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イーゴリ遠征物語 [中世文学]

 「イーゴリ遠征物語」 水村彰一訳 (岩波文庫)


 異民族の地に遠征して囚われたイーゴリが、脱出し帰還するまでの物語です。
 史実に基づいて書かれ、中世ロシア文学を代表する作品とされています。

 岩波文庫から1983年に出ていましたが、現在は絶版です。
 訳は格調高い文章です。付録に「年代記」の関係個所が付いています。


イーゴリ遠征物語 (岩波文庫 赤 601-1)

イーゴリ遠征物語 (岩波文庫 赤 601-1)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1983/04/18
  • メディア: 文庫



 イーゴリ軍は、ポーロヴェッツの土地に攻め入る前に、日食に出会いました。
 彼らは、その不吉な前兆をものともせず、進軍していきました。

 最初の戦闘で、イーゴリ軍は大いに勝利し、多くの戦利品を手に入れました。
 しかし喜ぶのもつかの間、いつのまにか敵軍に包囲されていて・・・

 「イーゴリ遠征物語」は、1185年に実際に行われた遠征をもとにしています。
 次のように、勇ましく描かれていますが、悲惨な結果に終わっています。

 「かのイーゴリこそ、雄心勃勃 / ロシアの国のため / いさましき
 つわものどもを 引き具して / ポーロヴェッツの地に 攻め入ったのだ」

 候としては二流のイーゴリ候を、まるでロシアの代表のように描いています。
 大したことのない侵攻を、まるでロシアを代表する遠征のように描いています。

 このような大げさな記述が民族精神を高揚させ、価値ある作品となっています。
 とはいえ、岩波文庫「新版ロシア文学案内」の、次の記述は褒めすぎでしょう。

 「洗練された言葉、ゆたかな情緒、美的バランス、興味をそそる筋、抒情性と叙事
 性の混じりあった独特な詩的世界 ー どれをとっても、この作品は現代の読者の文
 学的欲求をみたしてくれますし、ロシアならではの独特の魅力を持っています。」

 実際は、描写があっさりしていて、展開はあっけなくて、拍子抜けしてしまいます。
 本のページはスカスカで、120ページほどありますが、実質は30ページほどです。

 中世ロシア文学史上大切な作品となった理由は、作品が少なかったからでしょう。
 当時は、外来のキリスト教文学が主流で、こういう作品は珍しかったのです。

 しかし、現代のロシアでは、知らぬ者のないほど有名な作品となりました。
 歌劇などにもなっていて、一読して損はないと思います。

 さいごに。(尊敬されない?)

 娘に、「未来の自分に会ったら、何を聞きたい?」と聞かれました。
 すかさず、「ロト6の当選番号」と答えました。

 「そんなこと言ってたら、私に尊敬されないよ」と、言われてしまいました。
 素直に答えすぎた! 娘はもっと高尚な答えを期待していたようです。

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