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2016年12月発売の気になる文庫本 [来月発売の気になる文庫本]

 2016年12月発売予定の文庫本で、気になるものを独断で紹介します。
 データは、出版社等のHPやメールマガジンを参考にしています。

 アマゾン本の「詳細検索」でその月の出版予定の本が分かります。
 「出版年月」を「2016年12月のみ」と指定すると、以下の3冊も出ます。


◎ 文春文庫(12/1)から、次の1点。

・「名画と読むイエス・キリストの物語」 中野京子
 → 2012年に単行本で出て評価が高かった本。絵がカラーなら買い。


名画と読むイエス・キリストの物語 (文春文庫 な)

名画と読むイエス・キリストの物語 (文春文庫 な)

  • 作者: 中野 京子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2016/12/01
  • メディア: 文庫




◎ 講談社文庫(12/15)から、次の1点。

・「青い鳥」 メーテルリンク作 江國香織訳
 → 2013年の絵本の文庫化。訳は江國香織! カラーの絵入りなら買い。


青い鳥 (講談社文庫)

青い鳥 (講談社文庫)

  • 作者: モーリス・メーテルリンク
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/12/15
  • メディア: 文庫




◎  角川ソフィア文庫(12/22)から、次の1点。

・「平治物語 現代語訳付き」
 → 姉妹編の「保元物語」が9月に出ている。セットで読みたい。買い。


平治物語 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)

平治物語 現代語訳付き (角川ソフィア文庫)

  • 作者: 日下 力
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA
  • 発売日: 2016/12/22
  • メディア: 文庫




◎ おまけ1。(岩波文庫11月の復刊)

 岩波文庫の「ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯」が復刊されました。
 16世紀のスペインで出た、悪漢小説の傑作です。

 この機会を逃したら、しばらくの間は買えなくなってしまうでしょう。
 ただし、キンドルでは0円。キンドルは、こういう古い名作に強い。

 ところで、「アエネーイス」は今年中には復刊されそうにありません。
 が、そのうちキンドルで0円で出るのではないかと見込んでいます。

 又は、2013年に出た新訳が、5年以内に文庫化されると考えています。
 どこの出版社が出すかと勝手に推測して、今から楽しみにしています。


◎ おまけ2。(海外ドラマ「戦争と平和」再放送決定!)

 10月から11月にNHKが放送した「戦争と平和」は、すばらしかった!
 イギリスで、時間とお金をかけて、とても丁寧に作られたドラマです。

 その「戦争と平和」(全8回)が、年末に集中的に再放送されます。
 再放送の予定は、以下の通りです。

 前半(第1回~第5回)が、12月25日0時15分~3時59分。
 後半(第6回~第8回)が、12月26日0時05分~2時18分。

 こういうドラマの放送は、NHKにしかできないことだと思います。
 再放送が決まって、本当にうれしいです。絶対オススメです 。

 ぜひ多くの人に見て欲しいです。たぶん私もまた見てしまうでしょう。
 ただし、これを見ると、民放のドラマがアホらしくなってしまいます。


◎ さいごに。(紅白にヒッキー登場)

 紅白歌合戦に宇多田ヒカルが生出演するという。久々に見てみたいです。
 ただし今年の紅白も、4時間半にわたってだらだらと放送されるらしい。

 私が見たいのはヒッキーだけ。録画してヒッキーだけ見ようか。
 しかし、それでは「生歌唱」の味わいが無くなってしまうし・・・


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史記・列伝1 [古代文学]

 「史記・列伝」 司馬遷著 小竹文夫・小竹武夫訳 (ちくま学芸文庫)


 列伝は、国に仕えて時代を動かした人物の一代記を、年代順にまとめたものです。
 ちくま学芸文庫から4分冊で出ています。1971年の訳です。


史記〈5〉―列伝〈1〉 (ちくま学芸文庫)

史記〈5〉―列伝〈1〉 (ちくま学芸文庫)

  • 作者: 司馬 遷
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1995/05
  • メディア: 文庫



史記〈6〉―列伝〈2〉 (ちくま学芸文庫)

史記〈6〉―列伝〈2〉 (ちくま学芸文庫)

  • 作者: 司馬 遷
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1995/06
  • メディア: 文庫



 史記は、本紀、表、書、世家、列伝から成っています。
 最後の列伝は全70巻です。史記の最も面白い部分だとも言われています。

 管仲と鮑叔(管鮑の交わり)、孫臏と龐涓の対決、勾践と夫差(臥薪嘗胆)、
 商鞅の変法、蘇秦と張儀(合従連衡)、孟嘗君とその食客(鶏鳴狗盗)・・・

 と、ちくま学芸文庫版「史記・列伝」の1巻目だけでも、見どころ満載です。
 読んでいて、「この話知ってる!」という、有名な逸話がたくさんありました。

 面白かったのは、蘇秦と張儀の二人の因縁です。
 高校時代の授業では、蘇秦の遊説の場面(合従策)だけしか学びませんでした。

 しかし、蘇秦の死後、その合従策を、旧友である張儀が連衡策で打ち破ります。
 そのことによって、張儀は秦の統一に、大きな貢献をしたのでした。

 恥ずかしながら、蘇秦の合従を学んで30年経た今、張儀の連衡策を知りました。
 それまで単独のエピソードだったものが、ようやく歴史の中でつながりました。

 そして、「史記・列伝」の2巻目に行くと・・・
 李斯、張耳と陳余、黥布、韓信、樊噲等、項羽と劉邦の戦いの英雄たちが登場!

 しかし、最も面白いのは、なんといっても「呂不韋」の巻です。
 こういうとんでもない悪党が、歴史を本当に面白くしてくれるのです。

 もともとは商人で、将来の投資のつもりで、秦王の子の「子楚」を支援しました。
 計略を用いて子楚を秦王の座に着かせ、自分の子を身ごもった女を譲って・・・

 私はてっきり、この始皇帝誕生秘話は、興味本位の伝承だと思っていました。
 まさか、正史である「史記」に、ここまではっきりと書いてあるとは!

 また、「李斯」の巻で存在感を示していたのは、李斯自身よりも「趙高」でした。
 その悪党ぶりは鮮やか。時代がこういう汚れ役を、求めていたのかもしれません。

 ところで、列伝は本紀よりも細切れになっていて、登場人物が多いです。
 似たような名前の人物が、次から次に現れて、色んな人物とつながっています。

 そのため、読んでいる途中で、頭の中がごちゃごちゃしてきました。
 再登場する人物については、何度も初出のページに戻って読み返しました。

 そういうわけで、少し読みにくくて、読み終わるまで時間がかかりました。
 邪道ですが、その巻を読む前に、ネット等で予備知識を仕入れた方がいいです。

 ちなみに私は、徳間文庫から出ている「史記小事典」を購入しました。
 邪道ですが、その「概要」をつかんで頭を整理してから、本文を読んでいます。


史記〈8〉『史記』小事典 (徳間文庫)

史記〈8〉『史記』小事典 (徳間文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2006/05
  • メディア: 文庫



 さいごに。(年賀状作成)

 2年前までは、娘のアップ写真を使って、私が一家の年賀状を作っていました。
 そんな「親バカ」年賀状は、妻から却下されて、今では別々に作成しています。

 郵便局の無料アプリ「はがきデザインキット」が、便利なので使っています。
 今年は娘も、自分だけの年賀状をデザインしていました。


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葡萄が目にしみる [日本の現代文学]

 「葡萄が目にしみる」 林真理子 (角川文庫)


 ブドウ作りの盛んな田舎町を舞台に、乃里子の思春期を描いた自伝的小説です。
 直木賞候補となった作品で、現在も角川文庫から出ているロングセラー本です。


葡萄が目にしみる (角川文庫)

葡萄が目にしみる (角川文庫)

  • 作者: 林 真理子
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1986/03
  • メディア: 文庫



 ブドウ農家の乃里子は、不美人で動作が鈍くて、あまりパッとしない女の子です。
 友だちから「メスカバちゃん」と呼ばれたりしていて、強い劣等感を持っています。

 一念発起して進学校に入ると、さまざまな個性ある男女と出会って・・・
 初恋の先輩保坂への淡い思い、ラグビー部のスター選手岩永に感じる恋心・・・

 この小説を読んだのは、今から20年近く前で、私は30歳ぐらいの頃でした。
 人生の一番良い時期が過ぎ去って、失われた青春を懐かしく思い出す時期です。

 「葡萄が目にしみる」は瑞々しくて少し切なくて、まったく期待通りの作品でした。
 今でも、女子を主人公にした青春小説の中では、最高の作品だと思っています。

 特に印象的だったのは第7章で、席替えの時に、岩永に啖呵を切る場面です。
 「あんた失礼だよ」と言って、相手をたじろがせたところまでは良かったが・・・

 彼らの不器用なやり取りの中に、青春期特有の純情さが見られるように思います。
 作品全体が飾らず素朴で、素直に分かりやすく書かれている点が、好感が持てます。

 そして、ラストの再会の場面! この場面が、じーんときます。
 かつて読んだときは、ここで涙が出そうになってしまいました。

 ところが、この場面が「甘すぎる」という批判があるらしいのです。
 確かにこの偶然は出来すぎてはいますが、でも、小説なんだからいいではないか!

 また読みたい小説です。そして、誰にでも自信をもっておススメできる小説です。
 ところで、作者の代表作は「不機嫌の果実」でしょうか。こちらは不倫小説です。

 NHKで「花子とアン」がやっていた頃、「白蓮れんれん」が話題になりました。
 しかし、私が気になっているのは「六条御息所源氏がたり」。いずれも未読です。


不機嫌な果実 (文春文庫)

不機嫌な果実 (文春文庫)

  • 作者: 林 真理子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2001/01/10
  • メディア: 文庫



白蓮れんれん (集英社文庫)

白蓮れんれん (集英社文庫)

  • 作者: 林 真理子
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2005/09/16
  • メディア: 文庫



六条御息所 源氏がたり 上 (小学館文庫)

六条御息所 源氏がたり 上 (小学館文庫)

  • 作者: 林 真理子
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2016/09/06
  • メディア: 文庫



 さいごに。(大学図書館)

 今年も、母校の大学祭に娘を連れて行きました。
 もう4年生なので、娘は友達と合流して、勝手に行動してくれました。

 そこで私は、大学図書館に入りました。なんと、27年ぶりです!
 学生の頃はよく昼寝をしに来ました。定年になったら勉強しに来たいです。

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群盗 [18世紀文学]

 「群盗」 シラー作 久保栄訳 (岩波文庫)


 盗賊団隊長となって社会の変革を目指す青年の、理想と苦悩を描いた戯曲です。
 ゲーテの「ウェルテル」と並んで、ドイツの疾風怒濤時代を代表する作品です。

 岩波文庫から2016年2月に復刊されました。手に入るのも今のうちです。
 1958年の訳なので、所々に分かりにくい箇所がありましたが、貴重な本です。


群盗 (岩波文庫)

群盗 (岩波文庫)

  • 作者: シラー
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1958/05/05
  • メディア: 文庫



 モオル伯爵の嫡男カアルは、自身の遊蕩を悔いて、父に手紙で謝罪しました。
 しかし父からの返事は、カアルを廃嫡するという、信じられない内容でした。

 実はそれは、相続を狙う弟フランツの計略だったのです。
 事情を知らないカアルは、盗賊団の隊長を引き受けてしまい・・・

 この作品には、疾風怒濤時代特有の、感情の高ぶりと過剰な熱気があります。
 だいたい、父親に勘当されたからって、盗賊団の隊長になったりするか?

 「世界を暴虐の行いによって洗い清め、法律を無法によって正そう」(P209)
 カアルの言っていることはムチャクチャです。ひとりよがりもはなはだしい。

 それに、この結末! 「なんで?!」と叫びたくなります。
 カアルの考えが理解できません。ヤケクソになったとしか思えません。

 とはいえ案外そういうところに、人間の本質が表れているのかもしれません。
 時として人は、理性では割り切れない不条理な感情に従ってしまうものです。

 さて、この劇は冒頭から、若きシラーの情熱が随所に見られます。
 古典主義を克服して新しい時代を作るんだ、という意気込みが見られます。

 「何んのざまだ! 何んのざまだ、このだれ切った、去勢された一世紀は。
 前の時代の仕事を反芻したり、古代の英雄を、下手な注釈で苦しめたり・・・」 

 実際、劇が初演されたとき、反響がすごくて失神した人が出たそうです。
 それは1782年でフランス革命の7年前です。当時最も過激な劇の一つでした。

 もしカアルが自首せず体制に反抗し続けたら、革命を起こせたかもしれません。
 そしておそらくこの戯曲も、フランス革命に大きな影響を与えたことでしょう。

 ところでシラーの作品は、一時代を築いたのに、文庫でほとんど出ていません。
 岩波の「ヴァレンシュタイン」も「オルレアンの少女」も絶版。悲しすぎ る!

 「ヴァレンシュタイン」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-06-18
 次はぜひ「ウィリアム・テル」と「たくみと恋」を復刊してほしい。

 さいごに。(修学旅行のピンチ?)

 今の校長先生は、修学旅行でディズニーに行く意味がないと、言っています。
 そこで、来年の修学旅行はディズニー無しではないかと、話題になっています。

 うちの娘は、来年5年生。再来年の修学旅行のことを今から心配しています。
 ディズニーに意味が無いということに同感ですが、でも行かせてあげたいです。

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史記1本紀 [古代文学]

 「史記」 司馬遷 (ちくま学芸文庫)


 本紀は、五帝から夏、殷、周、秦を経て、漢の武帝に至るまでの帝王の系譜です。
 前1世紀の武帝の時代に、司馬遷によって完成された、中国の最初の正史です。

 ちくま学芸文庫から出ています。1971年の「筑摩世界文学大系6・7」の訳です。
 注釈が文章の途中に(  )で挿入されているため、読みやすかったです。


史記〈1〉本紀 (ちくま学芸文庫)

史記〈1〉本紀 (ちくま学芸文庫)

  • 作者: 司馬 遷
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1995/04
  • メディア: 文庫



 本記は、皇帝や王など、天下を支配した者たちと、その時代を描いています。
 全12巻で、構成は以下の通りです。

 1 五帝(黄帝から禹まで) 2 夏 3 殷 4 周 5秦 6 始皇帝 
 7 項羽 8 高祖(劉邦) 9 呂后 10 文帝 11 景帝 12 武帝

 夏末、殷末、周末など、時代の変わり目の混乱期が、特に興味深かったです。
 全体的には、始皇帝の後半ぐらいから呂后までが、とても面白かったです。

 史記本紀のクライマックスは、なんといっても項羽と劉邦の戦いでしょう。
 秦を倒すためにともに戦いながら、最後は天下の支配を賭けて対決した二人!

 今から30年以上前に、高校の漢文の教科書を、ワクワクしながら読みました。
 当時は、負けると知っていながら、「項羽負けるな」と思っていました。

 かつて「項羽本紀」で読んだ場面を、今回は「高祖本記」からも読みました。
 両方の視点で読めるところが、紀伝体という記述法の良いところです。

 「項羽本紀」を読むと、項羽の敗因は、劉邦の卑劣さにあるように思えます。
 劉邦は約束を守らずに、東へ帰る項羽を背後から攻撃して、追い込みました。

 しかし「高祖本記」を読むと、項羽の敗因は、項羽自身にあるように思えます。
 項羽は敵の離間の計に引っかかり、参謀の范増を失って、勢いを失いました。

 范増は項羽にとって、重要な参謀である以上に、ツキを呼ぶ人物だったようです。
 項羽は范増に見放されると同時に、ツキにも見放されたのではないでしょうか。

 范増が出ていった時に、項羽の運命はほぼ決まったのだと思います。
 項羽は「天がわしを滅ぼそうとする」とか言っていますが、そんなことはない。

 項羽は優勢に立ちながら、傲慢で人心を得ることができず最後は敗北しました。
 欠点だらけの将軍ですが、しかし、なぜか、勝利者の劉邦よりもファンが多い。

 特に男子は項羽びいきです。強い男に憧れるから? でも結局彼は負けた!
 強いにもかかわらず負けてしまうからこそ、我々は惹かれるのかもしれません。

 さて、史記の中で最も面白いのが「列伝」だと言われています。
 列伝は、ちくま学芸文庫はもちろん、岩波文庫からも出ています。

 さいごに。(ごんぎつね)

 小学校4年の娘は、時々家で「ごんぎつね」を音読しています。懐かしい!
 私が小学校の頃、クラスみんなで泣きながら読んだことを思い出しました。

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すべての男は消耗品である。 [日本の現代文学]

 「すべての男は消耗品である。」 村上龍 (集英社文庫)


 主に男女について言いたい放題に言い放った、挑発的なエッセイ集です。
 バブル期に、某アダルト雑誌に連載され、多くのファンを獲得しました。


すべての男は消耗品である (集英社文庫)

すべての男は消耗品である (集英社文庫)

  • 作者: 村上 龍
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1993/09
  • メディア: 文庫



 この作品が出たのは、私がまだ大学生だった1980年代後半のことです。
 当時、村上龍の小説は読まないがエッセイは好きだ、という仲間が多かった。

 彼らが読んでいたのが、本書「すべての男は消耗品である。」でした。
 そして私も、彼ら同様イキがって、このエッセイを手にしたのでした。

 巻頭のエッセイから衝撃的でした。頭をガツンとやられた感じでした。
 誰も言わないことを遠慮なく言い、自信をもって断定するその文章ときたら!

 「デパートや遊園地に行くと、すげえ! と大声を出したくなるようなブスが、
 平気で結婚していて、子供なんか連れている。ブスとやる男もいるのだ。」

 当時、こういう文章をカッコイイと思っていました。なんとアサハカな!
 私は「限りなく透明に近いブルー」は投げ捨てたが、本書は愛読していました。

 まさにバブル期が生んだ文章です。あの時代特有の品の無さがあります。
 こういう文章をもてはやしてしまった、当時の私たちの罪は大きい(?)。

 しかし、それでもこのエッセイが、捨てがたい魅力を放っているのは確かです。
 それは、所々にキラキラときらめく、知的で鋭い発言が見られるからです。

 「制度というものは、あたりまえの話だが、嘘であり、幻想である。
 (中略)動物に比べて人間は不完全だから制度を確立したのだ。」

 この本を嫌いな人は、彼のこういう発言を、ハッタリだと言ったりします。
 しかし村上龍は、「共同幻想論」の吉本隆明と、対談をしたりもしています。

 現在は、NHKの番組にも出ていて、昔とだいぶイメージが変わりました。
 よく言えば、まっとうな人になった、悪く言えば、つまらない人になった・・・

 先日一家で「世界一受けたい授業」を見ていたら、村上龍が先生として登場し、
 日本の伝統文化について語っていて、「え? こんな人だっけ?」と思った。

 ちなみに、うちにあるのは角川文庫版です。現在は集英社文庫から出ています。
 絶版にならずに文庫化され続けています。時代を超えた魅力があるのでしょう。

 さいごに。(宇多田ヒカルと尾白川渓谷)

 サントリー天然水のCMがすばらしい。宇多田ヒカルが歩くのは尾白川渓谷です。
 昨年の夏と一昨年の夏、一家で水遊びに行きました。水が美しい素敵な所です。

 そして、宇多田ヒカルが歌う「道」は、聴いたら忘れられません。感動モノです。
 胸を打つメロディー、切ない歌声、そして、亡き母に捧げた味わい深い歌詞!

 「私の心の中にあなたがいる いついかなるときも 
 どこへ続くかまだ分からぬ道でも きっとそこにあなたがいる」・・・泣けます。

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69 [日本の現代文学]

 「69(sixty nine)」 村上龍 (文春文庫・集英社文庫)


 高校3年生の男子の、エネルギッシュでパワー全開の青春を描いた小説です。
 自伝的小説です。作者が青春を謳歌した1969年の出来事として書かれました。


69 sixty nine (文春文庫)

69 sixty nine (文春文庫)

  • 作者: 村上 龍
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2007/08
  • メディア: 文庫



69 sixty nine (集英社文庫)

69 sixty nine (集英社文庫)

  • 作者: 村上 龍
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2013/06/26
  • メディア: 文庫



 1969年。学生運動が盛んで、若者たちのエネルギーに満ち満ちていた時代。
 佐世保北高校3年の僕は、何かでっかいことをやりたくてうずうずしています。

 ある時、親友アダマと一緒に、学校のバリケード封鎖を計画しました。
 その目的は、学校のマドンナ松井和子の気をひきたいためでしたが・・・

 明るく陽気で、軽やかで楽しく、テキトーで行き当たりばったりな青春像です。
 「限りなく透明に近いブルー」と違い過ぎて、良い意味で戸惑ってしまいます。

 作品自体がポップで、所々に拡大文字が使われていて、目で見て楽しめます。
 あるページを開くと、「ウンコです」という文が目に飛び込んできます!

 漏れそうだ、というナカムラに、「あそこの上でしてこい」と僕は言いました。
 僕がそのとき、指さした場所は・・・

 1969年の「僕」は何もかもがきらめき、どんなバカなこともできました。
 あれは、二度と戻れない黄金の時代です。はるか昔に過ぎ去った日々です。

 痛快な場面を読んで、大笑いしながらも、妙に懐かしく、切なくなってきます。
 ただ笑うだけで終わりません。随所にとても味わい深い場面があります。

 村上龍の小説を一つだけ勧めるとしたら、迷わずこの「69」です。
 2004年には妻夫木聡を主演に映画化されて、その映画も高く評価されました。


69 sixty nine [DVD]

69 sixty nine [DVD]

  • 出版社/メーカー: 東映
  • メディア: DVD



 ついでながら私は、村上龍の代表作の一つ「五分後の世界」も読みました。
 平行世界に迷い込んだ男が見たのは、第二次大戦を継続する日本の姿で・・・

 現代の日本に対する批判とメッセージが強烈すぎて、読んでいて疲れました。
 とても面白い設定だと思いましたが、私はその内容についていけませんでした。


五分後の世界 (幻冬舎文庫)

五分後の世界 (幻冬舎文庫)

  • 作者: 村上 龍
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 1997/04
  • メディア: 文庫



 さいごに。(この時期故障するプリンター)

 妻と年賀状のことを相談し始めたらテキメン! プリンターが故障しました。
 昨年もこの時期にインクを検知しなくなり、インクを取り換えて解決しました。

 インクは純正ではありません。純正が3800円、純正以外は1000円以下なので。
 純正のインクを1200円ぐらいにしてくれれば、みんな純正を使うと思うのだが。

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聖なる酔っぱらいの伝説 [20世紀ドイツ文学]

 「聖なる酔っぱらいの伝説」 ロート作 池内紀訳 (岩波文庫)


 タイトル作は、ある紳士に200フラン恵まれた酔っぱらいの、不思議な物語です。
 デビュー作「蜘蛛の巣」から遺作のタイトル作まで、全5編収録の作品集です。

 以前白水Uブックスから出ていましたが、現在は岩波文庫に入っています。
 池内紀氏の訳は、軽やかなリズムがあって分かりやすく、読みやすかったです。


聖なる酔っぱらいの伝説 他四篇 (岩波文庫)

聖なる酔っぱらいの伝説 他四篇 (岩波文庫)

  • 作者: ヨーゼフ・ロート
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2013/04/17
  • メディア: 文庫



 タイトル作「聖なる酔っぱらいの伝説」は、ロートが死ぬ直前に書いた短編です。
 セーヌ川の橋の下に住むアンドレアスは、ある日金持ちの紳士に出会いました。

 「二百フランを受け取ってもらえないものだろうか。」
 はからずも大金を手に入れたアンドレアスは、この時から急にツキはじめました。

 安酒場では割のいい仕事をもらい、買った財布にはお金が入っていて・・・
 昔の女に会い、旧友に会い、美しい踊り子に会い、そしてテレーズに会って・・・

 「願わくは、かくも軽やかな、かくも美しい死をめぐみたまえ!」
 という言葉で作品を締めくくってから間もなく、ロート自身も天に召されました。

 軽やかなのに、しみじみしていて、楽しいのに、もの悲しい、独特の味わいです。
 パリに行きたくなります。この本をもってセーヌ河畔を歩いてみたいです。

 といっても、パリなんかには行けないので、せめて映画だけでも見てみたい。
 1988年のイタリア映画「聖なる酔っぱらいの伝説」は、評判が良いようです。

 他の三つの短編もみな、しみじみとした味わいがある、叙情豊かな作品です。
 中でも「皇帝の胸像」では、作者のオーストリアに対する郷愁が伝わってきます。

 「まことの祖国、つまり、『祖国喪失者』にも祖国であるような、唯一ありうる
 祖国、他民族国家のオーストリア君主国は、まさしくそのような国だった。」

 常にはみ出し者のユダヤ人にとって、そこは安心できる国だったようです。
 ロートは生涯、崩壊したオーストリアを、懐かしく思い出していたそうです。

 「蜘蛛の巣」はデビュー作で、過激な民族主義に走る青年を描いた中編です。
 ナチスの台頭とヒトラーの独裁を先取りして描いた異色の作品です。

 「ナチ党は熱気をはらんでいた。興奮につつまれていた。つぎつぎと人びとが
 馳せ参じる。」「ヒトラーは一つの『危険』そのものだった。」(P87~P88)

 これが書かれたのは1923年。ヒトラーが頭角をあらわすかなり前のことです。
 のちにこの作品を読み返した人々は、その予見的な内容に驚いたといいます。

 さて、代表作「ラデツキー行進曲」は、岩波文庫から上下二分冊で出ています。
 いつ絶版になるか分からない(?)ので、機会があればぜひ読んでおきたいです。


ラデツキー行進曲(上) (岩波文庫)

ラデツキー行進曲(上) (岩波文庫)

  • 作者: ヨーゼフ・ロート
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2014/07/17
  • メディア: 文庫



 さいごに。(セブンブリッジ)

 娘にセブンブリッジを教えてもらいました。娘は学校の先生に教わったとのこと。
 休み時間に先生も含めてやっているとか。娘はかなり強い方なのだそうです。

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アレクサンドロス大王東征記 [古代文学]

 「アレクサンドロス大王東征記」 アッリアノス著 大牟田章訳 (岩波文庫)


 紀元前4世紀のマケドニアの英雄アレクサンドロス3世の、東方遠征の記録です。
 500年ほど後の紀元後2世紀に、当時の記録を参考にしてまとめた一級の資料です。

 岩波文庫から上下二分冊で出ています。上下とも訳注が約100ページ付いています。
 上巻には年譜と東征の地図があり、下巻には「インド誌」と解説と索引があります。


アレクサンドロス大王東征記〈上〉―付インド誌 (岩波文庫)

アレクサンドロス大王東征記〈上〉―付インド誌 (岩波文庫)

  • 作者: フラウィオス アッリアノス
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2001/06/15
  • メディア: 文庫



 アキレウスのイリオンでの活躍は、ホメロスによって広く伝えられました。
 しかし、アレクサンドロスについては、散文でも記されず韻文でも歌われていない。

 だから、自分が執筆する気になったのだと、アッリアノスは本書で述べています。
 アッリアノスは古代ローマのギリシア人政治家で、執政官にもなった人物です。

 前336年に父王が暗殺されると、二十歳のアレクサンドロス3世が後を継ぎました。
 彼はペルシア遠征の統帥権を継承し、紀元前334年に東方遠征に出発しました。

 グラニコス河の合戦、ハリカルナッソス攻略戦、イッソスの合戦、テュロス攻囲戦、
 ガザ攻略戦、ガウガメラの合戦、ペルシア滅亡、そしてインドへ・・・

 ペルシアを滅亡させ、地の果てインドまで征服したアレクサンドロス3世。
 彼はいかに進軍し、いかに相手を撃破したか? 軍事についての記述が詳しいです。

 しかし、ゴルディオスの結び目、親友クレオンの殺害、将軍パルメニオンの暗殺、
 故郷への帰還決定、大王の死の場面等、戦い以外のエピソードも面白かったです。

 たとえば、インド人哲学者による教えのエピソード。
 彼らはアレクサンドロスに、地面をトントン踏んで見せたが、その意味は・・・

 そして、随所でアレクサンドロスの生の声を聴けるのも、本書の魅力の一つです。
 厭世気分に陥った指揮官たちに、彼は言います。(第5巻)

 「輝かしい大業はまさしく艱難辛苦し危険をおかす者たちの手によってこそ、成就する
 のだ。武勇に生き不滅の誉れを後の世に遺して死ぬこそ、悦ぶべきことではないか。」

 さて、上巻には地図が付いていたので、進路をたどりながら読むことができました。
 地図のおかげでイメージがとても鮮明になりました。下巻にも付けてほしかったです。

 また、地図以上にありがたかったのが、目次における簡単な説明です。
 初めに全体のイメージを作るときや、読み返すときに、とても役に立ちました。

 アッリアノスとほぼ同じ時期に、タキトゥスは「年代記」「同時代史」を書きました。
 岩波文庫やちくま学芸文庫から出ています。


年代記〈上〉ティベリウス帝からネロ帝へ (岩波文庫)

年代記〈上〉ティベリウス帝からネロ帝へ (岩波文庫)

  • 作者: タキトゥス
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1981/03/16
  • メディア: 文庫



同時代史 (ちくま学芸文庫)

同時代史 (ちくま学芸文庫)

  • 作者: タキトゥス
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2012/03
  • メディア: 文庫



 さいごに。(河口湖大池公園のイチョウ)

 河口湖大池公園では、イチョウの黄葉が見られました。
 とてもきれいでした。富士山が出ているともっと良かったのですが。

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太陽の季節 [日本の現代文学]

 「太陽の季節」 石原慎太郎 (新潮文庫)

 無軌道な生活を送る富裕層の青年の、歪んだ心とすさんだ行動を描いています。
 登場人物の倫理観が問題視されながらも、芥川賞を受賞しました。


太陽の季節 (新潮文庫)

太陽の季節 (新潮文庫)

  • 作者: 石原 慎太郎
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1957/08/07
  • メディア: 文庫



 主人公の竜哉(たつや)は、ボクシングに熱中している富裕層の青年です。
 あるとき英子に出会い、彼女に自分と似た点を見出して、惹かれていきます。

 ヨットのデートで二人は急接近し、退屈を紛らすように遊びにふけります。
 しかし竜也は英子を愛しながらも、うとましく思うようになっていきました。

 竜哉は、自分の兄に英子を売り渡し・・・
 やがて、英子の体には異変が生じるが、竜哉は煮え切らない態度で・・・

 「女、取引き、喧嘩、恐喝と彼等の悪徳が追求される題材は限りが無い。
 それは決して、若気の至りなどと言うものではないのだ。」(P35)

 「人々が彼等を非難する土台となす大人たちのモラルこそ、実は彼等が
 激しく嫌悪し、無意識に壊そうとしているものなのだ。」(P36)

 竜哉には全く共感できません。こいつは悪党です。最低最悪の男です。
 大人たちのモラルを壊すって? とんでもない、逃げているだけじゃないか!

 大人の社会は気に入らない、でもどうにもならない、だから非行に走る。
 まるで、大きな駄々っ子。あげくに英子を死なせてしまう・・・

 最後の捨てゼリフが情けない。「貴方達には何もわかりゃしないんだ」だと。
 甘ったれるんじゃないよ! 分かるわけがないだろ!

 こういうクズ野郎を恥ずかしげもなく描いた所に、この作品の価値があります。
 そして、太陽族というアホ集団を生んだほど、社会への影響力がありました。

 芥川賞の選考会で、吉田健一は次のようにこの作品を酷評したのだそうです。
 「体格は立派だが頭は痴呆の青年の生態を胸くそが悪くなるほど克明に描写した作品」

 まったくそのとおり!
 だからこそ、胸くそ悪いのを楽しみながら、読むべき作品だと私は思います。

 当時話題になったあの障子の場面(P40)は、バカバカしいが味わい深いです。
 真似した人も多いのではないでしょうか。懐かしの名場面でしょう。

 新潮文庫版では、デビュー作「灰色の教室」等4つの短編も収録されています。
 私は「太陽の季節」だけは、読んで損のない作品だと思いました。

 さいごに。(紅葉にはやや早い)

 先日の土日に、西湖と河口湖に紅葉を見に行きましたが、少し早かったです。
 それでも、所々できれいな紅葉に出会い、心が癒されました。

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 天気はずっと曇りでした。しかし一瞬だけ雲が途切れて富士山が見えました。

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