So-net無料ブログ作成
前の10件 | -

あすなろ物語 [日本の近代文学]

 「あすなろ物語」 井上靖 (新潮文庫)


 6つの短編を通して、鮎太の少年期から壮年期までを描いた、自伝的作品です。
 1954年に出て、若者を中心に広く読まれました。映画にもなっています。


あすなろ物語 (新潮文庫)

あすなろ物語 (新潮文庫)

  • 作者: 井上 靖
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1958/12/02
  • メディア: 文庫



 この本を、私は高校時代の読書会で、課題図書として読みました。
 「春の道標」とともに、高校時代に最も刺激を受けた作品です。

 明日はヒノキになろうと願いながら、決してヒノキになれない翌檜(あすなろ)。
 翌檜の木に託した6つの短編を通して、梶鮎太という男の半生を描いています。

 「深い深い雪の中で」は、鮎太が祖母と土蔵暮らしをしていた13歳の頃の話。
 19歳の冴子(さえこ)という美しい少女と、同居することになりましたが・・・

 冴子から頼まれたことは・・・加島という大学生に教えられたことは・・・
 そして、突然訪れる悲劇。6編の中で最も劇的で、印象に残る物語です。

 「寒月がかかれば」は、鮎太が禅寺に寄宿して中学に通っていた中三の頃の話。
 お寺の活発な少女雪枝に、勉強以外にも大切なことがあると教えられて・・・

 「漲(みなぎ)ろう水の面より」は、高校を卒業し九州の大学に進んだ頃の話。
 鮎太の心の中で、高校時代に知り合った佐分利夫人がいつまでも生き続け・・・

 ひとり東京を離れた自分。バラバラになってしまったかつての仲間の絆。
 そして、相変わらず美しい佐分利夫人が言ったことばは・・・

 「貴方は翌檜でさえもないじゃあありませんか。
 貴方は何になろうとも思っていらっしゃらない」(P127) 

 「春の狐火」は、鮎太が大阪で新聞記者として働き始めたばかりの頃の話。
 佐分利夫人の面影が忘れられない中で、先輩記者の妹と出会いましたが・・・

 佐分利夫人が登場するこの二編が、初めて読んだ当時、最も刺激的でした。
 自分もそんな女性に出会うだろうかと考え、怖くもあり、楽しみでもありました。

 そして「春の狐火」には、一瞬狐につままれたような美しい出来事があります。
 当時ピンとこなかったこのシーンの魅力が、今回再読して初めて分かりました。

 「勝敗」は、遊軍記者として活躍し、ライバルの左山と競っていた頃の話。
 「星の植民地」は、終戦後に家族と離れて一人、東京で暮らしていた頃の話。

 最後の二編は、他の四編に比べてあまり面白くなかったです。
 原因は、鮎太がもう若くないという点と、ヒロインがイマイチという点です。

 特に、最終話の鮎太の行動には、高校時代にとても失望しました。
 熱烈な恋愛はできないくせに、こそこそとつまらない女と浮気をする男!

 かつての神童が平凡な人生をたどり、ここまで落ちたかと悲しくなりました。
 人生というもののほろ苦い部分を、私はこの本から学んだのかもしれません。

 自分はこんな平凡な人生を歩みたくないと、当時は思ったものです。
 しかし、振り返ってみると、私は鮎太に負けず平凡な人生を歩んでいました。
 (ま、いいのだけど)

 さて、井上靖には、他にも有名で魅力的な作品がたくさんあります。
 「しろばんば」「夏草冬涛」などの自伝的小説は、ぜひ読んでおきたいです。


しろばんば (新潮文庫)

しろばんば (新潮文庫)

  • 作者: 井上 靖
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1965/04/01
  • メディア: 文庫



夏草冬涛 (上) (新潮文庫)

夏草冬涛 (上) (新潮文庫)

  • 作者: 井上 靖
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1989/06/09
  • メディア: 文庫



 さいごに。(椋鳩十)

 娘が時々音読をするので、小学5年生の国語の内容はだいたい分かります。
 このあいだまでやっていた椋鳩十の「大造じいさんとガン」は良いですね。


大造じいさんとガン (偕成社文庫3062)

大造じいさんとガン (偕成社文庫3062)

  • 作者: 椋 鳩十
  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 1978/03/01
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:

春の道標 [日本の近代文学]

 「春の道標」 黒井千次 (新潮文庫)


 高校2年の明史と中学3年の棗の甘く切ない恋愛を、瑞々しく描いた青春小説です。
 1981年に刊行されて、読書感想文の課題図書となり、特に若者に読まれた作品です。


春の道標 (新潮文庫)

春の道標 (新潮文庫)

  • 作者: 黒井 千次
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1984/06
  • メディア: 文庫



 高校2年の明史(あけし)には、慶子(けいこ)という一つ年上の恋人がいました。
 しかし、慶子のペースに戸惑い、「親友でいたい」と訴えて、関係は途絶えました。

 ちょうどその頃、明史の心は、毎朝顔を合わせる少女の方に、動かされていました。
 少女は棗(なつめ)という名前で、まだ中学3年生でした。

 明史が棗に声を掛けてから、2人は急接近していきます。
 一緒に登校し、学校祭に招待し、丘に登って散策し 、同じ高校への入学を勧め・・・

 ところが、棗には小堀という大学院生の家庭教師がいて、家族同然の間柄でした。
 そして、明史と棗はお互いに惹かれながらも・・・

 この小説を知ったのは、私が高校3年生の頃でした。
 学校の授業で、共通一次試験の過去問題を解いていたときのことです。

 そう、この小説は1980年代に、共通一次(現センター)試験で出題されたのです。
 明史と棗のことが気になって、本屋で購入して、受験勉強そっちのけで読みました。

 岩波文庫の白帯を持っていた棗。「生きているのって、哀しいな」とつぶやく棗。
 齧り跡のついたリンゴに口を重ねる棗。丘の上で二人きりになったときの棗。

 その頃、棗は、本読み仲間のヒロインでした。だから、あの結末は許せなかった!
 「大事なお友達に、なれると思う・・・」「地獄だよ、そんなの。」

 あれから30年以上たって、久しぶりに読み返し、当時と同じ感動を味わいました。
 ところが、以前とは違った部分も、また見えてきて面白かったです。

 あの頃は一方的に「棗が悪い」と思っていたけど、明史にも問題ありですね。
 結局、明史は自分が慶子にした同じことを、棗にされたわけです。

 また当時は、明史の背伸びしたところや、甘えたところに、腹が立ちましたが、
 今回は、そういう所がかわいく思えて好感が持てました。年のせいでしょうか。

 さいごに。(紅葉)

 先日、家から2時間ほどの場所へ、家族で紅葉を見に行きました。
 とてもきれいでした。紅葉は、仕事で疲れた心を癒してくれます。

紅葉ツアー.jpg

nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:

ガルガンチュア [中世文学]

 「ガルガンチュア」 ラブレー作 宮下志朗訳 (ちくま文庫)


 ガルガンチュアの誕生から敵国との戦争までを描いた、荒唐無稽な物語です。
 全5巻のうち「第一之書」です。「第二之書パンタグリュエル」も有名です。

 ちくま文庫から「ガルガンチュアとパンタグリュエル」全5巻が出ています。
 分かりやすい訳ですが、現在手に入るのは「第一之書ガルガンチュア」だけ。


ガルガンチュア―ガルガンチュアとパンタグリュエル〈1〉 (ちくま文庫)

ガルガンチュア―ガルガンチュアとパンタグリュエル〈1〉 (ちくま文庫)

  • 作者: フランソワ ラブレー
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2005/01/01
  • メディア: 文庫



 岩波文庫版では、5冊セットが手に入るらしい。知らなかった!


カルガンチュワとパンダグリュエル物語 5冊セット (岩波文庫)

カルガンチュワとパンダグリュエル物語 5冊セット (岩波文庫)

  • 作者: ラブレー
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1996/07/01
  • メディア: 文庫



 巨人の国の王グラングジェの子として、ガルガンチュアは生まれました。
 ガルガンチュアとその一族の、糞尿まみれの物語の始まりです。

 5歳のガルガンチュアは、お尻の最高のふき方を考案しました。
 「うぶ毛でおおわれたガチョウの雛にまさる尻 ふき紙はないと主張したい」

 それを聞いて、父王は感心してしまいました。
 「この子の知性にはなにかしら神がかり的なものがあることがわかるのだ」

 このことがきっかけで、ガルガンチュアには家庭教師が付けられました。
 そしてのちには、パリに遊学させられたのです。

 パリに入ったばかりの時、やじうまたちに向けて、おし〇こをすると、
 「なんと二六万四一八人もの人々が溺れてしまった」とのこと。

 200年後の英国の「ガリヴァ旅行記」にも、似たような場面がありました。
 「ガリヴァ旅行記」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2010-12-15

 こんな調子で、実にバカバカしくも、ワクワクする糞尿譚が続きます。
 松岡正剛は、「千夜千冊」の中で、本書の魅力を次のように述べています。

 「世界文学史上、こんなに荒唐無稽でヒューマンで、
  超インテリジェントで、変おかしくて、
  登場人物の全員が暴走しつづける大作なんて、ない。
  これからもない。こんな話、ラブレーしか書けない。」と。

 (そうだよな、ほかの人間には書けないよな、というか、書かないよな。)
 では、私のお気に入りの「下痢便ブドウ」(!)の場面を、どうぞ。

 「このブドウ、なぜ下痢便ブドウなどと呼ばれるかと申しますと、 食べる
 と、まるで槍みたいに、ずぶずぶっとお通じがあるからなのです。おかげ
 で、おならをしているつもりで、うんちをもらしてしまうこともよくあっ
 たりして、こうした連中のことを、『ブドウ収穫期のおなら男』なんて呼
 んでいるのですがね。」(P213)

 さて、後半はピクロコル王との戦争とテレーム修道院創建の話に移ります。
 随所に社会批判があり、ふざけた中にもまじめな雰囲気が漂っています。

 正直に言って、前半の糞尿譚の方がはるかに面白い。
 なお、全5巻のうち、本当に面白いのは最初の2巻だけだと言われています。
 
 ところで、「第二之書パンタグリュエル」の方が、先に書かれたのです。
 ちなみに「パンタグリュエル」は、「ガルガンチュア」の息子です。


パンタグリュエル―ガルガンチュアとパンタグリュエル〈2〉 (ちくま文庫)

パンタグリュエル―ガルガンチュアとパンタグリュエル〈2〉 (ちくま文庫)

  • 作者: フランソワ ラブレー
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2006/02/01
  • メディア: 文庫



 さいごに。(後十字靭帯損傷)

 左ひざが良くならないので、総合病院に行って、MRIをとりました。
 その結果、後十字靭帯が損傷していることが分かりました。

 前十字靭帯の損傷ほどひどくありませんが、なんらかの治療が必要になります。
 やれやれ。以前のように走れるようになるのだろうか?

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:

ジヴェルニーの食卓 [日本の現代文学]

 「ジヴェルニーの食卓」 原田マハ (集英社文庫)


 マティス、ドガ、セザンヌ、モネ等が、身近に感じられる短編小説集です。
 本屋大賞3位の「楽園のカンヴァス」と、同時期に書かれた美術小説です。
 「楽園のカンヴァス」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2016-1-14


ジヴェルニーの食卓 (集英社文庫)

ジヴェルニーの食卓 (集英社文庫)

  • 作者: 原田 マハ
  • 出版社/メーカー: 集英社
  • 発売日: 2015/06/25
  • メディア: 文庫



 この本に収録されている4編は全て秀逸です。駄作が一つもありません。
 印象派ファンにはたまらない内容です。収録順に紹介していきましょう。

 冒頭の「うつくしい墓」は、元家政婦の老婦人が語る思い出です。
 ある日マダムに頼まれて出向いた先は、画家マティスの住む部屋で・・・

 特にマティスのもとを、ピカソが最後に訪問したときの場面は良いです。
 この二人の巨匠の会話が、本当に聞こえてくるような気がしました。

 「アンリ・マティスが、私の人生をのちのちまでやわらかく包み込む陽光
 だったとすれば、パブロ・ピカソは、ほんの一瞬閃いた稲妻でした。」(P 44)

 二つ目の「エトワール」は、老いた女流画家メアリーが語る思い出です。
 メアリーが、伝説の画商デュランに相談されたことは・・・

 ドガが制作した唯一の彫刻「十四歳の小さな踊り子」を巡る物語です。
 ドガが、彼女と自分は同じだ(P123)と言う場面が印象に残りました。

 もの悲しいのに、心が温まります。ドガという画家に興味が湧きました。
 「エトワール」は、4編の収録作中のマイベストです。

doga2.jpg
doga1.jpg

 三つ目の「タンギー爺さん」は、タンギー爺さんの娘が書いた手紙です。
 彼女は、断続的にセザンヌに手紙を書き、様々な思いを伝えていました。

 画商タンギー、セザンヌ、小説家のゾラ、ゴッホ、ゴーギャン・・・
 タンギー一家から見た、印象派 の巨匠たちの素顔!

 最後の「ジヴェルニーの食卓」は、モネの義娘ブランシュを中心とした話です。
 睡蓮の絵を国に寄贈する契約を締結してから、モネの気力はいっきに衰え・・・

 晩年のモネは睡蓮の絵を、いかにして完成させていったのか?
 やはり表題作のこの作品が、最も完成度が高いように思いました。

 全体を通してすばらしい本です。登場する画家の作品を鑑賞したくなります。
 欲を言えば、アンリ・ルソーの物語を、もう一度描いてほしかったのですが。

 さいごに。(鷹の爪)

 最近うちの娘がはまっているのは、「秘密結社 鷹の爪」です。
 ツタヤでDVDをレンタルしてきて、片っ端から見ています。

 1話が短いので、私も時々一緒に見ますが、内容は実にくだらない。
 しかし、娘が言うには、NHKでもやっていたらしい。(ほんと?)



nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:

君たちはどう生きるか [日本の近代文学]

 「君たちはどう生きるか」 吉野源三郎 (岩波文庫)


 様々な出来事を通して成長する中学生のコペル君と、それを見守る叔父さんの話です。
 今年2017年に、その漫画版がベストセラーになり、たいへん注目を集めています。


君たちはどう生きるか (岩波文庫)

君たちはどう生きるか (岩波文庫)

  • 作者: 吉野 源三郎
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1982/11/16
  • メディア: 文庫



漫画 君たちはどう生きるか

漫画 君たちはどう生きるか

  • 作者: 吉野源三郎
  • 出版社/メーカー: マガジンハウス
  • 発売日: 2017/08/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



 コペル君というのは、もちろんあだ名です。本名は本田潤一。中学2年生です。
 どうして叔父さんに「コペル君」と呼ばれるようになったかというと・・・

 本田潤一はある日、ビルの屋上から下を見下ろして、変な感覚に襲われました。
 叔父さんに、「人間て、まあ、水の分子みたいなものだねえ。」と言います。

 彼はこのとき、自分中心の物の見方から脱して、客観的な視点に立てたのです。
 これを叔父さんは、天動説から地動説へのコペルニクス的転換と考えて・・・

 この後コペル君は、様々な体験をし、叔父さんから多くの教えを受けます。
 感動を呼ぶ行動とは? 学問の意味は? 人間の本当の価値は? 英雄とは?

 私は特に、三章の「ニュートンの林檎と粉ミルク」と、九章の「水仙の芽とガ
 ンダーラの仏像」の話が好きです。こういうことの言える大人になりたいなあ。

 それにしてもこれが、80年も前に書かれた作品とは思えません。
 現代でも通じる、生きるために必要な考え方が、ぎっしりと詰まっています。

 マンガとなって蘇り、多くの若者に読まれている状況は、たいへん喜ばしい。
 TV番組「世界一受けたい授業」で紹介されて、大きな反響があったようです。

 しかも、宮崎駿監督でアニメ映画になるというではありませんか。(ホント?)
 これほどブームになるとは、20年前に私が読んだ時には考えられなかったです。

 さいごに。(今年の我が家のニュース募集開始)

 大みそかに我が家では、「今年の我が家のニュース」ベスト10を発表します。
 12月になったので、ベスト10候補の募集を始めました。

 今後、リビングに置いたボードに、各自勝手にベスト10候補を記していきます。
 私のベスト1ニュースはなんといっても「転勤」です。忙しくなった!

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:

2017年12月発売の気になる文庫本 [来月発売の気になる文庫本]

◎ 2017年12月発売予定の文庫本で、気になるものを独断で紹介します。
  データは、出版社やamazonの、HPやメールマガジンを参考にしています。

・12/07 「マノン・レスコー」 プレヴォ (光文社古典新訳文庫)
 → 名作の新訳。私は新潮文庫で読んだ。読み比べたい。気になる。

・12/22 「世界文明史の試み 上・下」 山崎正和 (中公文庫)
 → 単行本で出ていた名著。文庫化歓迎。とても気になる。

・12/22 「背教者ユリアヌス」 辻邦生 (中公文庫)
 → 私は絶版直前に慌てて購入したが未読。新版はどんなか? 気になる。

・12/22 「高慢と偏見」 ジェイン・オースティン (中公文庫)
 → 名作の新訳。 私のコレクションに加えたい。どんな訳なのか気になる。


◎ おまけ。(古本屋で見つけた名作)

 先日古本屋で「時をかける少女」と「セーラー服と機関銃」を買いました。
 いずれも作品自体は珍しくありません。しかし、カバーが珍しいのです。

 「時をかける少女」は、原田知世の映画版。まだ少女時代の清楚な姿です。
 「セーラー服と機関銃」は、薬師丸ひろ子の映画版。かっこいいです。

 この2冊は、中学校時代に読んだ懐かしい本たちです。
 以前から古本屋で探していたのですが、なんと50円で手に入りました。

 1980年代、二人はとても輝いていました。特に薬師丸の人気はすごかった。
 もう1冊、「ねらわれた学園」の薬師丸カバーが手に入るとい いのですが。

P1070913.JPG
P1070914.JPG


◎ おまけ2(サイコーに面白い「陸王」を見ていない理由)

 前回(2017年11月発売の気になる文庫本)で紹介した通り、私は気になる
 ドラマを3回目から見ています。→http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-10-29

 「陸王」も、3回目から見ていて、サイコーに面白かったです。
 ところが、5回目でつまづきました。というのも、拡大版だったので。

 通常版なら54分なので、1時間以内なら、「見よう」という気力が湧きます。
 拡大版は1時間24分。読書時間や睡眠時間を削ってまでして、見るべきだろうか?

 と、考えてしまい、結果、見ることを断念しました。(結局、年なのですね)
 人気が出ると、拡大版をやりますが、この拡大版が、壁になってしまいました。


◎ さいごに。(持久走大会)

 娘の小学校の持久走大会が、今日行われます。がんばってほしいです。
 昨年同様、速いチームと遅いチームに分かれて走るのだそうです。

 娘は遅いチームで走るのだそうです。昨日ようやく教えてくれました。
 遅いチームでもなんでもいいから、精一杯走ってくれ。

nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:

修禅寺物語 [日本の近代文学]

 「修禅寺物語」 岡本綺堂 (長倉書店)


 面作り師「夜叉王」の娘「桂」と二代将軍源頼家との、愛と宿命を描いた戯曲です。
 作者を代表する戯曲で、上演と同時に大評判になった新歌舞伎の名作です。

 長倉書店から文庫版で出ていました。表紙は「頼家の面」です。現在は絶版。


修禅寺物語

修禅寺物語

  • 作者: 岡本綺堂
  • 出版社/メーカー: 長倉書店
  • 発売日: 2013
  • メディア: 文庫



 現在、なかなか手に入りにくい本ですが、キンドルではなんと0円です。


修禅寺物語

修禅寺物語

  • 出版社/メーカー:
  • 発売日: 2012/09/27
  • メディア: Kindle版



 面作り師の夜叉王は、修禅寺に幽閉されていた頼家に、面を依頼されていました。
 しかし、なぜか頼家を写した面は、なかなか満足のいくものになりませんでした。

 ある日、しびれを切らした頼家の怒りを買い、夜叉王は斬られそうになりました。
 娘の桂(かつら)が試作品の面を渡すと、頼家は満足してそれを持ち帰りました。

 ところが、夜叉王の職人気質は、その処置に納得できません。
 一方、桂は頼家のもとに奉公し、頼家に愛されるようになりました。

 やがて頼家と桂に襲いかかる、恐ろしい運命。そのとき桂がとった行動は?
 のちに分かった、夜叉王が納得できる面を作れなかった理由とは?

 この戯曲の魅力は、なんといっても桂の激しい感情と行動力です。
 人生をひたすら駆け抜け、一瞬ぱっと輝き、そして燃え尽きてしまう。

 「いたずらに、百年千年いきたとて何となろう。たとい半とき一ときでも、
 将軍家のおそばに召し出だされ、若狭の局という名をも給わるからは、これ
 で出世の望みもかのうた。死んでもわたしは本望じゃ。」(P38)

 また、結末がすごいです。父の夜叉王が、桂の最期のときにしたことは?・・・
 芥川龍之介の「地獄変」を連想しました。


改編 蜘蛛の糸・地獄変 (角川文庫)

改編 蜘蛛の糸・地獄変 (角川文庫)

  • 作者: 芥川 龍之介
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1989/04/01
  • メディア: 文庫



 岡本綺堂は、修禅寺で「伝・頼家の面」を見て、この戯曲を書き上げたそうです。
 その面は今も、宝物館で見ることができます。私は1999年に見ました。

2014030904085130b.jpg

 この宝物館のショップで、私は「修禅寺物語」を購入しました。1000円でした。
 長倉書店という所から出版されていました。地元修善寺の書店らしい。

 「修禅寺物語」ほか「頼家の仮面」「修禅寺物語」「秋の修禅寺」「春の修禅寺」
 などのエッセイが収録されています。修禅寺ファンにはたまらない編集です。

 結婚後まもなく、妻と一緒に修善寺を巡ったのも、とても懐かしい思い出です。
 頼家の墓や範頼の墓を、歩いて周りました。あのころは、若かった!

 さいごに。(声をかけないで)

 昨日の土曜日、娘の小学校では、参観会がおこなわれました。
 娘の座席は一番後ろなので、声をかけたくなってしまいました。

 しかし、前日に釘を刺されていたのです。「パパ、私に声をかけないでよ」と。
 「私が恥ずかしい思いをしたら、1週間話さないからね。」とも言われました。
 声をかけたかったけど我慢しました。1週間話してもらえないのはつらいので。

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:

ルバイヤート [中世文学]

 「ルバイヤート」 ハイヤーム作 小川亮作訳 (岩波文庫)


 11世紀のペルシア詩人ハイヤームによる、143編の四行詩(ルバイヤート)です。
 岩波文庫版は、原典訳です。初版は1949年。訳は古いですが味わいがあります。


ルバイヤート (岩波文庫 赤 783-1)

ルバイヤート (岩波文庫 赤 783-1)

  • 作者: オマル・ハイヤーム
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1979/09/17
  • メディア: 文庫



 四行詩ルバイヤートを143編収めています。八つのテーマに分類されています。
 タイトルから「人生ははかない、一瞬を楽しもう」という主張が垣間見えます。

 「解き得ぬ謎なぞ」「生きのなやみ」「太初のさだめ」「万物流転」
 「無常の車」「ままよ、どうあろうと」「むなしさよ」「一瞬をいかせ」

 いずれの詩も、短いのにとても鮮烈な印象を残します。
 実際に、マイ・ベスト3を紹介しましょう。

 「もともと無理やりつれ出された世界なんだ、
 生きてなやみのほか得るところ何があったか?
 今は、何のために来り住みそして去るのやら
 わかりもしないで、しぶしぶ世を去るのだ!」(2)

 「われらの後にも世は永遠につづくよ、ああ!
 われらは影も形もなく消えるよ、ああ!
 来なかったとてなんの不足があろう?
 行くからとてなんの変りもないよ、ああ!」(51)

 「あしたのことは誰にだってわからない、
 あしたのことを考えるのは憂鬱なだけ。
 気がたしかならこの一瞬を無駄にするな、
 二度とかえらぬ命、だがもうのこりは少い。」(135)

 本文はわずか100ページですが、人生の大事な部分がギュッと凝縮されています。
 この先何度も読み返したくなる、人生の指針ともなるべき詩ばかりです。

 ところで、マール社から出ている単行本は、美しい仕上がりで評判が良いです。
 バルファオの挿し絵がすばらしいと言う。図書館で見てみたい。


ルバイヤート

ルバイヤート

  • 作者: オマル・ハイヤーム
  • 出版社/メーカー: マール社
  • 発売日: 2005/11/20
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



 さいごに。(もう一緒に帰らない?)

 うちの娘(5年生)には、近所に仲良しの同級生の男の子がいます。
 時々けんかをすると、お互いに「もう一緒に帰らない」と言います。

 しかし、その言葉が守られたことはありません。
 けんかのことなど、けろっと忘れて、仲良く一緒に帰ってきます。

nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:

痴愚神礼讃 [中世文学]

 「痴愚神礼讃」 エラスムス作 沓掛良彦訳 (中公文庫)


 痴愚こそ幸福の源泉である、と自賛する痴愚女神を描き、当時大流行した名著です。
 1509年に書かれた風刺文学の傑作で、宗教改革に大きな影響を与えました。

 2013年に中公文庫からラテン語原典訳が出ました。新しくて分かりやすい訳文です。
 段落分け等、読みやすい工夫がされています。が、3分の1が注釈、読まないって。


痴愚神礼讃 - ラテン語原典訳 (中公文庫)

痴愚神礼讃 - ラテン語原典訳 (中公文庫)

  • 作者: エラスムス
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 2014/01/23
  • メディア: 文庫



 自分に帰依する人々を「大馬鹿者」と呼び、聴衆に向かって語ることはというと、
 痴愚でいることは素晴らしく、痴愚な者は幸せである、ということばかり・・・

 時にギリシア神話を引用し、時にローマの古典を引用し、時に聖書から引用します。
 非常に手の込んだ、知的なたわごとだと思いました。

 ところが時として、ドキッとさせられる表現と出会います。
 舞台監督と人生の例は、なかなかいけています。

 「舞台監督はしばしば同じ訳者を、違った扮装で舞台に出させますから、つい先ほど
 まで緋の衣をまとって王様を演じていた者が、今度はボロにくるまった奴隷として姿
 を見せたりするのです。要するにすべてが見せかけの仮装なのですが、人生という芝
 居も、その演じられ方は、これと変わるところがありません。」(P73)

 ちなみにこの作品は、前半が圧倒的に面白いです。
 後半になると妙に理屈っぽくなって、読んでいて疲れるようになります。

 さて、この名著(迷著)を、エラスムスはトマス・モアに宛てて一気に書きました。
 まさかその時は、この作品が歴史的名著となるは、考えてもみなかったでしょう。

 作品中で、王や修道士はもちろん、教皇までが笑いの対象となっています。
 1511年に刊行されると、教会から大顰蹙を買い、発禁処分となりました。

 また、1517年にルターが「95ヶ条の論題」を出し、宗教改革が始まりますが、
 この流れに「痴愚神礼讃」が大きな役割を果たしたとも、言われています。

 また、この笑いの伝統は、ラブレーの「ガルガンチュワ物語」に受け継がれ、
 「痴愚神礼讃」といえば、ルネサンス文学の名著ということになっています。


ガルガンチュア―ガルガンチュアとパンタグリュエル〈1〉 (ちくま文庫)

ガルガンチュア―ガルガンチュアとパンタグリュエル〈1〉 (ちくま文庫)

  • 作者: フランソワ ラブレー
  • 出版社/メーカー: 筑摩書房
  • 発売日: 2005/01/01
  • メディア: 文庫



 エラスムスの親友モアの「ユートピア」もまた、ルネサンス文学の名著です。
 モアの「ユートピア」以後、さまざまな人々のユートピア論が出されました。


ユートピア (岩波文庫 赤202-1)

ユートピア (岩波文庫 赤202-1)

  • 作者: トマス・モア
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1957/10/07
  • メディア: 文庫



 さいごに。(ゴキブリごっこ)

 娘がどこからか、非常にリアルなゴキブリのおもちゃをもらってきました。
 それを色々な場所に隠して、相手を驚かすのが、わが家のマイブームです。

 いつだったか、私のペンケースに入っていて、とてもびっくりしました。
 ところが、あのゴキちゃんを1週間見かけません。いつどこから出てくるか?


nice!(4)  コメント(0) 
共通テーマ:

アーサー王物語 [中世文学]

 「アーサー王物語」 ノウルズ作 金原瑞人訳 (偕成社文庫)


 イギリスのノウルズがまとめた、読みやすくて格好いいアーサー王物語です。
 子供にも読めて、センチメンタルではない物語として、訳者に選ばれました。

 なお、本書は確かに読みやすいのですが、子供向けにしては難しかったです。
 また偕成社文庫は文庫版ではなく、単行本の扱いになっています。


アーサー王物語 (偕成社文庫)

アーサー王物語 (偕成社文庫)

  • 作者: ジェイムズ ノウルズ
  • 出版社/メーカー: 偕成社
  • 発売日: 2000/07/01
  • メディア: 単行本



 アーサーの即位、エクスカリバーの獲得、ブリテンの統一、ガリアの征服、
 グウィネビアとの結婚、ローマ帝国の征服、ラーンスロットとの戦いと最期。

 様々なアーサー王伝説が、一つのストーリーとなるように編集されています。
 アーサーを中心にし た物語については、とてもバランスが取れています。

 もちろん、円卓の騎士たちの冒険も、主だったものは収録されています。
 バリンとバランの悲劇、ラーンスロットの冒険、ボーメンの冒険、聖杯探求。

 ところが、トリスタンやガウェインの物語が入っていません!
 アーサー王物語の本筋に関係ないエピソードは、外されているらしいのです。

 もやもやしながら、ネットでレビューを見てみたら、同じ感想がちらほら。
 トリスタンとイズーや、ガウェインの結婚は、収録してほしかったなあ・・・

 さて、解説にある訳者の言葉が印象に残りました。
 子供向けの本はロマンチックすぎるとした上で、次のように言います。

 「ぼくの頭のなかにある『アーサー王物語』は、騎士がくりひろげる勇壮な戦
 いの物語であり、残酷な運命にふりまわされる人びとの物語であり、『よきも
 の』も『美しきもの』もついにはすべてがほろんでいく壮絶な物語なのです。」

 「よきもの」も「美しきもの」も・・・というくだりがとても良いです。
 アーサー王国が崩壊に向かう場面を読むと、いつも悲しい気持ちになります。

 アーサー王国崩壊のきっかけは、ラーンスロットと王妃による罪でした。
 しかし私は、王国崩壊の兆しは、聖杯探求の時点で既に表れていたと思います。

 騎士たちが聖杯のために団結をといて、円卓を離れたことがきっかけではないか。
 キリストの聖杯は、ケルトのアーサーにとって、不運の源だったのではないか。

 ところで、アーサー王は死後、伝説の島「アヴァロン」に旅立ちました。
 蛇足ですが、ロキシーミュージックの「アヴァロン」は、私の愛聴盤です。


Avalon

Avalon

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: Virgin Records Us
  • 発売日: 2000/02/28
  • メディア: CD



 岩波少年文庫の「アーサー王物語」も気になります。訳がやや古いようですが。
 ちなみにこちらも版型は文庫ではなく新書です。惜しいことに絶版でした。


アーサー王物語 (岩波少年文庫 3057)

アーサー王物語 (岩波少年文庫 3057)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1957/12/10
  • メディア: 新書



 「ケルト神話と中世騎士物語」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-04-23
 「アーサー王ロマンス」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-02-13
 「アーサー王の死」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-02-10
 「中世騎士物語」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-01-23

 さいごに。(ひざがヤバイ)

 区民大運動会のリレーで転んでから、1か月以上たちます。
 しかし、左ひざがまだ戻らず、走るとひざが抜けるような感じがします。

 通院していた整形外科によると、靭帯損傷のときの症状だという。
 紹介状を書いてもらい、総合病院で調べることになりました。ああー。

nice!(3)  コメント(0) 
共通テーマ:
前の10件 | -