」を連想しました。
 角川文庫版は少し読みにくかったです。古典新訳文庫版に期待しています。


ダロウェイ夫人 (光文社古典新訳文庫)

ダロウェイ夫人 (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: バージニア ウルフ
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2010/05/11
  • メディア: 文庫



 さいごに。(カファレル)

 ホワイトデイの日、ママさんにカファレルのチョコをあげました。
 昨年から彼女は、カファレルのジャンドゥーヤの大ファンなのです。

 娘には、ゴンチャロフの猫チョコをあげました。
 二人とも、とても喜んでくれて良かったです。 

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