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イリアス2 [古代文学]

 「イリアス(下)」 ホメロス作 松平千秋訳 (岩波文庫)

 (今回はネタばれが多めです)

 アキレウスとヘクトルの一騎打ちを中心に、トロイア戦争の終盤を描いています。
 岩波文庫から出ています。訳は1992年で、比較的新しいため、読みやすいです。


イリアス〈下〉 (岩波文庫)

イリアス〈下〉 (岩波文庫)

  • 作者: ホメロス
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1992/09/16
  • メディア: 文庫



 ヘクトルは、アポロン神の加護を受けて、獅子奮迅の活躍をしています。
 しかしそれも、アキレウスによって討たれる運命への、前奏曲のようなもの。

 アキレウスは、とうとう奮起して、トロイア軍を散々に蹴散らしています。
 それでも、この戦争で命を落とす運命は、まったく変えようがありません。

 そしていよいよ、トロイア第一の英雄と、ギリシア第一の英雄の一騎撃ち。
 ヘクトル目指して、アキレウスは猛然と向かっていきますが・・・

 もしアキレウスがいつまでもへそを曲げていれば、どうだったでしょうか。
 おそらく自身もヘクトルも助かったはずです。物語はつまらなくなりますが。

 ところがここで、アキレウスの戦友パトロクロスが、重要な役割を果たします。
 パトロクロスは、いかにしてアキレウスの目を覚ましたか?

 パトロクロスによって、アキレウスの気持ちが変わり、運命も変わります。
 そして、戦況までも全く変わりますが、これも神々の計画のうちです。

 死を免れないと知っていながら、戦いを選ぶ英雄、ヘクトルとアキレウス。
 神々に翻弄される二人の運命に、「死すべき人間」の悲哀を感じます。

 さて、「イリアス」は文句なく、最古にして最高のギリシア叙事詩です。
 ただし長すぎます。忙しい現代人には、退屈する場面がけっこうあります。

 たとえば、人間たちの必死な戦闘の合間に、神々がちょこちょこ現れます。
 引っ込んでいろ、と言いたい。第十八歌や第二十歌は無くてもいいでしょう。

 また人間界でも、第二十三歌の葬送競技の場面は、無い方がいい気がします。
 第二歌の軍船の表もいらないでしょう。普通、読み飛ばしますから。

 逆に、馬が人語でアキレウスの運命を予告する場面は、まさに絶妙です。
 また、第六歌の武具の交換の場面は、その後の運命も含めて、味わい深いです。

 下巻の巻末には、ヘロドトスが書いたと言われる「ホメロス伝」が付いています。
 真偽は分からないものの、興味深い資料なのでとてもありがたいです。

 私は個人的に、アイネイアスのその後が気になります。
 トロイア陥落後、武将でただ一人生き残り、トロイア再建に努めました。

 そしてのちに、ローマ建国にも関わったことになっています。
 しかし、ウェルギリウスの叙事詩「アイネイアス」は、絶版で手に入りません。


アエネーイス (上) (岩波文庫)

アエネーイス (上) (岩波文庫)

  • 作者: ウェルギリウス
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1997/03
  • メディア: 文庫



 「イリアス」を読んだら、次は「オデュッセイア」に進むというのが王道です。
 「オデュッセイア」も、幸い岩波文庫から出ています。


ホメロス オデュッセイア〈上〉 (岩波文庫)

ホメロス オデュッセイア〈上〉 (岩波文庫)

  • 作者: ホメロス
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1994/09/16
  • メディア: 文庫



 さいごに。(熊本地震)

 私の下の妹は、4月に夫婦で熊本に住み始めたばかりでした。
 ほとんど知り合いもいない中で、いきなりこの地震。とても心配です。

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