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風が強く吹いている [日本の現代文学]

 「風が強く吹いている」 三浦しをん (新潮文庫)


 素人ばかりの寄せ集め陸上部員たちが、箱根駅伝で頂点を目指す物語です。
 2007年本屋大賞の3位に入り、コミックや映画にもなりました。


風が強く吹いている (新潮文庫)

風が強く吹いている (新潮文庫)

  • 作者: 三浦 しをん
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2009/06/27
  • メディア: 文庫



 ある日、清瀬灰二は蔵原走(かける)と出会い、同じ下宿を紹介しました。
 そこに住むのは、同じ寛政大学に籍を置く、個性あふれる学生たちでした。

 清瀬は、走を入れて10人になった下宿人を一堂に集めて、宣言しました。
 『俺たちみんなで、頂点を目指そう』『目指すは箱根駅伝だ』・・・

 ここまで読んで「なんじゃこれ」と思いました。「箱根を知らんのか」と。
 「5000mを17分」とか軽々しく言ってるし。「陸上を知らんのか」。

 ところがところが、アマゾンのレビューを読んでみると・・・
 箱根を走った人や、目指していた人が、この小説を絶賛しているのです!

 そこで私は、騙されたつもりで読み進めました。
 すると不思議と、「これもありかな」と思えてきたのです。

 やがて設定の無謀さなど気にならなくなるくらい、物語に没入しました。
 箱根の場面では、手に汗握り、何度も涙しそうになりながら読みました。

 わずか10人のチームが、予選会を突破して、箱根駅伝に出場する。
 しかも、そのうち8人はずぶのシロウトで・・・

 ありえない。でももし本当に、こんなチームがあったら!
 我々は、寛政大学のメンバーたちに、夢とロマンを見たのだと思います。

 物語の所々で、印象的な言葉に出会いました。
 こういう言葉は、綿密な取材をしなくては、なかなか出てきません。

 「これはなんて原始的で、孤独なスポーツなんだろう。だれも彼らを支える
 ことはできない。・・・あのひとたちはいま、たった一人で、体の機能を全
 部使って走り続けている。」(P306)

 「たとえ俺が一位になったとしても、自分に負けたと感じれば、それは勝利
 ではない。タイムや順位など、試合ごとにめまぐるしく入れ替わるんだ。・・
 ・そんなものではなく、変わらない理想や目標が自分のなかにあるからこそ、
 俺たちは走りつづけられるんじゃないのか」(P327)

 作者は、選手のことを、よく分かっているではないか!
 走がゾーンに入るところなどは、読んでいてしびれました!

 ただし、ひとつ欲を言えば、榊との和解の場面がほしかったです。
 最後まで東体大の榊は、器の小さいつまらない選手として描かれています。

 もし榊の苦悩と成長が少しでも入っていたら、更に味わい深くなったはず。
 私には榊の悔しさが分かる気がするし、それほど悪い奴には思えないです。

 さて、今年の箱根も数々のドラマと感動がありました。
 調子が悪くて泣きながら走る選手、たすきをつないで倒れ込んでいる選手。

 その中で、往路&総合優勝した青山学院大学はさすがです。
 また、地元出身の選手が出ると、ついつい応援に力が入ってしまいました。

 私はこれまでに、三浦しをんの小説を、ほかにも二つ紹介しました。
 しかし「強い風が吹いている」こそが、彼女を代表する傑作だと思います。

 「まほろ駅前多田便利軒」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2016-04-08
 「舟を編む」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2015-12-25

 余談ですが、この小説を読むと、走るとはどういうことか知りたくなります。
 そこで衝動買いしたのが、「走ることについて語るときに僕の語ること」。


走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)

走ることについて語るときに僕の語ること (文春文庫)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2010/06/10
  • メディア: ペーパーバック



 村上春樹は、マラソンに凝っていることでも知られています。
 彼がどんなことを語ってくれるのか、とても楽しみです。

 さいごに。(今日から学校)

 娘は今日から登校です。私も今日から出勤です。お正月休みもおしまい。
 ゆうべは、娘と私と二人してブルーになっていました。

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