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僕の名はアラム [20世紀アメリカ文学]

 「僕の名はアラム」 ウィリアム・サローヤン作 柴田元幸訳 (新潮文庫)


 アラン少年の目を通して、アルメニア系移民の共同体を描いた、連作小説集です。
 村上柴田翻訳堂の第1回として、「結婚式のメンバー」と同時に出されました。



 最初の「美しい白い馬の夏」は、15ページ足らずですが、傑作だと思います。
 この作品が、マイ・ベストです。冒頭の一文から、いっきに引き込まれます。

 「僕が九歳で世界が想像しうるあらゆるたぐいの壮麗さに満ちていて、人生がいま
 だ楽しい神秘な夢だった古きよき時代のある日・・・」(P15)

 ある朝アランの部屋に、いとこのムーラッドが美しい白馬に乗ってやって来ました。
 ムーラッドは、その馬を、農夫のジョン・バイロの家から盗んできたのでした。

 それを承知で、アランはムーラッドと一緒に、早朝にその馬を乗り回していました。
 そしてあるとき2人で馬を引いていたら、ジョン・バイロに出会ってしまいました。

 農夫は言う、「私は誓えるよ、この馬は何週間も前に私が盗まれた馬だと。」と。
 そのあとジョン・バイロが言った言葉は・・・読んでいる私の胸にも刺さりました!

 「愛の詩から何からすべて揃った素敵な昔ふうロマンス」は、面白い物語です。
 従弟の落書きで叱られるアラン。ダフニー先生の怒りと、校長の微妙な対応・・・

 「オジブウェー族、機関車38号」も、なかなか面白い物語です。
 ある日、ロバに乗って街に来たインディアンは、機関車38号と名乗っていました。

 頭がおかしいと思われていた彼が言いました、「自動車、運転したことあるのか?」
 運転したことがないにもかかわらず僕は・・・実は、機関車38号は・・・

 ほか、わずか5ページの「アメリカを旅する者への旧世界流アドバイス」も印象的。
 最後を飾るわずか11ページの「あざ笑う者たちに一言」も忘れがたい作品です。

 さいごに。(ヘイセイジャンプ)

 うちの娘(11歳)のマイブームは、「hey! Say! JUMP」です。
 限定版のDVD付きCDが、幸い売れ残っていたので、喜んで買ってきました。

 それが、なんと5400円もするのだという。
 代金をママに出してもらったようで、しばらくおこづかい無しなのだそうです。



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結婚式のメンバー [20世紀アメリカ文学]

 「結婚式のメンバー」 カーソン・マッカラーズ作 村上春樹訳 (新潮文庫)


 退屈な日常から脱出することを夢見る、12歳の少女の夏の出来事を描いています。
 2016年に、村上柴田翻訳堂の第一作として、村上春樹による新訳が出ました。


結婚式のメンバー (新潮文庫)

結婚式のメンバー (新潮文庫)

  • 作者: カーソン マッカラーズ
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2016/03/27
  • メディア: 文庫



 12歳のフランキーは周囲となじめない少女で、何のメンバーにもなっていません。
 女料理人ベレニスと、6歳の従弟ジョンと、夏の間おしゃべりで過ごしています。

 フランキーは、自分が自分であることに、心底からうんざりしています。
 退屈な日常から抜け出したい。その願いは、根拠の無い妄想を生み出しました。

 自分は、兄と花嫁の「結婚式のメンバー」なのではないか。
 結婚式に出たら、もうここには戻らない。その日、自分の人生が変わるのだ・・・

 私は最初、フ ランキーのばかげた言動についていけませんでした。
 無知なくせに頑固で、気分屋で思い込みが激しく、自分で自分が分かっていない。

 ところが読んでいるうちに、しだいにフランキーに共感するようになりました。
 これが本書の魅力でしょう。いつのまにかフランキーを身近に感じていました。

 フランキーからジャスミンへ、ジャスミンからフランセスへ。
 12歳から13歳へ。そしてこの夏の日々は、もう二度と戻らない・・・

 また、料理女のベレニスが、とてもいい味を出しています。
 彼女が語る4度の結婚とその破綻の話は、この物語のひとつの読みどころです。

 そして、大事な言葉を発するのも、常にベレニスです。
 「あたしたちはみんな、多かれ少なかれ閉じ込められているんだ。」(P236)

 作者カーソン・マッカラーズを、私は村上春樹訳のこの本で知りました。
 もし村上春樹が取り上げなかったら、ずっと出会わなかったと思います。

 さて、「結婚式のメンバー」は、村上柴田翻訳堂の第1回に出ました。
 同時に出たサローヤンの「僕の名はアラム」(柴田元幸訳)も購入済みです。

 さいごに。(運動会のメンバー)

 今月下旬の、学区の運動会の選手集めが一段落し、ほっとしました。
 これで、体育部長としての私の仕事は、7割がた終わったようなものです。

 小さな町内会なので出てくれる人が少なくて、足りない所には自分が入ります。
 当日は運営をしながら、4種目に出場します。妻は3種目、娘は5種目です。

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だって、欲しいんだもん! [日本の現代文学]

 「だって、欲しいんだもん!」 中村うさぎ (角川文庫)


 買い物依存症について書いたエッセイです。副題は「借金女王のビンボー日記」。
 中村うさぎの最初の作品で、角川文庫から出ていましたが、現在は絶版です。


だって、欲しいんだもん!―借金女王のビンボー日記 (角川文庫)

だって、欲しいんだもん!―借金女王のビンボー日記 (角川文庫)

  • 作者: 中村 うさぎ
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 1999/01
  • メディア: 文庫



 電話を止められ、ガスを止められ、しかし、買い物はするし、旅行にも行く。
 住み慣れた杉並区を、税金滞納のまま飛び出し、憧れの港区南麻布へ引越し。

 夜逃げ同然にもかかわらず、カーテンに75万円、ソファーセットに90万円。
 シャネル、エルメス等、ブランドを買い漁り、今月の支払いは450万円・・・

 「抱腹絶倒エッセイ」と紹介されていますが、笑えたのは前半だけでした。
 しばしば呆然とし、やがて恐ろしくなり、最後には悲しくなりました。

 本人も病んでいるが、社会も病んでいます。
 アメ ックスよ、年収400万で、毎月の限度額が300万って、どういうことか。

 しかもアメックスよ、限度額を600万円に増やしてどうする?
 「金遣え、金遣え、そして皆で地獄に行こう。」(P119)

 このエッセイでは、浪費ネタはもちろん、シモネタも絶好調です。
 特に「酒と泪(なみだ)とケツの穴」の章は、サイコー(サイテー?)です。

 「(酒を)呑まないんなら、代わりに、ケツの穴を見せてもらおう」
 友人は冗談で言ったはずだが・・・以後、彼女のあだ名は「肛門様」に・・・

 ところで、中村うさぎは、どうして買い物依存症になってしまったのか?
 それは、「うさぎの行きあたりばったり人生」を読むと分かります。

 1994年、シャネルのお店で60万円のコートを買ったとき・・・
 「ありがとうございます」と言って、店員が頭を下げたその瞬間・・・

 この本の最大の欠点は、2000年までのことしか書いてないことです。
 それ以後の人生が面白いのに!

 整形、風俗体験、HK(閉経)B48、心肺停止については書かれていません。
 ゲイの夫のことも書いてありません。ぜひ、増補改訂版を出してほしい。


うさぎの行きあたりばったり人生 (角川文庫)

うさぎの行きあたりばったり人生 (角川文庫)

  • 作者: 中村 うさぎ
  • 出版社/メーカー: 角川書店
  • 発売日: 2002/11
  • メディア: 文庫



 さて、私の中で、林真理子と中村うさぎはイメージが重なります。
 二人ともほぼ同世代で、OLからコピーライターを経て成功した作家です。

 また、エッセイで書いている内容も少し似ています。
 林真理子をもっと過激にして、もっと下品にすると、中村うさぎになる?
 「野心のすすめ」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-08-13

 さいごに。(LEDから普通の電球へ)

 1~2年前に、高いお金を出して、家の電球の多くをLEDにしました。
 売り手は、「10年もつから高くない」と言っていましたが・・・嘘ばっか!

 LEDの電球が、次から次に切れてしまう。ネットでも、そういう投稿が多い。
 うちでは、LEDが切れたあとには、再び、これまでの安い電球を入れています。

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デカメロン3 [中世文学]

 「デカメロン」 ボッカッチョ作 平川祐弘訳 (河出文庫)


 ペストから逃れた男女10人が、交代で10日間にわたって全100話を物語ったものです。
 河出文庫が読みやすくておススメです。今回は河出文庫版の下巻を紹介します。


デカメロン 下 (河出文庫)

デカメロン 下 (河出文庫)

  • 作者: ジョヴァンニ ボッカッチョ
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2017/05/08
  • メディア: 文庫



 河出文庫「デカメロン」下巻には、第八日から第十日まで30話のが入っています。
 それぞれのテーマは以下の通り。最後に「著者結び」が付きます。

 第八日は「相手におこなった悪さやいたずらの話」、第九日は「自由テーマ」。
 そして最終の第十日は「立派なことをおこなった話」で、本書は閉じられます。

 第八日の1話は、私のお気に入りです。ドイツ傭兵グルファルドの悪戯の話です。
 彼が裕福で美しい夫人に愛を告白したところ、夫人からお金を無心されました。

 彼はいかにしてお金を調達したか? そして、いかにして夫人を愚弄したか?
 グルファルドは身勝手ではありますが、その策略がとても鮮やかなので許せます。

 第八日の7話は、阿刀田も田辺も取り上げていますが、私は共感できません。
 いくら自分がひどいめにあったからって、学者の復讐はやりすぎですよ。

 第八日の8話も面白い。親友と妻の浮気現場を見た男は、どんな復讐をしたのか?
 こういう復讐だったら、まあいいでしょう。そして、結末には驚きます。

 「俺たち二人の間で違うのは家内だけだった。これからはそれも共有することに
 しようじゃないか」(!)(P133)

 第九日は再び「自由テーマ」です。その2話は傑作。ある尼僧院での話です。
 ふしだらな尼僧をしかる尼僧院長が、頭にかぶったのは男もののパンツで・・・

 10話もサイコーです。ある司祭が、インチキな魔法をほどこす話です。
 司祭は、ある男の依頼でその妻を馬に変えるため、彼女に尻尾をつけて・・・

 さて、とうとう最終日の第十日です。テーマは、立派なことをおこなった話です。
 さんざんバカ話を披露してきたボッカッチョも、最後を美談で飾りたかったのか。

 そこに、ボッカッチョの弱さを感じてしまい、少し悲しいです。
 私としては、最後は思いっきりバカ話をして、締めくくってほしかった!

 第十日の4話は、愛する人妻を生き返らせた騎士の物語です。
 埋葬された夫人から、鼓動が聞こえたため、彼女を家に連れて帰り・・・

 その夫の前で、この女は自分のものだと、筋道立てて主張するジェンティーレ。
 反論が無いにもかかわらず、ジェンティーレが取った賞賛すべき行動は・・・

 確かに立派な行動ではある。しかし、どこか無理をしていて不自然さを感じます。
 彼には、もっと「デカメロン」っぽく、欲望のままに行動してほしかったです。

 そういえば、ボッカッチョ自身も、人生の最後には神を信じたのではなかったか。
 勝手ながら、そこに「デカメロン」とボッカッチョの限界を感じてしまいました。

 さて、「デカメロン」を読んだら、「カンタベリー物語」も読みたいです。
 幸い、岩波文庫から、分かりやすい訳が出ています。
 

完訳 カンタベリー物語〈上〉 (岩波文庫)

完訳 カンタベリー物語〈上〉 (岩波文庫)

  • 作者: チョーサー
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 1995/01/17
  • メディア: 文庫



 さいごに。(結局プレゼントは)

 娘の誕生日のプレゼントは、結局、お風呂で見られるDVDプレイヤーです。
 やれやれ。これからは、うちの女衆のお風呂時間が長くなりそうだ。

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なんとなく、クリスタル [日本の現代文学]

 「なんとなく、クリスタル」 田中康夫 (新潮文庫)


 東京で暮らす女子大生「由利」の奔放な生活を、442の注釈とともに描いた小説です。
 1980年の最先端の風俗を盛り込み、ブランド小説と呼ばれ、一世を風靡しました。


新装版 なんとなく、クリスタル (河出文庫)

新装版 なんとなく、クリスタル (河出文庫)

  • 作者: 田中 康夫
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2013/11/06
  • メディア: 文庫



なんとなく、クリスタル (新潮文庫)

なんとなく、クリスタル (新潮文庫)

  • 作者: 田中 康夫
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1985/12/01
  • メディア: 文庫



 女子大生兼モデルの由利は、大學生兼ミュージシャンの淳一と同棲しています。
 由利は、ある日気晴らしで、ディスコで知り合った学生とデートして・・・

 「結局、私は、”なんとなくの気分”でいきているらしい。」
 「クリスタルなのよ、きっと生活が。なにも悩みなんて、ありゃしない」

 ストーリーはたわいない。学校さぼって、デートして、ホテルに入って・・・
 しかし、この作品を、唯一無二のものとしているのは、442にわたる注釈です。

 私が読んだ新潮文庫版は、右ページが本文、左ページは注釈となっています。
 註には、当時最先端だった、機器、ブランド、お店、流行等が書かれています。

 ところが、当時の最先端が今では懐かしい。レコードとか、電話(固定)とか。
 「ターンテーブル」は、現代では古すぎて、別の意味で、注釈が必要でしょう。

 この作品は、一橋大学4年だった田中のデビュー作で、芥川賞候補になりました。
 「皮膚感覚を頼りに行動する、今の若者たちが登場する小説」を目指したという。

 そのため、登場人物が身につけているブランドが、次から次に出てきます。
 中村うさぎはこの小説を読んで、シャネルの似合う女になりたいと思ったとか。

 その後、田中は政治家に転身。2000年に長野県知事になり脱ダム宣言をしました。
 当時、私は北アルプスに頻繁に通っていたので、勝手に親近感を抱いていました。

 ところが、田中康夫の作品を読んだことが、一度も無かったのです。
 今回初めてこの作品を読んで、現在の田中康夫とのギャップを楽しめました。

 3年前の2014年には、「33年後のなんとなく、クリスタル」が書かれていました。
 河出書房新社から単行本で出ています。文庫化されたら読んでみたいです。


33年後のなんとなく、クリスタル

33年後のなんとなく、クリスタル

  • 作者: 田中 康夫
  • 出版社/メーカー: 河出書房新社
  • 発売日: 2014/11/26
  • メディア: 単行本



 さいごに。(あいさつ名人)

 娘のクラスでは毎日、一番あいさつが良かった人を、当番が決めるのだそうです。
 それを、「あいさつ名人」と言います。

 当番になるのが嫌だ、あいさつ名人を決めなければならないから、と言っています。
 なにかと気を使うのだとか。適当に指名すればいいと思うのだけど。

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野火 [日本の近代文学]

 「野火」 大岡昇平 (新潮文庫)


 肺病で中隊から見捨てられた田村の、レイテ島での極限状況を描いた小説です。
 自身の体験をもとに書いた、大岡昇平の代表作で、戦争小説の永遠の名作です。


野火 (新潮文庫)

野火 (新潮文庫)

  • 作者: 大岡 昇平
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1954/05/12
  • メディア: 文庫



 肺病の田村一等兵は、芋を六本与えられただけで、中隊を追い出されました。
 彼が受けた命令は、病院に引き返し、入院できなければ自決しろというものです。

 病院の前では、同じように隊から追われた多くの兵たちが、座り込んでいました。
 そこで、顔なじみの安田と永松に再会して・・・翌朝、砲声で目覚めると・・・

 私がこの小説を初めて読んだのは、大学時代です。
 二十代の私は、この作品を、戦争小説というよりも、冒険小説として読みました。

 先月「100分de名著」で取り上げられたのをきっかけに、久々に読み直しました。
 五十になった私は、この小説を、哲学小説として読んだような気がします。

 死の意識と自由、自然の生命力、戦場経済、十字架、発作的殺人、銃、死の観念、
 ある夜に見た火、聞こえてきた声、万物に見られている感覚、人肉食、神、狂気。

 本当に、様々な場面で、様々なことを、考えさせられる小説でした。
 中でも特に、印象に残っているのが、ある夜に見た動く火の場面です。

 「ある夜、火は野に動いた。(中略)人の通るはずのない湿原を貫いて、提灯ほど
 の高さで、揺れながら近づいて来た。/私の方へ、どんどん迫って来るように思わ
 れた。」(P147)

 この「火」は何だったのか? タイトル「野火」とどんな関係があるのか?
 直後、人肉を食べたい発作に襲われることから、大事な場面だと思うのですが。
 (「100分de名著」でも、島田雅彦が問題提起していました。)

 「野火」には「野焼きの火」以外にも、「突如出現する怪火」の意味もあります。
 この「火」は、ヒトダマなのか? 万物または神による、なんらかの合図なのか?

 この問題に、自分なりの解答ができた時、この小説がぐっと近くなると思います。
 が、現在の私には、まだよく分かりません。

 さて、「野火」のあとは「レイテ戦記」を読む、というパターンがあります。
 しかし、この作品は長いし、内容的にも重たいので、私は読む気がしません。

レイテ戦記 (上巻) (中公文庫)

レイテ戦記 (上巻) (中公文庫)

  • 作者: 大岡 昇平
  • 出版社/メーカー: 中央公論新社
  • 発売日: 1974/09/10
  • メディア: 文庫



 「俘虜記」も、戦争文学で、大岡の代表作です。
 「野火」の感動が残っているうちに読んでおきたいです。

俘虜記 (新潮文庫)

俘虜記 (新潮文庫)

  • 作者: 大岡 昇平
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1967/08/14
  • メディア: 文庫



 さらに、「武蔵野夫人」も読みたいです。戦争文学ではありません。
 スタンダールの手法を意識した作品だそうです。

武蔵野夫人 (新潮文庫)

武蔵野夫人 (新潮文庫)

  • 作者: 大岡 昇平
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1953/06/09
  • メディア: 文庫



 さいごに。(欲しいものが無いという不幸)

 今年も、ひとり娘の誕生日が来ました。11歳になります。びっくりです。
 このブログを始めた頃、娘はまだ3歳でした。

 娘に「プレゼントは何がいいか」と聞いたところ、「特に無い」という返事。
 欲しいものが無いというのは、物に恵まれた時代特有の不幸かもしれません。

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謎解きはディナーのあとで [日本の現代文学]

 「謎解きはディナーのあとで」 東川篤也(とくや) (小学館文庫)


 新米刑事宝生麗子が遭遇した事件を、彼女の執事影山が推理する連作小説です。
 2011年の本屋大賞で、映画化・ドラマ化もされ、第三部まで出ています。


謎解きはディナーのあとで (小学館文庫)

謎解きはディナーのあとで (小学館文庫)

  • 作者: 東川 篤哉
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2012/10/05
  • メディア: 文庫



 宝生(ほうしょう)麗子は、巨大企業「宝生グループ」総帥のお嬢様です。
 彼女はその正体を隠し、国立(くにたち)署の新米刑事として働いています。

 あるアパートの一室から、一人暮らしの若い女性の絞殺体が発見されました。
 その死体はブーツを履いたままなのに、なぜか部屋に足跡が無かったのです。

 殺されたのはほかの場所か? 死後運ばれたのか? では犯人は?
 彼女の元交際相手にはアリバイがあり、捜査が行き詰ってしまったが・・・

 「失礼ながらお嬢様ーーこの程度の真相がお判りにならないとは、お嬢様は
 アホでいらっしゃいますか」 宝生麗子の執事、影山が語る推理は・・・

 全6話が「事件→宝生麗子の行き詰まり→影山の推理」というパターンです。
 それでいて、まったく飽きません。それはおそらくキャラクターの魅力です。

 主人公の宝生麗子の二面性が魅力的ですが、さらに興味深いのが影山です。
 影山はまさに陰の主役。どこか謎めいています。影山の正体は?

 ところで、この作品の特徴は、全て影山の推理で終わっているところです。
 その後の逮捕劇は省略され、逮捕後の犯人たちの言葉もありません。

 私はそこが物足りなかったです。どの犯人も動機が薄いような気がします。
 彼らがどうして殺人を犯すまでに至ったのか、犯人の生の声を聞きたいです。

 さて、この作品はシリーズ化されて、現在第3巻まで出ています。(未読)
 第3巻まで読めば、影山の正体が分かるのか? 本当にただの執事なのか?


謎解きはディナーのあとで 2 (小学館文庫)

謎解きはディナーのあとで 2 (小学館文庫)

  • 作者: 東川 篤哉
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2013/11/06
  • メディア: 文庫



謎解きはディナーのあとで 3 (小学館文庫)

謎解きはディナーのあとで 3 (小学館文庫)

  • 作者: 東川 篤哉
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2015/01/05
  • メディア: 文庫



 さいごに。(浜名湖からの日の出)

 浜名湖旅行で一番印象深かったのは、浜名湖からの日の出です。
 5時30分頃、部屋から直接朝日を拝むことができました。美しかった!

DSCF2990-2.jpg
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2017年9月発売の気になる文庫本 [来月発売の気になる文庫本]

◎ 2017年9月発売予定の文庫本で、気になるものを独断で紹介します。
  データは、出版社やamazonの、HPやメールマガジンを参考にしています。

・9/5  「銀翼のイカロス」 池井戸潤 (文春文庫)
 → 半沢直樹シリーズ第4弾。2014年刊。待望の文庫化。買い。

・9/21 「トロイ戦争は起こらない」 ジャン・ジロドゥ (ハヤカワ演劇文庫)
 → 新国立劇場での上演が決まり話題となっている戯曲。気になる。

・9/23 「ビギナーズ日本の思想 文明論之概略」 福沢諭吉 (角川ソフィア文庫)
 → 西洋文明を目指すことを説き、近代日本の方向を決定付けた名著。気になる。

・9/23 「ビギナーズ日本の古典 宇治拾遺物語」 伊東玉美 (角川ソフィア文庫)
 → 「鼻の長い僧の話」など、良く知られた34編の説話を収録。気になる。

・9/? 「オイディプス王」 ソポクレス  (光文社古典新訳文庫)
 → シェークスピア訳で知られる河合祥一郎の訳だという。なぜ? 気になる。


◎ おまけ1(「岩波文庫で味わう わがふるさと」フェア)

 各県にゆかりのある岩波文庫が紹介されています。今までにないフェアです。
 たとえば、北海道は「アイヌ民譚集」、青森は太宰の「津軽」といった具合。

 読む・読まないは置いといて、リストを見てみると楽しいです。
 「岩波文庫で味わう わがふるさと」フェア
 → https://www.iwanami.co.jp/news/n21069.html


◎ おまけ2(100分de名著「野火」)

 「100分de名著」の今月のテーマは、大岡昇平の「野火」でした。
 非常に興味深い内容でした。数十年ぶりに読み返したいと思いました。

 講師は島田雅彦。妻は1冊も読んでいないくせに、彼のファンなのです。
 作家にして大学教授。知的でカッコ良く、話が面白いから、納得してしまう。

 妻いわく、「島田雅彦は非の打ちどころのない男」とのこと。
 ついでに、「パパも、もう少し話のレベルを上げてほしい」と言われました。


◎ さいごに。(久々の競技会)

 久々に(2~3年ぶり?)、競技会に出てみました。
 その日の気温は37度! しかも審判をやりながらだったので、たいへんでした。

 400mは58秒かかり、400mハードルは1分04秒かかりました。これはひどい。
 しかし、タイムはどうであれ、競技会で走るのは本当に楽しい。秋にも出たい。

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春のめざめ [19世紀ドイツ北欧文学]

 「春のめざめ」 F.ヴェデキント作 酒寄進一訳 (岩波文庫)

 少年少女の性の目覚めと、大人たちによる抑圧を描いた、三幕の戯曲です。
 性的な内容が問題視され、当時は上演禁止となりました。

 今年2017年2月に岩波文庫から出ました。
 訳はとても分かりやすかったです。


春のめざめ (岩波文庫)

春のめざめ (岩波文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2017/04/15
  • メディア: 文庫



 ギムナジウムの優等生のメルヒオールと、劣等生モーリッツは仲の良い友達です。
 メルヒオールはモーリッツに、子供を作る方法を図解して、それが悲劇に・・・

 同じギムナジウムの少女ヴェントラは、子供を作る方法を母親に尋ねました。
 しかし母は教えてくれず、ヴェントラは性について無知で、それが悲劇に・・・

 性を必要以上に抑圧していた、当時のドイツ社会を反映した内容です。
 そのきわどい内容が問題視され、出版当初は上演禁止となりました。

 実際、この戯曲に盛り込まれた内容は、以下の通り。(巻末「解説」から引用)
 サディズム、マゾヒズム、自慰行為、レイプ、自殺、ホモセクシュアル、人工中絶。

 どうしても、そういう衝撃的な部分に注目が集まりがちです。
 しかし私は、メルヒオールとモーリッツの素朴な会話に魅力を感じました。

 「ぼくは生まれはした。だけど、どうやって生まれてきたのかわからない。なのに
 生きていることに責任をとれっていわれてもな。」(P21)

 「人にひどいことをするよりも、ひどいことをされる方がよっぽど甘美なことだ!
 この世の幸福って、甘美な不正をわけもなく耐え忍ぶってことじゃないかな。」
 (P53)

 最後の第3幕第七場で、急にファンタジーになるところは、理解しがたかったです。
 ここで出現するモーリッツは何か? 突然現れる仮面の紳士とは何者か?

 このラストの部分がよく分からないため、もやもやしたまま終わってしまいました。
 訳注と解説が、合わせて50ページ以上あるけど、読む気がしないなあ・・・

 ヴェデキントは「地霊」「パンドラの箱」「春のめざめ」の三作を読みました。
 どれも屈折していて難解です。どれか一つを選ぶのなら、「春のめざめ」でしょう。
 「地霊」「パンドラの箱」→ http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-08-10

 さいごに。(龍潭寺も良かった)

 浜名湖の旅行では、摩訶耶寺も良かったけど、直虎ゆかりの龍潭寺も良かったです。
 特に江戸初期に小堀遠州によって作られたお庭は、いつまでも見ていたかったです。

 うちの妻が歴女なので、龍潭寺と井伊家の関係を、色々教えてくれました。
 しかし、ほとんど頭に残りませんでした。ただただこのお庭の美しさが残りました。

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なんて素敵にジャパネスク(コミック) [日本の現代文学]

 「なんて素敵にジャパネスク(コミック)1~6」 山内直美・氷室冴子

 【注意】今回は、激しくネタバレしています。


 集英社コバルト文庫から出ている、氷室冴子原作の小説のコミック版です。
 白泉社文庫から全6巻で出ています。

 「なんて素敵にジャパネスク」(集英社コバルト文庫)
 → http://ike-pyon.blog.so-net.ne.jp/2017-04-17


なんて素敵にジャパネスク 全6巻 完結セット(白泉社文庫)

なんて素敵にジャパネスク 全6巻 完結セット(白泉社文庫)

  • 作者: 山内 直実
  • 出版社/メーカー: 白泉社
  • 発売日: 2014/09/29
  • メディア: 文庫



 これを読んだ理由は、吉野の君のその後を手っ取り早く知りたかったからです。
 小説版を第二巻までしか読んでいない私は、その後の吉野の君が気になって・・・

 それなら「第三巻以降を読め」と言われそうですが、最近は時間が無い。
 そこで、コミック版で手っ取り早く読んでしまえ、ということになりました。

 では、吉野の君はどうなったのかというと・・・
 結局、最後まで読んでも、分かりませんでした。

 吉野の君は、死んでしまったのか? それとも、生きているのか?
 ファンの間でも、その解釈が分かれているようです。

 素直に考えると、吉野の君は死んでしまったようです。うちの妻も死亡説です。
 吉野山に現れないのがその証拠。瑠璃姫に手紙さえ来ないのは死んだから。

 また、あの重傷で火事場を逃れられるはずがない。車にも乗らなかったわけだし。
 第一、吉野の君の性格から考えて、恥を忍んで生きながらえるとは思えない。

 しかしその一方で、もしかしたら生きているのではないか、と考えてしまいます。
 死体は見つからず、馬が一頭いなくなったのも、逃亡を暗示しているようです。

 では、私はどう考えているか? もちろん、生きていると考えています。
 しかし、その理由を聞かれると困る。ただ、そう願っているだけなので。

 吉野の君が死んでいるとしたら、瑠璃姫があまりにもかわいそうではないか!
 私が吉野の君生存説をとるのは、ただただこの一言に尽きます。
 
 思うに、吉野の君は、馬でどこか遠い場所へ、落ちのびていったのでしょう。
 しかし、自分の罪を自覚している彼は、瑠璃姫に合わせる顔が無いのです。

 今でも彼は、どこか山深い場所で、念仏を唱えているのではないでしょうか。
 と、勝手な想像をしています。

 さて、物語の本編(吉野の君を巡る物語)は、コミック第4巻の前半までです。
 そのあとは、瑠璃姫以外の人物を主人公にしたサイドストーリーです。

 サイドストーリーをいくら読んでも、吉野の君のその後は分かりませんでした。
 私はそれを知らずに読んでいました。でも、それはそれで面白かったです。

 ところで、続編の「なんて素敵にジャパネスク 人妻編」全6巻がありました。
 これを読めば、吉野の君のその後が分かりますか? 誰か教えてください。

 さいごに。(摩訶耶寺)

 お盆明けに夏休みをもらって、奥浜名湖へ行ってきました。
 摩訶耶寺(まかやじ)の仏像と庭園が、良かったです。

 近くの龍潭寺(りょうたんじ)が、直虎ブームで混雑していたのに比べ、
 こちらはひっそりとしていて、蓮の咲く庭も、我が一家の独占状態でした。

DSCF2937-2.jpg

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