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フェッセンデンの宇宙 [20世紀アメリカ文学]

 「フェッセンデンの宇宙」 E・ハミルトン作 中村融訳 (河出文庫)


 人工宇宙モノの傑作であるタイトル作など、全12編収録のSF短編集です。
 わが国に多大な影響を及ぼした、1930年代の作品を中心に選出しています。

 2012年に河出文庫から出ました。訳は2004年で、分かりやすかったです。
 タイトル作については、異なる二つのバージョンが収められています。


フェッセンデンの宇宙 (河出文庫)

フェッセンデンの宇宙 (河出文庫)

  • 作者: エドモンド・ハミルトン
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2012/09/05
  • メディア: 文庫



 タイトルの「フェッセンデンの宇宙」は、SFファン必読の古典的名作です。
 1961年に改変版が日本に紹介されると、とても大きな反響がありました。

 「実験室のなかに宇宙を創ったんだ。何百万もの太陽、何千万もの世界を
 そなえた宇宙を」・・・ブラッドリーは、その宇宙を見せられますが・・・

 フェッセンデンは、その小さな宇宙を、いかにして創り上げたのか?
 フェッセンデンは、その小さな宇宙で、いかなる実験をしたのか?

 わずか25ページほどですが、鮮烈な印象を残す作品です。
 「あの天上にもフェッセンデンがいるのではないだろうか?」(P34)

 「帰ってきた男」は、ちょっと皮肉の効いた生き返り譚です。
 1週間ぶりに目を覚まし、棺から出てきた、ある男の物語です。

 自分が生き返ったことを、皆が喜んでくれると思いきや・・・
 この世に「帰ってきた」男が、最後に「帰ってきた」場所は・・・

 「太陽の炎」は、私がもっとも気になった作品です。
 ミステリー的な展開と、哲学的な味付けで、深く印象に残る作品です。

 探査局の古株で、突然辞表を出したケラードには、いったい何があったのか?
 彼らが水星の昼側で遭遇したものとは・・・

 「しかし、広大無辺の宇宙が、どうして中身のつまった、重い肉体をまとった
 生きもののものになるだろう? 空気の泡につつまれて苦労して動かなければ
 ならず、金属の墓におさまってちっぽけな惑星のあいだをのろのろと進み、巨
 大な太陽の輝きには近づくこともできない生きもののものに。」(P293)

 この述懐の中に、作者ハミルトンの思いが込められているような気がしました。
 我々が本当に宇宙を探索できるのだろうか? ただの土くれである我々に?

 ほか、「向こうはどんなところだい?」「夢見る者の世界」「翼を持つ男」
 「追放者」「世界の外のはたごや」などは、捨てがたい作品です。

 さて、エドモンド・ハミルトンといったら、キャプテン・フューチャーです。
 40年ほど前、私が小学校の時に、そのアニメがNHKで放送されていました。

 中学生になって、ハヤカワ文庫から出ていたシリーズを、夢中で読みました。
 そして、2004年に創元SF文庫から出た全集を、懐かし思いで読み返しました。

 しかし、現在キャプテン・フューチャーのシリーズは、全て絶版です。
 もう1つの短篇集「反対進化」は、今でも読める貴重なハミルトン作品です。


恐怖の宇宙帝王/暗黒星大接近! <キャプテン・フューチャー全集1> (創元SF文庫)

恐怖の宇宙帝王/暗黒星大接近! <キャプテン・フューチャー全集1> (創元SF文庫)

  • 作者: エドモンド・ハミルトン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2004/08/24
  • メディア: 文庫



反対進化 (創元SF文庫)

反対進化 (創元SF文庫)

  • 作者: エドモンド・ハミルトン
  • 出版社/メーカー: 東京創元社
  • 発売日: 2005/03/24
  • メディア: 文庫



 さいごに。(コーラのキャンディ)

 丸亀うどんに行くと、会計のところで、時々子供にキャンディを配っています。
 うちの娘は小5にもなって、キャンディをもらっていたので、呆れてしまいました。

 ところが、「パパの好きなコーラのキャンディだよ」と言って、私にくれたのです。
 50にもなって、娘から子供のように思われている自分自身に、呆れてしまいました。


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別れのワルツ [20世紀アメリカ文学]

 「別れのワルツ」 ミラン・クンデラ作 西永良成訳 (集英社文庫)


 有名なトランペット奏者と浮気相手の看護師と、彼らを取り巻く人々の物語です。
 偶然の一致を活用した、演劇的手法で書かれた、クンデラの初期の傑作です。

 1993年に集英社から単行本で出て、2013年に集英社文庫に入りました。
 哲学的叙述がないため、訳はとても分かりやすくて、読みやすかったです。


別れのワルツ (集英社文庫)

別れのワルツ (集英社文庫)

  • 作者: ミラン クンデラ
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2013/12/13
  • メディア: 文庫



 有名なトランペット奏者のクリーマは、ルージェナから妊娠したと知らされました。
 ルージェナは温泉町で働く看護師で、彼は彼女と、たった一度寝ただけでした。

 心から愛する妻カミラがいるクリーマにとっては、これは寝耳に水の出来事でした。
 なんとか中絶させるために、クリーマはルージェナを丸め込もうと努力します。

 ルージェナ、あわれと思いきや・・・次第に明かされる彼女の裏事情・・・
 湯治客のバートレフ、医師のスクレタ、その友人ヤクブらが関わって・・・

 「存在の耐えられない軽さ」と比べて、いかに読みやすかったことか。
 突然難解な哲学的断章が入ることもなく、とても安心して物語を楽しめました。

 主人公クリーマの、お人好しぶりに呆れました。その人柄では人を騙せないよ。
 フランティシェクと遭遇しながらも、二人の関係を疑えないとは。

 一方、米人湯治客のバートレフの存在は、物語に不思議な味付けをしています。
 バートレフは、かつてある娘に、「妊娠した」と言われた時、どう答えたのか?

 バートレフの部屋に光が差していたのはどうしてか? あれは輪光だったのか?
 突然現れた天使のような少女は何者か?・・・彼はどこか聖人を思わせました。

 それなのに、突然ただのオヤジと化し、俗物に成り下がってしまうとは!
 第4日22章の、「なんじゃこりゃ?」という展開にはびっくりでした。

 その一方でドクター・スクレタは、一貫して悪魔的な雰囲気に包まれています。
 スクレタは、いったいどのような治療を施して、成果を上げていたのか?

 さて、全体を振り返った時、「別れのワルツ」にはちぐはぐな印象が残りました。
 「存在の耐えられない軽さ」は読みにくかったけど、完成度は高かったです。

 さいごに。(整形外科へ)

 運動会で転んだ翌日、左ひざがとても痛くて、ほとんど曲げられなくなりました。
 とても驚いて、急遽午後から有給休暇をもらって、整形外科へ行きました。

 ひざにたまっていた水を抜いてもらったら、だいぶ楽になりました。
 しかし、じん帯を少し損傷しているです。転んだのが、本当に悔やまれます。

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存在の耐えられない軽さ [20世紀フランス文学]

 「存在の耐えられない軽さ」 ミラン・クンデラ作 千野栄一訳 (集英社文庫)

 【注意】今回はネタバレが多めです。


 プラハの春を背景に、外科医トマーシュと田舎娘テレザとの愛を描いた名作です。
 哲学的な叙述があって読みにくいです。1987年上映の映画が話題になりました。

 私は集英社文庫で読みました。1989年刊の集英社ギャラリー世界文学の訳です。
 河出書房新社の世界文学全集から新訳が出ています。訳の評判は良いようです。


存在の耐えられない軽さ (集英社文庫)

存在の耐えられない軽さ (集英社文庫)

  • 作者: ミラン クンデラ
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1998/11/01
  • メディア: 文庫



存在の耐えられない軽さ (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-3)

存在の耐えられない軽さ (池澤夏樹=個人編集 世界文学全集 1-3)

  • 作者: ミラン・クンデラ
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2008/02/09
  • メディア: ハードカバー



 有能な外科医のトマーシュは、バツイチでハンサムな、中年プレイボーイです。
 多くの恋人がいますが、深い関係にならないように、一定の距離を置いています。

 つまり、愛と性を意識的に分けて生活しているのです。
 その良き理解者が、自由奔放な画家のサビナで、長年交際を続けてきました。

 ところが、トマーシュは田舎でテレザと出会い、深く愛し合って結婚したのです。
 しかし、彼は恋人たちとの付き合いをやめられず、テレザを悩まし続けました。

 やがて、ロシア軍によって故国が占領され、二人はスイスに亡命しますが・・・
 ある日トマーシュが帰ってくると、すでにテレザはいなくなっていて・・・

 冒頭は、いきなりニーチェの永劫回帰の話から始まります。
 正直に言って、なんのことやら、さっぱり分からん!

 「もし永劫回帰が最大の重荷であるとすれば、われわれの人生というものは素晴
 らしい軽さとして現れうるのである。」(P8)・・・(だから、なに?)

 永劫回帰は、この物語を解き明かすための、重要なキーワードであるはずです。
 でも、よく分からない。ネットで多くの解説を読んだけれど、やっぱり分からん!

 永劫回帰だとか、ニーチェだとか、存在の重さだとか、軽さだとか、そういうこと
 をごちゃごちゃ考えながら読んでいたら、この名作を少しも楽しめませんでした。

 クンデラはたびたび顔を出して、哲学的な難しい言葉で解説をするのですが、
 読めば読むほど頭が混乱してきて、私はむしろ煙に巻かれたように感じました。

 だから仕方なく、分からないものは分からないと割り切って読みました。
 すると、すぐに物語に没入しました。すばらしい恋愛小説でした。

 トマーシュとテレザ、トマーシュとサビナ、サビナと不倫相手のフランツ。
 それぞれが深い悲しみを抱え、寄り添いながらもどこか切ない感じがしました。

 ところで、トマーシュとテレザのあっけない最期は、少し疑問が残りました。
 二人の死は、本当に事故でしょうか。

 いや、二人を監視する何者かによって仕組まれた罠だったのではないか?
 車のブレーキが、ひどい状態だったというのが、心にひっかかります。

 いや、テレザが仕組んだ心中だったのではないか? テレザの愛読書である
 「アンナ・カレーニナ」が、彼女の自殺を暗示していたようにも思えます。

 二人の死が曖昧に書かれている所が、奥ゆかしいような物足りないような・・・
 結局、私はこの小説を、しっかりと理解できなかったのだと思います。

 さて、「存在の耐えられない軽さ」の映画は、エロチックさで評判になりました。
 しかし実際に見てみると、その内容の深さに驚くらしい。いつか見てみたいです。


存在の耐えられない軽さ [DVD]

存在の耐えられない軽さ [DVD]

  • 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
  • メディア: DVD



 さいごに。(「あの転んだ人」)

 先日の区の大運動会は、直前になって、急にリレーを走ることになりました。
 だから練習不足で、7走だったのですが、アンカーにバトンを渡す直前に転倒!

 1位で渡せそうだったのに、いっきに3位に転落し、今年も予選落ちでした。
 以前は、同じ学区の知らない人から、「あの足の速い人」と呼ばれていたのに、
 その日は、「あの転んだ人」と呼ばれていました。あーあ。

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回転木馬のデッド・ヒート [日本の現代文学]

 「回転木馬のデッド・ヒート」 村上春樹 (講談社文庫)


 何人かの人から話を聞き、ほぼそのまま書き写した8編を集めた短編集です。
 1985年に出た、村上春樹の初期の短編集で、現在講談社文庫から出ています。


回転木馬のデッド・ヒート (講談社文庫)

回転木馬のデッド・ヒート (講談社文庫)

  • 作者: 村上 春樹
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2004/10/15
  • メディア: 文庫



 この短編集のテーマは、冒頭の「はじめに」という前書きで分かります。
 村上は、人生をメリー・ゴーラウンドにたとえて、次のように言います。

 「どこにも行かないし、降りることも乗りかえることもできない。
 誰をも抜かないし、誰にも抜かれない。
 しかしそれでも我々はそんな回転木馬の上で仮想の敵に向けて熾烈な
 デッド・ヒートをくりひろげているように見える。」(P15)

 ぐるぐる回る回転木馬の人生、そこで突然味わうどうしようもない無力感。
 その無力感こそが、この短編集のテーマです。

 「レーダー・ホーゼン」は、若い頃に読んで強烈な衝撃を受けた作品です。
 ある婦人が、ドイツ旅行中、夫の半ズボンを買っているわずかな時間に・・・

 人生の途中で不意に訪れる、不思議で恐ろしい瞬間!
 「え? そういうものなの?」と、独身だった私はとても驚きました。

 「タクシーに乗った男」もまた、忘れられない短編です。
 画廊の女主人が若い頃に、タクシーに乗った男の、平凡な絵を買いました。

 そして彼女はその絵を・・・そして後日アテネで・・・
 そんなバカなと思うと同時に、分かる気がするなと思わせる作品です。

 「今は亡き王女のための」は、この短編集を代表する作品だと思います。
 大事に育てられ、その結果スポイルされた少女と「僕」の物語です。

 彼女はとても美しかったが、僕は一目見たときから彼女が苦手でした。
 ところが、ひょんなことから二人は同じ部屋で寝ることとなり・・・

 上の三作がオススメです。また、「まえがき」も面白いです。
 「プールサイド」も興味深い作品ですが、登場人物が少し鼻につきました。

 ところで村上春樹は、今回もノーベル文学賞を、受賞できませんでした。
 ノーベル文学賞を取るには、世界的になりすぎたような気がします。

 これほどビッグになると、今さらノーベル文学賞を与えにくいのではないか。
 そういう意味で、村上春樹はタイミングを逃してしまったのかもしれません。

 さいごに。(またやってしまった)

 うちの食品庫に、うまい棒が2本あったので、小腹がすいたときに食べました。
 しかし、それは娘が大切にとっておいたお菓子だったのです。

 数日後に娘はそれに気づきましたが、意外なことに全く怒りませんでした。
 こういうことがしょっちゅうあるので、もう諦めているようです。(よかった)

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坊っちゃん [日本の近代文学]

 「坊ちゃん」 夏目漱石 (集英社文庫)


 四国の中学に赴任した江戸っ子の「坊ちゃん」が、悪党をこらしめる物語です。
 漱石の初期の痛快な青春小説で、多くの読者に愛されている中編小説です。

 名高い名作なので、あらゆる文庫から出ていますが、注目は集英社文庫です。
 カバーが美しく(リンクの写真とは別の下の写真)、冒頭の口絵写真が貴重。


坊っちゃん (集英社文庫)

坊っちゃん (集英社文庫)

  • 作者: 夏目 漱石
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 1991/02/01
  • メディア: 文庫



P1070903-2.jpg

 新潮文庫版・岩波文庫版も定番です。
 古典的名作なので、ネットの青空文庫で読むこともできます。(無料!)


坊っちゃん (新潮文庫)

坊っちゃん (新潮文庫)

  • 作者: 夏目 漱石
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2003/04
  • メディア: 文庫



坊っちゃん (岩波文庫)

坊っちゃん (岩波文庫)

  • 作者: 夏目 漱石
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1989/05/01
  • メディア: ペーパーバック



 「親譲りの無鉄砲で小供の時から損ばかりしている。」(P7)
 坊っちゃんはけんかっ早いので親から冷たくされ、味方は下女の清だけです。

 学校を卒業したあと、都会を離れて、四国の中学校に単身赴任しました。
 しかし江戸っ子の坊っちゃんには、気に食わないことばかりでした。

 一方同僚に、狸、赤シャツ、のだいこ、うらなり、山嵐とあだ名をつけます。
 そそっかしい坊っちゃんは、赤シャツの言葉を信じ、山嵐と距離を置きました。

 しかし、うらなりが婚約者マドンナを、赤シャツに奪われたことを知り・・・
 赤シャツの陰謀を知った坊ちゃんは、山嵐と一緒に計画を練って・・・

 ストーリーも痛快ですが、文体もまた歯切れよく、リズムが小気味いいです。
 また、なんといっても主人公の坊っちゃんがいい。本当に楽しい作品です。

 「坊っちゃん」は、夏目漱石の作品のマイ・ベストです。何回読んだことか!
 高校時代に初めて読んでから、私の愛読書のひとつとなっています。

 新潮版とちくま(全集)版で読んだのに、今回、集英社版も買ってしまいました。
 集英社文庫は、現在少しずつ、漱石の作品のカバーを新しくしているので。

 最初に読んだ新潮文庫は、若い頃バイクで四国を回った時に、持っていきました。
 松山のユースホステルに泊まった時、部屋で拾い読みをしたのを覚えています。

 道後温泉は早朝の開館前から50人以上いて、その行列に並んで読んでいました。
 6時半に太鼓の音とともに入館しました。その後、あの本は行方不明です。

 ついでながら、近くに子規記念館もあって、私は2時間半もそこにいました。
 その時持っていった「病牀六尺」と「墨汁一滴」は、今でも書棚にあります。

 「病牀六尺」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-01-20
 「墨汁一滴」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2011-01-07

 さいごに。(若い頃の思い出)

 私がバイクで四国を一周したのは、社会人4年目。1993年で、26歳でした。
 懐かしい! 車に慣れた今、大きなバイクは、怖くて乗ることができません。

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キャロル [20世紀アメリカ文学]

 「キャロル」 パトリシア・ハイスミス作 柿沼瑛子訳 (河出文庫)


 19歳のテレーズと、美しい人妻キャロルとの恋愛を描いた、レズビアン小説です。
 ハイスミスの半自伝的な小説で、当時女性の同性愛者から熱烈に支持されました。

 河出文庫から出ています。訳はとても分かりやすいです。
 2016年に上映された映画も、美しい映像がたいへん話題となりました。





 19歳のテレーズは、クリスマスシーズンのデパートでアルバイトをしていました。
 恋人のリチャードに求婚されたものの、どうしても彼を本気で好きになれません。

 ある日テレーズは、売り場に来た魅惑的な女性キャロルに、心奪われました。
 送り先の伝票から、キャロルの住所を知り、クリスマスカードを送りました。

 すると売り場に電話がきて、二人は会うことになり・・・
 やがてテレーズは、キャロルに対する激しい愛情を自覚するようになって・・・

 物語の中盤の、テレーズとリチャードが凧を飛ばす場面は印象に残りました。
 糸を切られ飛んでいく凧を見て、テレーズの何かもまた切れてしまったようです。

 その後、2人で旅行に出ることになって、人生が大きく変わっていき・・・
 しかしキャロルの元亭主は、2人に対して・・・

 殺人事件は起こりません。大きな犯罪もありません。
 この小説はサスペンスでもミステリーでもなく、純粋な恋愛小説でした。

 (恥ずかしながら私は、ハイスミスと聞いただけで、サスペンスだと思いました。
 キャロルが何かの犯罪者で、いずれ本性を表すのではないかと、思っていました。)

 ただしその恋愛は、少女と人妻との恋愛です。当時それは、犯罪的なことでした。
 しかし、2人を温かな目で描いているため、多くの同性愛者から支持されました。

 さてハイスミスは、アラン・ドロン主演映画の原作「太陽がいっぱい」が有名です。
 ほかにも、「見知らぬ乗客」など、サスペンスものの傑作が多いです。





 さいごに。(山田涼介)

 山田涼介という名前を、娘から最初に聞いたときは、同級生だと思いました。
 まさかジャニーズとは! 先日買ったDVD付きCDも、山田涼介が目的だった。

 そういうアイドルが好きになるお年頃なのですね。
 娘が最近見ているTV番組も、山田涼介が出ているのが、多い気がします。

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2017年10月発売の気になる文庫本 [来月発売の気になる文庫本]

◎ 2017年10月発売予定の文庫本で、気になるものを独断で紹介します。
  データは、出版社やamazonの、HPやメールマガジンを参考にしています。


・10/05 「アンチクリストの誕生」 レオ・ペルッツ (ちくま文庫)
 → 幻想的な作品で知られる作者の短・中篇小説集。少し気になる。

・10/06 「見知らぬ乗客」 パトリシア・ハイスミス (河出文庫)
 → 「太陽がいっぱい」のハイスミスの最初の作品。とても気になる。

・10/? 「若草物語」 オルコット (光文社古典新訳文庫)
 → 私は角川文庫で、娘は青い鳥文庫で読んでいる。少し気になる。


◎ おまけ(千夜一夜物語を何で読むか)

 私は、長大な作品については、全て読むことにこだわっていません。
 時には選集や、要約版や、部分訳を読むのもOKだと思っています。

 たとえば「千夜一夜物語」の完訳は、ちくま文庫で全11巻16632円です。
 読破するには膨大な時間とお金がかかります。

 しかし当然ながら、面白い話もあればそうでない話もあるといいます。
 それならば、無理して全て読むこともないでしょう。

 完訳は老後の楽しみとして、有名な話だけ抜粋したものを読みたいです。
 では、どれを読んだらいいでしょうか?

 角川文庫から、「バートン版 千夜一夜物語拾遺」が出ています。
 コンパクトですが、シンドバッ トの物語が入っていないのが致命的です。

 新潮文庫の「アラビアンナイトを楽しむために」は、現在絶版です。
 阿刀田高による解説書で、とても面白かったです。復刊してほしい。

 岩波少年文庫の「アラビアンナイト」は上下二分冊です。
 児童向きですし、文庫本ではないのですが、この本がおススメです。

 岩波少年文庫版は、全264編の中から、特に名高い16編を選んでいます。
 「シンドバット」も「アラジン」も「アリ・ババ」も収録しています。


千夜一夜物語(全11巻セット)―バートン版 (ちくま文庫)

千夜一夜物語(全11巻セット)―バートン版 (ちくま文庫)

  • 作者: 大場正史
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2005/11
  • メディア: 文庫



アラビアンナイト  バートン版 千夜一夜物語拾遺 (角川ソフィア文庫)

アラビアンナイト バートン版 千夜一夜物語拾遺 (角川ソフィア文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 角川学芸出版
  • 発売日: 2013/10/25
  • メディア: 文庫



アラビアンナイトを楽しむために (新潮文庫)

アラビアンナイトを楽しむために (新潮文庫)

  • 作者: 阿刀田 高
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1986/12
  • メディア: 文庫



アラビアン・ナイト〈上〉 (岩波少年文庫)

アラビアン・ナイト〈上〉 (岩波少年文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2001/09/18
  • メディア: 単行本



 さいごに。(区の大運動会)

 町内の運動会が終わりましたが、今度は2週間後に区の運動会があります。
 私は毎年リレーに出ていましたが、今年は若い人が走ってくれるので免除。

 若い人が代わってくれて、ようやく肩の荷が下りたという感じです。
 当日は体育委員としての仕事があるので、家族でその他の種目に出場します。

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下流の宴 [日本の現代文学]

 「下流の宴」 林真理子 (文春文庫)


 フリーターの男女とその家族を中心に、格差社会をリアルに描いた物語です。
 毎日新聞に連載された後、2011年にはNHKのTVドラマ化さになりました。



 由美子は、田舎の医者の家に生まれ、今は大企業に勤める夫を持っています。
 中流家庭の主婦というプライドがあり、下流の人々を見下しています。

 ところが、愛する息子の翔はひきこもって高校を中退し、現在はフリーター。
 しかも、家出して女と同棲を始め、結婚すると言い出したのです。

 「子どもがどういう相手と結婚するか、というのは、それまで築き上げた自分
 の家庭の採点を受けるようなものですね。」(P91)

 相手の玉緒もフリーター。このままでは、うちが下流におちてしまう!
 断固反対する由美子。しかし、馬鹿にされた玉緒は・・・

 実に面白かったです。さすが林真理子です。
 「白蓮れんれん」もいいけど、こういう現代小説で本領を発揮しています。

 ただ、最後にもやもやが残りました。翔が、あまりにも情けないではないか!
 玉緒の奮起で翔が変わるだろうと期待していたので、心底がっかりしました。

 意欲も無い、覇気も無い、根性もない、向上心も無い。本当に情けない。
 オマエみたいなヤツが、日本をダメにしてるんだよ、と言いたくなりました。

 「人のやることを見て、励ますなんて、マラソンの沿道で旗ふってるだけの
 人だよ。自分で走らなき ゃ、何の価値もない。」(P361) 本当にそう思う。

 こんなヘナチョコと一緒にいるなんて、玉緒が本当にかわいそうです。
 だから、皮肉なこの結末は、玉緒にとって救いだったのかもしれません。

 さいごに。(町内体育大会)

 今年は学区の体育部長として、全体の運営をしながら、種目に出場しました。
 忙しかった! リレーは今年もアンカーを務めましたが、ビリでした。

 しかし、5年生の娘と、初めて一緒にリレーを走れたので楽しかったです。
 娘は、それほどでもなかったようですが。ビリだったし・・・



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カンタベリー物語1 [中世文学]

 「カンタベリー物語(上)」 ジェフリ・チョーサー作 桝井迪夫訳 (岩波文庫)


 カンタベリー大聖堂へ巡礼中に同宿した様々な人々が、交代でお話を語ったものです。
 イタリアを旅行したチョーサーが、「デカメロン」に影響されて書いた枠物語です。

 1995年に出た、比較的新しい訳なので、文章はとても読みやすかったです。
 丁寧な注釈が60ページあり(読まないって)、所々に美しい挿し絵が入っています。



 「わたし」は、カンタベリーへの巡礼を思い立ち、ある宿屋に泊まりました。
 そこで様々な人々と出会い、宿屋の主人も加わって、一緒に旅することになりました。

 「皆様はめいめい旅のつれづれを慰めるため、この旅行で、カンタベリーへ行く道で
 二つ話をし、家にかえる道でさらに二つ話をなさるということなんです。」(P58)

 クジ引きによって、騎士が最初の話をすることになりました。
 騎士は、古代ギリシアで起こった悲劇を語り始めました・・・

 冒頭の騎士の話は、壮大な叙事詩的な内容で、チョーサーの気合いが感じられます。
 ところが、「デカメロン」のような小話を期待していた私には、少し退屈でした。

 騎士の話が終わり、粉屋の話になって、ようやくこの物語は面白くなり始めました。
 大工の家に下宿している大学生ニコラスが、大工の若妻と恋仲になった話です。

 ニコラスは、「洪水が来る」と言って、桶の中に大工を非難させている間に・・・
 若妻を狙った忍んで来た教区書記に、ニコラスはブッと屁をかませて・・・

 皆が大笑いをする中で、昔大工をしていた家扶だけは、この話が面白くありません。
 そこで家扶(かふ)は、わざと粉屋をバカにした話を語りますが・・・

 家扶の話の後半は、「デカメロン」第九日6話のアレンジです。
 また、それに続く料理人の話は、途中でプツリと終わってしまいます。

 そういうところに、「デカメロン」に比べて、完成度の低さを感じました。
 それも当然。だいたい、「カンタベリー物語」が未完の物語なのですから。

 これは私個人の感想ですが、チョーサーは「デカメロン」に感心して、自分なりに
 「デカメロン」風の物語を書こうとしたけど、結局まとまらなかったのではないか。

 「デカメロン」の語り手は、お上品な紳士と淑女ばかりでした。
 「カンタベリー物語」は、騎士・粉屋・家扶・料理人・弁護士と、とても雑多です。

 この雑多な語り手が、時にけんかしながら色々と語るのが、この物語の魅力です。
 と同時に、雑多であるために、ごちゃごちゃしてまとまりにくいところが難点です。

 とはいえ、中巻・下巻には、まだまだ面白い話が残っています。
 このあとの物語にも期待したいです。

 さいごに。(仏像フィギュア、ゲット)

 アマゾンで仏像のフィギュアを見つけました。それも750円! 即購入しました。
 広隆寺の弥勒菩薩です。値段のわりには良いのですが、お顔がイマイチでした。

 もっと完成度の高いフィギュアはあるのですが、それは25000円もします。
 でも、欲しいなあ。毎月2000円ずつ積み立てようか。







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僕の名はアラム [20世紀アメリカ文学]

 「僕の名はアラム」 ウィリアム・サローヤン作 柴田元幸訳 (新潮文庫)


 アラン少年の目を通して、アルメニア系移民の共同体を描いた、連作小説集です。
 村上柴田翻訳堂の第1回として、「結婚式のメンバー」と同時に出されました。



 最初の「美しい白い馬の夏」は、15ページ足らずですが、傑作だと思います。
 この作品が、マイ・ベストです。冒頭の一文から、いっきに引き込まれます。

 「僕が九歳で世界が想像しうるあらゆるたぐいの壮麗さに満ちていて、人生がいま
 だ楽しい神秘な夢だった古きよき時代のある日・・・」(P15)

 ある朝アランの部屋に、いとこのムーラッドが美しい白馬に乗ってやって来ました。
 ムーラッドは、その馬を、農夫のジョン・バイロの家から盗んできたのでした。

 それを承知で、アランはムーラッドと一緒に、早朝にその馬を乗り回していました。
 そしてあるとき2人で馬を引いていたら、ジョン・バイロに出会ってしまいました。

 農夫は言う、「私は誓えるよ、この馬は何週間も前に私が盗まれた馬だと。」と。
 そのあとジョン・バイロが言った言葉は・・・読んでいる私の胸にも刺さりました!

 「愛の詩から何からすべて揃った素敵な昔ふうロマンス」は、面白い物語です。
 従弟の落書きで叱られるアラン。ダフニー先生の怒りと、校長の微妙な対応・・・

 「オジブウェー族、機関車38号」も、なかなか面白い物語です。
 ある日、ロバに乗って街に来たインディアンは、機関車38号と名乗っていました。

 頭がおかしいと思われていた彼が言いました、「自動車、運転したことあるのか?」
 運転したことがないにもかかわらず僕は・・・実は、機関車38号は・・・

 ほか、わずか5ページの「アメリカを旅する者への旧世界流アドバイス」も印象的。
 最後を飾るわずか11ページの「あざ笑う者たちに一言」も忘れがたい作品です。

 さいごに。(ヘイセイジャンプ)

 うちの娘(11歳)のマイブームは、「hey! Say! JUMP」です。
 限定版のDVD付きCDが、幸い売れ残っていたので、喜んで買ってきました。

 それが、なんと5400円もするのだという。
 代金をママに出してもらったようで、しばらくおこづかい無しなのだそうです。



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