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新生 [中世文学]

 「新生」 ダンテ・アリギエーリ作 平川祐弘訳 (河出文庫)


 永遠の女性ベアトリーチェへの愛と、その死に対する悲しみを綴った詩文集です。
 若い頃に書いた詩31編と、その説明文で構成されています。1293年頃の作品です。

 2012年に河出書房新社から単行本で出て、2015年7月に河出文庫に入りました。
 とても分かりやすい、画期的な訳だと思います。また、註が充実しています。


新生 (河出文庫)

新生 (河出文庫)

  • 作者: ダンテ
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2015/07/04
  • メディア: 文庫



 「わたしの記憶の書物には『ココニ新シキ生は始マル』と朱で特筆された章がある。」
 第1章に書かれていますが、これはダンテの「新しき生」について記したものです。

 ダンテ・アリギエーリは9歳の時、ベアトリーチェという9歳の少女と出会いました。
 それ以後、ベアトリーチェの面影は、ダンテの念頭を離れなくなりました。

 それから9年後、18歳の最後の日に、ダンテはベアトリーチェと邂逅しました。
 しかも彼女は、ダンテの前を過ぎていくとき、いかにも上品に会釈をしたのです。

 ダンテはひそかに彼女を「あえかなる君」と呼んで、ひそかに愛し始めました。
 数年後、ベアトリーチェは、はかなく天に召され、ダンテの苦しみが始まり・・・

 「この苦しみは死にいたる道ーー苦しみを晴らすためには、わたしには
 ほかに手立てはない、泣きつつ語るしかない。ーー」(P161) 

 ダンテは苦しみをやわらげるために、詩の中でベアトリーチェを描きました。
 そして、詩の中にありながらベアトリーチェは、ダンテ自身の心を癒したのです。

 こうしてベアトリーチェは、生前にも増して、圧倒的な存在感を獲得しました。
 彼女はもう「あえかなる君」ではなく、永遠に生きる女神となったのです。

 この「新生」を読んでいると、そういったことが、ぞくぞくするほど分かります。
 まるでダンテになったかのように、彼の恋と悲しみを再体験することができます。

 ベアトリーチェは他の男と結婚しましたが、ダンテは生涯彼女を愛し続けました。
 のちにダンテは「神曲」でベアトリーチェを登場させ、彼女を神格化させました。

 さて以前、ある文学全集の「新生」を読んだら、難解で、すぐに投げ出しました。
 しかしこの河出文庫版は、「新生」を身近にする画期的な名訳だと私は思います。

 また同じ河出文庫から、「デカメロン」の新訳も出ていて、こちらも読みやすい。
 ボッカッチョは、ダンテの半世紀後に生まれ、ダンテの作品に心酔しました。


デカメロン 上 (河出文庫)

デカメロン 上 (河出文庫)

  • 作者: ジョヴァンニ ボッカッチョ
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2017/03/07
  • メディア: 文庫



 さいごに。(ケガばかり)

 50歳の記念に、競技会に出たいと思っているのですが、脚を傷めてばかりいます。
 東海マスターズも筋膜炎で棄権。無理せず、まずケガを完治させようと思います。

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