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海に住む少女 [20世紀フランス文学]

 「海に住む少女」 シュペルヴィエル作 永田千奈訳 (古典新訳文庫)


 「海に住む少女」「ノアの箱舟」など、幻想的で美しい短編を10作集めたものです。
 シュペルヴィエルを訳者は、「フランス版宮沢賢治」という言葉で表現しています。

 古典新訳文庫から2006年に出ています。訳は分かりやすかったです。
 収録された10編の作品は、いずれも20ページほどなので読みやすいです。


海に住む少女 (光文社古典新訳文庫)

海に住む少女 (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: シュペルヴィエル
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2006/10/12
  • メディア: 文庫



 水深6000メートルの大西洋の真ん中に町があり、たった1人の少女が住んでいます。
 その近くを貨物船が通った時、少女が初めて発した叫び声は・・・

 その町は何なのか? どのように作られたのか? 少女はなぜ海に住んでいるのか?
 幻想的で美しく、どこか切なくて、そして深く考えさせられる作品です。

 この作品の終盤は、私には衝撃的でした。
 この1篇のために、この本を買って良かったと思いました。

 そのほか不思議な話ばかりです。牛の視点で見たイエス誕生、パロディ版ノアの箱舟、
 溺死体のその後の物語、死後の世界に住む影たち、バイオリンの声を持つ少女・・・

 「訳者あとがき」では、シュペルヴィエルを「フランス版宮沢賢治」と呼んでいます。
 何気ない物語の中に、ハッとする言葉を散りばめているところが、賢治に似ています。

 「人々が道を行き交います。彼らはいつも、きちんとした理由があって、街のある地
 点から別の地点へと向かっているのでしょうか。」(P174)

 「牛乳とお椀」は、わずか3ページの小品です。
 しかし、この最後のページの2行によって、とても鮮烈な印象を残します。

 ところで、正直に言って、「何が言いたいの?」と思ってしまう作品もありました。
 次の物語はどう鑑賞すればいいのか? 好き嫌いが分かれる作品だと思いました。

 たとえば「ラニ」。こんな終わり方でいいのか?
 たとえば「競馬の続き」。こんな終わり方はないだろう。

 今回、初めてのシュペルヴィエル体験でした。
 古典新訳文庫からは、同じ永田訳で、「ひとさらい」も出ています。


ひとさらい (光文社古典新訳文庫)

ひとさらい (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: ジュール シュペルヴィエル
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2013/11/08
  • メディア: 文庫



 さいごに。(小数点の割り算でショック)

 娘の算数では、小数点の割り算をやっていて、私が時々答え合わせをします。
 「9.8 ÷ 0.6」という問題があって、娘の答えは「16あまり0.2」でした。

 「ちがうだろ、あまりは2だろ」と、私。でも、娘の答えが正解でした。
 小学5年生の問題が解けなくなってしまったなんて。ショック!

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