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万葉の人びと [日本の古典文学]

 「万葉の人びと」 犬養孝 (新潮文庫)


 万葉時代の人びとを中心に、万葉集の名歌を易しく解説したエッセイです。
 昭和48年にNHKで放送された原稿で、語り口がとても親しみやすいです。

 かつて新潮文庫から出ていましたが、現在は残念ながら絶版です。
 私の手元にある本は、平成元年の22刷で、ぼろぼろになってしまいました。


万葉の人びと (新潮文庫)

万葉の人びと (新潮文庫)

  • 作者: 犬養 孝
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1981/12/25
  • メディア: 文庫



 有間、額田、大海人、大津、持統、人麻呂、黒人、赤人、旅人、憶良、家持。
 万葉時代を代表する歌人たちにスポットを当てて、その歌の魅力に迫ります。

 有名どころは全て網羅していますが、中でも私のお気に入りは有間皇子です。
 いかにして謀反は仕組まれ、いかにして有間皇子ははめられたか?

 「磐代(いわしろ)の浜松が枝を引き結び真幸(まさき)くあらばまた還り見む」
 悲劇の背景を知っているからこそ、この歌は痛切に響きます。

 有間皇子と並んで痛ましいのが、大津皇子の悲劇です。
 「百(もも)伝ふ磐余(いわれ)の池に鳴く鴨を今日のみ見てや雲隠りなむ」

 大津皇子が葬られたと言われる二上山は、若い頃に登る機会がありました。
 山頂の大津皇子の墓にお参りして、胸がいっぱいになったのを思い出します。

 社会人3年目頃、私は「万葉の人びと」によって、万葉集にのめりこみました。
 この本を持って、万葉の人びとを探すかのように、奈良を歩き回りました。

 当時、ユースホステルで知り合った人が、二上山登山を勧めてくれたのです。
 「二上山はそのうち国で管理されるから、登れるのは今のうちだけだよ」と。

 しかし現在でも、何の不都合もなく、二上山登山はできるようです。
 騙された? とんでもない! 登るよう仕向けてくれたことに感謝しています。

 あのとき登らなかったら、登るチャンスは永遠に来なかったかもしれません。
 今となっては、自分だけで奈良へ出かけるなんて、とてもできませんから。

 さて、著者の犬養孝は、万葉集の魅力を多くの人々に伝えてくれました。
 万葉集を愛し、その歌を、独特の節回しで歌うことでも知られています。

 では、どんな節回しなのか? なんと、ユーチューブで聞くことができました。
 故・犬養孝(1998年没)の節回しと語り口調が聞けて、涙・涙・涙。



 万葉集の歌を、その時代の中へ置き、その風土の中へ置いて解釈する。
 この音声を聞くと、そういう犬養孝のこだわりが、よく分かります。

 著者の類書に、「万葉十二ヶ月」や「万葉のいぶき」などもあります。
 これら「犬養万葉三部作」は、昔も今も私の愛読書です。(現在絶版)


万葉十二ヵ月 (新潮文庫)

万葉十二ヵ月 (新潮文庫)

  • 作者: 犬養 孝
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1986/07
  • メディア: 文庫



万葉のいぶき (新潮文庫)

万葉のいぶき (新潮文庫)

  • 作者: 犬養 孝
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1983/06/25
  • メディア: 文庫



 またこの3冊を持って、自由気ままに旅をしたいなあ・・・
 犬養孝の言うように、その風土の中で、万葉集を味わいたいです。

 さいごに。(アルバム作り)

 沖縄旅行から帰って、はや10日。沖縄旅行はもう終わった? いいえ!
 毎日少しずつ写真の整理をして、沖縄旅行を楽しみ続けています。

 現在は、コンピュータで、機械まかせでアルバムが作れるという。
 なんともったいない! 自分でやるからこそ、アルバム作りは楽しいのに。

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中国文学について [歴史・哲学等]

 中国文学について


 今年は中国の古典文学を読み進めようと思っています。
 しかし愚かにも、私は四大奇書を読めばそれでOKだと思っていました。

 「中国文学入門」と「中国文学講話」を読み、読むべき作品の多さに驚きました。
 「詩経」「遊仙窟」「捜神記」「西廂記」「儒林外史」「聊斎志異」・・・・・


中国文学入門 (講談社学術文庫)

中国文学入門 (講談社学術文庫)

  • 作者: 吉川 幸次郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1976/06/07
  • メディア: 文庫



中国文学講話 (岩波新書)

中国文学講話 (岩波新書)

  • 作者: 倉石武四郎
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2013/06/01
  • メディア: 新書



 高校の漢文の授業で学んだのは、論語と史記と唐詩だけだったような気がします。
 だから、中国の小説といっても、四大奇書ぐらいしか思い浮かびませんでした。
 (中国四大奇書=「水滸伝」「三国志演義」「西遊記」「金瓶梅」)

 しかし、それは私が知らなかっただけ。本当は、読むべき作品が非常に多いです。
 その中でも、今年ぜひ読みたい作品を、時代順に挙げてみました。

 【先秦】 =「詩経」、「論語」、「春秋左氏伝」
 【漢】  =「史記」(あと「世家編のみ」)
 【南北朝】=「文選」、「捜神記」
 【唐】  =「唐詩選」(編集は明時代)、「遊仙窟」
 【元】  =「十八史略」、「西廂記」
 【明】  =「水滸伝」、「三国志演義」、「西遊記」、「金瓶梅」、「封神演義」
 【清】  =「儒林外史」、「紅楼夢」、「聊斎志異」
 【近代】 =魯迅の作品

 問題は、これらの作品をどの本で読むか、です。
 新訳で読むか、あえて旧訳で読むか。全訳で読むか、あえて抄訳で読むか。

 訳が色々あり過ぎて、どの本でよむべきか迷うものもあります。
 しかし困るのは、現在絶版で手に入らない作品たちです。

 「捜神記」は、岡本綺堂の「中国怪奇小説集」で読める範囲で読むしかないです。
 「遊仙窟」は絶版。いかにして手に入れるかが問題。

 「西廂記」は、絶望的です。「儒林外史」も、絶望的です。ああ・・・
 これらは、図書館で読むか、ネットで要約でがまんするか。

 さて、岩波新書の「中国の五大小説(上・下)」も、気になっています。
 五大小説とは、「三国志演義」「西遊記」「水滸伝」「金瓶梅」「紅楼夢」。


中国の五大小説〈上〉三国志演義・西遊記 (岩波新書)

中国の五大小説〈上〉三国志演義・西遊記 (岩波新書)

  • 作者: 井波 律子
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2008/04/22
  • メディア: 新書



 さいごに。(最大のアクシデント)

 沖縄旅行の最大のアクシデントは、4日目、知念岬で画像が全て失われたことです。
 あれは悪夢だった! カメラの操作法を誤って、全画像消去をしてしまったのです。

 肩を落として斎場御嶽(せーふぁうたき)という霊場へ・・・
 そこで娘が何か祈っていました。

 あとで聞くと、「パパの画像が戻りますように」と祈っていたとのこと。(涙)
 そのおかげか、帰宅してから復元ソフトを試したら、6割ほどが回復しました。

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(中城城跡=なかぐすくじょうせき)この画像も一度は消去されたものです。

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中国文学入門 [歴史・哲学等]

 「中国文学入門」 吉川幸次郎 (講談社学術文庫)


 表題作は、世界文学史の視点から、中国文学を平易に解説した入門書です。
 1951年(昭和26年)に出て、現在まで読まれ続けている名著です。


中国文学入門 (講談社学術文庫)

中国文学入門 (講談社学術文庫)

  • 作者: 吉川 幸次郎
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1976/06/07
  • メディア: 文庫



 西洋において発展した叙事詩は、中国においてはあまり発展しませんでした。
 叙事詩に代わって、叙情詩が重視されたことが、中国文学の大きな特徴です。

 紀元前5世紀に、孔子が中国最古の詩編「詩経」を教科書として使いました。
 その後、詩に親しむのは紳士のたしなみと、考えられるようになりました。

 隋の時代に始まった科挙では、詩賦が試験科目に入るようにさえなりました。
 唐の時代に、国力が最盛期に入ると同時に、唐詩も最盛期を迎えました・・・

 というように、中国文学の歴史を、ざっくりと分かりやすく解説しています。
 また、世界文学との比較から、中国文学の特徴を浮き彫りにしています。

 「西洋の考えかたは、その源となりますヘブライズムにしましても、ギリシャに
 しましても、それぞれ人間に対立する世界として、神の世界なりイデアの世界と
 いうふうなものを設定して、そこに人間の理想を求める。」

 「しかし、中国人の考え方はそうではありません。少なくともその最も有力な思想
 は、無神論の立場にあります。(中略)人間そのものの中に、人間の道理はある。」

 なるほど。とても刺激的な指摘が、随所に散らばっています。
 このような指摘ができるのは、よほど多くの著作を読んだからでしょう。

 この本には表題作「中国文学入門」のほか、6本の短い論文が収録されています。
 中でも「一つの中国文学史」と「中国文学の四時期」は、表題作を補っています。

 ただし、大きな流れをとらえていますが、個々の作品に対する言及は少ないです。
 それを補ってくれるのが、岩波新書「中国文学講話」です。


中国文学講話 (岩波新書)

中国文学講話 (岩波新書)

  • 作者: 倉石武四郎
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2013/06/01
  • メディア: 新書



 この本も古く、初版が1968年に出ましたが、現在も読まれ続けています。
 講話の形式なので、著者が語りかけてくるようで、親しみやすい本です。

 9章「奇をつたえる」では、「柳毅伝」や「鶯鶯伝」などマイナーな作品の
 内容が、とても詳細に語られています。こういう部分は貴重だと思います。

 できれば、「中国文学史概説」みたいな本が、文庫本で出るといいのだけど。
 今年は中国と日本の古典を読み進めていく予定なので。

 さいごに。(斎場御嶽)

 沖縄最大のパワースポットが、斎場御嶽(せーふぁうたき)です。
 このような霊場が、いたるところにあって、興味深かったです。

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「リアル鬼ごっこ」ほか、計3冊 [日本の現代文学]

 「リアル鬼ごっこ」 山田悠介 (幻冬舎文庫)
 「ちょっと今から仕事やめてくる」 北川恵海 (メディアワークス文庫)
 「猫とともに去りぬ」 ロダーリ (光文社古典新訳文庫)


 「リアル鬼ごっこ」は、捕まると殺されるリアルな鬼ごっこを描いた作品です。
 無名の青年の自費出版でありながら、大ヒットして映画やゲームになりました。


リアル鬼ごっこ (幻冬舎文庫)

リアル鬼ごっこ (幻冬舎文庫)

  • 作者: 山田 悠介
  • 出版社/メーカー: 幻冬舎
  • 発売日: 2004/04/10
  • メディア: 文庫



 西暦3000年。若き王は、自分と同じ佐藤姓を減らすためある手段を思いつく。
 それがリアル鬼ごっこ。鬼に捕まった佐藤さんは、実際に殺されるのです。

 若きスプリンター佐藤翼は、生き別れた妹を探しながら、逃げ切ろうと・・・
 最終日の7日目、追い詰められた翼に、何があったのか? 驚くべき結末!

 私はこの本を、友人から、「これもまた陸上部モノだ」と紹介されました。
 思っていた内容と、まったく違いましたが、とても楽しんで読めました。

 ところがアマゾンでの評価はとても悪いです。
 若い作家特有の、少しつたない文章のせいのようです。

 しかし、「本当に殺される鬼ごっこ」という発想は、すごいと思いました。
 本作品の魅力が、解説では次のように、とてもうまく表現されています。

 「フィクションでありながら、どこかで皆が予感している〈足元の床が突然
 抜け落ちる感じ〉を敏感に察知して描いている。」(P309)

 さて、年末年始のお休みで、ほかにもいくつか、軽い本を読みました。
 その1冊が、「ちょっと今から仕事やめてくる」。映画にもなった作品です。


ちょっと今から仕事やめてくる (メディアワークス文庫)

ちょっと今から仕事やめてくる (メディアワークス文庫)

  • 作者: 北川恵海
  • 出版社/メーカー: KADOKAWA/アスキー・メディアワークス
  • 発売日: 2015/02/25
  • メディア: 文庫



 この本もまた、内容が想像とだいぶ違いました。
 タイトルと違って、主人公は、なかなか仕事を辞めません。

 主人公に、見当違いの努力をしているような、もやもやを感じました。
 また、ヤマモトという男は、存在感が無さすぎて、しっくりきませんでした。

 ところが、福士蒼汰主演の映画は、なかなか評判が良いらしいのです。
 もしTVで放映されることがあったら、見るかもしれません。

 もう1冊、ロダーリの「猫とともに去りぬ」も軽い気持ちで読んだ作品です。
 表題作ほか、全16編のファンタジー短編小説集です。


猫とともに去りぬ (光文社古典新訳文庫)

猫とともに去りぬ (光文社古典新訳文庫)

  • 作者: ジャンニ ロダーリ
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2006/09/07
  • メディア: 文庫



 表題作「猫とともに去りぬ」は、わずか15ページながら印象的な作品です。
 アントニオ氏が、アルジェンティーナ広場の鉄柵を越えると・・・

 実に面白い。「そんなばかな!」と口に出したくなる展開です。
 それでいて、しみじみとした悲哀が感じられました。愛すべき作品です。

 しかし、その他の作品は、ばかばかしすぎて受け入れられませんでした。
 目覚めたら前日になっていた、魚になった家族、バイクと結婚する男・・・

 これをユーモアというのか? たわごとを並べているだけなのではないか?
 どのように味わうべきなのか分からず、途中で投げ出してしまいました。

 さいごに。(鍾乳洞と洞窟カフェ)

 沖縄旅行で一番印象に残ったのは、おきなわワールドの玉泉洞です。
 日本一と言われる通り、壮大で幻想的で美しく、別世界のようでした。

 その近くの、ガンガラーの谷の洞窟内の「ケイブカフェ」も良かったです。
 まさか日本で、洞窟カフェに入れるとは思っていませんでした。

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敦煌 [日本の近代文学]

 「敦煌」 井上靖 (新潮文庫)


 宋の時代、漢の男が西夏に向かい、敦煌に経典を残すまでの経緯を描いた物語です。
 井上靖の西域ものの代表作で、1988年に日中合作で映画化されて評判になりました。


敦煌 (新潮文庫)

敦煌 (新潮文庫)

  • 作者: 井上 靖
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1965/06/30
  • メディア: 文庫



 時は西暦1000年代、中国の北宋時代に、超行徳は科挙のため都に上りました。
 30代の優秀な男でしたが、居眠りをしている間に試験が終わってしまいました。

 その帰りに市場で、全裸の女が、切り売りされそうになる所に出くわしました。
 死を目の前にして微動だにしない女。業徳は思わず女を買い取って助けました。

 それが西夏の女で、西夏文字が書かれた布を渡され、行徳の人生が転換します。
 隊商に紛れて西夏へ向けて出発し、行徳の冒険が始まりました。

 砂漠の戦闘、漢人部隊への編入、朱王礼との出会い、ウイグル女との出会い・・・
 西夏の都への留学、朱王礼との再会、そして、ウイグル女との再会と悲劇・・・

 今回は再読です。この作品が映画化された大学時代に、最初に読みました。
 その時も今回も、地名や人名にてこずって、読むのに時間がかかりました。

 しかし、文章は簡潔でありながら味わい深く、時間をかけて読むべき作品です。
 きっと作者も、丹念に資料を調べ、語句を推敲し、時間をかけて書いたと思います。

 さて、今回再読して、行徳のウイグル女に対する心情には矛盾を感じました。
 (それほど女の境遇が気になるのなら、さっさと甘州に戻るべきだっただろ!)

 一時、彼女のことを忘れておいて、今さらやきもきしたって、仕方ないでしょう。
 行徳自身も言うとおり、彼は約束を破ったのです。ひどいのは行徳の方です。

 この辺りに感じるもやもやは、映画ではうまく脚色され、解消されているようです。
 また、ウイグル女の行動も、ドラマティックに変えられているとのこと。

 なお、この映画は日中合作映画として大々的に宣伝され、大きな話題となりました。
 興行成績もよく、日本アカデミー賞もとりました。一回は見ておきたいです。

 小説「敦煌」に話は戻りますが、西域の記述がとても詳細な点が特徴だと思います。
 作者が描きたかったのは、西域を中心にした歴史のうねりだったのかもしれません。

 「併し、一つの民族が永久にこの土地を征服していることはできない。吐蕃が去った
 ように、西夏もまたいつかは去るだろう。その時、そのあとにはわれわれの子孫が雑
 草のような残り方で残っているだろう。」(P179)

 「敦煌」を再読したいきおいで、「敦煌ものがたり」という本も買いました。
 絶版のため、古本を購入しました。ああ、敦煌に行きたい。莫高窟を見たい。


敦煌ものがたり (とんぼの本)

敦煌ものがたり (とんぼの本)

  • 作者: 東山 健吾
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1989/05
  • メディア: 単行本



 この本には、敦煌の歴史だけでなく、敦煌の宝物流出の歴史も書かれています。
 20世紀初頭に敦煌文書が発見されたことは、敦煌にとって良かったのかどうか?

 「蔵経洞が発見されて、その秘宝が国外に散逸する憂き目を見るが、そのことに
 よって敦煌が世界に知られることになるとは、なんと皮肉なことであろう。」

 さいごに。(明日帰ります)

 現在、沖縄旅行4日目を楽しんでいるはずです。
 ちなみに、今日の記事は、予約投稿をしておきました。

 予定では、明日おみやげを買って帰ることになっています。
 雪塩のちんすこうを、たくさん買って持ち帰りたいです。

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天平の甍 [日本の近代文学]

 「天平の甍」 井上靖 (新潮文庫)


 754年に鑑真を招請した、日本人留学生たちの姿を描いた傑作歴史小説です。
 井上靖の代表作で、映画にもなっています。新潮文庫から出ています。


天平の甍 (新潮文庫)

天平の甍 (新潮文庫)

  • 作者: 井上 靖
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1964/03/20
  • メディア: 文庫



 732年の第9遣唐使の中に、留学僧の普照と栄叡(ようえい)がいました。
 2人は、戒律を行う僧を日本に招請するという使命を、担っていました。

 無事に中国に着き、洛陽に入り、留学生としての生活が始まりました。
 一方で、戒律師としてふさわしい人物を探しますが・・・

 鑑真ファン、唐招提寺ファン、仏教ファンにはたまらない小説です。
 私は特に、鑑真が登場する場面から、一気にテンションが上がりました。

 「法のためである。たとえ渺漫(びょうまん)たる蒼海(そうかい)が
 隔てようと生命を惜しむべきではあるまい。」(P73)

 鑑真、サイコーです。この小説の最大の魅力は、鑑真に会えることです。
 5度の試みに失敗し、失明しながらも、我が国にやってきた鑑真!

 ちなみに、鑑真和上像は、私のお気に入りの仏像のひとつです。
 2008年に県立美術館に来た時は、幼かった娘を連れて見に行きました。

 「不思議だ。ただ見ているだけで、心が満たされてくる。」
 キャッチフレーズどおりでした。いつまでも像から離れられなかった。

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 唐招提寺もまた、私の大好きなお寺のひとつです。
 大学時代に、青春十八きっぷを使って、何度訪れたことか。

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 ところが小説では、脇役の留学僧たちに、スポットが当たっています。
 鑑真招請に人生をかける栄叡と普照、経典の収集に人生をかける業行・・・

 「われわれはいま海の底へ沈めてしまうだけのために、いたずらに知識を
 搔き集めているのかも知れない。」(P52)

 作者はむしろ、留学僧たちのそういう虚しさを描きたかったのではないか。
 特に、業行の壮絶な運命は、強烈に心に残りました。

 さて、井上靖の中国歴史ものでは、「敦煌」もまた有名です。
 敦煌の莫高窟から発見された文献に関わる、歴史ロマンです。


敦煌 (新潮文庫)

敦煌 (新潮文庫)

  • 作者: 井上 靖
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1965/06/30
  • メディア: 文庫



 さいごに。(今年もよろしくお願いします)

 新年、おめでとうございます。今年もよろしくお願いします。
 今日から家族で、4泊の旅行に行きます。初めての沖縄です。

 私的には、首里城とその周辺の散策が、最大の楽しみです。
 娘は、アメリカ村で、大きなパフェを食べる事が楽しみとのこと。

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2018年1月発売の気になる文庫本 [来月発売の気になる文庫本]

◎ 2018年1月発売予定の文庫本で、気になるものを独断で紹介します。
  データは、出版社やamazonの、HPやメルマガを参考にしています。

・1/12 「水滸伝5」 (講談社学術文庫)
 → 講談社学術は日本と中国の古典が充実している。読みやすい井波訳。買い。

・1/17 「文選 詩編1」 (岩波文庫)
 → 中国文学ファン必読の書だが、これまで文庫では読めなかった。買い。

・1/18 「封神演義 後編」 (集英社文庫)
 → 読みやすく編集し直した抄訳版。以前出ていた本の新版か。気になる。


◎ 恒例、2017年、私が読んだ文庫本ベスト5。
  今年初めて読んだ本だけを対象にします。

1位 「デカメロン」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-07-01
            http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-08-04
            http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-09-10
    読み始めたら止まらなくなる、傑作短編小説集です。
    下ネタ豊富。今年読んだ本で、ダントツで面白かった作品です。

2位 「古代からの伝言」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-05-23
              http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-05-26
    日本書紀の小説版で、これも読み始めたら止まりません。
    手に汗を握りながら、読み進めました。

3位 「アーサー王ロマンス」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-02-13
    アーサー王伝説はロマンチックで、読んでいて楽しかったです。

4位 「消しゴム」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-02-01
    先が気になって、夢中になって読み進めた本です。

5位 「なんて素敵にジャパネスク」
   → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-04-17
    吉野の君のことが気になって・・・コミック版は家族3人で読みました。


◎ 2017年、登場人物のベスト1
  今年読んだ作品の登場人物の中で、最も印象に残ったのは?

  「なんて素敵にジャパネスク」の瑠璃姫です。説明は不要でしょう。
  4月~5月は、瑠璃姫一色だったような気がします。


◎ おまけ(ティラン・ロ・ブラン)

  2017年中に、岩波文庫から出た「ティラン・ロ・ブラン」を読む予定でした。
  これは、「ドン・キホーテ」が、絶賛している作品です。

  全4冊の大作です。しかし、読むのをまったく忘れていました。
  2018年には絶対に読みたいと思っています。読むべき本が、どんどん増える!


ティラン・ロ・ブラン 1 (岩波文庫)

ティラン・ロ・ブラン 1 (岩波文庫)

  • 作者: J.マルトゥレイ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2016/10/19
  • メディア: 文庫



 ◎ さいごに。(今年もありがとうございました)

 今年も多くの方に、このブログを読んでいただきました。
 とても励みになっています。本当にありがとうございました。

 さて、2017年はブログを始めて8年目でした。
 いつのまにか、記事も1000近くになっていました。

 ブログを始めたばかりの頃、娘は3歳で、会話が成り立ちませんでした。
 しかし、最近は本について話すことさえできます。

 娘が今読んでいるのは、児童版の「南総里見八犬伝」です。
 時々娘に、話の内容を教えてもらったりしているんですよ。


南総里見八犬伝(一) 運命の仲間 (講談社青い鳥文庫)

南総里見八犬伝(一) 運命の仲間 (講談社青い鳥文庫)

  • 作者: 時海 結以
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2016/05/13
  • メディア: 新書



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中世文学のベスト20の候補2 [中世文学]

 「文学全集 第Ⅷ集 中世編」


 前回、中世文学の候補を11点、次のように選びました。
 中世文学のベスト20の候補 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-12-26

 9世紀頃イスラム「アラビアン・ナイト」(選集)●
 1000年頃英「ベーオウルフ」●
 11世紀仏・12世紀後半仏「ローランの歌 狐物語(選集)」●
 1205年頃独「ニーベルンゲンの歌」●
 1207年頃西「エル・シードの歌」●
 1308年頃伊「神曲」●
 1353年伊「デカメロン」●
 14世紀英「カンタベリー物語」●
 15世紀後半英「アーサー王の死」(選集)●
 1534年1532年仏「ガルガンチュア」と「パンタグリュエル」●
 1581年伊「エルサレム解放」●

 以上11点には、東洋の文学が含まれていません。
 今後、中国文学と日本文学を加えて、中世編を完成させたいです。

 さて、中世はローマ世界が崩壊し、ゲルマン世界が繁栄し始めた時代です。
 その過程で、ヨーロッパという世界が、でき上がっていきました。

 古代のギリシア・ローマ文学が、修道院の中に閉じ込められた一方で、
 伊・英・仏・独・西等で文化が発展し、独自の文学が生み出されました。

 中世を通して、西洋では、ローマから諸国に、文化が広がっていきました。
 それと並行して、東洋では、中国から諸国に、文化が広がっていきました。

 中世はまた、中国を中心にしながら、周辺世界が繁栄し始めた時代です。
 その過程で、アジアという世界が、でき上っていきました。

 そして、東洋における重要な文学的事件が、日本文学の誕生だと思います。
 中国の影響下で独自の発展をし、平安時代には最盛期を迎えました。

 以上のようなイメージを、私は持っています。
 中世文学で、中国と日本の文学作品は、大きな位置を占めているはずです。

 よって、「文学全集 第Ⅷ集 中世編」の半数は、東洋文学から選びます。
 来年(2018年)は、中世の中国と日本の文学を、読み進める予定です。

 たとえば次作品は、絶対に読みたいと考えています。
 以下、中世編ベスト20の候補となる作品たちです。

 【中国文学】
 「遊仙窟」「唐詩選」「十八史略」
 「水滸伝」「三国志演義」「西遊記」「金瓶梅」

 【日本文学】
 「万葉集(選集)」「古今和歌集」「枕草子」「源氏物語(林望訳)」
 「今昔物語集」「大鏡」「平家物語」「太平記」「徒然草」

 さいごに。(100分de名著「ソラリス」)

 今月のNHK「100分de名著」は、「ソラリス」がテーマです。
 この番組でSFを扱うのは初めてのことでしたが、非常に面白かった。

 私ひとりで見ていましたが、途中から妻と娘も加わり、3人で見ました。
 ハヤカワ文庫から出ているので、さっそく買って読みたいです。


ソラリス (ハヤカワ文庫SF)

ソラリス (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: スタニスワフ・レム
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2015/04/08
  • メディア: 文庫



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中世文学のベスト20の候補 [中世文学]

 「文学全集 第Ⅷ集 中世編」


 ここ数日、仕事がいろいろと忙しくて、更新ができませんでした。
 気がついたら、2017年も終わろうとしていますので、恒例の年末企画です。

 文庫本で自分だけの文学全集をそろえることが、私のライフワークです。
 例によって独断と偏見で、第Ⅷ集の中世編を考えていきたいと思います。

 ここでは中世の範囲を、5世紀から16世紀までとしています。
 つまり、ルネサンス文学を、中世文学の中に含んでいます。

 賛否両論あると思いますが、私は便宜上、とりあえずそうしています。
 中世文学の区分は難しく、どのように捉えるべきかまだ検討中です。

 さて、「文学全集」の第Ⅰ集から第Ⅵ集は、すでに完成しています。
 以下のページを参照してください。

 第Ⅰ集「19世紀フランス編」(20作)・2010年
 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2010-10-23
 第Ⅱ集「19世紀イギリス編」(20作)・2011年
 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-08-04
 第Ⅲ集「19世紀ロシア編」(20作)・・2012年
 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2012-12-22
 第Ⅳ集「19世紀ドイツ北欧編」(20作)2013年
 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2013-11-09
 第Ⅴ集「19世紀アメリカ編」(10作)・2014年
 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2014-08-06-1
 第Ⅵ集「18世紀編」(10作)・・・・・2015年
 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2015-09-25-2
 第Ⅶ集「古代編」(20作)・・・・・・・2016年
 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2016-12-27

 まず、中世文学で取り上げた作品を、年代順にリストアップします。
 解説本や、二次創作は省きました。今年はあまり読めませんでした。
 (●印は採用候補作品)

 9世紀頃イスラム「アラビアン・ナイト」(選集)●
 1000年頃英「ベーオウルフ」●
 11世紀頃イスラム「ルバイヤート」
 11世紀仏・12世紀後半仏「ローランの歌 狐物語(選集)」●
 12世紀末頃露「イーゴリ遠征物語」
 1205年頃独「ニーベルンゲンの歌」●
 1207年頃西「エル・シードの歌」●
 1293年頃伊「新生」
 1308年頃伊「神曲」●
 13世紀?氷「エッダ グレティルのサガ」(選集)
 13世紀?氷「ウォルスング家の物語」
 1353年伊「デカメロン」●
 14世紀英「カンタベリー物語」●
 1400年頃仏「結婚十五の歓び」
 1464年頃仏「ピエール・パトラン先生」
 15世紀独「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」
 15世紀後半英「アーサー王の死」(選集)●
 1511年蘭「痴愚神礼讃」
 1532年伊「君主論」
 1534年1532年仏「ガルガンチュア」と「パンタグリュエル」●
 1581年伊「エルサレム解放」●
 16世紀西「ラサリーリョ・デ・トルメスの生涯」

 この中で絶対に外せないのは、「ベーオウルフ」「ローランの歌」
 「ニーベルンゲンの歌」「エル・シードの歌」の四大叙事詩です。

 まさにこれらの英雄叙事詩が、中世の文学を代表しているからです。
 同じ理由で、騎士物語の代表「アーサー王の死」も外せません。

 また、イスラム文学の集大成「アラビアン・ナイト」も外せません。
 あれほど栄えたイスラムの文学が、一つだけというのは寂しいですが。

 「神曲」「デカメロン」「カンタベリー物語」「ガルガンチュア」
 「エルサレム解放」は、ルネサンス文学の代表なので、外せません。

 以上、11作品は中世編に必要不可欠の作品だと考えています。
 しかし、20作品には全然足りないではないか。あと9作品は?

 実は、中国と日本の作品を入れる予定でした。
 ところが、転勤によって急に忙しくなり、予定が大幅に遅れたのです。

 そういうわけで、中国文学と日本文学は、2018年に持ち越します。
 そのへんの事情については、また次回に。
 
 さいごに。(意外にスゴかった)

 娘の絵がジュニア県展で銅賞になったとき、たいしたことないと思いました。
 が、県内の小中生が皆参加し、学校代表が3648点も出品されたというのです。

 その入選作3648点から更に選ばれた189点が、金・銀・銅になったと言います。
 考えてみればスゴイことでした。我流で描いて、よく選ばれたものです。

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パンタグリュエル [中世文学]

 「パンタグリュエル」 ラブレー作 宮下志朗訳 (ちくま文庫)


 巨人パンタグリュエルと奇人パニュルジュの活躍を描いた、荒唐無稽な物語です。
 1532年に、「第一之書ガルガンチュア」に先んじて書かれました。

 ちくま文庫から出ていて、分かりやすい訳でしたが、現在は絶版です。
 当時のベストセラー「ガルガンチュワ年代記」の訳も収録されていてお得です。


パンタグリュエル―ガルガンチュアとパンタグリュエル〈2〉 (ちくま文庫)

パンタグリュエル―ガルガンチュアとパンタグリュエル〈2〉 (ちくま文庫)

  • 作者: フランソワ ラブレー
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2006/02/01
  • メディア: 文庫



 パンタグリュエルの誕生、その幼年時代、パリ遊学、パニュルジュとの出会い、
 パニュルジュの物語、他国との戦争と勝利、パンタグリュエルの口の中の世界。

 というように、「ガルガンチュア物語」と同じパターンで書かれています。
 文章も相変わらず「た〇きん、た〇きん」と、お下劣言葉の見本市のようです。

 お下劣なのに、教会や修道士に対する批判の書として、有難がられてきました。
 もちろん宗教界からの風当たりはきつくて、禁書に指定されてしまいました。

 でも、ラブレーは本当に、社会批判の意識を持っていたのだろうか?
 内容がバカバカしすぎて、そんな高尚な志があったとは、とても思えません。

 ラブレーは、自分の楽しみのためだけに、バカ話を書いていたのではないか?
 彼はただ「た〇きん、た〇きん」と、書き散らしたかっただけなのではないか?

 たとえば、第15章でパニュルジュが語る婆さんネタは、ただただキモイ。
 読者を気持ち悪がらせて喜ぶ、ラブレーの悪趣味が垣間見えてしまいます。

 その一方で、第32章のように、とてつもない想像力に感心する部分もあります。
 作者アルコフリパスが、パンタグリュエルの口の中に入ると・・・

 巨人の口の中に、別世界があるという発想がすごいです。
 古典知識の引用部分ではなく、こういう部分にこそ文学的価値があると思います。

 さて、ちくま文庫版には、「ガルガンチュア大年代記」も収録されています。
 当時大流行した物語で、ラブレーが本書を書くきっかけになった作品です。

 ちなみに、「第三の書」が本書のあとに続きますが、読まなくていいようです。
 読んで面白いのは、「第一の書」と「第二の書」だけ、という通説があるらしい。


第三の書―ガルガンチュアとパンタグリュエル〈3〉 (ちくま文庫)

第三の書―ガルガンチュアとパンタグリュエル〈3〉 (ちくま文庫)

  • 作者: フランソワ ラブレー
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2007/09/10
  • メディア: 文庫



 さいごに。(健康体は2人だけ)

 陸上仲間の忘年会がありました。集まったのは6人。皆、現在も活動中です。
 しかし、ひざを故障しているのが2人(うち1人は私)、腰の故障が2人。

 さらに、心臓の病気で来られなかったのが1人。健康体はわずか2人です。
 ここ数年で、みな次々と50代に入り、次々とどこかを傷めているのです。

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