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お目出たき人 [日本の近代文学]

 「お目出たき人」 武者小路実篤 (新潮文庫)


 ある若くて美しいに女性に一方的に片思いし、失恋していくまでの物語です。
 作中の「自分」と同じ26歳の時の作品で、武者小路実篤の初期の代表作です。


お目出たき人 (新潮文庫)

お目出たき人 (新潮文庫)

  • 作者: 武者小路 実篤
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1999/12/27
  • メディア: 文庫



 「自分は女に餓(う)えている。」
 「自分」は26歳。以前近所に住んでいた可憐な女を、一方的に愛しています。

 女の名前は「鶴」。恋するようになったのは、もう5年も前のことです。
 しかしその間、一度も言葉を交わしたことがありません。

 だからこそ「鶴」の存在は、「自分」の中でどんどん理想化されていきます。
 そして二人が結婚することが、「鶴」にとっても幸せだと確信するに至ります。

 最初に人を立てて求婚したとき、ほとんどうまくいくと思っていましたが・・・
 次に求婚したときも・・・そして三度目の求婚は・・・

 武者小路といえば「友情」。それしか知らなかった私に、この作品を勧めてくれ
 たのは、ある読書仲間です。彼曰く、「ツッコミどころ満載で笑えるよ」と。

 「鶴」を知って5年というけど、5年前「鶴」はまだ13歳ではないか。
 「鶴」も自分のことを好いているはずだというけど、勝手に妄想されてもねえ。

 自分と結婚しなければ、やけを起こして自殺しまいかと心配するし。(アホか)
 「汝、彼女と結婚せよ」という神秘の黙示を感じているし。(ヘンタイか)

 「鶴に会いに行く」と言って、鶴の通う学校に偵察に行くし。(小学生か)
 やってることがみみっちいのに、「自分は勇士だ」とか言ってるし。(笑)

 中でも終盤、電車で偶然「鶴」と顔を合わせた場面は傑作です。
 「二人は夫婦になる運命を荷って生まれてきたのだ。」(!)

 自意識過剰で、自分に都合の良いことしか考えられない「お目出たき人」!
 しかし、こういう妄想を含めて、主人公の「自分」が可愛く思えてきます。

 ドストエフスキーの「地下室の手記」に通じるものを感じてしまいました。
 「地下室の手記」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2014-11-16

 余談ですが、10年前に美しい男を愛した、という気になる記述もありました。
 武者小路の実体験を踏まえているのでしょうか? 気になります。

 さて、武者小路実篤の晩年の代表作が「真理先生」です。
 この機会に「真理先生」も読んでおきたいです。


真理先生 (新潮文庫)

真理先生 (新潮文庫)

  • 作者: 武者小路 実篤
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1952/07/02
  • メディア: 文庫



 さいごに。(アコーディオンのオーディション)

 一昨日、音楽発表会の特別楽器のオーディションがありました。
 うちの娘は、学年で4人のアコーディオンの枠を狙って、合格しました。

 希望者は5人だけだったというけど、本当に良かったです。
 ただし、本番は平日の午後。見に行くことはできません。(見たかった!)

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U3

 まともじゃない変人・奇人・変態でなければ小説にはなりにくいと当時の作家は思っていたのでしょうか、そう言えば私小説のハシリとも言える田山花袋の有名な「蒲団」もかなり変態度が高いです。
by U3 (2018-06-16 16:33) 

ike-pyon

U3さん、コメントありがとうございます。
「蒲団」の時雄、いいですねえ。
「蒲団」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-01-13
by ike-pyon (2018-06-16 20:36) 

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