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江分利満氏の優雅な生活 [日本の近代文学]

 「江分利満氏の優雅な生活」 山口瞳 (新潮文庫)


 昭和の典型的なサラリーマンの、平凡な日常をそのまま描いた小説です。
 「婦人画報」に連載された出世作で、1963年に直木賞を受賞しました。

 私が読んだのは新潮文庫版ですが、現在はちくま文庫から出ています。
 このブログにおける( )内のページは、全て新潮文庫版のものです。


江分利満氏の優雅な生活 (ちくま文庫)

江分利満氏の優雅な生活 (ちくま文庫)

  • 作者: 山口 瞳
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2009/11/10
  • メディア: 文庫



 江分利満(エブリマン)は、どこにでもいそうなサラリーマンです。
 東西電気の宣伝部員で、30代半ばの男。妻と息子の3人家族です。

 ストーリーらしきものは無く、平凡な日常生活が淡々とつづられています。
 書き方はエッセイ風で、書きたいことを書きたいように書いています。

 「まずパンツは、3枚百円の『気軽パンツ』である。なぜ気軽かというと、
 前後がないのであって、つまり、前とか後ろとかを気にしないで気軽に穿く
 ことができるからである。2枚の白い布を合せてゴムをつけただけであるか
 ら、前後を反対に穿くことはあり得ない。」(P43)

 時代を感じます。昭和30年代には、そういうパンツがあったのですね。
 想像するだけで面白いのですが、同時にどことなく悲しい感じがします。

 この、面白くてどこか悲しい味わいが、この小説全体を貫く特徴です。
 この味わいは、「戦後は終っていない」という所からきているようです。

 特に、江分利満の父親が、戦後の悲しみを体現しています。
 戦争成金の父は、空襲で全てを失い、戦後は莫大な借金を抱えました。

 生活費はツケにしてくれと、返すあてもないのに、息子にそう言う父親。
 「いろいろ有難う」の章は、笑えるやら、泣けるやら・・・

 「問題は七転八起のどこで終ったかだけではないのか。運と非運とだけで
 はないのか。」(P134)という、考えさせられるような言葉もあります。

 さて山口瞳といえば、10年ほど前に「礼儀作法入門」が話題になりました。
 「男性自身」もファンが多い。彼の文の魅力はエッセイでも発揮されました。


礼儀作法入門 (新潮文庫)

礼儀作法入門 (新潮文庫)

  • 作者: 山口 瞳
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2000/03/29
  • メディア: 文庫



山口瞳「男性自身」傑作選 中年篇 (新潮文庫)

山口瞳「男性自身」傑作選 中年篇 (新潮文庫)

  • 作者: 山口 瞳
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2003/05/28
  • メディア: 文庫



 さいごに。(寒い中、見回りに出動)

 連日不審者が出没しています。いずれも露出狂で、どうやら同一人物らしい。
 小学校の先生や地域の安全委員らが、児童の下校時間に見回りをしています。

 うちのママさんも、今週はこの寒さの中、2時間ほど見回りに出ています。
 1人のヘンタイのせいでこんなことになるとは。そう考えると腹立たしい!

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