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命売ります [日本の近代文学]

 「命売ります」 三島由紀夫 (ちくま文庫)


 自殺に失敗して命を売りに出した青年の、異常な体験を描いた荒唐無稽な小説です。
 自決の2年前に「週刊プレイボーイ」に連載された、娯楽的な読み物です。

 ちくま文庫から出ています。
 なぜか今年2015年に突然ベストセラーになり、話題になりました。


命売ります (ちくま文庫)

命売ります (ちくま文庫)

  • 作者: 三島 由紀夫
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 1998/02
  • メディア: 文庫



 物語は、27歳の山田羽仁男(はにお)が、自殺に失敗する所から始まります。
 死にきれなかった羽仁男は、新聞の求職欄に広告を出しました。

 「命売ります。お好きな目的にお使い下さい。」
 あくる日の朝、さっそく買い手が現れて・・・

 驚くようなアイディア。軽快な展開。この小説が話題になる理由が分かります。
 しかし、三島らしくない。私の三島のイメージは、大きく揺さぶられました。

 恋愛小説の要素も、ミステリ小説の要素も、ホラー小説の要素も入っています。
 ただしどれも中途半端で、全体はバラバラでまとまりのないように思いました。

 読者の中には、この小説を傑作のように言う人がいます。でも、どうだろうか。
 あまりにも通俗的すぎるのではないか。とはいえ、興味深い作品ではあります。

 羽仁男の自殺のきっかけは、新聞の活字がみなゴキブリに見えたことです。
 つまり、世の中の出来事は全て、ゴキブリ同様に意味がない、ということか。

 そこに、三島の晩年の心境が現れている気がします。
 そういう点で、本当に興味深い作品です。

 「人生が無意味で、人間がただの人形にすぎないことを、あなた方は百も承知
 の筈でしょう。」(P76)という羽仁男の言葉に、三島の心境が見え隠れします。

 しかし、私にとっての三島由紀夫は、「春の雪」に象徴されます。
 とっつきにくいが、しだいに中毒になってくるあの文体。あれこそ三島ですよ。


春の雪―豊饒の海・第一巻 (新潮文庫)

春の雪―豊饒の海・第一巻 (新潮文庫)

  • 作者: 三島 由紀夫
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2002/10
  • メディア: ペーパーバック



 さいごに。(小学校は最終日)

 娘の小学校は、今日が、今年の最終日。明日から冬休みです。
 今日だけは、とてもうれしそうに登校しました。

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