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コーヒーと恋愛 [日本の近代文学]

 「コーヒーと恋愛」 獅子文六 (ちくま文庫)

 テレビで活躍中の女優モエ子と、若い女と逃げた年下の夫を巡るドタバタ劇です。
 1962年に読売新聞で連載された小説で、2013年にちくま文庫から復刊されました。


コーヒーと恋愛 (ちくま文庫)

コーヒーと恋愛 (ちくま文庫)

  • 作者: 獅子 文六
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2013/04/10
  • メディア: 文庫



 舞台は昭和の高度成長期です。テレビ番組が始まって10年もたってない頃です。
 主人公坂井モエ子は、43歳の人気庶民派女優で、コーヒーを淹れるのがうまい。

 モエ子は8歳年下の夫と二人で暮らしています、というか亭主を養っています。
 モエ子がテレビドラマに出演して稼いだお金が、二人の生活費となっています。

 夫の塔ノ本勉は売れない舞台装置係ですが、仕事に対するプライドだけは高い。
 モエ子の稼ぎに頼りながらも、テレビドラマを見下しているところがあります。

 夫と一緒になって8年、二人の生活は、それなりにうまくいっていました。
 ところが、丹野アンナという若い女優と、亭主が接近したことによって・・・

 今から50年以上前の新聞小説です。上品で軽快で、とても楽しく読めました。
 昭和の懐かしい香りがしますが、当時は進歩的で洒落た小説だったそうです。

 主役がテレビ女優で、亭主がヒモ男という設定も、当時は珍しかったと思います。
 また、アンナのようなアバズレ女の存在も、この小説をより魅力的にしています。

 度々コーヒーが登場し、コーヒー談義が始まる点も、新しかったのでしょう。
 今でこそコーヒーは庶民のものになりましたが、当時は珍しかったはずです。

 コーヒー通が集まる「可否会」の場面が、この小説の味付けになっています。
 彼らの語るコーヒーの蘊蓄を聞いていると、コーヒーが飲みたくなりました。

 「男ごころってのは、正月の重箱みたいに底があるものが、重なってるんだ」
 「恋愛ってものが主体であって、結婚なんて、ヤキトリのクシのようなもんだ」

 という洒落たセリフが、ポンポン出てくるところもまた、この作品の魅力です。
 しかしサイコーだったのは、奇想天外な新劇「河馬」の第三幕でした。

 暴走し人々を恐怖のどん底に突き落とす河馬の群れは、近代精神であって・・・
 富豪の令嬢が、河馬のマスクを付けた、主役の「第一の河馬」に求婚して・・・

 さて、獅子文六の初期の代表作に「悦ちゃん」があります。戦前の作品です。
 少し前にNHKのテレビドラマになって、評判になりました。気になります。


悦ちゃん (ちくま文庫)

悦ちゃん (ちくま文庫)

  • 作者: 獅子 文六
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2015/12/09
  • メディア: 文庫



 さいごに。(デンマーク・クローネ)

 うちの妻が、自動レジで50円玉を入れたら、何度も戻ってきてしまいました。
 不思議に思って、そのコインを確かめたら、なんとデンマーク・クローネでした。

 デンマーク・クローネは、50円玉にそっくりなのです。しかし価値は18円程度。
 いったい、いつ、どこで紛れ込んだのやら。

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モンテ・クリスト伯(抄訳)2 [19世紀フランス文学]

 「モンテ・クリスト伯(下)」 A・デュマ作 大友徳明訳 (偕成社文庫)


 無実の罪で捕らわれた男が脱獄し、自分を陥れた者たちに復讐する物語です。
 以前、講談社文庫の完訳を読み、今年、偕成社文庫の抄訳を読み直しました。


モンテ・クリスト伯[下] (偕成社文庫)

モンテ・クリスト伯[下] (偕成社文庫)

  • 作者: アレクサンドル・デュマ
  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2010/10/15
  • メディア: 文庫



 下巻に入るとモンテ・クリスト伯爵は、いよいよかつての婚約者と再会します。
 モルセール伯爵夫人は、早くもモンテ・クリスト伯の正体に気付いています。

 「伯爵さま、アラビアには、同じ屋根の下でパンと塩をわかちあった者は、永遠
 の友だちとなるという、うるわしい風習がありましたね。」
 「それはわたしも知っていますが、ここはフランスで、アラビアではありません。
 フランスにはパンと塩をわかちあうことも、永遠の友だちも存在しません。」

 この言葉の中に、二人それぞれの思いが全て込められています。
 この再会の場面は、物語を通して最も切なかったです。

 「エドモン、あなたのところにやってきたのは、モルセール夫人ではなくて、メ
 ルセデスなのです。」
 「メルセデスは死にました・・・わたしはもう、そういう名の人は知りません。」
 「メルセデスは生きています。・・・メルセデスだけは、あなたに会ったとき、
 あなただとわかりました。」

 この物語は、愛と憎しみの物語でした。
 そして、「復讐はむなしい」ということを、教えてくれました。

 ダングラールを、フェルナンを、ヴィルフォールを、巧みに陥れていき・・・
 しかし、復讐を果たすうちに、自分の行為に迷いが生じるようになって・・・

 「ゆるやかな曲がりくねった坂道をたどって、復讐の頂点に達した伯爵は、この
 山の反対側に、疑惑の谷があることに気づいたのだ。」(P369)

 抄訳を選んだのは、できるだけ簡単にこの大作を味わいたいと思ったからです。
 しかし読み終えてから思ったのは、「もう一度完訳を読みたい」ということです。

 それは、偕成社文庫版がもの足りないというのではありません。むしろ逆です。
 作品がそれだけ魅力的だったので、もう一度しっかり読みたいと思いました。

 現在出ている完訳は岩波文庫版です。初訳は1956年と古いのですが、味わい深い。
 全7巻です。いつでも読み出せるように、1巻から3巻までは買ってあります。


モンテ・クリスト伯(全7冊セット) (岩波文庫)

モンテ・クリスト伯(全7冊セット) (岩波文庫)

  • 作者: アレクサンドル・デュマ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2000/04
  • メディア: 文庫



 また、今回改めて感じたことは、これも「ナポレオン物」のひとつだということ。
 冒頭部分、百日天下、人々の回想場面など、随所でナポレオンが登場します。

 ナポレオンの本も読みたくなりました。
 ナポレオンのマイブームの時に買った、鶴見祐輔の書いた本を読んでおきたいです。


ナポレオン (潮文庫 黄 1A)

ナポレオン (潮文庫 黄 1A)

  • 作者: 鶴見 祐輔
  • 出版社/メーカー: 潮出版社
  • メディア: 文庫



 さいごに。(今年は余裕でマグロ組)

 小学校の水泳の授業が始まりました。今年は最高レベルのマグロ組に入れました。
 市民プールで、クロール50mと平泳ぎ50mを、泳げるようにしておいて良かったです。

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モンテ・クリスト伯(抄訳)1 [19世紀フランス文学]

 「モンテ・クリスト伯(上)」 A・デュマ作 大友徳明訳 (偕成社文庫)


 無実の罪で捕らわれた男が脱獄し、自分を陥れた者たちに次々と復讐する物語です。
 世代を超えて愛され、多くの児童版が抄訳で出ています。文庫本ではありません。


モンテ・クリスト伯[上] (偕成社文庫)

モンテ・クリスト伯[上] (偕成社文庫)

  • 作者: アレクサンドル・デュマ
  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2010/10/15
  • メディア: 文庫



 一等航海士のエドモン・ダンテスは、マルセイユで婚約パーティーを開きました。
 次期船長に任命され、大きな幸福をつかみかけたそのとき、突然逮捕されました。

 逮捕された理由もわからず、ダンテスは尋問され、イフの城塞に監禁されました。
 それから14年・・・ダンテスはいかに脱出し、いかに巨万の富を得たのか?!

 ダンテスはなぜ逮捕されたのか? 陰謀を企てたのは誰だったのか?
 そしてダンテスは、いかに復讐を成し遂げていったのか?!

 「モンテ・クリスト伯」については、すでに2010年に紹介しています。
 「モンテ・クリスト伯」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2010-01-15

 今年、木曜劇場の「モンテ・クリスト伯」を見て、読み直したくなりました。
 では、どの本で読み直すべきか。これが大きな問題でした。

 家にある講談社文庫版(絶版)は完訳で、全5巻、2000ページ超になります。
 岩波文庫版も完訳で、全7巻。無理です。今回は児童版の抄訳を選びました。

 岩波少年文庫は上中下の全三冊です。訳は古いものの、味わいがあります。
 抄訳とはいえ必要十分な量があり、内容は濃いので大人でも満足できます。


モンテ・クリスト伯 (上) (岩波少年文庫 (503))

モンテ・クリスト伯 (上) (岩波少年文庫 (503))

  • 作者: アレクサンドル・デュマ
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2000/06/16
  • メディア: ペーパーバック



 その対極にあるのが、青い鳥文庫の「巌窟王」です。1冊で完結しています。
 分かりやすいのですが、明らかに児童向けなので、大人にはもの足りないです。


巌窟王 (講談社青い鳥文庫)

巌窟王 (講談社青い鳥文庫)

  • 作者: アレクサンドル デュマ
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 1989/05/10
  • メディア: 文庫



 その中間に位置するのが、偕成社文庫です。上下二巻で分量がちょうどいい。
 訳は新しく分かりやすかったので、私はこの本を買いました。挿絵もきれい。

 この本を手に入れた店は、地元の繁華街の書店です。二冊で約1600円でした。
 ところが、この本は既に絶版だと言うではありませんか!

 アマゾンでは古本が、上巻5600円で下巻4900円と、眼を疑う高値。(6/14現在)
 二冊で10,000円超です。たまたま手に入れられて、本当にラッキーでした。


モンテ・クリスト伯[上] (偕成社文庫)

モンテ・クリスト伯[上] (偕成社文庫)

  • 作者: アレクサンドル・デュマ
  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2010/10/15
  • メディア: 文庫



 さいごに。(ドラマ「モンテ・クリスト伯」)

 木曜劇場「モンテ・クリスト伯」が終了しました。最終回は2時間スペシャル。
 マイ・ルール(=ドラマの拡大版は見ない)に背いて、見てしまいました。

 ドラマの副題は「華麗なる復讐」。華麗だって? この復讐は趣味悪かったです。
 最後までねちねちと復讐が続けられ、後味が悪かったです。復讐は、むなしい!

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お目出たき人 [日本の近代文学]

 「お目出たき人」 武者小路実篤 (新潮文庫)


 ある若くて美しいに女性に一方的に片思いし、失恋していくまでの物語です。
 作中の「自分」と同じ26歳の時の作品で、武者小路実篤の初期の代表作です。


お目出たき人 (新潮文庫)

お目出たき人 (新潮文庫)

  • 作者: 武者小路 実篤
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1999/12/27
  • メディア: 文庫



 「自分は女に餓(う)えている。」
 「自分」は26歳。以前近所に住んでいた可憐な女を、一方的に愛しています。

 女の名前は「鶴」。恋するようになったのは、もう5年も前のことです。
 しかしその間、一度も言葉を交わしたことがありません。

 だからこそ「鶴」の存在は、「自分」の中でどんどん理想化されていきます。
 そして二人が結婚することが、「鶴」にとっても幸せだと確信するに至ります。

 最初に人を立てて求婚したとき、ほとんどうまくいくと思っていましたが・・・
 次に求婚したときも・・・そして三度目の求婚は・・・

 武者小路といえば「友情」。それしか知らなかった私に、この作品を勧めてくれ
 たのは、ある読書仲間です。彼曰く、「ツッコミどころ満載で笑えるよ」と。

 「鶴」を知って5年というけど、5年前「鶴」はまだ13歳ではないか。
 「鶴」も自分のことを好いているはずだというけど、勝手に妄想されてもねえ。

 自分と結婚しなければ、やけを起こして自殺しまいかと心配するし。(アホか)
 「汝、彼女と結婚せよ」という神秘の黙示を感じているし。(ヘンタイか)

 「鶴に会いに行く」と言って、鶴の通う学校に偵察に行くし。(小学生か)
 やってることがみみっちいのに、「自分は勇士だ」とか言ってるし。(笑)

 中でも終盤、電車で偶然「鶴」と顔を合わせた場面は傑作です。
 「二人は夫婦になる運命を荷って生まれてきたのだ。」(!)

 自意識過剰で、自分に都合の良いことしか考えられない「お目出たき人」!
 しかし、こういう妄想を含めて、主人公の「自分」が可愛く思えてきます。

 ドストエフスキーの「地下室の手記」に通じるものを感じてしまいました。
 「地下室の手記」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2014-11-16

 余談ですが、10年前に美しい男を愛した、という気になる記述もありました。
 武者小路の実体験を踏まえているのでしょうか? 気になります。

 さて、武者小路実篤の晩年の代表作が「真理先生」です。
 この機会に「真理先生」も読んでおきたいです。


真理先生 (新潮文庫)

真理先生 (新潮文庫)

  • 作者: 武者小路 実篤
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1952/07/02
  • メディア: 文庫



 さいごに。(アコーディオンのオーディション)

 一昨日、音楽発表会の特別楽器のオーディションがありました。
 うちの娘は、学年で4人のアコーディオンの枠を狙って、合格しました。

 希望者は5人だけだったというけど、本当に良かったです。
 ただし、本番は平日の午後。見に行くことはできません。(見たかった!)

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東京タワー オカンとボクと、時々オトン [日本の現代文学]

 「東京タワー」 リリー・フランキー (新潮文庫)


 子供時代から母親が亡くなるまでの、自身の半生を描いた自伝的小説です。
 2006年の本屋大賞に選ばれ、映画にもなった、大ベストセラー小説です。


東京タワー―オカンとボクと、時々、オトン (新潮文庫)

東京タワー―オカンとボクと、時々、オトン (新潮文庫)

  • 作者: リリー・フランキー
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/06/29
  • メディア: 文庫



 ボクが4歳になる頃、オカンはボクを連れ家を出て、オトンと別居しました。
 それ以来、ボクのために精一杯働き、ひとりでボクを育て続けてくれました。

 「オカンの人生は十八のボクから見ても、小さく見えてしまう。それは、ボク
 に自分の人生を切り分けてくれたからなのだ。」(P193)

 「ボクに自分の人生を切り分けて」生きて来た存在。まさにそれがオカンです。
 自分のものは買わず、ボクが高校へ、大学へ行くために、せっせと働き続けます。

 ところがそのオカンは、ボクと血がつながっていない?
 どちらでも取れる書き方をしていますが、どうも本当の親子ではないようです。

 それなのに、ダメダメなボクのために、自分の人生をほとんど捧げてしまう!
 そして、ボクがようやく自立できた時、オカンはすでにガンに侵されていました。

 ガンのオカンを東京へ呼び寄せてからが、この作品の本領発揮です。
 ガンの摘出手術が成功し、二人で慎ましく、しかし楽しく暮らした日々は短く・・・

 すぐそこに見える東京タワーに、連れて行くと言いながら果たせなかった約束・・・
 さんざんお世話になったあげく、ほとんど恩返しもできないまま、オカンは・・・

 ボクとオカンの関係が中心ですが、時々登場するオトンも良い味を出しています。
 例えば次のようなオトンの言葉が、作品の味わいを深めています。

 「どんなことにも最低五年はかかるんや。いったん始めたら五年はやめたらいか
 んのや。なんもせんならそれでもええけど、五年はなんもせんようにしてみぃ。
 (中略)途中からやっぱりあん時、就職しとったらよかったねぇとか思うようや
 ったら、オマエはプータローの才能さえないっちゅうことやからな」(P220)

 この作品は、本屋大賞受賞作ということで読みました。
 確かに、評判どおりのすばらしい作品だと思いました。

 ただし、期待が大きすぎたからか、皆が言うほど感動しませんでした。
 最後まで「オカン」「オトン」という呼び方に慣れなかったせいかもしれません。

 さいごに。(アコーディオンのオーディション)

 娘は、小学生最後の音楽発表会で、アコーディオン担当を狙っています。
 オーディションで選ばれるために、この2週間ほど毎夜練習しています。

 オーディションまで1週間ほど。選ばれるのは、わずかに4人。
 以前に比べて、だいぶ上達したように思うのですが、結果はいかに?

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アニバーサリー・ソング [日本の現代文学]

 「アニバーサリー・ソング」 永倉万治 (新潮文庫)


 「語りの名人」が語る、とっておきのお話12編を収録したエッセイ集です。
 1989年に刊行され第5回講談社エッセイ賞を受賞した、作者の代表作です。


アニバーサリー・ソング (新潮文庫)

アニバーサリー・ソング (新潮文庫)

  • 作者: 永倉 万治
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1992/05
  • メディア: 文庫



 私は1993年、社会に出てまもない二十代前半の頃、この本と出会いました。
 ある番組でその内容の一部が紹介され、書店では平積みになっていました。

 収録されている12のエッセイは、どれも作者特有の味わいのある佳作です。
 中でも、「菅野大尉」と「山本クンの才能」は、私のイチオシです。

 おでん屋で知り合った初老の人物は、自分を「菅野大尉」だと言いました。
 マンガのモデルにもなった彼は、様々な体験談で「僕」らを魅了します。

 飛行中に消えた少年兵とグライダーは、4年後になって・・・
 菅野大尉は終戦後のパラオで、イルカと恋してしまい・・・(菅野大尉)

 ある日、かつてヨーロッパ旅行で一緒になった山本クンと再会しました。
 山本クンには、ある種の変わった才能があって・・・(山本クン)

 ほか、「愛犬ロズベイ」「十七年目の再会」も、オススメです。
 私にとって懐かしいこの本も、長い間絶版となったままの状態です。

 永倉万治は、「アニバーサリー・ソング」刊行の年、脳出血で倒れました。
 リハビリを経て仕事に復帰しますが、2000年に再び倒れて帰らぬ人に。

 最初に倒れたときの闘病記は、テレビドラマになって話題になりました。
 しかし現在、長倉万治はほとんど忘れられた存在。少し寂しい気が・・・

 さいごに。(プールの神様)

 2年前、市民プールで、娘はあるおばさんに平泳ぎを教えてもらいました。
 その後、娘の泳ぎは急成長。我々はその方を「プールの神様」と呼びました。

 先日、クロールで50m泳いだ日に、「プールの神様」と再会しました。
 そのときは、背泳ぎを教えてもらい、25m泳げるようになりました!

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中国怪奇小説集 [中世文学]

 「中国怪奇小説集」 岡本綺堂 (光文社文庫)


 六朝、唐、五代、宋、元、明、清の小説から、二百二十の怪奇談を集めたものです。
 中国の怪奇小説は、特に室町と江戸時代の日本の小説に、大きな影響を与えました。


中国怪奇小説集 新装版 (光文社文庫)

中国怪奇小説集 新装版 (光文社文庫)

  • 作者: 岡本 綺堂
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2006/08/10
  • メディア: 文庫



 「捜神記」「酉陽雑俎(ゆうようざっそ)」「輟耕録(てっこうろく)」・・・
 二十種ほどの怪奇小説から、選び抜かれた怪奇談が収録されています。

 「秦の時代に、南方に落頭民(らくとうみん)という人種があった。
 その頭がよく飛ぶのである。・・・」(P25)

 落頭民? 頭が飛ぶ? しかも、耳を翼にして、窓から飛んで出てゆくと言う。
 とんでもないことが、まことしやかに書かれていて、冒頭から度肝を抜かれました。

 この本は、怖くて面白い話の宝庫です。どれも短いので読みやすいです。
 中でも、マイ・ベスト10は、以下のとおりです。(時代順)

 1 「首の飛ぶ女」(捜神記) 先の、落頭民の話です。
 2 「武陵桃林」(捜神後記) 桃の林の先の、小さな洞穴に入ってみると・・・
 3 「離魂病」(捜神後記) 起きて出たはずの夫が、まだそこに眠っていて・・・
 4 「画中の人」(酉陽雑俎) 絵に筆を着けずに、精彩を加えると言うが・・・
 5 「人面瘡」(酉陽雑俎) 二の腕にできた腫物は、人の顔をしていて・・・

 6 「鬼国」(稽神録) その国の人たちには、我々の姿が見えないようで・・・
 7 「亡妻」(異聞総録) 門に立っていた女は、自分の死んだ妻であって・・・
 8 「牡丹燈記」(剪燈新話) 美しい女は実は、おしろいをつけた骸骨で・・・
 9 「名画の鷹」(池北偶談) 嫁が狐に見込まれたが、鷹の掛物をかけると・・・
10 「金鉱の妖怪」(子不語) 金鉱で生き埋めになった者の形骸はそのまま・・・

 私は、特に「捜神記」と「捜神後記」を読みたくて、この本を購入しました。
 「捜神記」25編、「捜神後記」27編。一話が短いので、もっと採録してほしかった。

 六朝時代のこの素朴な二編は、柳田國男の「遠野物語」を連想させました。
 唐時代の「酉陽雑俎」になると、洗練されている分、作り話っぽくなりました。

 そして、この手の怪談が完成するのが、清の時代でしょう。
 清の時代には、なんといっても「聊斎志異(りょうさいしい)」があります。

 この「中国怪奇小説集」の特徴は、語り手が時代の概要を説明するところです。
 語り手の説明によって、中国怪奇小説の歴史をたどっていくことができました。

 ただ、怪奇小説集の最高峰である「聊斎志異」が、なぜか入っていません。
 岩波文庫から出ているので、ぜひ読んでおきたいです。


聊斎志異〈上〉 (岩波文庫)

聊斎志異〈上〉 (岩波文庫)

  • 作者: 蒲 松齢
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1997/01/16
  • メディア: 文庫




 さいごに。(クロール克服)

 水泳の授業が始まる前に、クロールを50メートル泳げるようにしておきたいです。
 娘は息継ぎがうまくいかず、昨年の5年の時は25メートルしか泳げませんでした。

 そこで、先日の日曜日に、市民プールに連れていき、クロールの練習をしました。
 息継ぎのタイミングを少し修正しただけで、すぐに50m泳げるようになりました!

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枕草子 [日本の古典文学]

 「枕草子」 清少納言作 坂口由美子訳 (角川ソフィア文庫)


 宮廷生活や四季の移ろいを、鋭い観察眼で簡潔に描いた、随筆文学の傑作です。
 「源氏物語」の「あはれの文学」に対し、「をかしの文学」と称されています。


枕草子 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

枕草子 (角川ソフィア文庫―ビギナーズ・クラシックス)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2001/07/01
  • メディア: 文庫



 「枕草子」は、随筆の古典中の古典です。今さら内容説明は不要でしょう。
 中学校や高校で誰もが必ず接してきたと思います。有名な章段は・・・

 春はあけぼの、木の花は、鳥は、虫は、ありがたきもの、うつくしきもの。
 くらげの骨、逢坂の関、言はで思ふぞ、香炉峰の雪、枕にこそ侍らめ。

 「枕草子」といったら「春はあけぼの」。この固定観念がつまらなくしている!
 本当に面白いのは、清少納言の、当時の人間関係がしのばれる章段です。

 清少納言の出仕のいきさつ、中宮定子の全盛期、道隆の死と伊周の没落・・・
 清少納言と則光、清少納言と斉信(ただのぶ)、清少納言と行成・・・

 補足説明では、今昔物語なども引用して、知られざる一面を紹介しています。
 もと夫の則光は意外とイケメンだったり、父の元輔は意外とお茶目だったり。

 しかし、もっとも印象的だったのは、やはり藤原斉信と藤原行成です。
 清少納言も、一流の貴公子たちとのやり取りを楽しんでいたんですね。

 さて、「NHKまんがで読む古典1 枕草子」は、よくできているマンガです。
 内容はもちろん、作者のこと、時代背景、宮中生活等についても分かります。


枕草子 (ホーム社漫画文庫―NHKまんがで読む古典 (特5-1))

枕草子 (ホーム社漫画文庫―NHKまんがで読む古典 (特5-1))

  • 作者: 面堂 かずき
  • 出版社/メーカー: ホーム社
  • 発売日: 2006/02/01
  • メディア: 文庫



 この中で私が最も気になったのは、ほんの一瞬だけ登場した藤原実方です。
 清少納言と藤原の実方は、幼なじみであったという! 

 実方は、私の憧れの歌人のひとりです。「おくのほそ道」で紹介しました。
 「おくのほそ道」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2015-01-16

 「むかし・あけぼの」は、「枕草子」の小説で、めちゃくちゃ面白いです。
 ある意味、枕草子本の決定版です。2016年に文春文庫から復刊されました。


むかし・あけぼの 上 小説枕草子 (文春文庫)

むかし・あけぼの 上 小説枕草子 (文春文庫)

  • 作者: 田辺 聖子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2016/04/08
  • メディア: 文庫



むかし・あけぼの 下 小説枕草子 (文春文庫)

むかし・あけぼの 下 小説枕草子 (文春文庫)

  • 作者: 田辺 聖子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2016/04/08
  • メディア: 文庫



 さいごに。(早めの誕生日プレゼント)

 娘の誕生日は9月ですが、すでに早めの誕生日プレゼントを与えました。
 6月末に出る「ヘイセイ・ジャンプ」の10周年記念ライブDVD3枚組です。

 妻がアマゾンで予約購入しました。6000円ほどの出費でした。
 しかし、3パターンあるので、ジャニオタは3種(18000円!)買うんだとか。
 (うちの子が、1つで満足してくれて良かった)

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2018年6月発売の気になる文庫本 [来月発売の気になる文庫本]

 2018年6月発売予定の文庫本で、気になるものを独断で紹介します。
 データは、出版社やamazonの、HPやメルマガを参考にしています。

 
・6/5 「死者と踊るリプリー」 パトリシア・ハイスミス (河出文庫)
 → リプリーシリーズの完結編。訳者は旧版と同じ人? 少し気になる。

・6/12 「モーリス」 フォースター (光文社古典新訳文庫)
 → 古書では高値で取引される同性愛小説。文庫化歓迎。少し気になる。

・6/15 「ラ・カテドラルでの対話 上」 バルガス=リョサ (岩波文庫)
 → 渋い! こういう本を出すところが岩波さんらしい。気になる。

・6/15 「阿Q正伝」 魯迅 (角川文庫)
 → 「狂人日記」「藤野先生」など代表作を収録。新訳か。気になる


◎ おまけ1(本屋大賞)

 2018年度の、第15回本屋大賞は、「かがみの孤城」という作品です。
 2位以下に圧倒的な差をつけての大賞です。とても気になります。

 また、第4位の原田マハの「たゆたえども沈まず」も、気になります。
 いよいよゴッホがテーマの作品。二作とも、文庫化されたら買いです。

 ところで、本屋大賞ができたのは、本離れが進んでいた2004年のこと。
 「打倒直木賞」を掲げて、現場で働く書店員が、受賞作を選びました。

 歴史は浅いものの、売れ行きに対する影響力は、直木賞よりも上です。
 その典型的な例が、2年前の大賞作、宮下奈都の「羊と鋼の森」です。

 「羊と鋼の森」は初版6500部。それが今では100万部を超えています。
 山崎賢人主演で映画化されたことも大きい。この6月に公開されます。

 今年の2月には文庫化されました。
 これは、買って読まなければ。


羊と鋼の森 (文春文庫)

羊と鋼の森 (文春文庫)

  • 作者: 宮下 奈都
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2018/02/09
  • メディア: 文庫




◎ おまけ2(書店の減少・・・いつも似たような愚痴ですまない)

 全国の書店数は、2000年に比べて4割も減少しているのだそうです。
 2万1000以上あった書店 が、昨年2017年には9000ほど減ったという。

 渋谷の幸福書房など、老舗書店や名物書店も、閉店していきました。
 地元の町から書店が消えていくのも、仕方の無いことでしょうか。

 以前、仕事帰りに書店に寄って、文庫本を1冊選ぶのが楽しみでした。
 現在、休日に繁華街まで出かけなければ、書店で本を選べません。

 書店で本を買うことは、日常的行為から特別な行為へと変質しました。
 書店で本を手にとって選ぶことは、今ではぜいたくな行為になりました。

 「ネットで注文すればいいだろう」と、言う人もいるでしょう。
 しかし、やはり私は、自分で本を手にとって、じっくり選びたいです。


◎ おまけ3(Amazonプライム登録の紛らわしいボタン)

 先日、アマゾンで本を買ったとき、注文ボタンとそっくりなボタン出てきて、
 間違ってそのボタンを押したら、Amazonプライムに登録されてしまいました。

 直後にキャンセルしたので、月額400円は返金されるとのことです。
 すぐに気づいて良かったです。でも、危ないところでした。

 また、Amazonには「1-click注文」という、恐ろしいボタンもあります。
 小心者の私は、このボタンがあった時は、安心して買い物ができませんでした。

 しかし、これはアカウントサービスで、設定をオフにしたのでもう大丈夫。
 私と同じような方には、「1-click注文」をオフにすることをオススメします。


◎ さいごに。(定時退社日)

 先日、定時退社日があり、退社時間を徹底させられたので、仕事を持ち帰り、
 家のぼろいパソコンでやったので、かえって時間がかかってしまいました。
 (何のための働き方改革?)

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十八史略1 [中世文学]

 「十八史略1・2」 曾先之著 丸山松幸・西野広祥訳 (徳間文庫)


 伝説時代から南宋までの18の史書を、簡潔にまとめた中国歴史の入門書です。
 14世紀前半に曾先之によって作られ、明の陳殷によって注釈が施されました。

 私が読んだのは、徳間文庫版です。全6巻ありますが、抄訳だそうです。
 読みやすいように、小見出しや註や補説が付いています。


十八史略〈1〉覇道の原点 (徳間文庫)

十八史略〈1〉覇道の原点 (徳間文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2006/10
  • メディア: 文庫



 「史記」「漢書」「三国志」「晋書」「宋書」「魏書」「隋書」「新唐書」・・・
 ほか、全18の中国史書の膨大な内容を、略して分かりやすく記述しています。

 中国歴史のポイントを押さえ、ほとんどの故事や名言も採録してあります
 ひと通り読めば、中国歴史の基礎知識が得られるようになっています。

 第一巻は、神々の時代から、夏、殷、周、春秋、戦国までを収録しています。
 この巻では、高校の教科書 で学んだ有名な逸話が、次から次に登場します。

 「鼓腹撃壌」「臥薪嘗胆」「太公望」「管鮑の交わり」「晏子の御」
 「鶏鳴狗盗」「鶏口牛後」「刎頚の交わり」「隗より始めよ」・・・

 印象的だったのは、呉の夫差と伍子胥、越の句践と范蠡の、熱い復讐の物語!
 それから、蘇秦の合従策と、張儀の連衡策。かつての旧友同士の友情と戦い!

 春秋時代の国々、戦国の七雄と、多くの国があって、頭が整理できません。
 取り上げられる人物も多く、誰がどこの国の人なのか、すぐ忘れてしまいます。

 第二巻は、秦の統一から、項羽と劉邦を経て、漢の時代までを収録しています。
 基本は秦と漢だけなので、第一巻に比べて、歴史の流れが整理しやすいです。

 始皇帝、趙高、陳勝と呉広、項羽と劉邦、韓信、呂后、文帝、武帝、王莽・・・
 中国の雄大な歴史を、お手軽に振り返ることができるという意味は大きい。

 しかし、あまりにも簡略化されているので、物足りなさを感じてしまいます。
 そこで、つい何度も「史記」を開いて、同じ場面を読み返してしまいました。

 ところで、私が読んだ徳間文庫版は、1975年に出た本の文庫化で全6冊です。
 講談社学術文庫版とちくま学芸文庫版は、なんと、一巻に圧縮しています。


十八史略 (講談社学術文庫)

十八史略 (講談社学術文庫)

  • 作者: 竹内 弘行
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2008/10/10
  • メディア: 文庫



十八史略 (ちくま学芸文庫)

十八史略 (ちくま学芸文庫)

  • 作者: 曾 先之
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2014/07/09
  • メディア: 文庫



 さいごに。(走ることにキョーミ?)

 娘が珍しく、「走り方を教えて」と言ったので、公園で2回ほど教えました。
 少し教えただけで、見違えるようにフォームが大きくなり、良くなりました。

 娘も手ごたえがあったようで、教えを意識してリレーを走ると言っています。
 ああ、それなのに、小学校最後の運動会が、仕事と重なってしまうとは・・・

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